12/02/23 四世中村雀右衛門さんを悼む


長く病気療養をされていた雀右衛門さんが23日午後3時55分、肺炎のため亡くなったとのこと。こんな日がくるのではないかと怖れていたが、とうとうその日が来てしまった。

雀右衛門さんの自伝『私事(わたくしごと)―死んだつもりで生きている』も読ませていただき、従軍し、戻ってこられてもう一度役者になられ、映画界で人気スターになったのに、歌舞伎界に戻り、女形としての再スタートを切って・・・・・という波乱万丈の人生を送られたこと、その人生を振り返る謙虚なお人柄に惚れ込んでしまっていた。
歌舞伎座さよなら公演が始まった当初は、まだまだお元気な姿を舞台で見せてくださっていたが、新しい歌舞伎座に建て替えるうちに、富十郎さん、芝翫さんに続いて次々と人間国宝の役者さんがこの世を去ってしまわれた。
こうして世代交代はすすんでいくのだろう。

ご冥福を祈り、続く世代が芸の継承をしていくことを信じている。

冒頭の写真は『演劇界』2005年11月号の表紙の画像。豊後道成寺を踊られる雀右衛門さん。この舞台では、踊り納めた後で、肩で大きく息をされていたっけ。それでも本当に最後の最後まで可愛い色気の漂う立女形さんでした。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )


12/02/18 墓石づくりの契約完了!


1/22の記事で、市営霊園当選後の審査も無事すんで、墓石づくりをすすめていることもご報告している。
メモリアルアートの○○屋のYさんは、実に誠実な営業担当さんで、何度も足を運んで打ち合わせをしてくださったことに感謝いっぱい。北本の妹2と一緒に一回、実家の母と一緒に1回、市営霊園の現場で先行した工事例をみながらの打ち合わせの上、2/18(土)の午後、実家に来ていただいて契約とあいなった。

洋型の墓石でもあるし、実家の家の名前を継ぐ子はいないので○×家の墓という銘は入れない。
正面に「慈」という字を一文字と花のイラストを掘る。「慈悲」とか「慈愛」の「慈」という発案は、名古屋の妹1から、緑系の色というのは妹2の好み(色系は同じだがちょっと濃い色になっちゃったけど)で、線香置きなしで花立2個必須は母の要望。墓石のデザインには妹1のツレアイくんからも意見をもらい、それで寸法も霊園の基準ぎりぎりに大きくした。

花立はラッパ型ではなく、シンプルで機能的な○○屋さんの特注品がいいと指摘したのは私で、線香置きのくり貫きもなくしたら、手前の台部分がコンパクトになって墓誌が見えやすくなってすっきり。

入魂式とかをやった方がいいんじゃないかとこだわった母を説得して、神道式で葬儀や五十日祭には神主さんをお願いしたが、今後は一切お願いしないというのが私のこだわり。墓石には俗名で西暦で没年を入れる。年齢も数えにはしない。
建立者名は、母と長女の私の連名にする。

ここまでみんなの意見を盛り込んだと思ったら、文字の字体で姪っ子1から、この字体がいいよというおすすめのFAXも届いた。「なんなら私が書いてもいいよ」とのたまう。さすがに、書道で全国で入賞するだけのことはあるなぁ。まぁ、特殊字体にすると特別料金と言われたら、無料の範囲で「行書体」にしてくださいということにするけれどね。

文字やイラスト部分は最初の見積もりで込みのサービスの範囲内ということにして、掘った文字等が目立つように磨いた部分と掘った部分の色のコントラストがはっきりするインド産の石を選んだ。
「ところで、決めた石は今どこにあるの?インドの倉庫ですか?」とYさんに質問したら、「うちは在庫をしません。これから掘る指示を出します」とのこと。だから時間がかかるのだそうな。
なるほど、これから掘って船に乗せて海を渡ってくるのかぁ!!

花のイラストは、父が一時期、菊を丹精込めて栽培していたことから「菊」にしようということになった。冒頭のものが第一候補、以下が第二候補で、反転させて左右対にすることもできるとのこと。母は2種類を並べたらとも言っているが、娘3人は冒頭の方を対照に並べる方で一致。文字の楷書体と行書体の2案ともども組合せでパターンを出してもらうことになっているが、無料なのは2パターンまでなので、後は自分で切ってパズルをして母に見せて説得する予定。
ここまで墓石でこだわってつくるというのは珍しいのかなぁ?

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )


12/02/19 演舞場昼の部観劇後、歌舞伎座建築工事現場をチェック


演舞場二月大歌舞伎は、「中村勘太郎改め 六代目中村勘九郎襲名披露」公演。松竹歌舞伎会ゴールド会員先行予約でいつもの3階B席の正面をねらったが、やはり人気で昼夜ともようやく右列をGETできた。何とか「鳴神」の冒頭にすべりこんだ。

実は今日は娘の英検の二次試験の日だった。1月の英語検定の準2級の一次試験に合格したのだが、二次の面接試験を「受けたくない」と言い続ける。高校時代にも二次試験まですすんだが、そこで不合格となっていた。今回はあまり受けたくないのに、AO入試で進学予定の大学の個別相談で英検受験をすすめられたので仕方なく受験していたのだ。全く真面目に勉強もしなかったので、一次の合格も驚きだったが、せっかく受かったので二次試験を受けるのは当然と思っている私と、玉砕するのがわかっているので受けたくないという娘の感覚が違いすぎて、この2週間ばかり押し問答を繰り返していた。
それでも何とかなだめすかして、朝送り出したと思ったら、電話がかかってきた。
娘「本人確認証忘れた。筆記用具も上履きも忘れた!」

そこまで受けたくなかったか!!
母「家族が届けにくるからぎりぎりまで待ってと掛け合ってみなさい」
と言って、顔も洗わずに出かける用意をして、家を出る直前、また電話がかかってきた。
「他の身分証明書でいいって」
ということになり、スリッパや筆記用具も借りられて、私は受験会場に行かないですんだのだった。

それで疲れ切ってしまい、JRの高崎線などに乗り換えて時間を稼ぐ気力もなく、京浜東北線で上野まで座って寝て行ったら、案の定遅刻・・・・・・。
感想は改めてということで。

観劇後、いつものように歌舞伎座建築工事現場をチェック!
1/21の記事からすると、さらに後ろの高層ビル部分を上へ上へとくみ上がっていた。壁面もとりつけられている部分が増えて高層ビルらしくなっている。正面の歌舞伎座のファサード部分の大屋根の部分が遠目にもはっきりわかった。
来年はもう開場になるという実感が強くなってきた工事現場だった。

追記(1)
2/19の昼の部観劇中に地震が起き、客席が少しざわついた。3階右列で観ていたが、揺れを体感してやはり気持ちが悪かった。古い歌舞伎座のままだったら、東日本大震災で倒壊してしまったのではないかと怖い感じがした。昔、雀右衛門さんの父の友右衛門が地方巡業中に起きた地震で劇場が倒壊して亡くなっている。歌舞伎座の建て替えは絶妙のタイミングだったような気がした。

追記(2)
新しい歌舞伎座のイメージについてのご質問のコメントをいただいていたが、私が返事のコメントを入れる前に松竹の公式サイトの情報をお知らせくださった方がいて、解決!有難うございました。
コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )


12/02/08 独のドキュメンタリー映画「第4の革命」で脱原発への確信を深める


昨年9月に「ミツバチの羽音と地球の回転」を、11月に「チェルノブイリハート」と続けて観て、次に観ようと機会をうかがっていた作品をついに観ることができた。
ドキュメンタリー映画「第4の革命」の公式サイトはこちら
goo映画の情報が、わかりやすいので以下、引用してご紹介。
【第4の革命-エネルギー・デモクラシー】
<作品解説・紹介>よりあらすじ
本作は、ドイツを脱原発決定へ導き、再生可能なエネルギーへのシフトを決断させたドキュメンタリーで、2010年ドイツ全土で上映されると、その年のドキュメンタリー映画最高の13万人を動員し、2011年テレビで放映されたときには200万人が視聴した。ドイツ連邦議会議員やヨーロッパ太陽エネルギー協会会長を務めたヘルマン・シェーアは、大量の風力発電導入を促した1990年の“電力買い取り法”と、太陽光発電導入の起爆剤になった2000年の“再生可能エネルギー法”の2つの法律を制定させた中心人物である。そんなシェーアがナビゲーターとなり、太陽光、風力、水力、地熱など、再生可能な自然エネルギー源の可能性を伝えていく。ノーベル平和賞受賞者であるバングラディッシュの経済学者ムハマド・ユヌス、アメリカの起業家イーロン・マスク、国際的な人権活動家ビアンカ・ジャガー、デンマークで自然エネルギー活用の中心的役割を果たすコミュニティを設立したプレベン・メゴー、アフリカ・マリ共和国で自然エネルギーと環境保全に取り組むイブラヒム・トゴラなどが登場し、100%再生可能なエネルギーへシフトすることが可能であることを分析し、紹介していく。

「第4の革命」というタイトルの由来がわからずに観たが、私の場合は鑑賞に支障なし。後でネット検索してみたら、飯田哲也(著)『エネルギー進化論:「第4の革命」が日本を変える』(ちくま新書)にいきあたり、内容の概説のところにあった。「革命」といっても政治的な転換ということではなく、「自然エネルギーへの転換」を産業構造の転換という視点で、農業革命、産業革命、IT革命に次ぐ「第4の革命」と評するようだ。

この映画はそういう説明なしに、ナビゲーターのヘルマン・シェーアが再生可能エネルギーへのシフトが実現可能であるという話をし、それにからんでいろいろな人が登場する。ご一緒した人の中で、シェーアを「このおじさん誰?」というくらいの感じで観た方々の中にはわかりにくいという人もいた。まぁ、脱原発ということについてある程度は調べたり考えたりしている人向けのドキュメンタリー映画であるといえよう。

国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)のパリにある本部で取材に応じた主任研究員はしたり顔で「数十年のうちに再生可能エネルギーにシフトすることは非現実的だ」と語る。自身がここに転職してくる前はOPECで6年間働き、そこで専門知識を身につけたことが役に立っているということも自信を持ってしゃべっている。IEAがまさにどういう勢力の利益を代表する組織なのかを自分で明らかにしてしまっているのが実に皮肉だ。
その場面に続けて、シェーアは「石油などの化石燃料や、その代替として原子力エネルギーを使い続けたい勢力は、再生エネルギーへの転換を非現実的だと言い続けることで、転換をはかろうとする人々のやる気をなくさせようとしている」と指摘する。
まさに、そこである。それに反論するために、世界で再生エネルギーへの転換に本気で取り組んでいる人々を登場させ、志を持つ人々に勇気を与えようとする映画になっているのだ。

そういう人々が<作品解説・紹介>で列挙されているが、さらにドイツのような合理的なビジネスにこだわりそうな民族が実に多様な再生エネルギービジネスを展開しているのを見ると確信が強固になる。ドイツ人にできて日本人にできないわけがないじゃないかという気持ちが沸々と湧く。
さらに中国で太陽光発電の起業家である施正栄(シ・ジェンロン)が展開している事業も頼もしい。海を越えて中国の大気汚染物質が日本にどんどん流れてきているという現実を変える動きが、中国の若い世代の起業家がもっともっと増えることで強くなるはずと思え、エールを送りたい気持ちでいっぱいになった。)
さらに、マリ共和国のような発展途上国で電力を地方の農村などに確保して生活レベルを向上させている取り組みに目から鱗状態になった。それをバングラディッシュのグラミン銀行の投資が支えるという国を越えたマイクロクレジットの力にも感動!
先進国でも発展途上国でもまさに地域社会の中で再生可能エネルギーをつくりだして活用するということに確信をもつことが大事だと納得した。

今回は主婦連環境部の上映会だったが、今回の参加者が、さらに自分のところで自主上映をしようという動きにつながっているという話が私の耳にも入ってきた。ドイツの脱原発の世論に影響を与えるまでに草の根上映運動が広がった作品が、日本でもじわじわとそういう取り組みになりつつある。
3/11から一年という日が近づいている。「悲惨な経験をしてもやがて大方の国民が忘れてしまうのが日本人だ」と世界の志高い人々からあきれられないようにならないといけないと思う。
そのためにやれることを少しずつでもやっていく決意を固めている。
コメント ( 7 ) | Trackback ( 0 )


12/02/16 渋谷マメヒコの深煎りコーヒーにじんわり涙


風花が舞う中、Bunkamura近くにあるカウンセリングルームに行った後で、「マメヒコ渋谷」でコーヒーブレイク。
「たまごのなかみ」のmayumiさんが「下谷万年町物語」観劇前の腹ごしらえをされたという記事に触発され、2012年2/1より2/22午後2時22分までの限定で、季節の新メニューの「檸檬ケーキ」が飲み物とセットで注文すると220円になるというキャンペーン中で、それを食べてみようという計画を決行した次第。
おすすめメニューとしてプレートが置かれていたのは「深煎りコーヒー(マグ)とのセット」970円で、それを注文。冒頭の写真は食べるのを我慢して携帯で撮影したもの。
「カフエ マメヒコ」ホームページはこちら
パリパリのパイ皮に国産レモン(瀬戸内海の島産)で作られたクリームがたっぷりで、美味!
そして、マグカップに入った深煎りコーヒーをブラックのまま飲んだら、はからずも涙がじんわりしてきてしまった。檸檬ケーキの甘酸っぱさに深煎りなのにくせのないマイルドなコーヒーのナチュラルなおいしさに身体が反応してしまったという感じだった。

コーヒーを飲みながら、先日の勉強会の際に常連の研究者の方が書かれた賀川豊彦とその協働者の方についての論文の途中稿をいただいていたのを読む。関東大震災で被災した東京に活動拠点を移したキリスト教社会主義者の方々の生きざまへの論考に想いを馳せる時間に、とても心身の充足を感じた。

カウンセリングに出かける前に職場で頭にきたことが勃発。その怒りの感情がカウンセラーに話しただけではまだまだ消えなかったが、この満ち足りたコーヒーブレイクでようやく消え去った。

続けていく予定だったスポーツ会館接骨院へも、寒さでやめようかと気弱になっていたが、そちらにも行く気持ちになれた。
心身をほぐして帰宅。
明日は文楽第三部に職場の女性の先輩Iさんとご一緒する予定。文楽デビューのお手伝いをさせていただきます!
コメント ( 5 ) | Trackback ( 0 )


12/02/12 シアターコクーン リ・オープン「下谷万年町物語」千穐楽


しっかり間に合うはずの時間に起きていたのに、我ながら気後れしての失敗。アングラ系の芝居には疎く唐十郎作品は初見。どうも気が重く、宮沢りえを見るんだと言い聞かせながらもなんとなく出遅れた。千穐楽公演だというのに冒頭15分くらい遅刻してしまい、ちょっと落ち込む。コクーンシート右列通路近くの席に滑り込み、気を取り直してちゃんと観た。
Bunkamuraサイトの「下谷万年町物語」の特集ページはこちら
【下谷万年町物語】作:唐十郎 演出:蜷川幸雄
以下、あらすじを上記のサイトより引用。
昭和23年。上野と鴬谷の真ん中に位置する<下谷万年町>。住みついた男娼たちでにぎわい、電蓄から鳴るタンゴの曲で、ハエの飛び交う八軒長屋造りの町。上野を視察していた警視総監の帽子が盗まれる。犯人は不忍池の雷魚と呼ばれるオカマのお春率いる一味らしく、お春のイロだった青年・洋一(藤原竜也)が帽子を持って逃げている。それを追う破目になったのは、洋一と同じ6本目の指を持つ不思議な少年・文ちゃん(西島隆弘)。洋一と文ちゃんが出会った時、瓢箪池の底から男装の麗人、キティ・瓢田(宮沢りえ)が現れる。彼女は戦争中にはぐれた演出家の恋人=もう一人の洋一を探していた。キティは、洋一、文ちゃんと共にレヴュー小屋「サフラン座」の旗揚げを決意する。それぞれの物語は、瓢箪池の中で時空を越えて交錯し、思わぬ結末に向かっていく―!!
他の主な出演者は以下の通り。
六平直政、金守珍、大門伍朗、原康義、井手らっきょ、柳憂怜、大富士、沢竜二、石井愃一、唐十郎 他

ところは下谷万年町。舞台手前には緑色の本水の瓢箪型の池。奥には八軒長屋の装置が並び、オカマの群れがいて、「軽喜座」として「娼夫の森」という芝居の再演をしようとしている(本当に「男娼の森」という芝居があったらしい)。座長の情人であり小道具係の洋一が池から真っ白なタキシード姿の女キティ=お瓢を救い上げる。
緑色の水の中から白い衣装の美しい女が現れるという、奇妙で美しい場面に度肝を抜かれて一幕目の幕切れ。

二幕目冒頭で、キティが元SKDの男役で、恋仲で「サフラン座」をともに立ち上げようとしていた演出家の洋一と空襲で離ればなれになり、消息がわからないまま絶望しての身投げだったのを救ったことが判明。洋一、文ちゃんとともに再び舞台に立つことを決意。警視総監の帽子を持っていることをオカマたちにちらつかせ、「サフラン座」と「軽喜座」の合同公演にするためにイニシアチブをとろうとする。
しかしながら、オカマたちのリーダーのお市により、キティがヒロポン中毒で入院させられていたのに空襲で逃げ出したままであることを隠していたことが暴かれる。合同公演は実現しないまま、洋一は行方不明となり、後に誰かに殺されているのが見つかる。
キティは絶望して姿を消し、一人残った文ちゃんは大人になってもその時のことを引きずっている(限定出演の唐十郎も大人の文ちゃんで登場)。キティはどうやらストリッパーに身を落とし、ヒロポン中毒で死んだらしい。少年の文ちゃんが再登場すると、大人の文ちゃんを瓢箪池に叩き込む。するとその池からキティが洋一をおぶって現れ、「文ちゃん、行こう」と手を差し伸べ、指と指をからませる。オカマたちの猥雑に逞しく生きる姿もかぶっての幕切れはまさに幻影なのだろう。

実にわけのわからない芝居だった。わかろうとしてはいけない芝居なのかもしれない。やはり私にはちょっと苦手系の作品(^^ゞしかしながら、戦後の日本の東京で実際にこういう状況があったことをさらに膨らませたイメージ作品なのだろうと理解した。
6本目の指を切り落として生きている人物という設定には、「さらば、わが愛 覇王別姫」の蝶衣を思い出してしまったが、普通の人と違うように生まれついたことで、心が過敏で傷つきやすい人間になっているという設定なのかもしれない。

とにかく、宮沢りえが素晴らしい。NODA・MAPの舞台「ロープ」と「パイパー」で観ていてわかっているものの、その後に子どもを産んだのに衰えを感じさせない身体の動きのキレのよさに感嘆。あの細い身体で八軒長屋の装置にあふれるオカマたちをすり抜けて走り回る走り回る!
SKD出身の男装の麗人ということで、それらしく踊ったりもするし、心情を吐露する歌も唄う。音程をはずしたりもするが、台詞代わりと思えば気持ちが乗っているので聞いていて苦にもならない。「ロープ」で組んでいた藤原竜也とは今回も絶妙なからみのよさを見せるし、若手の西島隆弘との3人の息がぴったりなのが、観ていて実に気持ち良かった。

蜷川作品常連の役者たちによるオカマ軍団は、実に気持ち悪くて面白く、一人一人を双眼鏡でアップにして見る楽しさあり。特に六平直政のお市が迫力たっぷりでよい。「エレンディラ」の時の瑳川哲朗の猛烈ばあちゃんを彷彿とした。

千穐楽でカーテンコールは熱く盛り上がる。早いうちから嵐のような手拍子となり、蜷川と初めて組んだ宮沢りえは感無量という感じで涙ぐんでいたし、唐十郎にやっぱり蜷川幸雄も下手の袖から引っ張り出されて何度もカーテンコール。
ついには瓢箪池に宮沢りえをはじめ、主役3人も放り込まれての大騒ぎになってしまった。コクーン歌舞伎みたいだと思ったが、そういえば、勘三郎が若き日に唐十郎の舞台を観て血をたぎらせていたんだっけと、そのつながりに納得してしまった。
リピートしたい作品ではないけれど、一見の価値が十分あった舞台だった。冒頭をやっぱり観たいから、TVでオンエアしてくれないかなぁと切望。

(2/14追記)
ヒロポンについては、プログラムに戦争中に軍需工場で使われたものが戦後放出され、疲労回復剤として合法に使われており、後に覚醒剤として禁止されたとあった。日暮里に住んでいた母親の従姉が中毒になり、やめさせるのが大変だったし、早くに亡くなってしまったという話を聞かされていたので、妙に他人事でなく考えさせられた。ヒロポンは、心の弱さを誤魔化して生きるために使われ、その注射器が「6本目の指」に見えるように重ねているようにも思えた。

そして、最近、職場近くの公演の掲示板に「ヒロポンあります」の貼り紙をみつけてびっくりしていたことや、自宅マンションのポストには「合法ハーブショップ」のミニチラシも入ってきて驚いたことにも重なる。この不安が渦巻く時代に、心が折れそうになると覚醒剤や麻薬に逃げたいという誘惑とそれに抗しきれない人々が増えてしまうのだろう。
不安な世の中は「独裁者」への渇望も強くなる。ドラッグや独裁者に頼りたいという空気をこそ変えていきたい。変えていけなければ、本当に恐ろしいことになってしまう。励ましあうネットワークこそ、なんとか作り出していきたいと思っている。
コメント ( 6 ) | Trackback ( 2 )


12/01/14 新春浅草歌舞伎第二部「敵討天下茶屋聚」で亀治郎を堪能


今回で亀治郎・愛之助は「新春浅草歌舞伎」を卒業。その二人が芯になる第二部「敵討天下茶屋聚」もしっかり書いておこう。
「新春浅草歌舞伎」の公式サイトはこちら
以下、冒頭に上記のサイトからのみどころを引用。
【猿之助四十八撰の内 通し狂言「敵討天下茶屋聚」】
序幕 四天王寺の場より大詰 天下茶屋村敵討本懐の場まで
第2部は江戸時代に大坂で実際に起きた事件を元にした傑作仇討狂言、猿之助四十八撰の内『敵討天下茶屋聚』を通しで上演致します。東間三郎右衛門に父を騙し討ちされ、お家の重宝を奪われた早瀬伊織と源次郎兄弟は、安達弥助と元右衛門兄弟を供に敵の行方をたずねる旅をしています。
元右衛門は、早瀬兄弟に仕える誠実な家来かと思えば酒乱となり、敵側に寝返った後は残忍さをみせつつ同時に滑稽さや小心さも持ち合わせている見せ場の多い役です。亀治郎は片岡造酒頭とともに二役を勤めます。元右衛門が大詰で客席を縦横無尽に逃げ惑う、熱気溢れる市川猿之助ならではの演出にもご期待ください!
主な配役は以下の通り。
安達元右衛門/片岡造酒頭=亀治郎
東間三郎右衛門=愛之助 安達弥助=男女蔵
早瀬伊織=亀鶴 妻染の井=春猿
早瀬源次郎=巳之助 許嫁葉末=壱太郎
人形屋幸右衛門=薪車 奴腕助=段一郎
「敵討天下茶屋聚」は昨年5月に幸四郎が二役をつとめた舞台で初見。その安達元右衛門と東間三郎右衛門の役は亀治郎と愛之助がそれぞれつとめ、亀治郎の二役目は片桐造酒頭。役者の組合せによって配役も脚本も変えてしまうのが歌舞伎の面白さだ。

この芝居が当たったのは、座頭役者が小悪党の安達元右衛門を面白く魅力的に演じたからで、今回のようなバージョンが主流。亀治郎が金丸座で初演して好評だったということなので、今回一番期待の演目だった。
東間三郎右衛門は、仁木弾正を演るような役者のニンの役。愛之助が好演し、仁木も是非観たいと思ってしまった。片岡造酒頭の亀治郎と遭遇して深編笠をとって二人で極まる場面も堪能。なるほど、こんな風に二枚看板を配役するのかと納得してしまう。

物語の軸になっている敵討ちの主人公の源次郎と許嫁葉末を巳之助・壱太郎の若手コンビがつとめているのが健気な感じでよく、兄伊織の亀鶴とその妻染の井の春猿もよい。早瀬兄弟の郎党の安達弥助の男女蔵が情の深い脇役をみせてくれているのも嬉しい。

しかしなんといっても亀治郎の安達元右衛門がいい。元々は悪人ではない。酒にだらしなく、そのしくじりで成敗されても仕方がないところを赦され、まともに生きようとしていたのだ。その弱点につけこまれ、無理矢理に酒を飲まされて主人を裏切るように仕向けられてしまうところは可哀想でもある。しかしながらそこで開き直って悪の道に踏み込んでいく。
東寺貸座敷の場で、軒の藤棚の上づたいに引き窓から忍び込もうとする時、猫の鳴き声をして誤魔化そうとするが、まさに猫のようなしなやかな動きも感心至極。忍び込んだ末に男女蔵の実直な兄の弥助を殺してしまうことで悪人ぶりが極まる。

元右衛門が東間三郎右衛門にとりたてられて、偉そうになっているところも笑える。とうとう源次郎たちに見つけられ、客席の中に分け入って隠れたりしながら逃げ回る亀治郎に客席は沸きに沸く。ここをたっぷり楽しませるのが澤瀉屋版ということらしいが、楽しいといったらない。ついには源次郎に討たれるが、染の井の袖を離さないので春猿が笑いを堪えきれないでいる。ここはワルノリのしどころのようだ。
そういう人間の弱さ、愚かしさ、滑稽さを体現する人間くささたっぷりの小悪党でどれだけ観客に憎めないと思わせるかというので役者ぶりが試される。この元右衛門を、軽やかに手足の指先まで細やかに愛嬌たっぷりに見せてくれることで、この芝居の面白さもぐっと増した。

ついに東間に敵討ちをというところで、とりたてられた殿の代参を盾にとられるが、捌き役として片岡造酒頭の亀治郎が颯爽と登場。敵討ちができるように取り計らい、見事に敵討ちがなり、「本日はこれぎり~」と居並んでの幕切れ。
愛之助を東間にしての二枚看板的な配役ではあるが、やはりこの演目も亀治郎が座頭格ということで、浅草の卒業+猿之助襲名披露に向けての大きなステップとしての舞台となっていた。
いよいよ6月の猿之助襲名が楽しみになってきた。

1/8の「新春浅草歌舞伎」第一部の記事はこちら
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


12/02/06 大河ドラマが面白い+今月の観劇などの予定


昨年のNHK大河ドラマ「江」は好き嫌いが分かれたようだが、私は「漫画大河ドラマ」という感じで楽しめた。上野樹里人気にうまく乗れたかどうかは疑問だが、私自身は「のだめカンタービレ」ファンでもあるし、大河ドラマもいろいろなタイプがあってよいと考える方なので全く問題なしだった。夜8時というとちょうど食事の用意時だったりして録画をあとから見ることも少なくなく、じっくり味わえずにデッキに残っていたものを日曜日のお昼時などに観てから消去するということを繰り返している。
先日も「江」の最終回の前の回「息子よ」を観て、北大路欣也の家康と向井理の秀忠の父子がようやく気持ちを通わせる場面で泣かされた。
「父として私をどう思っているのか」と聞いた秀忠に、「可愛いのよ、可愛くて仕方がないから世継ぎにするかどうか迷った」というように答え、「ようやく言えたがや」と尾張弁になるところで涙腺決壊(T-T)
その言葉にようやく秀忠も父の愛を受けとめて「父上を喪うのが怖ろしくなった」と言う。父と子を二人にして障子の影で控える江もまた涙を流すという展開が胸を打つ。
秀忠と江の夫婦が長男の竹千代と親子としての気持ちを通わせることにつなげる脚本は、実にうまくできていたなぁと感心至極。宮沢りえと太賀が淀の方と秀頼の親子関係をドラマチックに見せたし、「江」は親子関係(母とも娘とも)で悩み多い我が身に引き寄せてしまい、けっこう堪能できてしまった。

さて、今年の大河ドラマ「平清盛」も面白い。昔昔の「新平家物語」と違って、綺麗綺麗の歴史絵巻ものでないところが実によい。松山ケンイチ贔屓でもあるが、育ての父の中井貴一との父と子のドラマが見応えあり。白河上皇が実の父ということをあからさまにしていて、その物の怪のようなDNAを受け継いだ清盛という設定が面白すぎだ。伊東四朗の怪優ぶりがドラマの起点となっているのも快哉!1年間しっかり楽しませてもらえそう。

さて、以下は今月の観劇などの予定。
4(土)国立小劇場:二月文楽第一部・第二部を通し鑑賞
8(水)プラザエフ:ドキュメンタリー映画「第4の革命」=ドイツの脱原発の世論に影響を与えるまでに草の根上映運動が広がった作品をようやく観ることができる!
10(金)職場有志の勉強会の今年度第3回例会=頑張って勉強します!
11(土)さいたま市営霊園「思い出の里」で石屋さんと打ち合わせ
12(日)シアターコクーン:「下谷万年町物語」=唐十郎×蜷川幸雄の世界に初挑戦!宮沢りえをはずせないのでしっかり観るが、話の内容は大丈夫かしら(^^ゞ
17(金)国立小劇場:二月文楽第三部=職場の女性の先輩Iさんの文楽デビューをお手伝い!
19(日)新橋演舞場大歌舞伎昼の部
25(土)新橋演舞場大歌舞伎夜の部
26(日)彩の国さいたま芸術劇場:さいたまネクストシアター「ハムレット」=こまどり姉妹も初見!

ご一緒する皆様、よろしくお願いしま~す(^O^)/
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )


12/02/04 文楽初日を鑑賞、源大夫さん途中降板にびっくり!


実家の母のインフルエンザ騒動で寝るのが遅くなり、国立劇場の文楽初日、第一部は少々遅刻したものの、「彦山権現誓助剣」は杉坂墓所、毛谷村、敵討ちの場までの半通しを楽しんだ。
2月は三部公演なので、第一部と第二部を通しで観る場合、その間の40分に3階の食堂「十八番(おはこ)」で「十八番ラーメン」を食べるのを昨年に続き今年も実行。ところが、今年のラーメンは具の乗り方が貧弱な気がした(冒頭の写真)。思わず昨年の写真と比較してみる(下の写真=プログラムの表紙は「蘆屋道満大内鑑」の葛の葉狐)。蒲鉾の色と並べ方の違いくらいか。それにしてもショーウインドウのサンプルとの差が大きいなぁときっと昨年と同じことを思っているんだろうなぁと苦笑(^^ゞ


さて、本題。
第二部は「義経千本桜」で人間国宝が揃うので、チケットの売れ行きも格段によい。そのすし屋は切り場語りが住大夫、源大夫と続く。少々こま切れのような気もするが、源大夫襲名披露公演でも体調不調で口上のみとなっていたくらいだから、仕方がないのだろうなぁと思っていた。
住大夫・錦糸の後を受けて、源大夫・藤蔵が登場し、久しぶりの親子の義太夫が聞けるなぁと思っていたら、源大夫の声が下手の一番に座っていた私のところまで届かない。字幕もよく見えない位置で困ったなぁと思いつつ、字幕も双眼鏡で覗きながら忙しく観ていた。
いつもと違って、お茶を運んで床の傍に控えていたお弟子さんが床に上がったのでオヤっと思ったら、床に下がる扉が開き、源大夫さん、降板で支えられて退場していく姿にびっくり!
やっぱり、体調がお悪いようだ。
こうして途中降板されるのを目撃し、床で藤蔵が一人で一の糸を鳴らしているのを見ていたら、なんだか目頭が熱くなってしまった。その続きは裃なしで英大夫が代演された。

先に松香大夫も病気休演で咲甫大夫の代演も決まっていた。ご高齢の大夫が体調を維持して舞台をつとめられるのはやはり大変なことなのだと実感。
舞台で再びお元気な姿を見せていただけることを祈念しています。

それと、コメントをいただいているのに、お返事が遅れていて恐縮至極です。気力体力を取り戻し、明日お返事させてくださいませm(_ _)m
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )


12/02/03 母がインフルエンザで24時間ケアコールを初利用等の騒動


越谷市に一人暮らしをしている母が、先週水曜日の「老人のお風呂の日」で銭湯に行き、いつものお仲間と楽しく過ごした後、雪の凍結道を迂回したら30分ほど道に迷い、すっかり湯冷めして帰宅して風邪をひいた。手持ちの風邪薬を飲み切ってしまい、1/28土曜日にかかりつけの医者で薬をもらってきて飲んでいた。翌日曜日に私が実家に行って墓石についての相談をしてきた時は、まだ治りきらないと言いつつ、駅前まで食事に出かけられるくらいだった。

ところが火曜日くらいから咳がひどくなり、リハビリを休んでいたら38℃を超す熱が出たという。2/3金曜日の朝7時頃、熱が下がらないし、お粥くらいしか食べられていないから土日のどちらかに来てほしいと携帯電話で連絡をしてきた。
土日を待っていい事態じゃない、私は仕事を休めないし、どうしても一人で医者に行けないなら24時間ケアコールを使って通院介助サービスを受けて、今日中にちゃんと医者に行くように説得。どの医者に行ったらいいかわからないとか愚図愚図いうので、それもケアコールの担当者に相談しなさいと厳命!!とにかく仕事が終わったら実家へ直行してあげることを約束して、当人に頑張ってもらうことにした。

出勤してから何回か電話をしても、家電も携帯も両方出ない。こりゃあ多分ちゃんと医者に行ったらしい。妹1、妹2の両方にそういうことにしておいたと電話連絡もしておいた。

午後にケアマネージャーに連絡したところ、やはりケアコールを利用して通院介助してもらい、週2回通所リハビリに通っているクリニックの院長が内勤の日だったところに行ったと聞いているとのこと。ちょうど、母への訪問予定日だったこともあり、自宅に戻った頃に連絡をとって、訪問ききとりをしてくれていた。

仕事の後、JR四ツ谷から秋葉原、日比谷線→乗り入れの東武伊勢崎線経由で実家へ。途中で電話を入れたら、「注射してもらってタミフルを飲んだらすぐによくなったの」と元気な声。食欲も出てきて「刺身と豆腐を買ってきて」というので、こちらは・・・・・・状態。
駅前のスーパーの売り場によさそうな刺身がないので、母のベッドサイドにある携帯電話にかけて聞くと「豚の生姜焼きができるお肉を買ってきて」という。
生姜焼き用の肉だと厚すぎるので薄切り肉で生姜醤油で焼くことにして、大根・人参・油揚げの味噌汁とご飯を炊いて食べさせたらすっかり満足したようだった。

しかしながら、24時間ケアコールがすぐにつながらなかったとか、3000円は高いとか、けっこう文句ばかり言ってくれるので、値段はそんなに高くないよとか、すぐにつながらないのは改善してもらいたいねとか対応した。「せっかく3000円も出すのであれば、もっと本当につらい時に頼めばよかったね」とも言っておいた。母の金銭感覚はちょっとずれているので、疲れる疲れる(溜息)。

まぁ、今回は24時間ケアコールを初めて使ってみたということで、一歩前進だ。介護サービスもいろいろあるが、その一つ一つを本人が利用しようと決断するまでがけっこう大変な決心がいるようなので、叱咤激励しながらということになる。
長い看取りの真っ最中ということで・・・・・・。

最後に冒頭の写真の説明をば。
洗い物も片付けて、帰宅する途中の東武伊勢崎線の新越谷駅での乗り換えの前に、スカイツリータウンの営業まであと109日という電光掲示板付きの看板を見つけて撮影したもの。歌舞伎座閉場までのカウントダウンの看板を思い出すなぁ。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )