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月が変わる前に八月花形歌舞伎昼の部「桜姫東文章」の簡単な感想を書いておこう。福助主演の「桜姫東文章」は2005年のコクーン歌舞伎で観ているが、純歌舞伎バージョンの桜姫は初めてなのでどんな感じか期待半分、不安半分。不安は杞憂に終わったのでホッとした。
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【桜姫東文章】郡司正勝の補綴版をさらに石川耕士補綴・演出
発 端 江の島稚児ヶ淵の場
序 幕 新清水の場
桜谷草庵の場
二幕目 三囲の場
三幕目 岩淵庵室の場
四幕目 権助住居の場
大 詰 浅草雷門の場
今回の主な配役は以下の通り。
白菊丸/桜姫=福助 清玄/稲野屋半兵衛=愛之助
釣鐘権助/大友常陸之助頼国=海老蔵
粟津七郎=右近 葛飾のお十=笑也
吉田松若=児太郎 奴軍助=弘太郎
入間悪五郎=亀蔵 端女お咲=歌江
残月=市蔵 長浦=萬次郎
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先代猿之助が病気療養に入ってから玉三郎を座頭にいただいて澤瀉屋一門で上演した公演では、昼と夜に分けての通し上演だった。それを石川耕士による補綴・演出で大胆にはしょってテンポアップして昼の部だけで通してしまった。花形歌舞伎ということもあり、これはこれでありだろう。
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福助の桜姫は赤姫としての品位をしっかり保って好演。一度情を通じて惚れ込んだ権助と再会し、現実の世界で女として生きたいと言う欲が出て色模様になった時もほどがよくて安心。海老蔵の権助なら世を捨てる気持ちが吹っ飛ぶのもよくわかる。
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本来は清玄・権助兄弟を一人二役で演じる演目だが、キャストによっては二人に配役する方がよいことがわかる。愛之助の清玄は紫衣の高僧の時も品のよい感じもよいが、情けない場面が実によい。心中に遅れて死にそびれる情けない場面も、白菊丸の生まれ変わりと知った桜姫に妄執の醜態をさらけ出して死に至る場面も、いずれも人物が小さくて、ワルの権助と兄弟というのも無理からぬ感じがした。
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右近、笑也、弘太郎という澤瀉屋の面々が脇を固めて安心なのと、成駒屋のお師匠番の歌江までちょい役で出てくれるのが嬉しい。市蔵・亀蔵兄弟もよいが、なんといっても萬次郎の長浦が恋に狂った中年女ぶりを見せて無類。
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コクーン歌舞伎の最後は、演出の串田和美の母親としての桜姫への思い入れがありすぎていただけなかった。今回は、愛憎に苦しみながらも姫が父と弟の仇である権助と、その子を覚悟を決めて殺すという純歌舞伎の本来版のもつ作品としての面白さを堪能でき、清玄・権助兄弟だった愛之助と海老蔵が捌き役で揃った「本日はこれぎり~」の幕切れで気持ちよく打ち出されて満足した。
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松竹歌舞伎会の歌舞伎座こけら落とし公演先行予約会員までのポイント超過が確実となった。そのため夜の部の海老蔵主演の「伊達の十役」は以前に一度観ているのでパス。仁木弾正はニンの役で本当によいと思うが、女形の役役は特に観たくないしねぇ(^^ゞ
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8/5観劇の翌週末の11日に江の島散策企画で稚児ヶ淵にも足を伸ばし、「桜姫東文章」の世界を反芻。面白かったし、岩本楼(旧・岩本院)に行けなかったしということがあるので、春先くらいに再訪企画が早くも実現しそうだ。
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