07/12/31 大晦日のつれづれと年末のご挨拶


昨年の大晦日の「魔笛」から始まった松竹とニューヨーク、メトロポリタン歌劇場の提携事業「METライブビューイング」。昨年は見送ったが「魔笛」のアンコール上映を地元シネコンMOVIXさいたまで観て、今年は絶対歌舞伎座で観ようと決めていた。今年はグノーの「ロメオとジュリエット」。
「METライブビューイング」の公式サイトはこちら
「魔笛」の記事はこちら
sakuramaruさんを誘ってちょっと奮発して一階席をとって観た。しかし歌舞伎座は寒かった。インターミッションが入る前にルネ・フレミングによるキャストインタビューとかがあるのにその辺がわかりにくいのと、早くトイレに行きたいと席を立ってしまった。舞台照明も入らないとこれだけ寒いのかなぁと推測。
作品そのものはすごく楽しめた。それはまた後日書く。
sakuramaruは大晦日の多忙により、次の用事へ直行。私はyukariさんとアフタヌーンティーをすることにして銀座東武ホテルのカクテルラウンジへ。外資と提携してコートヤードマリオット銀座東武ホテルとなったことで記念価格でとてもリーズナブルプライスで嬉しい。そして大晦日の午後とあってガラガラに空いている。けっこうしゃべったが一時は貸切状態となる。
写真はその2人分のセットを携帯で撮影。向こうに見えているのはラウンジの壁と棚に置かれた飾りの壺。おなかが空いていたのでベーグルもデザートもぺロリ。アッサムティーにあったかいミルクを入れたミルクティーが美味しくて何杯もおかわりしてしまった(^^ゞ

夕方は地元でお買い物。ふくらはぎが痛くて接骨院でレッグウォーマーをすすめられ、一昨日に外出用と自宅用とを買ってきて使ったら調子がいい!娘も自宅用の方を欲しがるので買い増しに行ったら欲しかった可愛いのはなんと完売だという。他店からお取り寄せできるというので頼んできた。あとよかったのはタイツ生地のような腹巻。この2つで寒い歌舞伎座に耐えられたという感じなのだ。

帰宅したら「紅白歌合戦」は始まっていて、ながら見しながらちょっとだけ掃除機をかける。あらまぁ、小林幸子に対抗するのは今年は美川憲一じゃなくてGacktだったんだと感心。大河ドラマ「風林火山」の上杉謙信の衣裳で歌っている。まぁ贅沢でいいねぇ。
紅白両軍を男性2人で司会という変則的な体制。白組司会の笑福亭鶴瓶が審査員の勘三郎を親友とか言ってるぞ。ふーん。行儀よく司会をするかどうか周囲がプレッシャーをかけているのが可笑しい。
途中で帰ってきた娘と年越しそばを作って食べて、食後は年賀状のラストスパート。

最後は今年亡くなった作詞家・阿久悠さんの歌4曲をベテラン4人が歌って締めるのねと納得。阿久悠さんの歌の紹介で出てきた沢田研二の映像が若くてスリムでカッコよかった。今年最後のミーハーm(_ _)m
得点集計中に客席も一緒に歌った「世界でひとつだけの花」、好きだけど私は歌えない曲。歌えるんだけど、いつもどうしても泣いてしまって歌えないのだ。涙腺に直結してしまう歌の代表。
これじゃ白組が勝つよなぁ。SMAPの中居正広が赤組司会は如才なくやってたけど、衣裳が変すぎるよ(笑)ニットの上下も変だし、最後の赤のスーツの半ズボンって何よ(笑)(笑)

「行く年来る年」で出かける用意をして、書きあがった年賀状をポストに投函しにいく。地元のお寺の除夜の鐘の音を聞きながら毎年ポストまで歩いているなぁとしみじみ。

皆様、今年もいろいろとお世話になりました。皆様のご厚情に御礼申し上げます。2008年もまたいろいろあると存じますが、どうぞよろしくお願い申し上げる次第です。
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07/12/24 国立劇場「忠臣蔵」銘々伝・外伝③「松浦の太鼓」


さて、国立劇場「忠臣蔵」銘々伝・外伝3作品上演の眼目作品「松浦の太鼓」。今回の公演のチラシの写真の吉右衛門の松浦候の顔を見ただけでも浮き浮きしてしまう。このチラシ、3作品を横3段に3色のバックでレイアウトし、それぞれに「忠」「臣」「蔵」と入れてあるのが憎い。1メガを超える画像なのでそのままこのgooの無料サービスのブログにアップすることができない。やっと慣れてきた携帯のカメラでそれぞれに撮影してアップしてみた。

【秀山十種の内 松浦の太鼓】二幕三場
 序 幕 両国橋の場
 二幕目 松浦邸の場
 同   玄関先の場
ウィキペディアの「松浦の太鼓」はこちら
今回の主な配役は以下の通り。
松浦鎮信:吉右衛門 宝井其角:歌六
大高源吾:染五郎 妹お縫:芝雀

序幕の両国橋の場で歌六の宝井其角が門人で子葉という俳名を持つ染五郎の大高源吾が笹売りに身をやつしているところに遭遇する。先を急ぐ源吾を引き止めて床机に腰掛けさせて近況をたずねる。彼の妹お縫を松浦鎮信の邸への腰元奉公に口利きするなどしている其角は、源吾に他家に仕官する気はないかをたずねる。武士を捨ててひっそりと暮らしたいと答える源吾があまりにも寒そうなので、松浦候拝領の絹の羽織をすすめ、今後も相談に乗ろうと言う。源吾は他家の紋が入った羽織に一瞬躊躇をみせるが、気を直して粗末ななりの上に羽織って別れを告げる。其角は思いついて「年の瀬や水の流れと人の身は」と発句を詠みかける。源吾はやがて「明日またるるその宝船」と脇句をつけて立ち去っていくが、其角には真意が見えないでいた。
二幕目は松浦邸に其角が招かれての句会の場面から。お縫は鎮信のお気に入りだったはずなのに遠ざけられており、他の腰元不在のためにお茶を出しにきたお縫の姿に鎮信は機嫌を損ねる。その様子に其角は驚きながらも俳句で松浦候を諌めると機嫌が直る。ところが大高源吾に会って羽織を渡した話をするとにわかに怒りだし、お縫に暇まで出してしまう。赤穂浪士の討入りを今か今かと心待ちにしていた候は、浪士たちが討入りの気概を無くしていることに憤慨してしまった。その心情も理解した其角はお縫を連れ帰ることにする。去り際に思い出して源吾との連句の話をすると、しばらく考えてハッとする鎮信。
鎮信があわてて二人を引き止めるところに、聞こえてきたのは陣太鼓の音。鎮信は膝を乗り出し指を折りながら太鼓の数を数えて確信を深め、満面に喜びが輝き出す。「この山鹿流の妙伝を心得ている者は」と名前を連ね、自分の名の時には照れたりもして、大石内蔵助の陣太鼓の音に間違いないとし、「仇討じゃ。仇討じゃ」と大興奮。其角とお縫に詫びる。
舞台は玄関先の場へ。鎮信は火事装束に身を固め馬に乗り、「助太刀じゃ」と表に出ようとするところを家臣たちが「ご短慮遊ばしますな」と必死に止められている。そこに討入り装束姿の大高源吾が駆けいってくる。「宝船」の付句の意味を松浦候が理解して既に助太刀の姿をされていることに喜び、大石を中心に47士が吉良候の首級をあげて本懐を遂げたことを報告。「えらい!」と馬の上で手綱を放して両手を上げて褒め喜ぶ松浦候は落馬、家臣たちに受け止められる。
浪士たちが主君の墓前で切腹する覚悟を聞いて「忠義」の姿に松浦候は感涙にむせぶ。其角も同じく泣きながらも「子葉どの、何か辞世の句は」と促す。源吾はすでに槍の先に結びつけた短冊を示す。見事な辞世に松浦候以下舞台に並んだ一同胸打たれる。「褒めてやれ褒めてやれ」という松浦候の頭上に松の枝から雪がどどーんと落ちてきて、ここでも笑いをとり、気が変わったところで松浦候がパッと祝儀に扇を開き、一同極まって幕となる。

吉右衛門の松浦候が実に見事だった。殿様の品格と女好きの側面の色気、猫の目のように変わる機嫌などなどを実に魅力的に見せる。品格を見せた表情から拗ねて「馬鹿、馬鹿」と小声で言い捨てる表情、太鼓の音を数える真剣な顔が喜色にあふれるまでの変化の豊かさを双眼鏡から覗いていると、この役者を見る幸福感で目頭が熱くなってしまう。役者の芝居だけで泣かされるという芸を見せてくれるのは歌舞伎役者でもそんなに多くない。またその役者でもその役が本当に極まってこそというものだ。吉右衛門の円熟した松浦候を見ることができた幸せ!
染五郎も「清水一角」ではまだまだ力不足を感じたが、大高源吾はいい出来。歌六とのやりとり、吉右衛門とのやりとりも聞かせてくれた。歌六の其角、芝雀のお縫ともあわせて、今の時点のベストキャストなのではないだろうか。

「堀部彌兵衛」は討入りの15年前から直前まで、「清水一角」と「松浦の太鼓」と討入り当日のドラマと重層的に組み合わされた3作品の上演は大変面白い企画だったと思う。「清水一角」だけが作品的には少し面白くなかったが、これは役者の芸で見せるものだけに一角を歌昇にやってもらったらもう少し面白かったかも、とか我侭を言ってみたくなった。

さて、12月歌舞伎座の感想も続けて書いていきたいが、年賀状もまだ途中だしとどうしようとフラフラ考えてしまうのだった。
写真は今回公演のチラシより「松浦の太鼓」の部分をアップで携帯で撮影。
12/24国立劇場「忠臣蔵」銘々伝・外伝①「堀部彌兵衛」
12/24国立劇場「忠臣蔵」銘々伝・外伝②「清水一角」
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07/12/24 国立劇場「忠臣蔵」銘々伝・外伝②「清水一角」


国立劇場「忠臣蔵」銘々伝・外伝3作品上演。2本目は染五郎主演の「清水一角」。討たれる吉良邸側の人間のドラマというわけだ。
【清水一角】一幕二場
作:河竹黙阿弥
 吉良家牧山丈左衛門宅の場
 同   清水一角宅の場
主な配役は以下の通り。
清水一角:染五郎 弟与一郎:種太郎
姉お巻:芝雀 牧山丈左衛門:歌六
あらすじは以下の通り。
赤穂浪士が主君の仇を討ちに来るというおそれから、吉良家には縁家の上杉家から警護の侍が数多く遣わされていた。十二月十四日は朝から雪。吉良上野介は明後日は上杉の邸に移ることになっていて、仇討ちはもうないという雰囲気になっている吉良方。武芸指南役でもある牧山丈左衛門の家では年忘れの酒宴の真っ最中。そこに仲間はずれにされた清水一角が文句を言いに酔態であらわれる。二人はかねてより反りがあわない。やってくるとまた悪口雑言が始まる。丈左衛門が山科まで大石内蔵助の様子を探りに行き、本心からの放埓で仇討ちはないと判断したことを「目が節穴」と嘲った。仇討ちの有無で首をかけあう一角と丈左衛門。一角は狼藉が過ぎると同席の諸士に門外に放り出される。そこに通りかかった弟の与一郎が兄を家に連れ帰る。
一角の家では夫と死別した姉のお巻が婚家から戻って同居しており、一角の胴着を縫っている。一角は今日も酒に酔っては大言壮語を吐着続けるので、弟が兄に意見をする。さらに吉良家家老の小林平八郎から届いた樽酒を飲む飲ませないでもみあいになる。それでこぼれてしまった酒を畳の上からすすり、弟を責めてもう一度貰ってこいとまで言う一角。お巻は先ほど読んでいた伯父の文で伯父に代わって打ち据える。それでもそのまま酔いつぶれて寝てしまう。弟が宿直に出かけてしまい、姉弟のふたりになったその深夜、陣太鼓の音が聞こえてくる。「姉上、夜討ちでござる」と意識もはっきりとガバッと跳ね起きた一角にお巻は喜び、心を尽くした胴着を着せる。身支度を整えるところへ丈左衛門が一角に内通の疑いありと成敗にやってくるが、一角の予測ははずれ、賭けに負けたと首を差し出す。今は私情で争う時にあらずと命を預かり、丈左衛門に応戦に駆けつけるように促す一角。そして自らも姉から差し出された女物の小袖を敵の目を紛らわすべく纏って、花道を応戦に駆け出していき、姉のお巻が見送るところで幕。

一幕二場という短い芝居。歌六の丈左衛門が一角に対抗する貫禄たっぷりの憎憎しいキャラとして立派。拮抗すべき染五郎の一角は頑張ってはいたが、歌六に拮抗できていない。公演途中ではまたまた声がかすれているという情報もあったが、私の観た24日はそれほどかすれてはいなかった。そして何よりも一角の酔態の出来次第で面白くもつまらなくもなる作品のようだ。しかしいくら頑張って酔態をしてみせても、「頑張って酔態を演じています」という感じがしてしまっている。これでは引き込まれない。勘三郎の筆幸や梅之助の魚屋宗五郎の酔態がいかに巧いかということがあらためてよくわかってしまう。

また、歌六と染五郎、芝雀と染五郎のやりとりのところはそれでもなんとか緊張感が保てたが、やはり種太郎との兄弟のやりとりのところは意識が飛んでしまった。やはり芝居の体感の違いが歴然と出た。「堀部彌兵衛」の芝居がよかっただけに落差が大きい。

また最後の歌六との立ち回りで覚醒。染五郎も歌舞伎で主役を十分張れる作品とそうでない作品があるということなんだと納得。頑張っていただこう。

写真は今回公演のチラシより「清水一角」の部分をアップで携帯で撮影。一角が着ている胴着、いわゆる剣道の胴着と同じ縫い取り模様なのかと思った。芝雀のお巻は夫に死別して切り髪になっている姿。反対側に写っている歌六までは入らず。総髪姿の歌六もカッコよかった。
12/24国立劇場「忠臣蔵」銘々伝・外伝①「堀部彌兵衛」
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07/12/24 国立劇場「忠臣蔵」銘々伝・外伝①「堀部彌兵衛」


24日に国立劇場、26日に歌舞伎座千穐楽夜の部と歌舞伎漬けになっている。それぞれに堪能できてしまった私。歌舞伎役者さんの好き嫌いはけっこう少ないのが幸いしている。おかげで歌舞伎座も今年は毎月しっかり観て、来年の歌舞伎会ゴールド会員の権利を早めにGETできた。

今年の12月国立劇場の歌舞伎は「忠臣蔵」銘々伝・外伝の3作品上演。3つに分けて書いていくが、まず着席してすぐに感じたのは男性の観客の多さ。休日ということもあるだろうが多い。それも中高年のご夫婦連れがけっこういらっしゃる。「鬼平」の吉右衛門なら妻の観劇の誘いに乗ってくれたんじゃないかと推測。当たっていればいいことだと思う。
【堀部彌兵衛】四幕
作:宇野信夫、監修:松 貫四(吉右衛門の筆名)
 第一幕 高田馬場
 第二幕 芝愛宕下青松寺の客間
 第三幕 同(十日経過)
 第四幕 米沢町弥兵衛宅(十五年経過)
主な配役は以下の通り。
堀部彌兵衛:吉右衛門 妻たね:吉之丞
娘さち:隼人 青松寺住持丈念:由次郎 
中山安兵衛:歌昇 寺坂吉右衛門:松江  
第1幕はちょうど、PARCO歌舞伎「決闘!高田馬場」の続きあたりからだなぁという感じ。中山安兵衛のおじ(PARCO歌舞伎で錦吾がやっていたお役)が舞台上手で決闘をしているところへさしかかっていた堀部彌兵衛夫婦。染五郎がやっていた安兵衛役を、歌昇が御馴染みの決闘に駆けつける安兵衛のいでたちでやってくる。有名だという「高田馬場の決闘」の顛末も知らなかったので、おじは先に殺されてしまっていたのだと見物衆の会話で気がついた。安兵衛は助太刀に駆けつけたが間に合わず、仇をひとりで討ったということだったのかと今回あらためて納得。決闘の場に行く直前の襷がけの紐に彌兵衛の妻のしごきを貸したという縁ができた。その妻たねは癪を起こして苦しみ出し、その介抱と安兵衛の活躍を交互に気にする彌兵衛。

第2幕は彌兵衛夫婦が芝愛宕下青松寺に先ごろ亡くした嫡男の墓参りにやってきて、住職に高田馬場の決闘で出会った若者のことを話し、惚れこんだのに名前を聞かなかったことを悔しがっている。客間でいつもの碁を打つことになり、そこに茶を持ってきた安兵衛と再会。住職の縁者だとわかり養子縁組の取り持ちを頼み、申し入れるが、安兵衛は首を縦にふらない。夫婦で代わる代わる日参して返答を迫るが、十日経過の同寺の客間が第3幕。庭の桜が10日経って満開になっているのが憎い。今日は妻のたねがやってきて、承知してもらえないなら離縁されるというので住職も安兵衛も驚く。まさか本当ではないだろうと言っていると襖を開けて彌兵衛も入ってくる。「下世話で言うところの‘ケチのつき始め’はこやつが癪を起こしてお名前を聞くこともできなかったことだ」と妻の責任をとらせ、自分も跡継ぎがいないので浪人になると宣言。浅野の殿に安兵衛の人物を語り中山姓のままで跡取りにしてよいとの許しまで得てきたと聞いて安兵衛は感激。承知すると嬉し泣きする夫婦。さらに娘との縁談もまとめてしまう。

ここまでが一気に進む。時代劇のような気軽に見れる感じでテンポもよし。頑固一徹の彌兵衛61歳、たね48歳。安兵衛21歳。ここまでの場面の吉之丞と歌昇はちょっと年齢的に無理がある。まぁ2階席だから双眼鏡をのぞかなければいいのだ(笑)それに娘さちも数えで2歳というが、子役ではなく人形だったのにはちょっと驚いた。そこまでやるのだったらたねと安兵衛がお役の年齢から離れた役者がやっても、もうお芝居ということで割り切れるというもの。吉之丞は当代吉右衛門の妻役は初めてということだし、これはなかなか見ものだったというべきか。

ここで休憩。15年経過後の第4幕。彌兵衛76歳、たね63歳、安兵衛36歳ということで吉之丞・歌昇もピタっとくる。隼人のさちが行儀がいい美しさに感心。吉右衛門の老け役は秀山祭の加藤清正といい、今回の彌兵衛といい、本当にすごいつくりこみ。清正はあまり好みの役ではないが、この彌兵衛の人物造詣には惚れこんでしまった。
同志の寺坂吉右衛門が吉良邸への討入りが明朝と決まったと知らせにくる。そこで隣家の貧しい浪人父子とのからみが入っているのがいい。炭を盗んだことを謝りにきた半田判右衛門を許し、その息子の父手作りの凧に「忠」の一字を舞台で実際に書いてやるのだが、吉右衛門、字うまいなぁ。安兵衛を待って15年前に約束したさちとの祝言を挙げさせる。ついに安兵衛も堀部姓を名乗ると言い、盛り上がったところで彌兵衛が「肴いたそう」と謡いも謡う。「明日は座敷での斬りあい」と安兵衛に長い槍の柄を刀でスパッと切らせるところも双方の息もあってきまる~。どうしてどうして見どころたくさん~。

討入りの装束に身を固め、花道を集合場所に急ぐ彌兵衛と安兵衛。ここで「雪はれて思いは叶うあしたかな」と一句。舞台で見送る妻と娘。吉之丞の目から思いがあふれていたのにもジーンときた。いい幕切れだ。
吉之丞の妻たねという配役の真骨頂はこの場面ではないかと思えた。「吃又」の将監北の方の眼差しも思い出す。「牡丹燈籠」のお米といい、今年は吉之丞の魅力に立て続けにやられた年となった。

「堀部彌兵衛」、予想以上に楽しめた。宇野信夫の脚本がいいのと吉右衛門が頑固で愛嬌たっぷりの老人の役を楽しんで演じているのがいい。3幕までの笑いをとる芝居と4幕のシリアスな芝居の対比もきいてなかなかどうして見ごたえのあるドラマになっている。

自分のブログを「宇野信夫」で検索したら2本ヒット。①昨年2月文楽公演「曽根崎心中」。心中物上演禁止で埋もれていたこの作品を武智歌舞伎で復活させた時の脚本が宇野信夫だった。②昨年5月演舞場の「ひと夜」も宇野信夫作。「昭和の黙阿弥」と言われるということがだんだん理解できてきた感じだ。

この間、吉右衛門の芝居をより深く理解するために彼が目指している初代の芸の継承について知りたいと岩波現代文庫で小宮豊隆著『中村吉右衛門』を読んだ。その初代の人と芸についてある程度イメージが持てた。そして筋書で初代がこの「堀部彌兵衛」が秀山十種に入れたかったほど気に入っていた役で、初代が力を入れた書と謡いと俳句が全部盛り込まれているという。要は宇野信夫がちゃんと宛書きしているということだろう。当代が初役に臨んで自ら筆名で監修という入れ込みようも理解できた。

この文武両道を極めつつ愛嬌たっぷりのジジイという魅力あふれる当代吉右衛門の芝居を楽しむことができたのは今月の儲け物。
写真は今回公演のチラシより「堀部彌兵衛」の部分をアップで携帯で撮影。
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07/12/28 娘がついにバイト辞める宣言


私の働く企業では昨年から営業日の見直しがあり、祝日も営業、年末年始休暇の短縮となっていた。ただ部署によっては適用除外というのがあり、私の職場も適用除外。さらに土曜日も営業していない特殊部署のために本日が仕事納め。夕方から2フロアの部署合同の納会がミーティングコーナーで行われた。

食通が揃った職場で昼休みに手分けして何箇所かに買出し部隊が出動し、5時半からスタートできるように、私はフランスパンを人数分に切る仕事を分担。アトレ四谷店のPAULの固い固いパンを何種類も切ったら帰宅後にナイフの柄のあたる場所に早くもマメができていた(T-T)チーズや生ハムと一緒に食べて美味しかったけど。サラミソーセージも通常のものとトリュフ入りのものもあった。鮨も並んだし、ビールにワインに日本酒と、各自がお気に入りを飲む。私はワイン通の方のおすすめする順に赤のワインを次々に6種類も飲んだが、実に美味しい。
普段あまり話をしたことがない部署の方にこまつ座観劇の幹事をやっているのですかと話しかけられて芝居の話ができたのは嬉しい驚きだった。

さみだれ式に早く帰る人は帰り、居残る人は居残っておしゃべりが続く。かなり遅くなって片づけをして散会。「皆様、よいお年を~」

満員電車で帰宅して、ちゃんと食べておいてと言ってあったのに何も食べていない娘からのリクエストでコンビニで冷凍鍋焼きうどんを買って帰る。

そこでついに娘の爆弾発言を聞く。「私今日バイト辞めるって言ってきたから」
ついにその日が来たか!!
○×トで働き始めて2ヶ月たつが、レジに配属されてけっこうドジを重ねているらしい。それを正規の若い女性職員のリーダーに嫌味たっぷりに注意されるという繰り返し。どうも標的にされているようで、他の人にはそこまで注意しないだろうということでもしっかり嫌味に注意される。「辞めたい」「辞めたい」コールが続いていたのだ。。
モチベーションもしっかり下がって、「仕事行きたくないよ」→なかなか用意がすすまず→遅刻というパターンになることもある。娘と一緒に面接試験を受けていた人は、娘より早く勤めたが、もうとっくに辞めているのだという。

今の日本の企業では、若い正規職員が大勢の同じような年齢のパート職員という身分の差を持った職員を仕切って働かせるということが多い。身分の差による高圧的な物の言い方をされて嫌な思いをするのは完全にモラールハラスメント状態といえるだろう。
「格差社会」という言葉。格差があるのは当たり前の社会っていう受け止め方もあるのかもしれない。とにかく我慢ができなくなった娘は宣言してきてしまった。2月にやめることになるだろう。
ただし、電車に乗って通勤することができたことは自信がついたようで、次回は大宮あたりまで通ってもいいやとか言っている。これって進歩したっていうことなのだろうか。

年明けには成人式を迎えるというのに、自立への道は遠い。昨晩もそれで喧嘩になっていた。「自立なんてすぐできるわけがない。皆も同じようなのになんで私だけ言われるのよ」
娘のような若者がここまで増えてしまった日本で、それでも生きていかねばならないのはつらいことだ。それでも生きる庶民のしたたかさを身につけないといけないのだろうな。
明日は市の健康診断結果を受診したクリニックに聞きに行く。その後、成人式当日の着付けをしてもらう美容院に打ち合わせにいく。
馬子にも衣装を着せての祝い。しかし本当の意味の成人には程遠いなぁと改めて思ってしまった。社会が複雑になり、人間の寿命が延びるとその社会に適しい成人になれるには年月が余計にかかるそうで、今は30歳とか言われているようだ。
あと、10年のサポートが必要なのか。肩にズッシリ感の増した年越しの日々・・・・・・。

写真は元気な若者がサッカータウンを支える浦和駅頭のイルミネーション。そういえばアジアカップ制覇したんだっけ。一応おめでとうm(_ _)m
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07/12/26 歌舞伎座千穐楽夜の部①「粟餅」


「寺子屋」を住大夫の義太夫のCDで予習、「ふるあめりかに袖はぬらさじ」はTV録画で予習して臨んだ千穐楽夜の部。
しかしながら公演最後の1週間に出る舞台写真つきの筋書は昼の部で売り切れたと聞いてガックリ。歌舞伎会の割引券を用意して買う気十分だったのにヤケだ、買うのはとりやめだ~。

それぞれについてはしっかり書くつもりだが、その2つの大きな演目に挟まれた15分くらいの短い舞踊作品「粟餅」については書いてしまおう。
【粟餅(あわもち)】
概要は公式サイトより引用。
「江戸時代、曲搗きで知られた粟餅売りの風俗を写した常磐津舞踊。
威勢よく現れたのは、二人組の粟餅売りの杵造(三津五郎)と臼造(橋之助)。搗きたての粟餅をちぎっては、粉が入った鉢に投げ入れる曲搗きを見せたり、交互に六歌仙を演じ分けたりと、きびきび軽やかに踊ります。」

粟餅売りは餅つきの後、「表:粟餅、裏:あハ餅」と書かれた団扇を使ったりしながら六歌仙や田舎踊りを踊る。またある部分では同じことを書いた素材が違っている団扇太鼓にを叩いての踊りとなる。三津五郎と橋之助は一緒に踊ったり、それぞれが一人で踊ったりと短時間ながら変化が面白い。

渡辺保氏の「日本の舞踊」を読んで、舞踊を観る醍醐味は踊り手の身体の声を聞くことということがわかった。三津五郎の身体の動きは柔らかく、橋之助の踊りはキビキビしているが固い感じ。七代目三津五郎の身体からは声が聞こえたそうなので、当代はどうだろうという視点で見ていた。そんな目で見ているといつかきっと聞こえてきそうな気がした。

今はとりあえず、このくらいの長さの舞踊だと眠気に襲われないようになったというだけ進歩したと思う。

観劇前には木挽堂書店で中村雅楽シリーズの最終巻も購入。年の瀬のご挨拶もさせていただいた。また、千穐楽だけに多くの観劇ブログのお仲間のお顔を見ることができた。今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします(^O^)/
写真は歌舞伎座正面の千穐楽の幕。
12/09昼の部①「信濃路紅葉鬼揃」
12/09昼の部②「鎌倉三代記」
12/09昼の部③勘三郎の「筆幸」
12/26千穐楽夜の部②「寺子屋」
12/26千穐楽夜の部③「ふるあめりかに袖はぬらさじ」
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07/12/24 クリスマスイブはフレーバードティーと「ジュリーマニア」


なんと2週間も前からクリスマスケーキを予約してしまった。娘がもっと小さかった時はやったことがあるが、それ以来だ。
ローカルのパンとケーキのお店のチェーンだが、その日はちょうど買い上げ価格の半額金券セールだったのにつられてしまった(^^ゞその半額金券を活用して私の誕生日にもホールケーキを買ってしまうという、贅沢な12月となった。娘は美味しいケーキを少しだけよりもそれなりに美味しければホールケーキがいいのだと言う。私もクリスマスの10日前という誕生日なので自分の子ども時代もホールケーキなど買ってもらった記憶がない。記憶のない頃にはあったのだろうか(笑)

私も娘もあまりお酒を飲まないので、今年はアップルタイザーを買ってみた。果汁100%の炭酸入り飲料。生協で今年は忘れずにチキンレッグを買ってあったのを解凍し、サラダとおでんも作り、娘が夜シフトのバイトから帰るのを待って乾杯。

赤ではなく白い方のアップルタイザーにしたのだが、これが美味しかった。ハニー&アップル味のチキンレッグとよく合う。ごぼうときゅうりのサラダもさっぱりしてよし。娘を待ちきれずにみかんを3個も食べてしまった私はさすがに御飯までは食べられなかったがおでんも少し食べる。最後はケーキとフレーバードティー。

このお茶はバイト先のあるショッピングモールにルピシアの店があり、サンプルのフレーバードティーがあまりにもいい香りなので香りフェチの娘がクリスマスプレゼントだと買ってきてくれた。こんなことは初めてだ!以前、私がよく買っていたレピシエによく似ているので調べたら、同じ会社が統合して社名変更していた。やはり昔一緒に飲んだフレーバードティーが懐かしくなったこともあるみたいだった。

ケーキはスポンジ部分が美味しくていいと娘が言う。さすがパンも美味しい店だと納得。紅茶もドライフルーツとかいろいろ入っている甘い香りで幸せ気分。

そして自分で自分の誕生日プレゼントに買った沢田研二のライブDVD「ジュリーマニア」を一緒に観ながらのパーティにしたのだった。ずっと欲しかったのだが後回しにしていたら、私が入っている生協のネット注文会員が利用できるCD・DVDのネット注文システムで10%引キャンペーンを始めたのでエイッと注文。普通の個配と一緒に届くので送料もかからない。アマゾンよりいいかも!

娘と通っているカラオケでちょっと前まで本人画像で選ぶと沢田研二の主要曲はライブ映像が出てきた。最近は契約期間切れなのか出てこないのだが、映像が気に入って多分「ジュリーマニア」と同じ画像だろうと推測して注文したら、ピンポーン!1991年の武道館ライブなので若くてスリム!動きも軽いよ~。ノリノリになって大満足!!冒頭のスペシャル映像はライブに出る前のメイクシーンをアップで撮ったもの。うーん、歌舞伎の隈取みたいだぞ~。それがライブ映像ではあのレベルにしか見えないのだから舞台用の化粧ってやっぱり濃くないと目立たないみたいだ。
昼間には吉右衛門たちの忠臣蔵銘々伝・外伝の3作品を国立劇場で観てきたのだが、合い通じるものがあるってことね!

写真は手前がルピシアの“ピエロ”という名のフレーバードティー缶、ケーキの右にちょっとだけ写っているのが「ジュリーマニア」のDVD。
追記:沢田研二のウィキペディア情報を参考までに→こちら
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07/12/15 十二月文楽②「新版歌祭文」小助バージョン?!


「新版歌祭文」は今年の7月、国立劇場・社会人のための歌舞伎鑑賞教室で「野崎村」を観た。福助のお光がよくて泣けた。
その時の感想はこちら
その時にしっかり義太夫を聞き取れるようにと、住大夫の「野崎村の段」のCDで聞き込んで観たのだが、文楽で観るのは初めてなので楽しみにしていた。また今回は「座摩社の段」もあるし、続けてみると印象がまた違うに違いない。
前日に公式サイトを見たら、竹本貴大夫さんがご逝去ということで床の顔ぶれが変わったということだった(ご冥福をお祈りする)。先月末には十九大夫の引退もあり、期せずして大夫陣の若返りがすすむと思われる。

【新版歌祭文】座摩社の段・野崎村の段 近松半二=作
<座摩社の段>
手代小助=桐竹勘十郎:竹本津国大夫
丁稚久松=吉田文司:豊竹咲甫大夫
お染=吉田蓑二郎:豊竹睦大夫
油絞り勘六=吉田幸助:竹本相子大夫
山家屋左四郎=吉田玉志:豊竹つばさ大夫
鈴木弥忠太=吉田清三郎:豊竹芳穂大夫
岡村金右衛門=吉田玉佳:竹本文字栄大夫
山伏法印=吉田勘緑:豊竹始大夫
下男・下女=人形遣い複数:豊竹希大夫
鶴澤清志郎
幕開け前に床にいくつもの台が並んでいると「あぁこの段はかけあいでやるんだなぁ」とわかる。一人で語り分けるのもいいが、かけあいも賑やかで大好きだ。これくらい登場人物が多いと大夫の出入りも多い。
人形遣いは特に事前チェックもしていなかったので、勘十郎が手代小助で出てきてちょっと驚いた。しかし、観ていくうちに「座摩社の段」では小助が一番重要な役だということに気づく。丁稚久松が働く油屋の朋輩で一緒に集金に出かけてきたが、腹痛をおこす仮病を起こして久松ひとりで集金に行かせ、その間にその金を騙し取るための算段。座摩社には先に山家屋左四郎が片思いのお染と両思いになりたいとお百度を踏んでいた。八卦見の山伏法印を巻き込んで左四郎を騙して金を巻き上げる悪事も。とにかく“悪いヤツ”なのだ。

お染も下女とともに参拝にやってきたところに集金から戻った久松と出会い、下女が気を利かせて二人きりにさせると八卦見の小屋でしばしの逢瀬!もう本当に燃え上がっている二人の恋がここでよくわかる。
やがて侍と町人の喧嘩騒ぎが起こり、小屋から出てきて見ている久松の懐から侍が財布をとって町人の眉間を割る。血が着いたのを洗って返すと手水の井戸のところですりかえる。偽物を持って帰る久松。鈴木弥忠太と油絞り勘六が小助の策で打った芝居だった。ところが勘六は岡村金右衛門とさらに一芝居打って金を取り返すどんでん返し。ここは客席に驚きの声が上がる。私ももちろんびっくり!小助の悪ぶりも大したことがない。結局は小悪党というレベルか。それをここまで人形で愛嬌たっぷりにやられると憎めない感じがする。

どうやら久松の生家側の人間らしい。このお家騒動部分については後発作品の「於染久松色讀販(おそめひさまつうきなのよみうり)」を玉三郎の七役で観た時に頭に入っていたので、その記憶と結びつける。

<野崎村の段>
<義太夫>
中 竹本三輪大夫・野澤喜一朗
前 竹本津駒大夫・鶴澤清友
後 竹本文字久大夫・野澤錦糸 ツレ鶴澤清馗 
<人形役割>
おみつ=吉田清之助 久作=吉田玉也
おみつの母=吉田玉英 油屋お勝=桐竹亀次
祭文売り=吉田一輔 船頭=吉田蓑一郎
下女およし=吉田清三郎(代演)

通常バージョンで省かれる場面から。繁太夫節の門付けというのは語って聞かせるだけでなく本も売っていたのだ。久作はおみつの気晴らしに「お夏清十郎」の読本を買ってやる。これが後からお染久松に意見するのにお夏清十郎の所業への意見の態をつくるのに重要な役割を果たすわけだ。
久作は大阪の油屋に暮の挨拶に出かけるが、そこに久松が小助とともに帰ってきた。小助は詮議詮議と騒ぎたてるところに、久作が急ぎ戻ってきて小助に金を叩きつける。ここまでが‘端場’で上演がされないことが多いというが、やっぱりここも小助が大暴れ!今回は勘十郎を小助にあてて、小助バージョンの上演かとも思ってしまった。

久作がふたりに祝言をさせるということにして、以降は住大夫のCDで聞いたのとほぼ同様の場面が続く。しかしながらお染が姿を現してからおみつの様子は歌舞伎よりももっと激しいヤキモチ行動にびっくり。久作に据える灸の火をお染の手に押しつけている!人形ならではの誇張した表現に楽しませてもらいながら、おみつのこれからの不幸へ突き進んでいく。病みついているおみつの母も歌舞伎と違ってちゃんと出てくる。CDの登場場面より多いような気がするが、とにかくおみつの母の死が迫っての思いがしっかり描かれる。そのためにお染久松が自分たちの恋を貫くために生きていられない申し訳ないと思う気持ち、おみつが二人を生かすために尼になる選択のせつなさがより際立っている。

歌舞伎の幕切れもいくつかの型があるようだが、おみつが父親にすがって泣いての幕切れは六代目菊五郎の工夫だったろうか。
CDでもそういう場面はなかったが、今回の上演はさらに籠と舟で分かれて大坂に戻る場面、籠屋と船頭のチャリ風演出をきかせている。特に船頭はうっかりと水の中に落ちて這い上がり、棹も忘れたりと笑わせる。濡れた背中も斜めにかけたてぬぐいで拭くところなど、「菅原伝授手習鑑」の水奴を思い出した。

泣きあげての幕切れは、悲劇の人物にスポットを当ててクローズアップするような演出。今回のような幕切れは、悲劇の人物から引いて視点を人の世全般の中から鳥瞰するような演出(クローズアップの反対はなんていったらいいんでしょう)のように感じた。どっちもありなんでしょう。

写真は公式サイトで今公演のチラシ画像のお光。
12/07文楽鑑賞教室①「寿柱立万歳」、解説
12/07文楽鑑賞教室②「沼津」
12/15十二月文楽①「信州川中島合戦~輝虎配膳」
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07/12/15 十二月文楽①「信州川中島合戦~輝虎配膳」


観劇の感想がたまる一方なので、次に何を書こうかと思案にくれる。そうだ、大河ドラマ「風林火山」最終回に関連して文楽の「信州川中島合戦~輝虎配膳」を書くことにしよう。よく考えてみると、大河ドラマで直江って西岡徳馬が、宇佐美って緒形拳がやってた人物じゃないか。上杉家の主な家臣も登場するこの作品に親近感が湧いてくる。ただ勘介に妻や母や妹もいるという「風林火山」とは全く違う設定。勘介が実在したかどうかを示す文献が少ないのだから自由にいろいろ書けるわけだ。
一昨年6月の歌舞伎座で「輝虎配膳」は初見。梅玉の輝虎と時蔵のお勝の琴をはさんでの名場面(写真のような場面)が印象に残っている。
さて文楽ではどうだろうか。

【信州川中島合戦】輝虎配膳の段
近松門左衛門=作

人形役割と義太夫は以下の通り。
輝虎=吉田玉女:豊竹新大夫
越路=吉田和生:豊竹松香大夫
お勝=桐竹紋豊:豊竹呂勢大夫
唐衣=吉田勘弥:竹本南都大夫
直江=吉田玉輝:豊竹咲甫大夫
甘粕=吉田清五郎:豊竹靖大夫
柿崎=吉田蓑一郎:豊竹靖大夫
宇佐美=吉田玉佳(宇佐美だけど見せ場なし(^^ゞ)
鶴澤燕三 琴=鶴澤寛太郎
輝虎は城に執権直江山城守や侍大将たちを集め、信玄との初戦に敗れて怒りをぶちまけている。敗因は敵方に軍師として山本勘介がいるせいで、その勘介は直江の妻の兄という縁があることから、直江に勘介を味方につける工作を命じる。直江はそのために既に勘介の母を味方につけて勘介の心を動かそうと、妻の唐衣を通じて母を招いていた。そこに二人が到着。輝虎の居城を直江の城と偽っていた。
この作品は武田側の歴史書を踏まえているので輝虎=謙信の人物像は短慮の殿様になってしまっているとのことだから、Gacktのイメージを重ねてはいけない。
唐衣は兄嫁が吃りのために、筆談用の道具と歌えば言葉が滑らかになるために琴を用意。この作品は近松晩年の作で「吃又」の又平を女性とする趣向で書かれているというが、「吃又」も近松がもっと若い頃に書いた作品と筋書で確認し、自分の作品のアレンジだったと確認。二人が通されると挨拶の交換だがお勝はさらさらと筆を走らせて見事な手跡を見せる。
直江が初めての姑との対面に主君から拝領の小袖を差し出すが、越路は「古着は着たことがない」と付き返す。その上、肘枕をして横になってしまうのが人形の大胆な表現だ。
続いてもてなしの膳を輝虎が自ら運んでくるが、越路は「窮屈な給仕はいらぬ」と断るのに、輝虎は遠回しに勘介の説得を烏帽子を畳につけて頼む。それを毅然と断り膳をひっくり返す越路。直江と短気を起こさないと約束した上での策だったのを堪え切れずに激昂し刀に手をかける輝虎。唐衣は母に詫びるように願うが、越路は覚悟を示し詫びようとしない。そこで写真の場面になる。お勝が必死に琴の調べに乗せて許しを乞う。床では貫太郎が琴を演奏する姿がけなげに思えてしまう。東京での初公演から観ているので情が湧いているのだ。
このお勝の必死の懇願に、輝虎は心を動かされて刀を下ろす。越路とお勝は直江の館に向かうところで幕。

軍師を自分の方に招くためにその母親を歓待するというのは、「三国志」にある故事を踏まえているのだという。近松は中国の文献の素養も深く、元武士だっただけに武家社会のドラマをこんな風に書けたのだとあらためて納得。

燕三の気迫の三味線に新大夫と咲甫大夫の若手ふたりが主従の気迫のやりとりを聞かせてくれる。越路はベテランの松香大夫が老母の気丈さをじっくりと。お勝の必死な訴えを呂勢大夫が切々と語り、大満足の義太夫陣。人形も玉女が短慮の輝虎を大名の大きさを持って見せ、お勝の紋豊も琴をはさんでの訴えの迫力あり。越路の和生の気丈ながらも老女の動きの面白さに目を奪われる。
やはり今回も、同じ作品を歌舞伎と文楽とで観る醍醐味を感じて満足。

写真は筋書より「輝虎配膳」の輝虎とお勝。
12/07文楽鑑賞教室①「寿柱立万歳」、解説
12/07文楽鑑賞教室②「沼津」
12/15十二月文楽②「新版歌祭文」小助バージョン?!
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07/12/23 カレッタ汐留で忘年会?!


女子高の同窓生3人で御飯を食べようということになり、忘年会かクリスマス会かという感じでカレッタ汐留へ。前日の娘の成人式の前撮りの疲れもあって昼近くまで寝て、昨日オンエアの映画「大奥」の録画を観て、夕方5時頃家を出る。

玲小姐さんと最寄り駅で待ち合わせして、電車の間しゃべる。ふたりとも「大奥」を見ていたので「生島新五郎が流刑ではなく磔になったのは予想外だった」とか「西島さんがよかった」とか盛り上がる。
先にお店について2人で先に食べながら出先から駆けつけるsakuramaruさんを待ち、やがて合流。
お店は財布が厳しい私を考慮してもらいながら美味しいお店という条件を満たすところを玲小姐さんが探してくれて、B2の「うまい鮨勘」へ。石巻港直送の新鮮なネタを堪能できるというが本当に美味しかった!

公式サイトにあるような予算で収まるし、美味しいし、6時に予約して10時までしゃべりたおしていて、時間制限もされないのが有難かった。

帰りに東儀秀樹プロデュースによるイルミネーションもしっかり観て来た。汐留だけに波の形が美しい。これぞ東儀メロディという音楽に乗って光の色も変化する光のショーだ。携帯で撮影したらなかなか上手く写った。少し新しい携帯に慣れてきたかな。

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