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Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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学会場で学ぶリーダーシップ・メンターシップ

2019年09月24日 | 医学と医療
コングレス2日目,プレナリーセッションで印象に残ったのはCynthia Comella教授(Rush大学)によるIn our own words: Traveling the career path in Movement disordersというレクチャーだった.主旨は本学会のリーダーたちの言葉を用いて,リーダーシップとメンターシップを学ぶというものであった.



前半のリーダーシップでは,Comella教授自身はアリストテレスの3要素(エトス,パトス,ロゴス=信頼,共感,理論)を引用して,リーダーシップ=説得力+ビジョンと強調されていた.またThe Five Practices of Exemplary Leadershipという書籍を紹介し,優れたリーダーは次の5項目を実践していると説明し,それぞれの項目において学会のリーダーたちの言葉を紹介した.

1. Model the Way(自分自身の価値観をつくると同時に,仲間の価値観にも耳を傾ける)
2. Inspire a Shared Vision(将来,成し遂げたいビジョンを持ち,チームに語り,共有する)
3. Challenge the Process(挑戦し,周囲のアイデアを受け入れ,失敗から学び,成果を重ねる)
4. Enable Others to Act(仲間と信頼を深め,協同できる体制を整え,仲間の能力を高める)
5. Encourage the Heart(仲間一人一人の貢献や成果を認め,感謝を伝え,祝う)

後半のメンターシップでは,学会のリーダーたちの若い研究者に向けての言葉「本当に関心のある領域を選ぶこと,悪い状況から方向転換する勇気を持つこと,忍耐力,チームスピリットをもつこと,何もしないのは失敗するより悪い」などが紹介された.またメンターは「メンティーのために時間を作り,しっかり話を聴くこと.可能性を信じて勇気づけ,経験に基づく助言を行い,成長の機会を与えるべき」と述べていた.

実は43人もの学会のリーダーの言葉が,Leadership in Movement Disorders: Expert Advice and Crucial Career Moments (English Edition)という書籍にまとめられ,今年の6月に発売されている.キンドルで早速,ダウンロードして好きな先生の箇所を読んでみた.本レクチャーはStanley Fahn先生の功績を讃えて行われるものであったが,Fahn先生は「自身のリーダーとしての強みはなにか?」という質問に対し「周囲に耳を傾け,疑問や問題をあらゆる側面から理解しようと努力し,それから合理的な決断をくだすことだ.この方法で周囲に納得してもらい,そして熱心に取り組んでもらうことができた」と答えられていた.高橋良輔京都大学教授もビジョンと夢を共有すること,他の人の意見を聞くことの大切さを語っておられる.まさにリーダーシップを学ぶのに最適の本だ.

結論としてリーダーシップは「学んで身につけられること,そのために説得力+ビジョンを身につけ,周囲や後進の話をよく聴き,自身の経験によりチームを導く」ということだ.このような話を参加者全員で聞くことはとても素晴らしい機会だと感じた.学会は次代のリーダーを積極的に育てる必要があると改めて感じた.



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