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Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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椎骨動脈解離では半数が間欠性の頭痛を呈し,診断が難しい

2005年03月13日 | 脳血管障害
椎骨動脈解離を診断する契機になる初発症状は,突発する一側の後頭部~後頚部にかけての痛みである.これは血管解離が後頭蓋窩の血管を神経支配する上頚部神経群に影響を与えるためと考えられている(関連痛).今回,アルゼンチンから椎骨動脈解離に伴う痛みの性状についての報告があった.方法は10年間に及ぶprospective studyで10名の症例を集積.診断はMRAないし血管造影で行った.頭痛の出現時期と虚血に伴う神経症状の出現時期,および頭痛の性状・持続時間について検討した.10名の発症年齢は54.3歳(30-67歳),1例のみ外傷性.痛み(頭痛もしくは頚部痛)は全例で出現し,6名は初発症状であった.頭痛は8名(一側性4名,後頭部痛3名,前・頭頂部痛1名).頭痛の出現時期は虚血症状より先が5名,同時が2名,遅れて出現が1名であった.クモ膜下出血の合併例(出血型椎骨動脈解離;つまり解離が外膜側に破れること)はなし.痛みの持続時間に関しては5名は持続型(平均26.4時間の持続)で,残り5名は間欠型(平均4.6時間).後者は診断にいたる時間が前者と比べ長かった(7.7日vs 3.1日).間欠期を伴う理由に関して解離は段階的に生じうる可能性を考えている(最初の解離のエピソード→安定期→血管壁内の出血の増強による解離の進展ということらしい).
本研究は椎骨動脈解離による痛みが間欠期を伴いうることを示した点で重要である.画像診断の普及に伴い,椎骨動脈解離と診断される症例は急速に増加しているが,多くの症例は重篤な後遺症を伴わず杜会復帰しているので,原因不明のまま対症療法のみ施行されていた症例も多いと思われる.さらに持続時間が短く,間欠期を伴うとなると虚血に伴う神経症状をきちんと評価しないと診断を誤る可能性が高い.

Neurology 64; 925-926, 2005 

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