ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

12/12/31 「年忘れ」ではなく忘れずに望年する!

2012-12-31 23:59:54 | つれづれなるままに

毎年毎年、実家の母の年越しの相手を誰がどのようにするかで姉妹3人が相談し、直前に決まる。しかしながら、今年は妹2が名古屋の妹1の家に一人で行って年越しをするという。娘と2人で実家に泊りこむよと母に連絡したら、お断りされた。孫娘が一緒だと気を使うのでそれなら一人が気楽だという。
元日は映画の日なのでそこで一緒に「大奥」を観ることにして、大晦日は久しぶりに我が家で過ごした。(昨年の顛末記はこちら)

年末に娘は大学の友人と夜行バスの往復と現地素泊まり一泊で京都旅行に行ってきて、そのお土産のお菓子を届けに30日のランチを一緒にしてきた。その後の買い出しはどしゃ降りの中となり、けっこうぐったり。年末年始の録画のためにHDDの容量確保のため、勘三郎の追悼番組をBRにダビングする作業をしていたら、NHKの京都南座顔見世大歌舞伎のオンエアを忘れてしまった。

大晦日、久しぶりに二度寝の寝覚めの夢の記憶。「年忘れ」というくらいで、日本人は嫌なことを忘れてしまおうとする意識が強すぎる国民性なんじゃないか・・・・・・とか、夢の中でいろいろ考えていたらしい。大晦日のTV番組は「年忘れ・・・お笑い・・・」とか「年忘れ・・・○○の歌」とかが多く、またまた考える。

今年は香山リカさんのお話を聞く機会があったが、人間はつらいことにあうと忘れようとする自衛本能が働くのだという。しかしながら潜在意識にはつらかったことが残るので、それを本当に克服するためにはつらいことに向かいあって乗り越えることが必要なのだとのこと。自分の力で乗り越えられなければならないけれど、専門家がそのサポートをする必要があるということだった。
その香山さんが、東日本大震災から1年ちょっとで日本人の多くは忘れてしまおうとしているんじゃないかと指摘していて、その通りだと思った。

また、日本人は、先の戦争についてきちんと向かい合って国民全体で乗り越える経験をもつことができなかった。日本を二度と戦争しない国にするという国際世論を執行すべくアメリカのGHQがとっていた日本民主化の政策は、国際情勢の変化で(中国に共産政権樹立等)転換し、日本の教育内容は日本が近現代にしてきた歴史をきちんと教えないでよいことになってしまったからだ。
その後、安保闘争などの盛り上がりは一時期あったが、結局はそういう戦後60数年を経てきたわけだから、中国や韓国の人びとが日本にされたことの歴史教育との差が世代を重ねれば開くばかりだろう。原子力政策についてもアメリカの核政策のもとにあるわけだから、近現代史をきちんと学ばなければ考えていく材料がなさすぎるだろう。

野田秀樹のNODA・MAP公演「エッグ」でも、そのことを痛烈に皮肉る内容だった。「過去に背を向けよう」という台詞が胸につきささっている。井上ひさし亡きいま、社会的なメッセージをストレートに盛り込める作家の第一人者だと思う。

東日本大震災のことも、復興だけでなく脱原発の推進をしていって欲しいが、小選挙区制の歪みからできた新政権にそのまま任せるのは危険きわまりない。自分にやれることをやっていくしかない。こんなところで言いたいことを書くのもその一つだと思っている。

大晦日は、大掃除ならぬ小掃除のあと、酒のつまみの買い出しに行き、紅白歌合戦を見ながら娘と酒盛りをした。京都旅行で伏見の酒蔵もめぐってきた娘は純米大吟醸の原酒を目の前で瓶詰めしたものを抱えて帰ってきた。それと先月の私の福井の土産が「一本義」純米吟醸。酒盛りを終えての撮影。大瓶ではなく300mlとかの小瓶(^^ゞ
紅白歌合戦は、過去の司会経験者二人の追悼ということで森光子、中村勘三郎の遺影をしょって和田アキ子が「この愛、届きますか」を熱唱。リハで2回とも泣いてしまった和田が涙をこらえて歌っているので音程がふらついている。私も目頭が熱くなってしまう。
勘三郎が森光子をしょった舞台写真も映し出されていたが、あれは2007年の「寝坊な豆腐屋」の時のものだ。
福山雅治の年越しライブからの中継で、猿之助と中車が襲名披露をするということは早くから話題になっていたが、二人の口上だけでなく、会場で二人のダブル宙乗りまでやってくれた。福山雅治デザインの祝い幕もポスターの背景の画像も使われていて、懐かしい。襲名披露公演「ヤマトタケル」の記事に関連のリンクあり

歌舞伎界の2012年の2つの大きな出来事、澤瀉屋の襲名と勘三郎追悼の両方が紅白歌合戦にまで盛り込まれてしまった。人間国宝になった玉三郎も司会の嵐メンバーによる各界の方々へのインタビュー映像で登場していたし。
全てのつらかったことも忘れずに、自分の中に取り込んで、新たな年に望みをもっていこうと思う。

さて、以下に年越しそばの写真もアップ。我が家は関東風の天ぷらそばではなく、京風のにしんそばにする。生協の年末企画でにしんの甘露煮を忘れずに買う。今年もやっぱり美味しかった。

12/12/29 ロック関係写真集等にサヨナラの報告(^_^)/~

2012-12-29 23:59:38 | つれづれなるままに

本日12/29(土)は休んでしまおうと思っていたが午後から出勤。12月末日消印有効の資格申請書類の提出を先にして、11月の研修受講の修了論文作成が後回しになっていた。締め切りは年明け1/10なので、とりあえず年内に書き終えようと思っていて、昨日頑張ってはみたが途中となってしまい、今日の仕上げとなった。400字で10枚程度のところをかなりの字数オーバーとなったが、年明けに削り込むとして、事実関係の確認を関係者にお願いするメールを出して、本年の仕事納めとした。

さて、実家の母に物を処分して減らすように強く迫っている手前、自分も少しずつ物を減らさないといけないと決意して、この年末に少しは実践した。先日は漫画の「犬夜叉」を大量処分したが、年内の目標としてあと2ヶ所に本の買い取りを依頼。
冒頭の写真は高校時代にハマっていたロックバンドの写真集の中の3冊。1978年とか1979年のものだ。
実家にあったものを引き取ってきて、ロック関係グッズの専門店をネット検索して探し、メールで手持ち分の一覧を送り、電話で問い合わせを入れてみたら買い取ってくれるとのこと。
店長さんが「コンサートのプログラムにはチケットの半券とかが挟まっていませんか?」というので、調べたが残念にも見つからなかった。半券が一緒だと一気に価値が上がるのだそうだ。内容的にけっこう持ち込みが多いもので需給バランス的にそんなに高くは買い取れないということで、送料は自己負担と決まる。郵便局に持ち込んでゆうパックで送った。

送ったのは以下の約20点ほど。
QUEENジャパンツアープログラム(1975年、1979年各1冊)、『Rock Fun』No.4:QUEEN クイーン写真集、『音楽専科』増刊:QUEEN★クイーン、栄光への美学★、『ミュージック・ライフ』臨時増刊:伝説のクイーン(ジャパン・ツアー1979)、『ミュージック・ライフ』臨時増刊:華麗なるクイーン、KISSジャパンツアープログラム(1978年)、『ミュージック・ライフ』臨時増刊:キッス!キッス!キッス!、『ミュージック・ライフ』臨時増刊:KISS大百科事典、『Deep Purple 写真集』(シンコー・ミュージック)、『斉藤洋一 写真集』(ロッキング・オン増刊 1978夏)、『THE BEATLES SCORE』(シンコー・ミュージック)、映画「レッド・ツェッペリン狂熱のライブ」のプログラム、オリビア・ニュートン・ジョン ジャパンツアープログラム(1978年)、アバ ジャパンツアープログラム(1980年)、『カレン・カーペンター 栄光と悲劇の物語』(福武書店)、『尾崎豊 心の旅』(麻布台出版社)、等
オリビアとアバは妹1の分だったと思う。

さて店長さんが現物確認の上でメールで連絡をくれた見積もりはというと、「状態は全体的に良い・並、シミ有などでした。買取金額合計¥2200となりました。」とのこと。
私の返信は以下の通り。
「ただ処分してしまうのはやはりもったいなく、関心のある方にお役立ていただければと考えて送らせていただきました。ご確認いただき、買取金額合計¥2200 とのこと、了解しました。ロックの専門の貴店でお役に立てていただければ幸甚に存じます。」

ゆうパックで1000円かかっているので、差し引きすれば1200円ということだが、ごみにしてしまうのももったいない。欲しい人にリーズナブルプライスで行き渡るためには少しはお役に立ったのではないかと思う。こういう自己満足も大事かなぁ(^^ゞ

他にもう1箱分の各種書籍をアマゾンで買った商品と一緒にチラシが入っていた「本棚お助け隊」に送ってみた。こちらはカラーボックス1箱分が入るダンボールと着払い伝票も送ってくれるいう12月末までのキャンペーン中ということだったので、電話でお願いして取り寄せておいた。そこに娘のオタ本ともども詰め込んで送ってすっきり。ネットで評判をみるといろいろな情報があるが、私としては引き取っていただいただけで有難く、査定で値段がつかなくってもいいやという感じかな。
とにかく、本はごみに出すのもくくらないといけないし、体力が衰えてくると大変な作業となる。私は車の運転もできないので自転車に乗せられない量になると宅配便をお願いできる方法は有難い。

12/12/27 十八代目中村勘三郎の本葬の報道にやっぱりまた泣く(T-T)

2012-12-27 23:59:54 | つれづれなるままに

本日午後いちで、今月いっぱいで締め切られる資格申請の書類を郵便局に提出し、ひと息つく。
昨年11月の散策で行った築地本願寺で、今頃は十八代目中村勘三郎の本葬だなぁと思いを馳せた。

娘は大学の友人と夜行バスの往復で京都に行っているので、自分のやりたいところまで仕事をすると帰宅は遅くなる。観劇でフレックスで早上がりした分の時間調整になるから別に残業ではないけれど。

夜11時過ぎからの「NEWS ZERO」でようやく本葬の報道を見た。勘九郎の胸に抱かれた遺骨は、朝一番に昨年から今年にかけて平成中村座ロングラン公演をした隅田公園で御神輿に送られ、松竹本社前、新橋演舞場前を通り、工事中の新しい歌舞伎座の中にも入り、築地本願寺へとなったらしい。
同い年の三津五郎、仲良しだった大竹しのぶの弔辞の一部が映されたが、泣けてしまう。

松竹の歌舞伎公式サイト「歌舞伎美人」に掲載された葬儀告別式の記事はこちら
ミクシィのマイミクさんの記事への情報コメントに「ニコニコニュース」に6人の方の弔辞全文がアップされているとあって、読ませていただいたらもうボロ泣き・・・・・・。
以下、リンクでご紹介させていただく
①迫本淳一・松竹社長 http://news.nicovideo.jp/watch/nw473452
②坂田籐十郎丈 http://news.nicovideo.jp/watch/nw473480
③坂東三津五郎丈 http://news.nicovideo.jp/watch/nw473575
④大竹しのぶさん http://news.nicovideo.jp/watch/nw473616
⑤野田秀樹さん http://news.nicovideo.jp/watch/nw473707
⑥片岡仁左衛門丈 http://news.nicovideo.jp/watch/nw473728

野田秀樹が「人はただ簡単に君を天才と呼ぶけれど、いつも楽屋で本から雑誌、資料を読み込んで、ありとあらゆる劇場に足を運び、吸収できるものならばどこからでも吸収し」と言っているが、2009年1月の赤坂ACTシアターで「リチャード三世」を観た時にも遭遇し、お話しさせていただいたのを思い出す。
上記のリンク記事は、そのうちになくなってしまうと思うので、三津五郎の弔辞から一部引用させていただく。

 長い付き合いでしたが、性格があまりに違いすぎたせいか、ケンカをしたことがありません。芝居も踊りも持ち味が違い、20代から8回も演じた棒縛。はじめの頃は、お前たちのようにバタバタやるもんじゃない、春風が吹くようにフワッとした感じでやるものだと、諸先輩から諸注意を受けましたが、お互いに若く、負けたくないという心から、なかなかそのようにできなかった。
 それが、お互いに40を超えた7回目の上演のとき、「やっと先輩たちの言っていた境地の入り口に立てた気がするね」と握手をし合ったことを忘れません。長年の経験を経て、お互いに負けたくないという意識から、君には僕がいる。僕には君がいるという幸せと感謝に生まれ変わった瞬間だったように思います。
(中略)
いまでも目をつぶれば、横で踊っている君の息遣い。いたずらっぽい、あの目の表情。躍動する体が蘇ってきます。肉体の芸術ってつらいね…。そのすべてが消えちゃうんだもの。本当に寂しい…、つらいよ…。でも、その僕のつらさより、もっと、もっとつらい思いをして、君は病と闘ったんだよね。苦しかったろう…、つらかったろう…。いま、少しでも楽になれたのだとしたら、それだけが救いです。
 そんな大変な手術をするのに、僕が初めて挑戦した一人芝居を気遣ってくれて、「観に行けないけれど場所を頑張ってね」と、メールをくれた君の優しさが、残された文字を見る度に胸に突き刺さります。
 君がいてくれたおかげで、この56年間、本当に楽しかった。ありがとうね、哲明。君は交友関係も広く、活動の場も広かったから、さまざまな人の心に、さまざまな思いを残したと思うけど、僕は50年間一緒に芸を勉強し続けた友人として、不屈の信念で体に宿った魂。人の何倍もの努力によって培った芸のすごみで、誰にもマネのできぬ芸の境地に立った歌舞伎役者だったことを、伝え続けたいと思います。
 君のマネはできないし、やり方は違うかもしれないけれど、(勘九郎の本名)雅行くん、(七之助の本名)隆行くん、七緒八くんと一緒にこれからの歌舞伎をしっかり守り、戦い続けることを誓います。
 これで、しばらくは一緒にやれなくなったけれど、僕がそちらに行ったら、また、一緒に踊ってください。そのときのために、また、けいこしておきます。

二人が組んで踊る素晴らしさは、「演劇人祭」の素踊りの「三社祭」や「舌切雀」での踊り比べのシーンなどで観ている。持ち味の違いがお互いを引立てあって惚れ惚れしたものだ。
一人芝居って、「芭蕉通夜舟」だよね。稽古中に励ましていたんだね。
歌舞伎座新開場杮葺落四月大歌舞伎で「お祭り」に「十八世中村勘三郎に捧ぐ」と銘打たれたのを見ただけで目頭が熱くなる。鳶頭で踊るのも三津五郎。
もしもコクーン歌舞伎で追悼公演をするのであれば、三津五郎に「佐倉義民伝」の宗吾をやってもらいたいな。

参列者は1万2千人にもなったという。本当に多くの人に愛された役者さんだったんだなぁ。私も大好きでした。舞台を観るといっぱい元気をもらえました。
こんなことを書いていたらまたボロ泣き状態になり、いただいている皆さんのコメントにお返事ができなくなりました。明日以降、頑張りますm(_ _)m

12/12/24 クリスマスイブに観た映画版「レ・ミゼラブル」で目が痛くなるほど泣く(T-T)

2012-12-24 23:59:25 | 映画(映画館、DVD、TVを含む)

クリスマスイブに女子高仲間とのランチ会で、さいたま新都心のデニーズに集合。今日は3人となったが、家族やら仕事のことやら近況を話し込む。
娘は大学の友達と2人で先に映画版「レ・ミゼラブル」を観終わり、携帯にメールが届いた(私はその次の上映会で観るため)。
「ハンカチ忘れないようにね!」
あっ、ハンカチないかも?と騒いでいたら、玲小姐さんがお懐紙をわけてくれた。感謝!

【映画版「レ・ミゼラブル」】
ミュージカルの「レ・ミゼラブル」は、日本初演の大阪公演から長く観ていたが、20周年記念公演で封印としていた。その20周年スペシャル公演の鹿賀丈史ジャベール東京最後の公演のカーテンコールの記事はこちら←こちらに2005年公演のまとめ記事のリンクあり
「レ・ミゼラブル」の映画はリーアム・ニーソン主演版も観ていたが残念ながら満足できず、ミュージカル版の映画化を待ち望んでいた。

公式サイトはこちら
海外盤のCDを買って聞きこんでいた時期もあるので、英語の歌詞も懐かしい。
冒頭のツーロンの囚人たちの「Look Down」から目頭が熱くなってしまう。そういえば、原作でもジャン・バルジャンの強制労働の現場は船だったっけと思い出す。ヒュー・ジャックマンのバルジャンがラッセル・クロウのジャベールに仮釈放を告知される最初のやりとりの歌のレベルにホッとして、安心して観られるなぁとより深くスクリーンの世界に入り込む。
司教様は初演のバルジャンのコルム・ウィルキンソンというキャスティングを知っていたので、見覚えのある顔と声に嬉しくなる。そうか、海辺の司教館というのもビジュアルで観ると感慨深い。

その後、モントルイユ=シュル=メールで事業を成功させ市長にまでなっていたバルジャンの工場で働くファンテーヌのアン・ハサウェイ。美人の上に歌がいいのでまたまた嬉しくなる。「I Dreamed A Dream」の切なさといったらない!アンの母が長く舞台でファンテーヌをつとめたということで母娘二代で同じ役を演じるというのは運命的なものを感じてしまう。
モンフェルメイユのテナルディエ夫婦の宿屋に預けられたコゼットの配役に感心至極。原作の挿絵に使われた絵のコゼットにそっくりな子役のキャスティングだ。コゼットをいじめぬく妻役のヘレナ・ボナム=カーターの怪演にも満足、満足。

コゼットを引き取って急ぐ馬車の中で歌われる「Suddenly」は初めて聞く曲だが、孤独だったバルジャンが愛し守るべき存在を得たことで初めて味わう人生の生き甲斐をしみじみ歌い上げる。これから長く続く隠棲生活の覚悟を固めるのにふさわしい場面だと思った。

マドレーヌ市長時代に荷車の事故から救ったフォーシュルバンが寺男をしている修道院(尼寺)で、コゼットを育てるという設定を原作通りに加えていたのが最後につながるのもよい。
成長したコゼットとしてアマンダ・セイフライドが登場。マリウスとの出会いで恋に落ちた気持ちをとまどいながら独白する曲はいきなり高音を転がすように歌わなければならず、日本公演で満足できたキャストは少なかったが、アマンダは文句なしだ。挿絵のコゼットがそのまま成長したと思えるような目が大きくて可愛い美人さんだし、マリウス役はちょっと地味だったけれど、歌がよいので「Heart Full Of Love」も満足。
エポニーヌとガブローシュは原作によると姉弟なのだが、舞台でもこの映画でもそのあたりは明らかにしていない。舞台版ではマリウスからコゼットへの手紙をエポニーヌが届けてから死ぬが、この映画版では先にエポは死んでしまい、ガブローシュが手紙を届ける。原作はどちらだったか忘れてしまったが、まぁ大勢に影響はない。

アンジョルラスの俳優はけっこうカッコいい。ABCカフェの場面やラマルク将軍の棺の乗せられた馬車を占拠しての蜂起などの場面は本当に若者たちの正義に燃える昂揚感に否が応でもテンションアップ。
志願兵としてジャベールとバルジャンは砦にくるが、ジャベールは先にスパイとして捕まっている。最初の攻撃で果たした功績でバルジャンはジャベールの処分を任せてもらうが、ここの2人のやりとりもまたいい。牢獄生まれでそのコンプレックスを法の番人として生きることで自分を保ってきたジャベールという男のゆらぎをラッセル・クロウがうまく見せる。
愛するコゼットの心を奪ったマリウスという男を確認にやってきて、若者たちの心情に打たれ、マリウス自身もまるで我が子だし、コゼットを託す気持ちになって歌う「Bring Him Home」にもバルジャンの父性の深化を感じとれる。ここがあるから、被弾して瀕死のマリウスを下水まみれになって救うというビジュアル的にはかなりきつい場面も乗り切れる。
下水道でテナルディエが自分の人生観を歌い上げる場面はカット。
砦が落ちた後でジャベールがガブローシュの亡骸に自分の勲章をとってつけてやる姿に驚く。ジャベールの心がこれまで持ったことがなかったような人間らしい気持ちの芽生えに動揺している。

下水道から出てきたバルジャンとの最後の対峙で、逮捕を強行できなかった自分。これまでアイデンティティクライシスからの自殺というように捕えてきたが、今回は、もう一つの当たり前のことに気が付いてしまった。神の道を生きていると過信するくらいだったジャベールが自殺するということにはもう一つの大きな意味があるはずだ。キリスト教では自殺することは許されなかったはずだ(「ハムレット」のオフィーリアの弔いでもそういう件がある)。それをわかった上での自殺は、神による救済までを拒否するという深い絶望に落ちたということだ。
同じように「レ・ミゼラブル」=惨めな人々として生まれた二人の対照的な最後がくっきりと描かれている作品なのだ。

仮釈放中を逃走している罪人として姿を隠すバルジャンの居場所が何故わかったかが舞台では明らかになっていない。映画版ではきちんと説明があった。結婚式にきたテナルディエがマリウスに居場所をサツにたれこむというのを白状させた。
コゼットを育てた修道院だった。ファンテーヌの魂が迎えにきているバルジャンのもとに駆けつけたマリウスとコゼット。
映画版では亡骸から抜け出た魂が祭壇へと近づくとそこには司教さまがいた!
そして、「Do You Hear The People Sing?」の歌とともに砦に散った若者たちが夢見た蜂起を成功の場面へと続く。ラマルク将軍の棺の馬車を中心にしたバリケードの上で若者たちが旗を振りながら歌い、広場を埋め尽くした群衆が取り巻いている。そのバリケードには市民に化けて志願兵として加わった時の姿のジャベールがいたように思った。ジャベールも救われて欲しいという監督の願いが表現されているのではないかと思えた。

「英国王のスピーチ」も観ているが、監督のトム・フーパーの映画づくりには好感がもてる。人物の感情の動きまでも実に丁寧に拾っている画面になっているのがいい。今回もアフレコではなく、撮影現場での生録音にこだわったという。映像の方の俳優さんだと思っていたキャストの歌のレベルの高さに予想をはるかに上回る満足感を得た。
もうとにかく泣きっぱなしで、懐紙が大活躍。泣きすぎて目が痛い(^^ゞ
帰宅して娘に確認したが「DVD買わないという選択はないね」ということで一致した。映画館でもう一度観るのは体力的に厳しいかも。だってまた泣きすぎてしまうことが確実だからねぇ。

12/12/22 新橋演舞場昼の部の帰りに歌舞伎座工事現場チェック

2012-12-23 23:59:38 | 観劇

新橋演舞場昼の部の開演になんとか間に合うように家を出たら、地下鉄の日比谷駅を出たらかなりのどしゃ降り。タオルハンカチを持って出て正解。
ところが口腔外科センターのスタッフさんから電話が入っていて、ドクターから抜歯の予約日の前に一度受診の日を設定して欲しいとのこと。日程を確認して折り返し電話で予約の追加をしていたら、「暫」が開演してしまっていた。
まぁ、仕方がないか・・・・・・(T-T)

昼の部の「通し狂言 御摂勧進帳(ごひいきかんじんちょう)」はそれなりに面白く、演舞場を出たら雨は上がって日が射してきていた。
さちぎくさんとお茶をして、久しぶりに「木挽堂書店」に立ち寄って、店主さんとおしゃべり。『演劇界』1月号の付録の「2013歌舞伎俳優カレンダー」を目当てに買った。こちらで買うと100円引きになるのも有難い(^^ゞ

その途中で歌舞伎座工事現場をチェック!
「松竹」は歌舞伎座と歌舞伎座タワー(オフィスタワー)から成る複合施設の名称を「GINZA KABUKIZA」と定めたとのこと。
いよいよ、工事現場のブルーシートも取り除かれた部分から、あの懐かしい歌舞伎座のデザインをしっかりと再現するような劇場部分が見えてきて感慨深い。
下の写真は、「木挽堂書店」側の脇道側から撮影したもの。屋根の瓦を葺く作業が途中になっていて、右側には瓦葺きになっているが左はまだシートのまま、真ん中の茶色の桟が写っているところはどんな作業の最中なのかわからないが面白いのでしっかり撮影。


「歌舞伎座新開場 杮葺落四月大歌舞伎」の第一部の演目に「十八世中村勘三郎に捧ぐ お祭り」とあるのを見て、本来は病気からの復帰を祝うはずだったろうと思うだけで目頭が熱くなっているくらいだ。新しい歌舞伎座にいないはずがなかった勘三郎の早逝が惜しまれてならない。

12/12/21 四十七万アクセスの御礼+産直市で冬至がらみの2品をGET

2012-12-22 23:59:45 | つれづれなるままに

12/21に47万アクセスを超えたようです。皆様のアクセスに感謝申し上げます。
また、コメントへの返信が遅くなっていることをお詫び申し上げます。
十八世中村勘三郎の逝去と選挙結果のダブルパンチで気落ちしてしまい、なかなか元気が出てきませんが、なんとか仕事も観劇などの予定もこなしております。まだまだ気力体力のレベルが上がらず、ブログにまでなかなか取り組めませんが、充電をしております。
気長におつきあいくださいますよう、お願い申し上げます。

職場のあるビルの前で年に数回の産直市が開催される。12/19~20の産直市で、冬至がらみの2品を買った。冒頭の写真のゆずとカボチャだ。
大きなカボチャを四つ割りにしてラップにくるんだものが250円で並んでいて、その断面があまりにも美味しそうだった。ふだんは冷凍のカボチャをミルク煮にしたり、缶詰のあずきのと一緒にいとこ煮にしたりですませてしまうことが多いが、久しぶりに生のカボチャを使って煮物をつくる気になった。

2つで100円のゆずを「ゆず湯にしようと思って」と声をかけながら買おうとしたら、「それなら傷があっても多い方がいいですよね」と言ってくれて箱の中からよりだして4つで100円の包みをつくってくれた。
いずれも冬至の翌日22日に料理し、お風呂に浮かべた。

今年の12/21はマヤ暦がここまでしかない=世界の終りの日ということで騒ぎもあったとのこと。現地の古代遺跡の前で、この日からまた新しい時代が始まることを祝っている人々の姿もテレビに映し出されていた。
「たとえあす終末が来ようとも、きょう私はりんごの木を植える」というような言葉を聞いたことがあるが、そのくらい達観した気持ちがもてるようになりたいものだ。

12/12/17 自民・公明で320議席を確保・・・小選挙区制は民意を反映しない(追記あり)

2012-12-17 01:18:28 | つれづれなるままに

12/16日投票の衆議院選挙のあまりにもひどい選挙結果に絶句!
この議席数では参議院で否決された法案も衆議院に戻して再議決すれば成立してしまう。やりたい放題になる。
勤労者のための政党がヨーロッパのようにきちんと育っていない日本で小選挙区制を入れてしまったことからの当然の帰結だ。経済は一流だが政治三流の国と言われて久しいが、これほど三流の選挙結果が出たのはあきれるしかない。
これから冬の時代の始まりか??
しかし、いつか春はくると信じて耐え、まっとうに働いて生きる者がきちんと報われる社会をつくる力が育つことを信じよう。というか、育てる努力をあきらめないぞ!!!

(追記)
日本維新の会も50議席を超えて第3党の地位を確保したとか!
安倍晋三、石原慎太郎はバリバリのタカ派だし、危険極まりない。
大体、北朝鮮が今のこんな時期に事実上のミサイル発射実験を行ったのは、敵対色が鮮明な政権が日本にできる方が直接アメリカをひっぱりだせるという計算をしているせいに違いないと思っている。その作戦まで成功ということになってしまった。

日本がアジアの中でなぜ尊敬されないのか、日本人の多くがよくわからない状態にされていることは、日本の国民のシチズンシップ(市民意識)がきちんと育つような教育がされていないせいだ。
12/12に職場有志の勉強会で明治大学の中川雄一郎教授のお話をお聞きした。いまの日本は「参加しないで文句ばかり言う人」ばかりの国になっているとのこと。18歳で選挙権があるEUでは、小中高と段階を踏んだシチズンシップ教育をしており、高校では未来の政治・文化を決める責任は君たちにあると教えるそうだ。日本にもそういう教育が保障されるようにしたい。

12/12/14 誕生日に「鮨 後楽」でランチを御馳になるm(_ _)m

2012-12-14 23:59:36 | つれづれなるままに

12/14赤穂浪士討ち入りの日が私の誕生日。本日53歳になった。お祝いメッセージをいただいた方にも、アクセスしていただいている方にも感謝申し上げますm(_ _)m

さて、職場の女性の先輩(定年退職されている)はお隣のNPOの事務所にボランティアに月に数回やってくるが、14日もいらっしゃるというので、ランチをご一緒することにしていた。そこに定年後仙台に戻られた男性OBもちょうど東京の病院への定期通院できていることがメールでわかり、ご一緒していただけることになった。

職場から歩いて3分ほどで、「鮨 後楽」へ。
ランチは冒頭の写真のようにちらし鮨のみの提供。1000円でネタは新鮮で美味しいのだ。白魚も入っている~。お二人の先輩に感謝、感謝m(_ _)m

妹たち二人からも携帯メールが届いた。以下は二人への返事をほとんどそのまま引用してみる。

「誕生日祝いメール有難う。まだまだ勘三郎の追悼記事を読んだり番組を見たりしては目頭が熱くしています。
昨日の忘年会では、近い席にいた方が、親から死期が近い親戚に会いにいけと言われているが勇気がなくていけないというので、なんとか説得しようとして、お父さんとの最後にもっとゆっくり次はくるからねくらいに別れたら最後になってしまったと話していて、言葉がうまく出てこなかったら手を握っていてあげるだけで気持ちが伝わるはずだから行ってあげて、それも自分の修行だよと話しながら、二人でボロ泣きをしていました。
とにかく人を送ることが増えてきました。だってこの年だものね。
とにかく今から玉三郎の舞台を観てきます。」

そんな気分の今日この頃です。
さて、その玉三郎主演の日生劇場「日本橋」。この間の「天守物語」「夜叉が池」「海神別荘」の異界もの3作と同様、泉鏡花自身が戯曲化している作品で、とにかく言葉が美しく、泉鏡花ワールドを堪能。花柳界もののようだが、魂の浄化の物語ということでは先の3作と共通しているという筋書の解説が実によく胸に落ちた。筋書も読むところが充実していて嬉しい。澤村藤十郎さんも金丸座での対談のエピソードを含め、談話を寄せている。
勘三郎亡き後、スター役者としても玉三郎の担う役割がもっともっと重くなったと思うが、きっと立派にやってくれると思っている。しっかりみせていただきます。

12/12/13 職場の大掃除のご褒美は四谷見附わかばの鯛焼き

2012-12-14 23:58:33 | つれづれなるままに

今年の職場の大掃除は、13日となった。職場は資料室ということで、資料の閲覧にいらっしゃる方もいるので、蛍光灯の拭き掃除とたくさんある書架の上を年1回は拭き掃除する。
公共の図書館であれば、業者による清掃が年2回くらい入るらしい。2年くらい前に総務の部署にそのように主張して掛け合って、業者による清掃を検討してもらったが、蛍光管の一斉取り換えとセットであれば引き受けるということで、見積もり的にそこまでお金をかける必要なしと判断されてしまった。
そこで従来通り、上のフロアの研究所の男性陣にもお手伝い願い、脚立やら机の上やらに登って蛍光管をはずして反射板と言われる部分とともに拭き掃除をしてもらっている。

その蛍光管の拭き掃除よりも前に、書架の上を先に拭いてしまう。その方が蛍光管の掃除をされる方が書架の上に手をついても汚れることがないからだ。今年はわが部署も2人体制になっているので分担して1台しかない脚立を競合せずに使うために日をずらして分担のコーナーを掃除した。
背の低い私は手が届きにくいのでワイパーを使って濡れ雑巾で拭く。こういう知恵は働くんだよね(笑)

一斉掃除で蛍光管掃除部隊の男性陣が上のフロアから降りてきて、二人で組みになって作業進行。でも目を離すと蛍光管をはずさないまま拭いたり、下の反射板を拭くのをさぼるんだよね。見つけては注意!注意~!!蛍光管が切れると管理人さんに交換をお願いするが、この2フロアは毎年掃除をしているので照明が他のフロアに比べて格段に明るいとのこと。その話もしてモチベーションアップを図るがなかなかねぇ(笑)
でも、はっきりと明るさが増しました!閲覧に関係なさそうな場所の蛍光管ははずして減らして節電、閲覧者のいない時は書架のコーナーの照明を消して節電しているが、年1回の掃除も節電に役立つと思われる。

さて、今年は一斉大掃除の日の終業後に望年会ということになったため、従来は大掃除終了後のご褒美の四谷見附わかばの鯛焼きが先に配られた。以前も書いたが、私はここの餡子の多い鯛焼きはちょっと苦手。そこで持ち帰って自宅で娘と半分ずつ食べた。
1個ずつ包装された鯛焼きと食べ方の説明書を初めて一緒にもらった。そしてその説明に食べ方が書いてあって笑えた。
「殿方は頭から、ご婦人は尻尾から、召し上がっておられます」だって!
ええ~っ、私はお腹からだよ!!
半分にちぎって餡子の多い真ん中部分から食べるか、熱くてちぎれない場合はやっぱりお腹にかぶりつくよ~。
これって珍しいのかなぁ。

12/12/09 猿之助のソルマックCMシール+12月・1月の観劇などの予定(追記あり)

2012-12-09 23:59:29 | 観劇

JRの改札機の天面と側面に選挙に行こうという広報のシールが貼られることがあったが、11月に始まった猿之助のソルマックのCMのシールが貼ってあったのにはびっくり!
JRの与野駅にはなく、四ツ谷駅で見つけて側面の方を撮影したものは冒頭の写真。都内の駅に絞り込んでいるのだろうと推測。確かに忘年会シーズンだから、職場の多い都内の方がコストパフォーマンスがいいのだろうねぇ。

11月の明治座の「天竺徳兵衛」でも冒頭のチャリ場で船の上で船頭たちと酒を飲んで時局ネタ(国政ネタ炸裂!)を披露した時、ソルマック現物を船頭に手渡していたくらいだから、今回のCM出演には気合が入っているようだ。
猿之助公式サイトから「ソルマックCM出演!」情報→ソルマックのCM公式サイトに飛ぶ

さて、以下は今月の観劇などの予定。
1(土)MOVIXさいたま:「のぼうの城」=映画の日に行ってきたが、これは名作だ。おすすめです(^_^)
12(水)職場の職員有志の勉強会+懇親会
13(木)職場の大掃除、のち望年会
14(金)日生劇場:坂東玉三郎特別公演「日本橋」夜の部=自分の誕生日にひとりで観劇(笑)
16(日)衆議院選挙です。投票にちゃんと行きます!!
  NINAGAWA千の目対談で宮沢りえちゃんとの企画に申し込んだけど、はずれた可能性大(T-T)
18(火)東京芸術劇場プレイハウス:蜷川幸雄演出「トロイアの女たち」夜の部=字幕つき上演だと思われ、頑張るしかないか(^^ゞ
22(土)新橋演舞場:十二月大歌舞伎昼の部
25(火)新橋演舞場:十二月大歌舞伎千穐楽夜の部
映画版の「レ・ミゼラブル」と劇場版「大奥」も年末年始でしっかり観るつもりだ。

年明け1月分も決まっている分をアップしておく。
5(土)前進座劇場:前進座劇場ファイナル公演「三人吉三巴白浪」昼の部
12(土)玲小姐さんの散策企画:今回は総持寺!
14(月)新橋演舞場:新春大歌舞伎昼の部
23(水)新橋演舞場:新春大歌舞伎夜の部
26(土)国立大劇場:初春歌舞伎公演「夢市男達競(ゆめのいちおとこだてくらべ)」
浅草歌舞伎はうかうかしていたら、一番安い席がなくなってしまい、見送る可能性大(^^ゞ
→27(日)浅草公会堂:新春浅草歌舞伎昼の部、3等席を譲っていただけそうです。感謝!!
ご一緒する皆様、よろしくお願いしま~す(^O^)/