ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

09/02/25 歌舞伎座千穐楽夜の部②いぶし銀のどっしりとした「勧進帳」

2009-02-28 23:59:05 | 観劇

吉右衛門の弁慶を観たのは2005年の歌舞伎座公演だったが、実はあまり見応えがなくてがっかり。声が口の中にこもって何を言っているのか聞き取りにくく、兄の幸四郎と同じDNAがやはりあるのかなぁと思ってしまったくらいだ。その時期の吉右衛門は体調がよくなかったという話も聞いた。
さて今回はリベンジになって欲しいと観たら・・・・・・。
昨年4月の仁左衛門・勘三郎・玉三郎の「勧進帳」
初めて勧進帳の面白さがわかった2007年の團菊の舞台の記事はこちら

【歌舞伎十八番の内 勧進帳】
今回の主な配役は以下の通り。
武蔵坊弁慶=吉右衛門 源義経=梅玉
亀井六郎=染五郎 片岡八郎=松緑
駿河次郎=菊之助 常陸坊海尊=段四郎
富樫左衛門=菊五郎 太刀持ち=梅丸
番卒=吉三郎、吉五郎、辰緑
          
今回は3階10列目からで花道はほとんど見えない。義経一行が関にさしかかる前の意思統一のやりとりは聞きとるだけになるのだがここから実に堪能できた。染五郎・松緑・菊之助に血気にはやる若者たちの勢いがあり、段四郎の常陸坊が弁慶と両端をはさんで抑えているバランスのよさを感じた。
またこの間参照させていただいている詞章のサイトの四天王には伊勢三郎がいて駿河次郎がいないので配役による違い等もあるのだろうと思いつつ観た。
富樫たちと対峙して舞台に義経一行が並ぶと若手3人の花とベテランたちの存在感のいずれもが楽しめる。ノットのあたりからこんなに楽しめたのは初めてだ。

勧進帳が本物かと覗き込む富樫と弁慶の気迫のぶつかりあいが凄かった。天地人の見得も両者極まった!菊五郎が火花を散らす舞台は仁左衛門・吉右衛門との組合せかもしれないとあらためて思う。

吉右衛門の弁慶の台詞回しが素晴らしい。4年前とは別人のようだ。勧進帳の読み上げも緩急をつけてしっかり聞かせてくれる。続く菊五郎富樫との問答もテンポよくたたみ込む。
 
合力姿の義経を呼び止められての打擲も迷いがない。通る通さぬの詰め寄りになるあたりで吉右衛門の中啓が懐から落ちるハプニング。踏まないように吉右衛門自身が富樫からはずすように蹴り、次に番卒のひとりが長唄の台の方に蹴り込む。菊五郎側の後見が上手から拾って下手の吉右衛門の後見へとリレー。ハラハラしたが緊張の場面の中でも素晴らしい連携だった。
金剛杖で四天王を止める吉右衛門弁慶は口を大きく開けての渾身の踏ん張りの表情は阿形の金剛力士像を思い起こした。吉右衛門はタッパも体格もあるのでこの姿の迫力たっぷり!

疑われるような役立たずならこの場で打ち殺そうという弁慶の迫力に、ふっと自らの覚悟を固める菊五郎がうまい。番卒を引き連れてて泣き上げての引っ込みの形も綺麗だった。
義経が弁慶の機転を褒めて弁慶恐縮の涙の場面、これまでの流転を嘆きあう場面はやはり正面席の方がしっかり見えていい。

富樫が面目を詫びるために酒をすすめにやってくるのは、弁慶に敬意を表すためもあるだろうし、自分も命を捨てる覚悟をさせた人物とこの世での別れの酒を酌み交わしたいという思いもあったのだろうとか思いながら観る。
かずら桶の蓋で大杯を飲み干す吉右衛門弁慶。細目を開けながら黒目をきかせるあの独特の愛嬌の表情がまたいい。
染五郎・松緑・菊之助の3人も同じ板の上でしっかりベテランの舞台を目に焼き付けているような真剣な目が印象的。次の時代をしっかり背負っていってくれるだろう。

延年の舞でどこで早く行けのしぐさをするのかというのもチェック。長唄の「とくとく立てや」というくだりがあるのかと納得。
舞台に残って一行を見送る菊五郎富樫もいいし、花道で富樫に感謝する吉右衛門弁慶もいい。男と男の一期一会のドラマだなぁとあらためて思う。
これからの道の多難さに気を引き締めての弁慶の引っ込み。かろうじて顔だけ見える。姿が見えなくてもツケの響く劇場でイメージができるというのが歌舞伎のいいところだ。

昨年4月の仁左衛門・勘三郎・玉三郎の「勧進帳」は黄金三角のイメージと書いたが、今回の吉右衛門・菊五郎・梅玉のそれはいぶし銀の重量感のあるどっしりとしたイメージが湧いた。いずれも甲乙つけがたい。

写真は千穐楽夜の部の定式幕。歌舞伎座が建替えになったら、このいい具合で古びて時代を感じさせる色合いの定式幕も引退になってしまうのかと思うと寂しい気がする。
2/15昼の部①「京鹿子娘二人道成寺」
2/25千穐楽夜の部①面白かった「三人吉三」
2/25千穐楽夜の部③初見の「蘭平物狂」

09/02/27 牡丹雪→白→烏賊納豆丼+娘が煮物づくりにはまる

2009-02-27 23:56:40 | つれづれなるままに

朝から雨だったのが、職場に着いた頃には雪になった。そうなるとランチで遠出するのはおっくうなので隣のビルの最上階ラウンジの丼定食に決めた。上智大のキャンパスも見える最上階の窓からは大きな牡丹雪の舞う眺めが見事だった。

2月の月替わり丼は「烏賊納豆丼」。1フロア上の職場の女性の先輩に美味しいという話を昨年聞いていて、今年こそは食べてみようと2月に入ってすぐに食べてみたらこれが美味しかった。写真のように烏賊そうめんと納豆と細切り海苔と白菜キムチがきれいに盛り付けられている。キムチ納豆が大好きなので実にうまかった。実は今日で3回目だ。
2回目の日には食べ終わる頃に偶然その先輩が向こうの席にいるのを見つけた。昨年はキムチが入っていなかったという。私はキムチがなければここまでリピートしなかっただろう。
これにデミタスコーヒーをセルフサービスで飲むことができて750円はリーズナブルだ。

妹1が実家に今月半ばに来た時に料理の手伝いをした娘はなにやら煮物をつくりたいという気になっている。とにかく買い物に一緒に連れ出すように仕向けるだけでもひと仕事。先週は蕪の安いのがあったので「おばちゃんがつくった鶏挽肉を使ったあんかけにする」と言い出したが、調味料を入れる順番がわからなくなったという。おばちゃんを電話でつかまえてメモをとり、それを見ながら小一時間は台所を占領してつくってくれた。時間がなくなり残り物を合わせて食べるはめになったが嬉しかった。熱いうちに食べたらあんが熱くて上顎をヤケドしてしまったのは私の方だ(^^ゞ

次にすき焼き用の牛肉が安かったので肉じゃがをリクエストしたら作ってくれた。パウンドケーキを焼く時もそうだが、ネットのレシピ検索を活用していろいろな作り方の中からできそうな方法でトライというわけだ。白滝がないけどまぁいいかと肉とじゃがいも・にんじん・玉葱を炒めて煮てくれた。これも美味しい。

昨晩は夜のうちにおでんをつくるから一緒につくらないかと声をかけたらのってきた。蒟蒻のアク抜きや揚げ物の油を落す湯通しもやってみたし、大根のかつら剥きが途中で切れるといいながら頑張った。おでんセットについている濃縮だしを使えばとりあえず簡単にできるとわかったようだ。煮物なら気軽にできそうという会話になり、コンソメを使えば洋風の煮物もできるねと盛り上がっていた。

今晩の夕食は電話をする前に御飯は炊いていたというし、味のしみたおでんを温め、野菜炒めも加えて食べた。こうして食事の用意に娘が力を発揮してくれるようになると本当に私は助かるなぁ。

09/02/25 歌舞伎座千穐楽夜の部①面白かった「三人吉三」

2009-02-25 23:59:58 | 観劇

「勧進帳」があまりにもよくて満足感にひたりきって思わずコートもはおって帰ろうとしてハッと気がついた。あともう一つあったんだ!苦笑して幕間にまたおにぎり一個を食べ、エコノミー症候群にならないように3階から1階まで散策する(^^ゞ

【三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ) 大川端庚申塚の場】
今回の主な配役は以下の通り。
お嬢吉三=玉三郎 お坊吉三=染五郎
和尚吉三=松緑 夜鷹おとせ=新悟
玉三郎初役のお嬢吉三で話題になった公演の時は歌舞伎をあまり観ていなかった。休日に歌舞伎座前の人波がすごくてそういえばと感心しながら通りすぎた。
さて、今回は大川端庚申塚の場のみ。
2007年11月歌舞伎座で観たこの演目の記事はこちら

新悟の夜鷹のおとせは長身だが玉三郎と並ぶと違和感もなく、また実に儚げでいい。
玉三郎のお嬢吉三はおとせの胸元の百両の入った財布を奪ってから本性を現した男声が存外によかった。低い声でぞんざいなしゃべり方で不良少年っぽさを出しているのだろう。所作も思いっきり育ちが悪そう(笑)従来の玉三郎のイメージから思いっきりはずれた面白さを感じてしまった。
大川の杭に足をかけて(女はこういう格好をしないということね!)「月は朧に白魚の~」からの七五調の名台詞も詠わない。現代調に近いこういうしゃべり方は歌舞伎らしくないのか?でもいいんじゃないの!玉三郎のニンではないのかもしれないし、玉三郎でお嬢吉三を観たいということをメインにすればこれもあり!だ。可愛い不良少年でキュート。

前回まだまだと思った染五郎のお坊吉三も今回はいい感じ。このコンビならば後になって男色関係になるというのも現代のボーイズラブっぽい感じで隠微さを感じない。そういえば愛之助と共演した「染模様恩愛御書」と同様のBL路線?

松緑の和尚吉三は、余裕のなさそうだった前回に比べて台詞・しぐさともは堂々としたもの。七五調もきかせてくれる。タッパはないが、この場面は喧嘩の留め男になってお嬢とお坊を下に従えて極まるので、松緑の立派な顔が実に映えて義兄弟の兄貴にしっかり見える。

たった26分の一幕だが面白いものを観ることができた。そして通し上演が観たくなった。歌舞伎座さよなら公演でやってくれるかどうかはわからないけれど。

写真は歌舞伎座前の絵看板のお嬢吉三を携帯でアップで撮影。今回の玉三郎の衣裳のデザインの松竹梅を反映している(衣裳の松は絵のように松葉ではなく枝部分を図案化したもの)。しかし毎回描きおろしというのはすごいと思う。絵師の鳥居さんの後継者がいないというのが気がかり。たまに浅草歌舞伎で描いている人が助っ人して1枚描いたりしているがずいぶんと画風が違う。歌舞伎座さよならで引退なんてそういうことはないか気がかりだ。

2/15歌舞伎座昼の部①「京鹿子娘二人道成寺」

09/02/22 中村又五郎さんの思い出

2009-02-22 23:59:18 | 観劇
2/21(土)の朝、歌舞伎界の最長老の中村又五郎さんが老衰のために亡くなったと報道された。
最後の歌舞伎座登場となった歌舞伎座さよなら公演初日前の「手打ち式」のオンエアは見逃してしまったのが悔やまれる。

私の歌舞伎デビューは高校時代に玲小姐さんが誘ってくれた国立劇場の歌舞伎鑑賞教室。今から思うとすごい演目が並んでいた。当時染五郎の「俊寛」、「白浪五人男」の稲瀬川勢揃いには当時の菊之助の弁天、辰之助の南郷、染五郎の日本駄右衛門が並んでいたと思う。
そして舞踊は又五郎さんの「羽根の禿」だった。のれんをかきわけて出てきた禿が小柄で可愛かった。あまりに印象深くて、その次の正月の年賀状にはその場面を版画で彫って印刷したくらいだ(中学では一応、美術部だったのでその勢いがあった頃の話)。

その次に遭遇したのが勘三郎襲名前の最後の勘九郎としての舞台「今昔桃太郎」。小山三さんの雉と又五郎さんの犬が年取っても長生きしていて中年になった桃太郎が鬼退治に出立していくのを見送っていたっけ。
その後も、六世歌右衛門五年祭の口上2007年の「俳優祭」で勘三郎に手を引かれて出てきてご挨拶してくれるあの笑顔が素敵だった。

脇役で人間国宝までになられ、長年、国立劇場の養成所で若い人たちの指導を熱心にされたのだという。今、その薫陶を受けた養成所出身の役者が活躍している。歌舞伎界に残した大きな功績だ。
又五郎さんの思い出を大事にしていくつもりだ。ご冥福をお祈りしたい。

09/02/21 自宅PCメール送信機能復活!

2009-02-21 23:59:14 | つれづれなるままに

2/8にメビウスの調子が悪いという記事を書いた。
2GBのメモリースティックに「ファイルと設定の転送ウィザード」を使い、設定部分をバックアップしたので様子見状態を続けていた。

アレアレ??ブロードバンドカスタマーセンターなるところから「重要!メール送信できない場合の設定変更方法」なるメールが何回も来ているぞ!とようやく気がついたのが1週間ほど前。プロバイダからの連絡がきていて2/2までに作業しないといけなかったらしい。その後もやはり私と同様の人がいるらしく、「重要」と頭についたメールを一斉送信しているようだ。
それを途中まで開けたところでお客様番号とかパスワードが必要でそれを探すのが面倒でまたまた放置(^^ゞ

ようやく契約書を見つけ出してとりかかり、本日設定変更したらスイスイとメールができるようになった。
ウィルス対策で認証機能をつける設定への変更という内容だったと思うが、自分のプロバイダからの連絡にけっこう長い間気づかないとはずいぶんとボンヤリだと自分でもあきれた。マンションの一括契約のプロバイダで毎月1000円を管理料の中に入れられて徴収されている。それ以上の有料サービスを利用していないせいかメールがきても有料サービスに関する内容が多いので、自然と自分には関係ないところだというイメージができてしまっていたらしい。
頭はもう少しいつも柔軟にしないといけないと自戒した。

09/02/19 忘れた頃に(^^ゞ今月の観劇予定

2009-02-19 23:59:52 | 観劇

あと10日くらいしか残ってないし、今更ではあるが、今月の観劇予定を一応アップしておこう。
1(日)さいたま芸術劇場:「冬物語」(蜷川シェイクスピア)
7(土)シアターコクーン:「パイパー」(速報簡単感想)
11(水)MOVIXさいたま:「マンマ・ミーア!」
15(日)歌舞伎座昼の部 「二人道成寺」だけアップ(^^ゞ
19(木)国立小劇場:文楽三部「女殺油地獄」初見!!
22(日)国立小劇場:文楽一・二部
25(水)歌舞伎座千穐楽・夜の部
28(土)あうるすぽっと:「ワーニャおじさん」→まだチケットをとっていないが、是非観たいと思っている。体調等と相談しながら検討中。

皆様、どうぞよろしくお願い申し上げますm(_ _)m


09/01/27 歌舞伎座千穐楽夜の部②「鰯賣戀曳網」

2009-02-18 23:58:12 | 観劇

玉三郎つながりでこちらも書いておこう。初見はこちらも勘三郎の襲名披露公演だった「鰯賣戀曳網」
歌舞伎座さよなら公演のスタートの初春歌舞伎はなんだか幹部俳優たちがあまり準備しないでも演じられる品目が並んだ感があったが、まぁお正月だし、こういう明るい演目での打ち出しは悪くない。

【鰯賣戀曳網】作・三島由紀夫
今回の配役は以下の通り。
猿源氏=勘三郎 父・海老名なあみだぶつ=彌十郎
博労六郎左衛門=染五郎 亭主=東蔵
庭男実は藪熊次郎太=亀蔵
傾城蛍火実は丹鶴城の姫=玉三郎

勘三郎の鰯売りの猿源氏は愛嬌にあふれ、鰯が腐りそうな「鰯こえ~(=買うえい)」の売り声をふらつかせながら恋患いの病鉢巻姿で登場した時から観る者を引きつけてやまない。猿源氏の友達という博労の六郎左衛門を染五郎というのがまた予想以上によかった。劇団☆新感線のドタバタ場面で三枚目の芸も鍛えたのではないかという気がしている。
襲名公演で六郎左衛門だったが彌十郎が海老名なあみだぶつに回ったが大柄な体型も生きていい父親ぶり。鰯売りからこんなにお大尽になるものだろうかというツッコミどころは置いておく(笑)
蛍火には世間知らずで城を飛び出したというイメージを抱いてしまっていたが、今回はまたずいぶん違った印象をもった。鰯売りの売り声の魅力に引かれて城を飛び出すというのは声フェチの極みのようなお姫様だ。道に迷って人買いに買われて遊女にされても、声に惚れ込んだ鰯売りとのめぐり合いを信じて生きているというのは実は生きる力の強い女なのではないか。寝言に確信を持って猿源氏こそ惚れた男と問い質して否定された時の落胆。恋のために生きてきたのにその甲斐もなかったと命を絶とうとする姫に圧倒されて、猿源氏は卑しい身分をさらけ出す。
惚れた声の男と一緒になるために城主の娘という身分も投げ出し、鰯売りの夫婦になるという押しかけ女房ぶり。なんという情熱の女だろう。
亀蔵の藪熊次郎太が城に連れ戻そうとするのを毅然として断るカッコよさ。美しいだけでなく毅然とした姫の魅力を燦然と輝かせる玉三郎。実に実に惚れ惚れしてしまう。勘三郎・玉三郎コンビの「鰯賣戀曳網」はまだまだ続けていってくれるだろう。それをしっかり継承するのはどういうコンビだろうとかも考えるのは楽しい。勘太郎・七之助兄弟というのもいいかもしれないな。

さて、三島由紀夫の戯曲を3本観てきて共通性を感じたことをちょっと書いておこう。
「鹿鳴館」 「サド侯爵夫人」
「鹿鳴館」の朝子、「サド侯爵夫人」のルネ、「鰯賣~」の蛍火も実に毅然とした女である。愛する男のために実に一生懸命生きている。それに比べるとその男の方はけっこう愚かだったりもろかったりする。猿源氏は愚かしさが愛嬌だったりもするのだが(笑)とにかく女の描き方に特徴があることに気づいた次第。「サド侯爵夫人」のプログラムにあった『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』を読んでみないといけないなぁという気になってきた。

写真は歌舞伎座の脇廊下に飾ってあった繭玉のつくりものを携帯で撮影。赤い提灯をバックにピンクと白の玉と短冊が綺麗。
1/3歌舞伎座初日昼の部①玉三郎の「鷺娘」
1/27歌舞伎座千穐楽夜の部①「鏡獅子」勘三郎100回の毛振り、予測的中!

09/02/15 歌舞伎座昼の部①「京鹿子娘二人道成寺」玉三郎は封印かも・・・

2009-02-16 23:34:50 | 観劇

二月歌舞伎座昼の部の2つ目の演目だが、まずはこちらから書くことにする。
玉三郎と菊之助の「京鹿子娘二人道成寺」は4演目ということだが、私が観るのは2回目。
前回2006年2月の「京鹿子娘二人道成寺」の記事はこちら
シネマ歌舞伎版の記事はこちら
玉三郎の1月の「鷺娘」も惚れ惚れと観た。その後、公式サイトの「今月のコメント」(2月)で本公演ではもう踊らないと言及した玉三郎。
>娘物の舞踊として私の年齢と肉体を考えましても今回の公演で線を引かせて頂くことに致しました。
「京鹿子娘二人道成寺」も今回で封印するだろうと推測。最後の玉三郎・菊之助コンビを目に焼き付けておこうと心して鑑賞した。毎回持参している詞章のコピーにもしっかり目を通して臨んだ。

【京鹿子娘二人道成寺(きょうかのこむすめににんどうじょうじ)】道行より鐘入りまで
白拍子花子=玉三郎、菊之助
前回の菊之助花子について唯一の不満は顔の拵えが下手だったこと。「菊之助ってなんで舞台写真写りがよくないの?」という記事を一本書いてしまったくらいだ。玉三郎の極めつきのメイクと比べて、極端に言うと間が抜けている感があったのだ。
観る前の幕間に1階のロビーに舞台写真を観に行って嬉しくなった。菊之助の顔のメイクが遥かによくなっている!やはり目尻の赤の入れ方がよくなっていて、実に美しい。その段階で2枚も買ってきてしまった。
だから花道から登場しての最初の注目はそこだった。今回は3階の10列目なので花道での踊りはあまりよく見えないが、顔はちゃんと見える。
う、美しい~。前回からの3年間でつけたであろう自信にも裏打ちされた実に堂々と美しい白拍子花子であった。

スッポンから玉三郎花子が登場したり引っ込んだりしながら「二人道成寺」の道行が進行していく。
團蔵を筆頭にした所化たち。菊之助花子ひとりで所化との問答。よく響き渡る菊之助の美しい声で畳み込まれると問答も花子の圧勝モード(笑)
烏帽子を渡されて引っ込んで紅白の幕が取り払われると二人の花子が赤い衣裳で縦に並んでいて踊り始める。「道成の卿うけたまはり~道成寺とは名付けたり」の謡いはなし。
今回の二人は前回と違っていて玉三郎が自由に踊って菊之助が合わせにいっているような印象をもった。これもありだなぁと思いながら観ていたら・・・・・・。ところが異変が起こる。

烏帽子をとって紅白の鐘の引き綱にかけるため玉三郎が菊之助より下手側に大きく移動するところで、玉三郎の動きがおかしい。なんとなくだんどりめいていて余裕がない動き方でようやく引き綱のところに間に合う。オヤ、と思っていると烏帽子の結び紐をはねあげるところでも余裕がなく、大丈夫かと思ったらやはり十分にひっかからずに烏帽子が落ちてしまった。もちろん後見がちゃんと拾ったからいいのだが、異変はそれだけに終らず。
衣裳を引き抜いてから鞠つきをしながらかがんで回るところ、菊之助は大きく移動していって玉三郎は小さな移動という対照を見せるのだが、なんと、玉三郎が右手を後方についてしまった!不安定なのだ。
昨年のNHKのプロフェッショナルで、いつまで踊れるのかという不安を抱えていることをさらけ出していた玉三郎。こういう日がやっぱりやってきてしまったのかと思いながら観てしまった後半。

「光と影」「陰と陽」「時には姉妹のように、時には恋人どうしのように踊る」ということが語られた玉三郎・菊之助コンビの二人道成寺だが、私には今回の舞台がだんだん以下のようなイメージを描きながらの鑑賞となった。
スッポンから現れた玉花子が本物で、最初から登場して実像のように見える菊花子は玉花子の描き出した幻というイメージ。それも幻の方がハッキリ見え、本物の方が抑え気味に見えるという二重性。
その幻は同じように動いたり、ワンテンポずれて動いたり、対照に動いたり、多様なゆらぎを見せる。そしてある時は愛する男の姿に菊花子が見えてしまう。「手拭のクドキ」のところで玉花子が菊花子の袖を自分の袖でからめとって引っ張ってくるという所作もそう考えると自然に思えた。
そう、最初から白拍子花子は異界の者なのだ。だからスッポンから出てくる玉花子を中心に捉えると菊花子の動きとか二人の動きの関係とかがスッキリと捉えられる気がした。

この花子は、伝説によると本当に男に騙されたのではなく、親にあの男が許婚だと思い込まされて「恋に恋しての妄執」に蛇になってしまった娘だという。だからこそ不安定さをともないつつ、若い娘のエネルギーをほとばしらせる。その不安定な部分を玉花子が、若いエネルギーの部分を菊花子が表現しているというイメージだった。
最後に鐘に登って蛇体の本性をあらわす二人の花子。今回は菊花子もしっかり凄味をきかせて立派に極まった。

前回は玉三郎が菊之助を気遣う感じがあったが、今回はあまりなかった。この3年間で菊之助は成長し、玉三郎の体力的な衰えは否定できない。菊之助が自信を持ってつとめていることで玉三郎を十分に支えているように思えた。
前回の舞台とはまた違って、玉三郎の「異界の者」の魅力を描く舞台の中に連なる二人道成寺の舞台になっていたように思う。
玉三郎は今回で「二人道成寺」を封印するかもという思いを持ちながら観たので、上記のようなイメージが湧いてしまったのかもしれない。こういうターニングポイントに居合わせてしまったかもという寂寥感と、観ることができてよかったという気持ちが合い半ばの状態。「せつない」ような「有難い」ような気持ちでたゆたっている私である。
写真は公式サイトより今公演のチラシ画像。
(追記)
1/3の歌舞伎座初日昼の部で観た「鷺娘」の感想も遅ればせながらアップしたことをご報告m(_ _)m

09/02/14 駐輪場めっけ!+初めてレイクタウンに行ってきた

2009-02-14 23:58:48 | つれづれなるままに

与野のエリアに引っ越してきたものの、駅前に駐輪場が見つけられずに撤去されないように移動しつついろいろな場所に勝手に駐輪してきていた。
最近の駐輪は学習塾のあるビルの横だったがどうもビルオーナーに目をつけられてしまっていて、何台かはじかれる中の一台になっていた。あきらかに画鋲でパンクさせられたこともあった。そして2/12の夜は空気を入れるところの金具を抜かれて空気を抜かれてしまっていた。いくら私が悪いとはいえ、これでもかという敵意をつきつけられているようでまたまたへこむ。
気を取り直して近くのサイクルショップが店じまいしてある前に止め、看板で電話番号をチェックして歩いて帰宅。
翌朝、電話を入れて修理を依頼して歩いて向かった。歩いているうちに「そうだ、駅から5分くらいのところに駐輪場があると聞いたことがあったな」とついでだから大回りして探してみようと思いつく。歩いて10分強のところを歩けずに自転車に乗っているので5分も離れているのでは馬鹿らしいと今までは除外していたのだ。本当はそんなに遠くないのかもという勝手な希望を抱いてグルっと回って行ったところ・・・・・・「えっ?こんなところに??」というところに見つかった。このエリアの撤去の曜日に用心のためにとめているスーパーから駅への距離と同じようなものだ。

「市営臨時自転車駐車場」と書いた小さな看板が目立たない位置にあった。入り口の間口がえらく狭くて奥まったところに3階建てのあまり大きくない建物があった。この道は自転車で通ったことがあるけれど、自転車のスピードだと目に入らなかったのだ!ここに空きがあれば契約してしまおうと即決断!!

自転車を修理してもらってすぐに駐輪場へ向かい、胸元にシルバー人材センターと書かれた制服をきた男性に聞くと空きはあるとのこと。すぐに手続きをする。一ヶ月1890円なら高くない。一時預かりも150円なので早速娘にも使わせることにする。

そのスタッフさんに聞いたところ、区画整理で入り口が狭くなって目立たなくなってしまったとのことだった。空きはけっこうなものだった。東京都内の公営の駐輪場は抽選だということを聞いているが、このさいたま市の施設は宣伝が足りなさ過ぎる。
駅前に「駐輪禁止」の看板がいっぱい立ててあるが、それならば近くの駐輪場の案内も一緒に掲示しておいてもらいたいものだ。違反を見張るシルバー人材さんも嫌味を言うだけでなく親切に地図で駐輪場の場所を教えてくれるとかしてくれればいいのにと思ってしまった。

まぁ、そういう不満はあるが、今回見つかった駐輪場はシルバー人材さんがいる時は「いってらっしゃい」とかの声をかけてくれるのでなんかとっても嬉しい気持ちになった。
そうだ、違反の見張りの人とたまに人事異動で入れ替わってもらうといいかもしれない。そうすれば違う立場でお互いの仕事が見えるから、それぞれにつながる仕事をしてくれるんじゃないかしら。とか、いろいろ勝手に考えてしまうのであった。

さての後半に入り、妹1一家がやってきた。ツレアイくんがついに役職定年になり関連会社に出向になり、一年後には移籍になる辞令が出て、本社関係の挨拶回りと実家や親戚への挨拶回りをするのに妹や姪っ子2がついてきて、実家で片付け物をしたり、遊びに行ったりするという感じ。わが娘は金曜日から合流して実家に泊まってしまった。
2/14の土曜日に私や妹2も昼から合流。妹1のツレアイくんを田舎に送り出した後で姪っ子2のお気に入りのイオンレイクタウンに繰り出した。あまりにも広いところなので母は行かないと言ってお留守番。
イオンのショッピングモールでも日本で最大規模ということで話題になっていたが、私は混んでいるところにいくのは大っ嫌いなのでまだ言ったことがなかった。開店直後の混雑のようなことはなかろうと今回は一緒に行くことにした。妹2の車で行き、腎臓で障害者手帳を持っていることもあり、今回は障害者用エリアがすぐに見つかって駐車できたのですぐにショッピングモールに入ることができた。
「kaze」というエリアと「mori」というエリアに分かれていて2階に連絡通路があった。動く歩道まである通路でびっくり。両方のエリアの端から端までは1kmあるという話は聞いていたが、なるほどデッカイ。ショップガイドを見ながら歩かないと絶対迷子になるぞ。たくさんの店があって姪っ子や娘は喜んで見ているが、物欲がほとんどなくなってしまった私は正直あまり楽しくなかった。途中でシフォンケーキセットを食べて夕方戻ったが、実に疲れた。
これは気力体力にあふれた若い人達が楽しんでぶらぶらするところだなぁと思った。私には使う時間と体力が勿体ない。ま、社会見学したということでいい経験になった。

実家に戻ると母はなぜか張り切って植木の処分の作業をずっとやっていたという。妹2のツレアイくんがくれた株主優待券でおいしい回転鮨店に行ってみんなで食事。ネタをドてんこ盛りにするキャンペーンをしている中からウニを2皿とって母と食べたら、めちゃくちゃに美味しかった。ウニが好きなのはあとは姪っ子2だけなので彼女にはおすそわけだ(笑)鮨がそんなに好きではないメンバーもいるが、この店は他の料理メニューもけっこうあるのでそれぞれに満足。大根サラダも美味しかったな。

娘はもう一泊することにして私だけ帰宅。
明日は歌舞伎座昼の部を玲小姐さんと並んで観る予定。玉三郎舞踊集のDVDで「道成寺」の予習をするつもりだったがどうにもできなさそう。しっかり玉三郎・菊之助の最後になるかもしれない「二人道成寺」を目に焼き付けてくるつもりだ。

09/02/11 ショッピングと「マンマ・ミーア!」で少し浮上

2009-02-12 01:09:18 | つれづれなるままに

昨日の記事に励ましのメールとコメントを有難うございましたm(_ _)m
4時頃寝て一度起きてまた寝ておきたら12時近くでした。久しぶりに8時間近く寝ることができたので少しラクになりました。

曇り空で寒い日ではありましたが、娘と約束していた映画「マンマ・ミーア!」を観に自転車でさいたま新都心へ。ネットで残席数を確認したら少ないのでさすがに休みの日だしとあせっていっても最前列の両端しかなくて19時からの次回上映の最後列をとってショッピングモールで買い物。
前回見つけた自然食品店で生姜梅醤番茶の濃縮タイプをもう一瓶と買い忘れたレンコンの粉末を私が買い、娘が欲しがっていたニンニクの乾燥スライスもGET。
輸入食材の品揃えのいいKALDIでエクストラバージンオリーブオイルとワインビネガーを円高還元特価品でGET。このオイルとニンニクで娘はスパゲティナポリタンに再挑戦するらしい。
自然食品店の隣のベーカリーショップのイートインコーナーでコーヒーとパンを食べてMOVIXへ。映画を観て貯めたポイントを使って観るとついてくるポップコーンの券を使わずにとってあったのを使って一人一個のポップコーンを食べながら観たがこういう映画にはとってもいい。
映画「マンマ・ミーア!」はおすすめです!劇団四季の舞台もノリノリで観たが、ギリシャの風景の中で歌って踊っての中でドラマがすすむのは本当に美しく楽しく笑って泣いてしまった。

母一人子一人の暮らしというのにもつまされるし、ドナもきっと私と同じような世代で抱える想いに深く深く共感してしまう。私にもこんなハッピーエンドのような日はくるだろうか。一緒に観た娘はいっぱい笑っていて、私が泣いたと言ったら驚いていた。「そうでしょ、わかんないよ、アンタにはまだ」と心の中で言いつつ、私の気持ちがいつかなんとなくわかる日もくるでしょうとも願う。
そんな映画も観て、帰宅して娘のリクエストのお雑煮もつくってという休みの一日。今週後半にはまた実家に妹1がやってくる。
生きていくために仕事して家族の面倒もみてという日々がまた始まる。生きることの意味は考えずにとにかく生きようという心持ちに最近はなってきたかな。