ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

10/01/31 2009年の歌舞伎の舞台ベスト3投票に参加

2010-01-31 22:45:58 | 観劇

「ご機嫌!歌舞伎ライフ」の管理人yukiさまが実施されている「あなたが一番好きだった歌舞伎は何?」のアンケートに2008年版の投票にも参加させていただいたが、2009年版の投票締切りが本日1/31の24時と迫ってきた。ここ1週間ばかりぐずぐずと考えてきた。
第1位と第2位はわりと早めに決まったのだが、第3位を何にするかが悩ましい。

第1位:歌舞伎座11月「仮名手本忠臣蔵」通し上演
2007年2月の歌舞伎座の通し上演の時は気合を入れてアップしてあるのだが、今回はアップできていない。しかしながら、どう考えても今年のBEST1はこれ。高師直の富十郎がまず素晴らしかった。魁春の顔世御前に横恋慕する色気と袖にされたことで塩冶判官に八つ当たりするという嫌らしさが実に人間くさくてよかった。
前回の菊五郎の塩冶判官もよかったが、勘三郎の塩冶判官の若い大名らしい鷹揚な様子から師直の挑発にだんだんと怒りを募らせ、爆発させる感情の動きが手にとるように伝わってくるのに感心。
前半の由良之助を幸四郎、後半を仁左衛門でつないだのもよし。今回も九段目を省いていたのは残念だったが、十一段目の討入り本懐後の引揚の場を仁左衛門のリクエストで作られた大きな橋の装置の奥から次々と浪士たちが現れた場面も目に焼きついている。まるで宝塚の舞台の最後に大階段から出演者が順番に現れて舞台の全面に揃うような感じで、歌舞伎座さよなら公演の「忠臣蔵」の打ち出しを派手に飾ってくれたと思う。

第2位:歌舞伎座3月「元禄忠臣蔵」通し上演
国立劇場での通し上演を観ていないので今回が初見。内蔵助を幸四郎、團十郎、仁左衛門で見せてくれた贅沢さ。幸四郎内蔵助は昼夜1演目ずつ活躍。仁左衛門のハマリ役の綱豊卿も出て、真山青果の新歌舞伎の台詞劇でツケ打ちのない昼夜通し上演も新鮮だった。
歌舞伎は古典ばかりではなく、その時代時代の新作も意欲的に上演されてきて、いいものはこうして残るということを証明している。これからも新作の上演を楽しみにしていよう。

第3位:歌舞伎座10月夜の部の「義経千本桜」=前半の吉右衛門の知盛で劇的に盛り上げて泣かせ、後半の菊五郎の狐忠信でハートウォーミングに締め括られた半通し上演。
「渡海屋・大物浦」吉右衛門の知盛、玉三郎の典侍の局、富十郎の義経の大顔合わせ。
「吉野山」「川連法眼館」菊五郎の一世一代と思われる狐忠信。
ダイジェスト的な通しではあったが、世代交代前の贅沢を感じさせてくれた。

と決めてみると、3本とも通し上演ものになってしまった。じっくりしっかりと自分の書いた記事を振り返る余裕もなく、ざざっと頭の中だけで思い浮かべただけなので、どうしても通し上演好きということが影響してしまうのかもしれない。
それでも1年間を振り返る機会をいただいたことに感謝をしておきたい。


10/01/26 歌舞伎座千穐楽夜の部(4)「菅原伝授手習鑑 車引」は凄かった!

2010-01-30 13:07:31 | 観劇

壽初春大歌舞伎夜の部の双璧のもうひとつ「車引」の感想。私は歌舞伎座さよなら公演のリクエスト投票に「菅原伝授手習鑑」の通し上演と書いた。御名残三月大歌舞伎の三部興行で各部飛び飛びにだが、「菅原伝授手習鑑」のうち「加茂堤」「筆法伝授」「道明寺」の上演が決まっている。隔月ではあるが今回の「車引」も含めて、まぁ希望が実現したというでよしということにしよう。

これまで書いた「車引」の感想は以下の通り。
2005年5月の海老蔵×勘太郎×七之助
2006年9月の染五郎×松緑×亀治郎
【菅原伝授手習鑑 車引(くるまびき)】
今回の配役は以下の通り。
桜丸=芝翫 梅王丸=吉右衛門
杉王丸=錦之助 金棒引藤内=錦吾
松王丸=幸四郎 藤原時平=富十郎

芝翫の桜丸が予想以上によかった。三卵性の三つ子ということで外見も違うということで、一番小柄でおとなしそうな桜丸。むきみの隈も似合って斎世親王の舎人として苅屋姫との恋のとりもちをしたことが菅丞相流罪の原因になり、責めを負って自害する覚悟を切々と語る台詞がここまで胸に迫ったのは初めてだった。
並ぶ吉右衛門の梅王丸が実に大きくて立派。芝翫と吉右衛門の台詞のやりとりだけで「菅原伝授~」の世界にすっかり入っていってしまった。吉右衛門の全身に力が満ち満ちた梅王丸の若々しさ大きさに圧倒される。今最高の梅王丸だと思う。

藤原時平の社参のところを襲おうと駆けつけた二人を止める、時平の舎人杉王丸が錦之助という配役にも大顔合わせの舞台だからと納得。幸四郎の松王丸もなかなか立派だった。
芝翫×幸四郎×吉右衛門と並んでの見得も実に眼福。梅王丸、松王丸の兄弟の順番が人形浄瑠璃と歌舞伎では入れ替わってしまっているが、原作は梅王が長男。3人揃った時に梅王の刀が3本で松王が2本というのはその名残かもしれないと推測。今回は梅王の方が大きく見えた座組みだが、別にそれでもかまわないだろう。

ところが牛車の中から現れた富十郎の藤原時平の素晴らしさでノックアウトされた。通常の公家悪の藍隈ではなく、富十郎の顔がしっかりわかる白塗りに両端に向けて鋭くつり上がった眉の下の大きな目で眼光鋭くねめつける。朗々と響く声とともに物凄い悪のパワーを感じさせる、袖を巻き上げて身体中で梅王丸と桜丸を射すくめると二人の力が抜けてしまうのも全く無理を感じさせない。「仮名手本忠臣蔵」での高師直も素晴らしかったが、この時平もしっかり目に焼きついてしまった。

観終わったあとに思わず「すっげぇ」と口をついて出るほどの「車引」。さよなら公演にふさわしい大舞台を観た満足感でいっぱいになった。
写真は歌舞伎座前の絵看板の「車引」。終演後に携帯で撮影していたら、千穐楽だけに来月の看板との架け替え作業が始まってしまった。タイトル部分のパーツから替えていくので絵と一致しないタイトルが並んでいるという滅多に見られない場面にも遭遇(^^ゞ
1/26千穐楽夜の部(1)雀右衛門不在の「春の寿」
1/26千穐楽夜の部(2)勘三郎の「京鹿子娘道成寺」
1/26千穐楽夜の部(3)染五郎×福助の「切られ与三」

10/01/26 歌舞伎座千穐楽夜の部(3)染五郎×福助の「切られ与三」

2010-01-30 01:31:31 | 観劇

2008年1月に観た愛之助×七之助の「切られ与三」で初めてこの演目の面白さがわかった(それ以前に観た舞台の記事のリンクもあり)。
さて、今回の染五郎×福助はどうだったかを簡単に書いておこう。

【与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)】
木更津海岸見染の場、源氏店妾宅の場
今回の主な配役は以下の通り。
切られ与三郎=染五郎 お富=福助
鳶頭金五郎=錦之助 
和泉屋多左衛門=歌六 番頭藤八=錦吾
蝙蝠安=彌十郎

染五郎×福助のコンビ、これがなかなかよかった。木更津海岸見染の場若旦那の与三郎とちょっと年上の仇っぽいお富との一目惚れの恋というイメージ。声がひっくり返ってもこういうお役なら違和感なし。江戸和事のお役は染五郎のニンに合うと思うので是非極めて欲しいと思う。
錦之助の鳶頭金五郎というのも粋で見ていて嬉しい。
源氏店妾宅の場高麗屋の錦吾の番頭藤八も手堅い感じ。大柄な彌十郎が小悪党(まさに人間が小さいワル!)の蝙蝠安というギャップが実に可笑しい。
ここでの与三郎の名台詞「ご新造さん、おかみさん、イヤサお富、久しぶりだなぁ~」も染吾郎、なかなかよかったと思う。

極めつけは歌六の和泉屋多左衛門。歌六の芝居で最後がぐっと締まる。お富の実の兄だったというのもその存在感で納得がいくので、お富と与三郎の恋の成就への急展開も芝居としての見ごたえを感じられた。
重量級の「車引」「道成寺」と続いた後に、軽い演目でラクに見られて、それなりの満足感で打ち出してもらえた。

写真は、歌舞伎座前のカウント時計を終演後に携帯で撮影。さよなら公演4月興行まであと95日とあり。
1/26千穐楽夜の部(1)雀右衛門不在の「春の寿」
1/26千穐楽夜の部(2)勘三郎の「京鹿子娘道成寺」

10/01/26 歌舞伎座千穐楽夜の部(2)勘三郎の「京鹿子娘道成寺」歌舞伎座での舞いおさめ

2010-01-28 23:57:29 | 観劇

勘三郎の「京鹿子娘道成寺」は2005年4月の襲名披露公演で観ていて、「勘三郎箱」も買ってしまったのでDVDでも何回か観た。さて、今回はどうか?!歌舞伎座の壽初春大歌舞伎の感想を順不同で書いていく。(「春の寿」と順を入れ換えましたm(_ _)m)
【京鹿子娘道成寺 道行より押戻しまで】
今回の配役は公式サイトより以下、引用。
白拍子花子=勘三郎 大館左馬五郎=團十郎
所化=高麗蔵、松江、種太郎、新悟、種之助、宗之助、ほか

3階11列のセンター右寄り席だったが、花道で登場した花子が止まる位置も上半身がよくみえてラッキー。花子のひらり帽子の上の飾りには翼を広げた鶴のデザインがあったのかと今頃気がついてみたり、勘三郎の頬がいつもよりこけて見えるのはこの大曲を一ヶ月の公演を踊りきった千穐楽だからだろうかと思ってみたり。玉三郎はもう本公演では踊らないというくらいだし・・・・・・。

それにしても道行のところの勘三郎花子の表情があまりにも寂しげなので、何故なのだろうと思いをめぐらす。・・・・・ハッと思い至る。今日が勘三郎が現歌舞伎座で道成寺を踊る最後の日なんだ!勘三郎花子がいろいろな方向に思い入れをして劇場のあちこちに視線を止める時、ここを見るのも最後とか思いながら、万感の思いを抱きながら踊っているのかもしれない。勝手にそう推測してしまったのだが、私はそんな舞台を見ることができたのかという感慨が押し寄せてきて、なんだか目頭が熱くなってきてしまった。

「♪道成の卿うけたまはり~」からの謡いも所化との長い問答もなし。所化の白拍子かと尋ねるのに答えて鐘を拝ませてという必要最低限の会話のみにするのは、女形をする時の勘三郎の声はハスキーすぎるせいかと推測。踊り手によって融通無碍にするのだろう。

烏帽子があるのでそれをつけて舞えということになり、所化のひとりが三宝に載せたのを渡す「金冠渡し」は小山三。襲名披露公演の時は確か芝翫が渡していたと記憶しているが、そういう役に先代からの最古参の弟子をつけたところが勘三郎らしい。子どもの頃から世話をしてきた小山三も万感の思いで渡しているのだろうとか思うとここでもぐっときてしまう。所化姿はいつものように目尻に赤を入れていて可愛らしい小僧さんに見えた。金冠渡しの後もすぐに引っ込まずに、慈愛のこもった表情で後輩の所化たちを見ていたようだった。マイミクさんが「小山三!」と大向こうをかけるのもしっかり聞こえた。いいねぇ。

花子が能がかりで舞ってから引っ込んでいる間、「まい尽くし」を披露する所化は勘三郎の部屋子の鶴松。「歌舞伎座が建替えになっても忘れるまい」などとさよなら公演らしいくだりも入れ込んでいるし、リズム感よく立派に語りつくしたのもよし。

花子が着替えて出てきて「言わず語らぬわが心~」からはぐっとくだけて歌舞伎舞踊になる。寂しげな表情からは一転、気を変えて花街の女のいろいろな場面を踊っていく。
鞠歌を踊るところを見ていて気づく。これって禿のころのおきゃんで可愛い子ども時代を踊っているのかなぁと。そこから娘になって店に出される遊女になって、本気の恋をして、浮気な男心に苦労して......。その時、その時に生きている花子のイメージが広がるような踊りだった。
勘三郎はこんなに可愛く表情豊かに踊るんだとあらためて感心。「顔で芝居をするな」とも言うが、それは身体全体が芝居をしないで顔だけでするのを戒めているのであって、踊りも同じなのだと思う。身体の動きも実に多彩なしぐさを自然に滑らかにつくりだし、見ていて飽きることがない。

玉三郎の花子はずっと異界の者が人間の姿で現れている感じがあるのだが、勘三郎の花子は実に人間臭い感じがする。安珍に恋をした清姫は田舎大臣の娘だっただろうし、それが勝手に安珍に思いをかけてかなわず、妄執にこりかたまっていくのだから、高貴な感じはしなくてもいい気がする。鐘の中に隠れた男への恨みというよりも、思う相手が自分を全く無視していることを勝手に我が侭に拗ねているような表情がなんともいえなく可愛い。
本性を現して鐘に飛び込んだ花子に「あーあ、しょうがないなぁ。早く出ておいでよ」とでもいいたい感じの感情移入がある。

だから鐘が持ち上がって出てきた、茶色の髪がざんばらとしていて二本の角が生えた鬼女もなんだか可愛い。
後シテに変わる間に花道では鱗模様の四天たちが「とう尽くし」を披露。勘三郎が出ているマクドナルドやサッポロビールのネタや「自分にファイトウ」なども飛び出して、三階さんたちの見せ場もつくるという大舞台なんだなぁとあらためて思う。

團十郎の大館左馬五郎が「歌舞伎の花の押し戻し」として登場する。演舞場でも海老蔵が同じような扮装で荒獅子男之助で押し戻しをやっているが、團十郎のそれは存在感の大きさだけでなくふんわりとしたおおらかな感じがあるのが愛おしい。喉をガラガラ鳴らすようにして見得を切る、荒事のお決まりの発声も聞き苦しさを感じないのは現時点では團十郎と吉右衛門の二人だなぁと貴重さを痛感。
勘三郎の後シテが二段の赤い台の上に立ち、四天が蛇体のように連なる。團十郎の押し戻しと絵面に極まっての幕切れは実に贅沢だった。勘三郎の歌舞伎座での道成寺の舞いおさめ踊りおさめに立ち会えたことに感謝したい。  

夜の部はこの「京鹿子娘道成寺」(今回の絵看板)とその前の「車引」が双璧だ。
写真は千穐楽の幕のかかった歌舞伎座正面。
1/26千穐楽夜の部(1)雀右衛門不在の「春の寿」

10/01/26 歌舞伎座千穐楽夜の部(1)雀右衛門不在の「春の寿」

2010-01-28 00:10:55 | 観劇

2008年1月の「けいせい浜真砂」から本興行に姿を見せていなかった雀右衛門。「けいせい浜真砂」は「楼門」の女方向けのバージョン。滝夜叉姫のような拵えの傾城姿で出る亡くなった松緑が晩年に動けなくなっての舞台に「楼門」に石川五右衛門で出たというのを聞いていたので、雀右衛門がこの役で出るというのは、そういうことなんだなぁと思いながら観ていた。鷹が咥えてきた書状の天地を逆に持っての芝居に目もはっきりと見えていないのだろうと思うと見ていてつらかったが、ほんの10分くらいの演目だったが、存在感が素晴らしく、久吉でつきあった吉右衛門と上下に極まった様は実に絵になっていたのを思い出す。
歌舞伎座さよなら公演に初めて出るという「春の寿」。舞踊に出るのは2005年の「豊後道成寺」以来。「豊後道成寺」で踊りきった後、肩で息をしていた姿もせつなかったっけ。

初日から体調不良のために休演ということだったが、19日には出演されたということで千穐楽も大丈夫かと思っていたが、やはりその日だけで休演。その日は「歌舞伎ちゃんねる」の収録日だったらしい。
全く同じ生年月日という小山三も途中休演だったようで、千穐楽にお二人揃って元気な姿を舞台で観ることができるように祈っていたが、残念でならない(小山三は「金冠渡し」でしっかりお姿を見ることができた)。

【春の寿(はるのことぶき)】長唄舞踊
新作ということで、まさに雀右衛門のためにつくられた舞台だった。以下、概要と配役を公式サイトより。
「格調高い王朝風の舞台で、女帝(雀右衛門→休演で代役は魁春)、春の君(梅玉)、花の姫(福助)が雅な舞で、歌舞伎座の初春を寿ぎます。」

筋書にある長唄の歌詞から以下、引用。
「新玉の 春成駒と祝うたる 尽きぬ高砂金銀の 向かい雀の飛び交いて ご贔屓重ぬる京屋結び 目出度かりける年始め」
京屋、高砂屋、成駒屋と三人の屋号をしっかり入れ込んだものになっている。
衣裳も平安王朝風ではあるが、普通の扇を使っての舞いは違和感があった。そうか、檜扇にすると重たいし色の糸の束もついているので捌きが大変なためかもしれないと推測。3人とも普通の扇で揃えていた。後半になって後方の大ゼリで登場する女帝は本当にシンプルな動きだけの振付。さもあろう。
群舞で出てくる若者たちが衣冠束帯でなく、後世の衣裳のようで不自然に思えた。
せっかくの新作だったが、雀右衛門の不在で実に寂しい感じを強く感じてしまった。実に残念(T-T)

1/26千穐楽夜の部(1)勘三郎の「京鹿子娘道成寺」

10/01/27 今日もお豆腐料理「米永」のランチ!

2010-01-27 21:25:33 | つれづれなるままに

仕事に行っている日の私は、昼食は外食することにしているので、職場からJR四ツ谷駅を越えてしんみち通りまで足をのばすことが多い。
ひがしん(信用金庫)の向かいにある小泉豆腐店のある小泉ビルの地下にある「お豆腐料理米永」のランチに週一回は通っている。

日替わりランチ、レディースランチ(お刺身と煮物)がいずれも800円、生揚げランチが700円と絞り込まれているが、日替わりランチがいろいろなメニューになっていて楽しみなのだ。
今日は、お豆腐に鶏そぼろ煮がかかっていて菜の花と千本に切ったゆずがのっているのがメイン。菜っ葉と油揚げの煮浸しはわさび海苔が効いていて美味しかった。
さっそく、我が家の古い海苔もあぶってから煮込んでしまえばいいとアドバイスをいただいた。感謝m(_ _)m

何回もこのブログでも書いているはずなのに、ブログ内検索で出てくる記事が少ないのでもしやと思って「米長」で検索してみた。・・・・・・やっぱり!ごめんなさいm(_ _)m
以前、元の上司の定年の激励会で夜にお願いしたことがあるが、その時の記事はちゃんと「米永」になっていたが、店の名前を間違っている記事もけっこうある。後から修正を入れるようにはしたいが、手が回らなかったら申し訳ない。「米長」になっているということでご容赦いただき、両方でブログ内検索していただくようにお願いしますm(_ _)m

10/01/23 初春花形歌舞伎(3)海老蔵の「春興鏡獅子」

2010-01-26 12:01:12 | 観劇

「鏡獅子」といえば、まず勘三郎の舞台が思い出される。
昨年1月歌舞伎座千穐楽の「春興鏡獅子」の記事はこちら
さて、海老蔵の「鏡獅子」は初見。襲名披露公演の舞台では後半はよかったが前半はニューハーフの弥生だったという評判を聞いているが、さてどうだろうか?

【新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子】
今回の配役は以下の通り。
小姓弥生後に獅子の精=海老蔵
老女飛鳥井=右之助 局吉野=歌江
用人関口十太夫=市蔵 家老渋井五左衛門=家橘

老女飛鳥井と局吉野の二役は毎回楽しみだが、歌江がどちらかで必ず出ている舞台をみている。六世歌右衛門のお弟子である歌江丈の存在感が貴重なのだと思う。
小姓弥生がその二人に連れられて出てくるところにまずは注目。海老蔵の弥生、さらに身体を絞っているからか身体全体もほっそり。伏目にした細面の表情も身体の動きも可愛らしい弥生に見える。これはニューハーフ状態を脱皮したようだ(笑)

女方の踊りを丁寧に踊っているなぁという印象。これならばどこに出しても(海外公演も)恥ずかしくないと納得した。
胡蝶の二人は梨園の御曹司ではないので公式サイトの配役一覧には名前がない。
後シテの獅子での登場。海老蔵の本領発揮だ。勘三郎の獅子の顔は成熟した大人の獅子だが、海老蔵のそれはまさに若獅子のエネルギーがほとばしる。
獅子が牡丹花のもとでまどろむ時も一気に眠りに入るしぐさに若さを感じ、大きな目をパッと開いて目覚めるところにも海老蔵らしさを感じる。
髪洗いをしながら舞台を下手から上手に動くところも身体のバネの強さがよくわかる。毛振りの回数の多少はあまり重要ではないのだろうが、やはり数えてしまうのが習い性。53回くらいだったと思う。夜の部の「伊達の十役」に向けて余力を残しているのだろうと思える余裕を残した感じでの幕切れ。

前半と後半でメリハリがきいて、見ごたえがあった海老蔵の「鏡獅子」だった。
写真は演舞場ロビーにあった特別ポスターの後シテの獅子姿の海老蔵を携帯で撮影したもの。
1/23初春花形歌舞伎(1)「寿曽我対面」
1/23初春花形歌舞伎(2)「黒塚」    

10/01/23 初春花形歌舞伎(2)右近が継承の「黒塚」

2010-01-25 23:54:56 | 観劇

【猿翁十種の内 黒塚(くろづか)】
あらすじと今回の配役を公式サイトより引用。
「名僧阿闍梨祐慶は諸国行脚の途中、奥州の安達原にさしかかると、岩手という老女に一夜の宿を求めます。祐慶の言葉により長年の心のわだかまりが消えた岩手は、閨の内を見ることを堅く禁じて、夜寒を凌ぐために薪を取りに出掛けます。しかし高僧に従う太郎吾が約束を破り閨の内を見たことを知ると豹変。ついに安達原の鬼女の本性を現し...。」
老女岩手実は安達原鬼女=右近 阿闍梨祐慶=門之助
強力太郎吾=猿弥→休演で代役は寿猿
山伏大和坊=猿三郎 山伏讃岐坊=弘太郎

「黒塚」は初見。今月は夜の部の「伊達の十役」、昼の部でこの演目で猿之助の芸が継承される。市川宗家の弟子筋の澤潟屋の芸が本家返りもし、一門にも引き継がれということでこのような座組みが続いていくことに期待しているので、バランスよく継承演目が上演されていることが嬉しい。

右近は新作歌舞伎の「蓮絲恋慕曼荼羅」で主人公の初瀬を苛め抜く継母を好演していて、垂髪系の鬘も似合うことがわかっていた。写真は演舞場ロビーにあった特別ポスターの老女岩手の右近を携帯で撮影したもの。ポスター撮影の前に右近が師匠の「黒塚」の舞台写真を探しにきたと木挽堂書店のご主人からお聞きしていたのでこれがその成果かと納得。

能の「黒塚(安達原)」を踏まえているという本格的な舞踊劇。強力太郎吾が狂言師のような拵えなのも能の形式をしっかり踏まえているせいかと納得。
Wikipediaの「黒塚(能)」の項はこちら
第一場の安達原の一つ家に糸車を操る老女の影を映し出す装置から気に入った。一夜の宿を求めた祐慶阿闍梨にこれまでの妄執にとらわれてきた越し方を吐露、それでも仏は救ってくださるという阿闍梨の言葉に救われた岩手。客人たちに暖をとらせるための薪を拾いにでかけたのもその感謝の思いからだろう。

第二場のすすきの原に大きな三日月のかかる舞台装置も美しい。月光に照らされて映った自分の影とたわむれて童のように無邪気に踊る姿は、月の明るい面のように人の心の明るさを取り戻したことの象徴のようだ。右近の老女の踊りが実に愛らしい。

ところが太郎吾に閨の中の死体の山を見つけられてしまったことを知り、覗かれたくなかった闇を約束を破ってこじ開けた人間への怒りが爆発し、鬼婆へと姿も変えての第三場へ。
本格的な鬼女の姿にぶっかえって、阿闍梨と弟子たちに襲いかかるが数珠をもんで祈祷する3人についに力を奪われる。
奥の台で鬼婆は力つきたまま、舞台の手前に阿闍梨と弟子たちが極まってという、わりとリアルな幕切れだった。歌舞伎では主役の鬼が段付きの赤い台に登って絵面に極まっての幕切れが多いので逆に新鮮に思えた。

なかなか面白い作品だったし、右近も頑張っていたのを評価したい。お正月らしくない演目とも思えるが、まぁ前後をおめでたい演目で挟んでいるので明暗があって悪くないと思う。

1/23初春花形歌舞伎(1)「寿曽我対面」

10/01/23 初春花形歌舞伎(1)「寿曽我対面」

2010-01-25 22:44:23 | 観劇

新橋演舞場初春花形歌舞伎は昼夜通しで観劇。昼の部は玲小姐さんとご一緒し、夜の部は一人で観た。昼の部の最初の演目はお正月らしく曽我物。
曽我物の感想は以下にリンクあり。それ以降はアップできていない(^^ゞ
【寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)】
今回の配役は以下の通り。
曽我五郎=獅童 曽我十郎=笑也
小林朝比奈=猿弥→休演で代役は猿四郎
鬼王新左衛門=寿猿
化粧坂少将=春猿 大磯の虎=笑三郎
工藤祐経=右近

上記の記事の「當年祝春駒」の時の曽我五郎も獅童だったが、今回は普通の裃をつけた衣裳で五郎十郎と並んだ。写真は演舞場ロビーにあった特別ポスターの曽我五郎の獅童を携帯で撮影したもの。この衣裳だともう少し線が太くなるともっと似合うのにと思った。
記事アップしていないが、昨年1月のさよなら公演の幕開けの「寿曽我対面」では吉右衛門が五郎の甲の声(高く張った声)を精一杯に張って見せてくれたっけなぁと思い出しながら観ていた。あの年で若々しい五郎を見せるのはまさに芸の力だったが、きっと後進にしっかり見せておこうということだろうし、最後の五郎だろうから胸にしっかり刻んで観た。獅童もきっと同じ萬屋系の大先輩の吉右衛門の五郎をしっかりなぞっているのだろう、とか思いながら獅童の五郎に見入っていた。

座頭格の工藤祐経に右近が初役でつとめていたが、なかなか立派だった。以下、澤潟屋の一門が揃った「寿曽我対面」。猿弥の休演を知らなかったのでアレアレ朝比奈は猿弥じゃないんだと驚いた。猿四郎も頑張っていたが、猿弥の朝比奈を観たかったな。早く元気な姿を見せて欲しいものだ。

昼の部用にJR上野駅で買ったおにぎりに話題性のあるものがあったので迷わずGET。京浜東北線の車両209系の記念おにぎりだ。それを「黒塚」までの幕間にパクついた(^^ゞ

10/01/03 菊五郎劇団の底力!国立劇場「旭輝黄金鯱」

2010-01-24 17:30:02 | 観劇

1/3の国立劇場初春歌舞伎初日公演に行ったという簡単な報告の記事はこちら
【通し狂言 旭輝黄金鯱(あさひにかがやくきんのしゃちほこ)】
尾上菊五郎大凧宙乗りにて黄金の鯱盗り相勤め申し候
並木五瓶=作「けいせい黄金鱐(こがねのしゃちほこ)」より
尾上菊五郎=監修 国立劇場文芸課=補綴
国立劇場美術係=美術
序 幕(京)宇治茶園茶摘みの場、宇治街道の場
二幕目(尾張)那古野城内大書院の場、同 天守閣屋根上の場
三幕目(美濃)笠縫里柿木金助隠家の場
大 詰(伊勢)御師大黒戎太夫内の場
   (尾張)木曽川の場、鳴海潟の場
東京新聞の記事が詳しいので、以下、概要とあらすじを引用、加筆。
「江戸時代の名古屋の盗賊で、処刑後に名古屋城天守閣の金の鯱のうろこ三枚を盗んだという伝説が生まれた金助が主人公。1783年に初演されたが、明治末期以降は上演が途絶えていた。当時はお上をはばかって鯱盗りの場はなく、本水も使っていなかったが、今回はこうしたスペクタクルをふんだんに取り入れ、四幕八場、約三時間に縮めてスピードアップを図った。・・・・・・菊五郎による同劇場の復活狂言は2002年から本格化し、今年で八作目。」
「時は室町末期。尾張那古野城主の小田家と足利将軍家に父を滅ぼされた金助は、小田のお家騒動を利用して天下を狙う。立ちはだかる別の盗賊・向坂甚内は、実は当主・小田春長で金助とは乳兄弟だった。天守閣で盗んだ金鯱の口から忍びの伝書を手に入れた金助、妖術でこの金鯱を木曽川で大暴れさせるが、小田の忠臣・鳴海春吉に格闘の末取り押さえられる…。」

<今回の配役>
菊五郎=盗賊柿木金助
時蔵=足利家乳人園生/金助母村路
菊之助=小田春長実は小田家家臣鳴海春吉
松緑=盗賊向坂甚内実は小田春長
松也=小田春勝 梅枝=足利国姫 
亀三郎、亀寿、萬太郎、男寅、尾上右近
亀蔵、権十郎、萬次郎、團蔵
彦三郎、田之助、ほか

序幕の宇治茶園茶摘みの場は小田春長の弟春勝と足利家の国姫との色模様になる場面なのだが、松也・梅枝コンビが実に若々しくて美しい。特に梅枝の華奢で初々しく美しい赤姫ぶりの押し出しがよくなってきていたことに驚いた。昨年7月の国立劇場の歌舞伎鑑賞教室で藤娘を一ヶ月間踊りぬいたことで大きく成長したのではないだろうか。時蔵が今回は若い女の役をしなかったこともあり、これからは赤姫は梅枝に世代交代を図ってきたかと思えた。梅枝の女方の印象は七之助と同様に玉三郎系の細面の美しさ。これから期待の若女方として注目していこう。

松緑の盗賊向坂甚内も主役の菊五郎の盗賊柿木金助に位負けしないで並び立って堂々としていてよい。小田春長になってからも天下人になる大きさが出ていた。「時今桔梗旗揚」の小田春長も松緑で観てみたいと思った。

二幕目に菊五郎が一昨年の染五郎と同じように大凧の宙乗りを見せるという前評判に期待していたが、3階下手の鳥屋から舞台上手の名古屋城天守閣の屋根に降りてきた。凧自体が1階客席の上で上下したり方向を変えたりという仕掛けだったが、凧に身体をしっかり縛りつけて両手も左右の綱を握り締めて安全第一、菊五郎の年齢もあるし、まぁこんなものかと思っていた。しかしながらそれでは終らなかった。
天守閣の屋根にある金の鯱に隠された忍びの伝書を盗むのだが、そこからさらに天井へとフライングがあり、そこは予想外のサプライズとなって満足!国立劇場の菊五郎の芝居の時はいつも感心する仕掛けがあるが、今回も天守閣の屋根の大仕掛けとともに大道具の工夫に感心。

三幕目の柿木金助隠家の場。金助に頼まれた母村路が国姫を誘拐して隠していたのだが、向坂甚内が乗り込んできたために愁嘆場になる。村路の夫が死んだ後、暮らしのために敵の小田家の若様と知らずに向坂甚内の乳母に出ていたことがわかり、息子の金助とは乳兄弟だったのだ。二人の対峙の間にたった村路は自害して果てる。やはりこういう因縁話が歌舞伎狂言の味付けには欠かせないようだ。

大詰めの冒頭はぐっと気分を変えるチャリ場。菊五郎劇団の喜劇の面白さの炸裂。小田家の悪臣でいつもは團蔵の役どころと思われる役を今回は亀蔵がやっていて、團蔵は?と思っていたらこの場の伊勢の御師大黒戎太夫で登場。金助が策謀の金策のためにここに姿を変えて潜入して金儲けをしているという場面だ。
ここで前評判に高かった2007年の「俳優祭」の北千住観音のパフォーマンスが再現。「金鯱観世音」をでっち上げて信者からお布施を巻き上げている。北千住観音はどぎつくケバケバしいほどのメイクや衣裳だったが、今回は金助がゲジゲジ眉毛を八の字型につけた情けない顔に変装していて、その顔は変えずに観音になるために金キラの衣裳だけを簡単に身につけての登場。千手観音の後ろの手を出す黒衣たちはさすがに今回も息が合っていて客席を盛り上げていた下座音楽はEXILEのチューチュートレインらしい。
チャリ場の盛り上げに團蔵の軽妙な芝居も必須。筋書によるとこの演目監修の菊五郎のサポートをしっかりしていたようで納得である。それとここで男寅が下女の役で出ていたが、裏返るような声がチャリ場にぴったりだったけれど声変わり最中なのだろう。けっこうナイスキャスティングだ。ここでの時局ネタは「招き猫ダック」(笑)

もうひとつの話題、菊之助の本水の「黄金の鯱つかみ」の立ち回り。金助が妖術を使って川で暴れさせ洪水を起こしているのを鳴海春吉が格闘して鯱を取り押さえるという場面。歌舞伎の定番「鯉つかみ」はまだ観たことがないのだが、海老蔵が「石川五右衛門」で金の鯱と格闘したのは観たことがある。その時に浪布を使った川の大道具の中で水衣と息を合わせて作り物の竜がいかにも暴れていてそれと格闘しているかのように見せる芸の面白さがわかった。今回はそれに本水装置が加わるわけで、菊之助の奮闘を期待していた。
赤い下帯をしめて身体中を白塗りにした菊之助の身体は胸板も薄く、その痩身は少年のようだった。可愛いお尻も前から9列目で見せてもらって「カワイイ~」とおばさんは満足したのであった。今回、菊之助の美しい女方の役はなかったが、まぁそういう役は梅枝に譲って、この本水の立ち回りで十分としておこう。

田之助が小田家後室操の前で元気に姿を見せてくれていたが、筋書によると昨年両膝に人工関節を入れたとのこと。座る芝居はできないが、舞台にいてくれるだけで有難い存在だ。

初めてのお正月歌舞伎の初日公演初体験で、文句なく明るく楽しいエンタメ作品を堪能。できれば毎年恒例にしたいものだが、親兄弟の集まりの予定がぎりぎりまで決まらない関係で、チケットを早くから押さえられない。今年は実にラッキーだった。

写真は公式サイトより今回公演のチラシ画像。