Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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Donepezil はアルツハイマー病に対しcost-effectiveではない

2004年10月17日 | 認知症
Donepezil(アリセプト)は,英国でアルツハイマー病(AD)に対し,最初に認可されたコリンエステラーゼ阻害剤である.今回,英バーミンガム大が中心となって実施された臨床試験「AD2000」の結果が報告された.非認知機能と行動的症状の改善に関して有効か,さらにcost-effectiveであるかに注目.軽症から中等症のAD患者565名を,ランダムにdonepezil群(5mg/day)とプラセボ群に割り付けた.エンドポイントは施設入所および障害の進行.
結果はDonepezil群ではMMSE(mini-mental scale examination)で平均0.8ポイント良好,機能的にも若干良好であったが,施設入所率はdonepezil対プラセボで,42% vs 44%,障害度進行58% vs 59%でいずれも有意差なし.再割り付けでdonepezil 5mgと10mgを比較しているが差異なし.以上よりDonepezilは費用効果的でないと結論付け,医師はルーチンにこの薬剤を処方することに対して疑問を持つべきだと述べている.
読んだときは少し驚いたものの,確かにその程度の効果のような気もする.最近の新薬はいずれも高価なものばかりで,そのcost performanceを検討することは非常に大切であると思う.欧米で認可されている他のコリンエステラーゼ阻害剤やmemantine(NMDA受容体拮抗作用をもつ)などについても同様の検討が必要でしょう.

Lancet 2004; 363: 2105-15
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