06/05/31 五月最終日に大バトル!


2週間通院をすっぽかし、火曜日夜の週1の学校も行かなかった娘。私の心はドーンと打ち沈んでいた。天候がおかしくこんなに雨の日が多いとよけいに気鬱になるが、それでも気を取り直してなんとかお仕事に通う毎日。

今日は最終日だけに景気よくスカッといいお天気なのに日焼け止めを塗ってくるのを忘れ、またシミが増えちゃうから気をつけようとかちょっとはお気楽に日中を過ごしたのだが.....。

自宅マンションにたどりつき、郵便受け脇のレンタル自転車のキーボックスが目に入る。一本のキーに「行方不明」のタグが~。もしや~。
私「日曜日、自転車ちゃんと駅から乗って帰ってきた?!」
娘「あっ.....」
私「Gパン洗濯する時に鍵が出てきたから戻しておいたら行方不明って札つけられてたよ」
娘「だって友達の親に家まで車で送ってもらっちゃったって言ったじゃない」
私「お昼ごちそうになったとしか聞いてない」
娘「同じ時に言った」
私「聞いていたら自転車の鍵を見つけた時に気がつくよ」
娘「ごちそうになったことだけに反応してその前のことを覚えてないだけだろ」
私「じゃあ、とにかくなんで自転車とりにいくの忘れて何日もたっちゃうんだよ」
娘「鍵を見つけた時にすぐ言ってよ」
私「だってその時アンタ寝てたから早く戻す方が迷惑かけないからと思って後から言うのを忘れたんだよ。自分でしたことなんだから早く駅に取りに行ってよ」
娘「昨日お風呂入ってないから外に出られない」
私「人と会うわけじゃないんだから自分で行ってよ」
娘「絶対に嫌」

スリッパで私が娘をバシっとやったら机の上にあった小皿を投げ返してきてパリーンと割れ、再度スリッパでバシっといく→娘は自分の頭につけていたマイク付きヘッドフォンをバキッとへし折ってごみ箱に叩き込む...というすごい破壊戦になってしまった。

結局、マンションの他の家の皆さんにご迷惑をかけるわけにいかないので、私が取りに行くことにしたのだが、腹の虫がおさまらない。
私「本当は自分で行くべきところでしょ。自分が外に出られないなら、どうやって人に頼むのよ」
娘「行ってきてください」(わざと無表情にしておざなりに)

情けなくなって夜陰にまぎれてではあるが、ワンワン泣きながら駅まで行く。ないない~。もしやと思って掲示板を見る。今朝、不法駐輪の自転車を撤去したと書いてある。ヤラレタ!昨晩のうちに気がつけば間に合ったのに~。

保管所は路線の違う埼京線の方の駅から行かねばならず、引き取り時間はPM1~5時。娘はそういうことができる状態ではない。結局、私が行くしかないのだ。
家までの帰途、自転車をこぎながら、なんでこんなことまでやらなくちゃならないのよ~、どうしてあんな風に育っちゃったんだろう、結局私が子どもをうまく育てられないからだ~.....と思いっきり落ち込んで涙だけでなく鼻水まで出てくる大泣き状態に~。
私「自転車、駅になかった」
娘「どうして?」
私「今日撤去されてた。自分で引き取りに行ってね」
娘「絶対、無理」
私「じゃあ、土曜日に一緒に医者に行った帰りに私がとってくるから、その後のカウンセリングはひとりで行くんだよ」
娘「.....わかった」
それから先日書いたティファールの鍋で肉の入った大根の煮物をつくって、あと味噌汁つくって、娘を食事に呼ぶ。もう一品は味付けめかぶじゃ。
私「悪いと思ってるの?」
娘「うん」
食事の最中に娘が「この煮物、ニンジンが余計だよ」だって。
むっか~、こんなに美味しいのに、もう食うな~。

私「ブログに書いちゃうからね」
娘「いいよ」
というわけで、今ここに書いちゃっているのである。
「明けない夜はない」「冬来たりなば春遠からじ」っていうけれど.....、本当に夜は明けるのか、本当に来るのか春は。私の人生が終わるまでにそんな日はくるのだろうか。

自分のちょっと困った性格が極端に強調されて出ている娘の性格。プライドが高くて自分の作品などへの目標設定が高い。それで頑張れる時は頑張るが、勝負にならない時は土俵を降りる。そこそこで妥協するのが嫌いという困った性格が私にはある。土俵を降りる時はヘラヘラしてゴメンできるのが私の強み。別のところで勝負するからいいやと割り切る。しかし娘にはそれができない。カッコ悪い姿は絶対見せたくないらしい。だから課題の絵が描けていないからって学校行けないのだ。描けてなくても授業だけ聞いてくればって言ってもプライドがそれを許さないらしい。そんなんじゃあ、生きるのがつらいよ~。催眠術でもかけてもらってそういう性格を矯正してもらいたくなる。そういうの、無理なんだろうけれど.....。
それと私と全く違う性格。人の目を気にしすぎる。人に頼まれたら嫌と言えない。いい子ちゃんを演じるのに頑張ってしまう。私もかつていい子を演じていた時期があったけど高校になってやめたら楽になった。娘はこのところ気鬱がひどかったのに日曜日にPCを買いに行くのにつきあう約束をしてしまい、頑張って出かけたのだが、お役目を果たし終えたらドッと疲れが出てしまったのだ。友達と付き合うのにあんなに緊張しなくてもいいのにと思うけれど、なかなか難しいらしい。

こういう、つらいつらい現実からしょっちゅう逃避したくなるのだ。仕事は今や逃避先にならず。だから観劇なんてその最たるもの。現実を忘れる時間を頻繁に確保しないと日常の生活が送れない状態かな。

若い頃、なんのために生きるのかと考え、「社会に役に立つ人間になるために」とか確信を持った。でも今や「生を全うするために生きるのが人生の目的なんだ」とわかった。それがなんと苦しくせつなく難しいことか。その中にポツポツと嬉しいことがあるからなんとかなるのかもしれないけれど、それが少なくなってしまった。
それでもまた日は昇ってしまうのだ。ああ、その前に寝付くようにしなくっちゃ。
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06/05/19 五月大歌舞伎・夜の部②「松竹梅湯島掛額」

「松竹梅湯島掛額(しょうちくばいゆしまのかけがく)」
八百屋お七と吉三郎の話も数多く脚色され上演されてきたようだが、私は全く初めてだった。今回は2つの作品からいい場面2つを抜き出して繋いだ演目とのこと。初代吉右衛門が『吉祥院お土砂』の場の紅長を演じて好評だったために当代が演じるのだという。
『吉祥院お土砂』の場
お話は以下の通り。江戸の大火事で焼け出された八百屋の娘お七は避難先の吉祥院の寺小姓吉三郎に惚れこんでしまう。母おたけ(芝雀)に添わせてくれるように頼むが家の借金の返済代わりに釜屋武兵衛(歌六)との縁談をすすめているという。また吉三郎の生家の家臣若党十内(歌昇)がやってきては紛失した重宝の刀を取り戻せば吉三郎は許婚と祝言を挙げ家督を継ぐという。お七が落ち込む度に出入りの紅屋(口紅に使う紅屋)長兵衛がなだめようといろいろ笑いをとる。お江戸に木曽義仲が攻め上ってきて、美人と評判のお七を側女にしようとする使者長沼六郎(信二郎)もおしかけてくる。紅長がお七を匿って大活躍するというドタバタのお笑い劇。そのために「お土砂」という粉を使う。チラシにあった説明、かけられると体がグニャグニャになってしまうという粉って一体何と思いながら観る。死後硬直がとけるように加持祈祷をした土砂とのことだが、ベンチョーさんがそれをあらゆる人にかけまくって笑いをよんで幕。

お七の亀治郎、顔の拵えがよくなった。菊之助の顔の拵えの改善に喜んでいた私だが今回の亀治郎も目の赤の入れ方がすっきりして美人顔になった。さらに声もこれまでで一番高くて可愛らしい。びっくり!吉三郎の染五郎も若衆姿を初めて観たが美し~。この美しさに間に合ったようで眼福眼福。だんだん線が太くなってきているから滑り込みセーフかもしれない。今回のおふたりは美男美女といえるだろう。しかしどうみてもお七の片思いで猛烈なアタックに吉三郎は折れた感じ。PARCO歌舞伎の堀部ホリ役からこういう強気の役続きだが、亀治郎にぴったりなのかもしれないなとニンマリしてしまう。左甚五郎作の欄間の吉祥天女像にすりかえてお七をかくすという設定でポーズをとる姿もとてもきれいだった。
紅長の吉右衛門、軽みを出すのが苦手と語っていたが、慣れない三枚目を一生懸命演じているのが伝わってくる。お七が渾名を「べんちょべんちょべんちょ~」とつけたという台詞あたりから客席は大笑い。「チッチ吉ー」(この舞台を観た後で本物をTVでやっと見た私!)も飛び出すし、ギャグも一生懸命ひねり出していた。皆さんのブログを見ると「ナントカカントカだワイ」の台詞のあとが日替わりのギャグになっている。私が観た5/14は「.....だワイ、ンレッドの心、♪今以上これ以上愛されるのに~♪」と歌つきで全員が鸚鵡していた。誰かはメロディがぐじゃぐじゃになって.....。菊五郎丈と違ってパロディの選曲が今のものでないところが吉右衛門!五右衛門での宙乗りといい、三枚目といい、吉右衛門が得意でないものに果敢に取り組む姿こそが後進を励ましているんだなあと感じ入った。「お土砂」騒動自体はあんまり笑えなかったんだけど、吉右衛門が染五郎を女扱いがうまいとかパパネタでいじった時にも切り返しながらも神妙だった姿の方が笑えた(^^ゞ叔父・甥の関係はよさそうで観ている方も嬉しいし。

『火の見櫓』の場
前の場とはうってかわる。吉三郎は重宝を取り戻せない責めを負って切腹と決まる。お七が会いにいこうとしても木戸がもう閉っていて江戸市中は通行制限の時間になってしまっていた。お七に仕えるお杉(吉之氶)がその重宝を釜屋武兵衛が持っているのをつきとめて取り戻してくれた。非常時に木戸を開くため櫓の太鼓。それを打てば木戸は開くが非常時以外に打てば厳罰がくだる。吉三郎を救うため、お七は極刑を覚悟で櫓の太鼓を打つという「櫓のお七」という名高い場面。気持ちが高まる部分を「人形振り」で演じるのだが、亀治郎の人形振りは玉三郎のそれとは別物だった。うまいのかどうかは私にはわからないのだが、動きがダイナミックで面白かった。前の場のブリッコのお七が内に秘めた激情を一気にほとばしらせたというような表現。この両極の演技が今回の二つの場面で楽しめたのは大収穫だった。

文楽もまだ三回しか観ていない私だが、やはり人間による「人形振り」というのは人形の動きとは違った。「人間なのに人形のような動きをすること」と「人形なのに人間のような動きをすること」のねらいは全く違うと思った。だからそれぞれ別物として楽しむことがいいのだと思う。さらにあとから文楽の「生写朝顔話」を観た時の発見を書いておく。最後の大井川の場面でそれまでずっと生きた人間のように遣われてきたのに、最後の最後は「人形の動き」を強調した激しい動きで蓑助さんが遣っていたのだった。これはすごいヒントだと思った。「人形のような動き」は変化をつける動きだったのだと解釈した。

新橋演舞場五月大歌舞伎のスタートはいろいろな役者のあらたな面を見ることができた。総体として満足度の高い公演だったと思う。
夜の部①「石川五右衛門」「京鹿子娘道成寺」の感想はこちら
昼の部①「寿式三番叟」「ひと夜」の感想はこちら
昼の部②「夏祭浪花鑑」の感想はこちら
写真は松竹ウェブサイトより今回の新橋演舞場五月大歌舞伎のチラシ画像。
追記
今回のパンフレットを収納する時に気がついた。あっ、コクーン歌舞伎と同じサイズだ!並べてピタリ!!そうか~!!!
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06/05/19 五月大歌舞伎・夜の部①「石川五右衛門」「京鹿子娘道成寺」

5/14に昼の部を観てきたら、夜の部を俄然観たくなってきた。ところが予算内の三階席は発売直後に売切れである。そこでしつこくウェブ松竹をチェックして戻りを発見できたのを幸いにしっかりとGET!
1)「増補双級巴 石川五右衛門(ぞうほふたつどもえ いしかわごえもん)」
2001年7月歌舞伎座で猿之助一門の「楼門五三桐」を観ているので、あらすじもよく読まずに観たら人物設定などがけっこう違う。それもそのはずで、石川五右衛門を主人公にした浄瑠璃や歌舞伎作品は数多く作られていた。その数ある五右衛門の狂言のうちから面白い場面をつなぎ合わせたのが今回上演される『増補双級巴』ということだった。今回のあらすじは以下の通り。
石川五右衛門(吉右衛門)は実は大家の落胤だったが実母を殺した養父の次左衛門(段四郎)に育てられた。ところが奉公先から出奔して大盗賊になっていた。天下を盗み取る大望を抱き、呉羽中納言から詔勅を奪い取って偽の勅旨に化け、堂々と足利将軍家に乗り込む。そこへ現れたのは此下久吉(染五郎)。久吉は五右衛門を幼なじみで盗賊の配下で同輩だった友一と気づいて話しかける。二人が童心に帰って話をする(この場面は今回初めて観た)。金をやるから引き取れといっても引き下がらない五右衛門だが、久吉が売りたいといった葛籠に養父の次左衛門が入れられているのを見るとその葛籠をしょって妖術で館から飛び去っていく(猿之助の通し上演の時は二役でつとめた妹が葛籠に入っていた)。大詰めは豪華絢爛たる南禅寺山門での五右衛門の「絶景かな」の名文句や見得、久吉との対峙の末の絵面に決まっての見得で幕。

吉右衛門の五右衛門は公家姿や山門上での姿などもう本当にカッコいい。しか~し、空中に浮いた葛籠から五右衛門が飛び出す“つづら抜け”はヨっコラショッともたついた。猿之助が目にもとまらぬ鮮やかさで飛び出したことが印象に残っているのでどうしても比べてしまう。空中を悠々と引っ込む宙乗りというがその姿勢も何回か変えるのだけどどうも迫力があまりないのだった。4月中はジムで鍛えるときいていたが、団七でのぽっこりお腹といい、継続して鍛えていただくようにお願いしたい。

予想以上によかったのが久吉の染五郎。昨年8月歌舞伎座の「金閣寺」で観た久吉ではまだまだ線が細いなと思ったのだが、今回はなかなか堂々としていた。また、童心に帰る場面、並んで頬杖をついての見得ではなかなかほのぼのした感じが出ていてよかった。次左衛門に段四郎、足利家の重臣三好長慶に歌昇は手堅い感じだが、その弟国長の信二郎がまたいい役をつとめていてよかった。

2)「京鹿子娘道成寺」
東京では襲名披露公演以来14年振りに福助が道成寺を踊るということで、特に今回の趣向についての情報なしに観たのだが、まず所化さんたちが種太郎が一番年長というあまりにも小僧さん揃いなのに驚く。「道行」なし、花子が白拍子かどうかという問答もなし。だからいきなり紅白の幕が上がると烏帽子をつけた花子が舞台中央に登場というのも「そうか~お子ちゃまじゃ、あの問答できないもんなあ」と思いつつ物足りない。

いざ踊りが始まると福助が緊張した表情だし踊りもなんか硬いな~と驚く。「恋の手習い~」からのクドキに入るとやっと動きがよくなってきたのだが、ずっとなんでだろうと思ってしまった。

おっ、衣装が違うところがある!勘三郎襲名時や二月の「二人道成寺」では紫の麻模様だったところが鮮やかな青の桜模様。桜模様の連続にこだわられたのかなあと思った。
だんだんと本性が出てきて鐘に恨みの目を向けるが、うーん、女の目だ~。人間を超えていない。最後、鐘に上がってからも蛇になっていなかった。
「京鹿子“女”道成寺」っていう感じだった。どうも福助はあだっぽい女の役が一番ハマっているというイメージがある。白拍子花子にそのあだっぽさがあったわけではないが、歌舞伎舞踊屈指の大曲だけに、成駒屋の女方として一生懸命踊ってくれたのだろうけれど、まだまだ不安定なんだなあと感じてしまった。歌右衛門への道はまだまだ遠く厳しいようだ。

写真今回公演のチラシの写真を携帯のカメラで撮影。
夜の部②「松竹梅湯島掛額」の感想はこちら
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06/05/27 初ティファール!

今日も予定がオールキャンセル。全部来週で予約を取り直し。

疲れがドッと出て昼寝をすることにした。階下のおうちのお子さんがピアノを弾いているが下手ではないので寝付くことができた(下手だとイライラして寝付けない)。夕方から行動開始。

雨の中、自転車で買い物に出る。ところが新聞代を払った時に愛用のリュック(って言わないのかな?デイパック?)から取り出した財布を戻し忘れ、定期に入っている緊急用の1000円しかなく、最低限の買い物をしてスゴスゴ帰ってきた。

いよいよ食事の準備と考えたときに、週末に中華鍋型のフライパンを買いに行こうと思っていたことを思い出す。愛用の物を娘が空焼きしてダメにしてしまっていたのだった。最近スパゲティくらいは自分で茹でて食べるようになってくれているのだが、この鍋に水を入れる前に火をつけてしまい、気づいたらフッ素が揮発したガスで家中臭くなってしまったという。換気したらしいが、私が仕事から帰ってもすぐにばれるほどだった。

雨の中、自転車でもう一度SATYへ行く。おっ、ティファールのあるシリーズが40%引セールだ。地元のお祭りの協賛セールらしい。これまで手を出さずにきたが、加熱具合を知らせる赤いマークのフライパン、一度使ってみたかったんだよね。こういう型をウォレックフライパンというらしい。同じくらいのお値段で歌舞伎座三階B席が買えるよな~と思いつつ、初ティファールすることにした。
さっそくこのフライパンでシチューをつくった。えっ、こんな物使うのって?そうなのだ、こびりつかないから洗うのが楽!

いいお鍋を揃えて使うという習慣がないので、フライパンが大活躍。昔は鉄のを使ってたけど重いのでフッ素加工の軽い奴をサイズを変えて愛用している。フッ素加工がきかなくなってきたら買い換える。フッ素を身体に入れるのはどうかという議論もあるが、まあこれくらいはいいかなあっと深く考えないことにしている。

夜遅くなって、娘いわく「明日、高校時代の友達がPC買うのにつきあったら、うちに遊びにきたいって」......。

ガーン、家の中とっちらかっちゃっててどうするのよ~。集合時間も早いらしく、全ては母の肩にかかってきたのであった。
明日はいよいよ文楽千穐楽で第二部の「義経千本桜」「生写朝顔話」を観てくる。五月の観劇をしめくくりなのだ。
やれやれ出かける前にできる限り大掃除だ~。

写真はフライパンの箱に印刷されていた赤いマークを撮影。今回初めて吊るし商品じゃなくて箱入りのシリーズを買ったのだった。
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06/05/14 五月大歌舞伎・昼の部②江戸前な「夏祭浪花鑑」

新橋演舞場五月大歌舞伎・昼の部の最後の演目はこれ。
「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」
予習としてコクーン歌舞伎版「夏祭浪花鑑」のニューヨーク公演のNHKの録画を観ておいた。古典歌舞伎としては今回が初見。あらすじは以下の通り。
夏祭最中の大坂が舞台。団七九郎兵衛(吉右衛門)は喧嘩がもとで入牢していたが放免となるので女房お梶(芝雀)や後ろ盾となっている老侠客釣船の三婦(段四郎)が迎えにきた。団七は放蕩のあまり勘当された玉島磯之丞(吉之助)とその恋人傾城琴浦(宗之助)の面倒をみているのだが、その琴浦を横恋慕する大鳥佐賀右衛門(由次郎)がつけねらっている。佐賀右衛門の手先になっていた一寸徳兵衛(信二郎)と団七は喧嘩になるのだが、お梶に仲裁され、そのうちに徳兵衛も玉島家の家来筋とわかって和解し義兄弟の約束をかわす。徳兵衛の女房お辰(福助)が夫を迎えに備中玉島から出てきて、備中でかくまってもらう案が浮上。しかし三婦はお辰の器量が良いことで反対する。お辰は焼けた鉄弓で顔に傷をつけてでもかくまうと言い張り、その心意気に三婦はお辰に磯之丞を託す。ところが今度は琴浦を佐賀右衛門に売りつけようと団七の舅義平次(歌六)がさらっていってしまった。金の亡者の義平次にどんなに頭を下げてもかなわず、団七は手元に大金があると嘘をついて琴浦を元の三婦のうちに戻させることができた。金のないことはすぐにばれ、舅義平次と言い争いになるが、刀に手をかけてしまったことから義平次が刀をもって挑発してきたために揉みあううちに斬りつけてしまい、もう戻れぬと覚悟を決めて堀傍で泥まみれになっての立ち回りとなり、とどめをさし、堀に沈める。祭りの神輿の群れに紛れて逃れていくところで幕。

入牢中に伸びた月代や髭面の姿から髪結床で着替えて元結に化粧紙を巻いて出てきた長身の吉右衛門の団七は無条件に男っぷりがいい。こういう男伊達のような役はハマる。対する徳兵衛の信二郎もなかなかいい。喧嘩をとめ立てする芝雀も男伊達の女房としての貫禄もしっかりあって見直した。この二人には「ひと夜」でもこちらでも新しい魅力を見ることができた。
段四郎の三婦は老侠客の風情がいい。女房のおつぎ(吉之氶)との息もぴったり。そこにやってくる福助のお辰もあだっぽいいい女。こういう役は本来的に福助にふさわしい。一箇所をのぞき、本当にいいお辰だった。その一箇所とは「さぶさ~ん」と2回呼びかけるところ、声が媚びすぎ。特に最初の声かけの方はもう少し普通っぽくした方がいいと思った。あとは鉄火肌の魅力的ないい女。
歌六の義平次は本当に貧しい暮らしの中で根性まで曲がってしまった憎憎しい男の嫌らしさをこれでもかこれでもかと団七にたたきつけてくる。これではいくら婿さんでも堪忍袋の緒が切れるなと思わせないといけない役だから、これでいいのだ。

祭囃子に乗っての立ち回りと要所要所でのさまざまな見得。殺し場を美しく見せる南北劇の真骨頂。堀に一度落ちた義平次が泥をまとって這い上がってきたところを仕留めるので団七も泥にまみれ血にまみれるのだ。それらを井戸の本水をかぶって洗い流すのだが、ここで一箇所気になったこと。吉右衛門さん、ぽっこりお腹を隠すために赤い下帯をぐるぐるとかなり上まで巻いていた。ちょっと上過ぎ~。ここで男の色気ちょっと減点~。

あと、祭囃子がコクーン版では勘三郎が岸和田のだんじり囃子の皆さんをこだわって招いたということだが、天神祭でもおなじみのあの金属音の鳴り物の音が今回はない。吉右衛門はあえてお江戸の祭囃子にしたそうだが、自分が乗れるかどうかというこだわりでいったようだ。舞台は大坂でも江戸前の上方芝居ということか。その辺は自分に合わないことはしないという吉右衛門のこだわりだろう。
江戸時代も上方の狂言であってもお江戸での上演の時にはお江戸の観客の好みに合わせたわけだから、こういうテイストもありなのかなと納得。
コテコテの大坂の濃厚さにこだわったコクーン版と粋に仕上げた吉右衛門版。両方いいんじゃないかと思った次第。
写真は太い柿色の弁慶縞で団七縞と云われる着物を着た団七の花道での見得。チラシの写真より。
五月大歌舞伎・昼の部①「寿式三番叟」「ひと夜」の感想はこちら
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06/05/22 祝!前進座創立75周年!!

5/22に前進座が創立75周年を迎えた。国立劇場で5月に公演をするようになって23年だという。長い歴史の積み重ねにまずは敬意を表したい。

昨年の10/16にお茶屋娘さんと吉祥寺の前進座劇場に行って「髪結新三」を観た。前進座の歌舞伎を観るのは初めてだったのだが、すごく納得のいく舞台だった(感想アップできなかったのだが)。舞台のトータルバランスということでは勘三郎の襲名披露公演のこの演目よりよかったと思った。
嵐圭史の源七や家主の梅之助がすごくよくて、梅雀の新三とのやりとりが軽妙でよかったのだ。世話物はいい、前進座!と確信をもった。
そこでもらったチラシでしっかり創立75周年の国立劇場公演を観にいくことにしていたのだった。梅之助の魚屋宗五郎はいいよという話も耳に入っていたので、なるべく早いうちにちゃんと観ておかなくてはと決意していた。

子どもの頃から時代劇が大好きだった。梅之助の「遠山の金さん」や「伝七捕物帳」もお気に入りで、杉良太郎みたいに二枚目じゃないのに温かい雰囲気が好きだった。♪お江戸の空に春を呼ぶ~ちょいとやくざな遠山桜~♪(今でも歌えます)
しかしながら前進座の舞台は20年くらい前に大阪にいた頃にいまむらいづみ主演の「柳橋物語」を観たのが最初。はっきり言って今ひとつだった。その後、東京にきてから前進座劇場で「怒る富士」を観る機会があり、主演の嵐圭史がカッコいいと思った記憶はちゃんとある。しかしそれっきりだった。
ところが歌舞伎にハマってからスター中心でなく作品をじっくりみせる前進座歌舞伎の評判が気になってきた。見取り方式よりも通し上演を好む私は、歌舞伎座などの上演ではしょられる場面も観てみたい気持ちが強いのだ。勘三郎の襲名披露公演の「髪結新三」になんとなく納得がいかなかったために昨年秋の前進座の舞台は早々にチェックして観たのだった。
梅雀の新三は小物の悪人の感じが良く出ていたし、嵐圭史の源七は苦味走った侠客だが盛りは過ぎて力が衰えて若い新三の勢いに引かざるをえない悔しさがくっきりとしていた。その意趣返しで新三を殺してから最後に捕方に囲まれるまでの気持ちの揺れの場面をしっかり観ることができたのでやっと納得させてもらえたのだった。

と書いてはいるが、チケットとったのはけっこう遅い。「平成若衆歌舞伎」を5月の第一優先にしてしまったので、他が後手後手になったのだった(^^ゞ
5/24に追加公演が入ったのでその日でとり、同時に前進座友の会にも個人会員になってしまった。チケット代は定価の20%引、パンフレットは公演会場にて半額で買える。年会費は2000円だが、劇団創立75周年記念友の会入会キャンペーンで今年は入会金が無料になる!これだと年間2~3回くらいで元がとれる~。
外側ではあるが花道横をとった。仕事をフレックスで早く上がって職場から歩いて20分の予定!なんといい場所に職場があるのだろうと思う。

今日初めて職場から歩いていったのだが、朝はいいお天気だったのに午後から空はかき曇り、本降りの中を20分歩くのはけっこうつらかった。オープントゥシューズだったし、足は濡れてくるし~。開演10分前になんとかすべりこんだのだった。
梅之助がひとりで定式幕前でした口上も2本のお芝居も実によかった!
感想はあらためて書くが、終演後のお外はもうすごいことになっていた。舞台でも雷と本水の雨が降ったが、劇場の外もザーザー降りとすごい雷!
その符合ぶりになんか感心しながら帰途についたのだった。
写真はパンフレットより。
前進座の公式ウェブサイトはこちら
①梅之介の「創立75周年口上」「魚屋宗五郎」の感想はこちら
②「謎帯一寸徳兵衛」の感想はこちら
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06/05/14 五月大歌舞伎・昼の部①「寿式三番叟」「ひと夜」

吉右衛門を中心とした五月大歌舞伎が新橋演舞場で行われたが、毎年恒例の公演にする予定と歌舞伎会の会報「ほうおう」6月号にも書かれ、筋書巻末の演舞場支配人のご挨拶にも書いてあった。これでもう5月は毎年歌舞伎座・演舞場の両方で團菊吉の揃い踏みとなり、歌舞伎ファンは嬉しい悲鳴を上げることになるのだ。
なんだかんだと言ってぐずぐずしていた私だが、五月大歌舞伎の立ち上げとなる今回もちゃんと観ようという気になり、昼の部も夜の部もなんとか観ることができた。吉右衛門が後進の育成に本腰を入れだしたことがよくわかる公演だったと思う。
「平成若衆歌舞伎」を観てから演舞場にまわり、ようやく舞台写真入りの筋書を買うことができた。23年ぶりの吉右衛門の公演に演舞場の気合が入ったのか、いつもはB5版の筋書が今月はA4版で上等な紙質の表紙に金文字が躍っている。それを見ながら少しずつ感想を書いていく。(写真は表紙のアップ)

1)「寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)」
能楽に「翁」という国土安穏、五穀豊穣を祈る儀式性の強い演目があり、歌舞伎にもアレンジして取り込まれてきた。中でも狂言師が舞う三番叟をもとに歌舞伎ではさまざまな三番叟の踊りが創られた。「三響会」で両者のコラボレーションの舞台があり、野村萬歳と染五郎の共演が話題になり、私もNHKの録画まではしてある。
今回の「寿式三番叟」が私には初めての三番叟だ。特に今回の作品は三番叟を染五郎と亀治郎二人で踊る二人三番叟の趣向。藤間勘十郎による振付ということで若い三人が協力して作り上げたのだという。種太郎の千歳、歌六の翁による舞に続いて二人三番叟となる。

曲も今回は竹本連中。伝左衛門らの囃子連中の小鼓・大鼓も凄い迫力。それに乗って黒のシンプルな衣装で踊る染五郎・亀治郎の二人。若いだけに切れもよく、互いに火花を散らしながら踊り比べをするような気迫。舞踊の苦手な私だがここまでの迫力だと瞬きも惜しいくらいに食い入るように観てしまった。

染五郎の「端正さ」と亀治郎の「濃厚さ」。その個性の違いと組み合わせによって醸し出される味わい。これからもいいコンビになるぞという確信が湧いてきてわくわくした。PARCO歌舞伎でも感じた魅力がこれからは古典的な味わいの舞台でも味わえるのだと期待が膨らむ舞台だった。

2)「ひと夜」
「昭和の黙阿弥」とたたえられた宇野信夫の処女作で新劇で初演。新派や歌舞伎でも上演された作品だということで、どうりで雰囲気がずいぶんといつもと違った。上演順はこちらの方が「寿式三番叟」の前。あらすじは以下の通り。
時代は大正半ば。浅草に住む日蓮宗の行者田口(歌昇)の家に健吉(橘太郎)がおとよ(芝雀)を連れてくる。おとよは活動写真館の下座松太郎(信二郎)の女房。夫は常軌を逸したやきもち妬き。今日も喧嘩の末に家を飛び出したのだった。健吉の家に泊めてもらおうとしたが妻の嫉妬でいられなくなり、行者なら安心と連れてこられたのだった。

雀右衛門が襲名興行でおとよを演じて以来の上演とのこと。そのおとよを子息の芝雀が演じたのだが、従来幸薄い女が似合うと思っていたイメージを吹き飛ばしてくれた。憎めない可愛い女なのだ。生い立ちの境遇が似ていることで親近感を抱いた田口に連れて逃げてくれとすがり、田口が悩んだあげくに決意したところを夫に見つけられると喧嘩のほとぼりも冷めていたためか急に元の鞘に収まってしまい、田口にすがったことなどおくびにも出さない。翻弄される田口のほろ苦い哀れさを歌昇がいい味で好演していた。
特筆すべきは松太郎の信二郎。奔放な妻が許せないとキーキーとわめきたて、許せない妻の行動を見たら殺してともに死のうといつも剃刀を持ち歩いているという偏執的な人物。可愛い妻に異常に惚れ込んでのことなのだ。噂にはなっていた信二郎の怪演。ここまではじけていてくれるとは嬉しい驚きだった。

おとよもそこまで惚れられたらそれも嬉しいという感覚で一時の勘気さえ冷めればすぐにアツアツムードになる。結局は我儘者どうしのお似合いの二人というわけで、振り回される周囲がお気の毒。今回の犠牲者が田口だっただけなのかもと思わせる。こういうことってあるかもしれないと思わせるおかしくてホンワカしてほろりとさせる舞台だった。演舞場での大歌舞伎の幕開けにはふさわしかったと思った。

五月大歌舞伎・昼の部②「夏祭浪花鑑」の感想はこちら
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06/05/14 團菊祭・夜の部③三津五郎・時蔵の「吃又」で満足

「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)~将監閑居の場」
「吃又(どもまた)」を観るのは2回目である。最初は2004年6月歌舞伎座の海老蔵襲名披露公演の中で又平(吉右衛門)・おとく(雀右衛門)で観た。おふたりがよくなかったわけではないのだが、ちっとも共感が湧いてこなかったのだ。
だから今回もまた「吃又」なのかと気乗りがしていなかったのだが、渡辺保氏の劇評で三津五郎が義太夫によく乗ってとてもよいと褒められていたので気をとりなおした。これは作品再評価のためにも真面目に夜の部に行かねばなるまいということにしたのだった。以下、あらすじを松竹ウェブサイトを踏まえて書く。
絵師の又平(三津五郎)は、生まれついてのどもり=吃音のため、師匠の土佐将監(彦三郎)から土佐の苗字を許してもらえないでいた。女房のおとく(時蔵)が夫に代わって願い出るが、ますます師匠の怒りを買うばかり。悲嘆に暮れた夫婦はついに死を決意。おとくの勧めで今生の名残りに手水鉢に自画像を描く又平。するとその絵は一尺あまりもある石を貫いて手水鉢の裏側に抜けるという奇跡が起こる。

三津五郎の又平、生真面目に絵に取り組んでいるのだが世に通る名もないので土産物の大津絵を描いてつましい暮らしをしているという庶民的な感じがよく出ている。三津五郎では何年か前の「たぬき」の主人公がとてもよかったが、カッコいいとはいえないがしみじみとさせる役に味が出るなあと今回も痛感。また今年のNHK「歌舞伎入門」で、時代物をやるのに義太夫をあらためて習いに行ったと言っていたが、身体の動きも本当によく糸に乗っていて観ていて気持ちがよかった。弟弟子が先に苗字を許されて必死になって師匠に懇願するその身を捨てた必死さ、許されずにその日暮らしで生きることにはもう耐えられずに死を決意する思いつめた感じ、絵を描き終わった時の放心状態。その哀れさがとても胸をうつ。
奇跡を起こした後で師匠から名前が許され、侍としての衣装や刀も与えられた時の喜び方がまた素朴でとても微笑ましかった。この悲嘆と喜びの両極の表現がまた庶民的な共感が持てるものだったのだ。

また時蔵のおとくとのコンビがとてもよい。どもりでよくしゃべれない夫に変わって師匠へのお願いをテンポのよい「しゃべり」できかせるのだが、これが押しつけがましくもなく夫への愛情がにじみでている。死後に名前を追贈してもらえることにも望みをかけて夫婦してともに死んでいこうとするのだが、その前に絵を描かせたり別れの水杯をしようとかいがいしく働く姿にも夫を心底愛する気持ちがあふれていた。派手さはないがこの又平・おとく夫婦にはふさわしい若さがあるのもよかった。とてもいい夫婦だなあと羨ましくもなる。

また時蔵の子息である梅枝の修理之助もよかった。前半の絵から抜き出た虎を消す奇跡を起こす場面の立ち居振る舞いもよく、又平夫婦のあしらいも嫌味がなく、師匠の言いつけで主筋の姫を迎えに出立するところも凛々しかった。これからも楽しみだ。その姫の危難を知らせにくる役の雅楽之助の松緑もよかった。こういう勢いのある役はなかなかいい。

今回の舞台で「吃又」の作品自体も演者によってこんなに面白くなるものなのだと認識をあらためることもできて、やっと満足できたのだった。
團菊祭・夜の部①「保名」「藤娘」の感想はこちら
團菊祭・夜の部②「黒手組曲輪達引」の感想はこちら
團菊祭「外郎売」幕見の感想はこちら
写真は松竹のウェブサイトより今回の公演のチラシ画像。
修正:当初タイトルを五月歌舞伎座夜の部と入れていた。これから新橋演舞場の五月大歌舞伎の感想も書こうとしたら自分でややこしくなってしまった。そこでこちらのタイトルを團菊祭・夜の部に統一して変更した。
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06/05/21 祝!東京初お目見得「平成若衆歌舞伎」!!

「平成若衆歌舞伎」とは何か、まずは松竹サイトなどからメモメモ。
「平成若衆歌舞伎」は、片岡秀太郎丈の「上方で培われた芸を今の若い人に伝えたい。新作でも古典の手法を使うことによって、きちんと古典の魅力を伝えていきたい」という思いから2002年の「新八犬伝」からスタート。片岡愛之助と「松竹・上方歌舞伎塾」の卒塾生たちによる公演。第5弾にして初めて東京お目見得となった。
片岡愛之助贔屓の私としては五月の歌舞伎の第一優先としてチケットを確保。「上方歌舞伎を担う若手俳優」の皆さんは関西の歌舞伎公演を中心に出ているようで、チラシの名前を見ても愛之助と秀太郎丈の他は全く馴染みのないメンバーばかり。私はそれでも秀太郎丈の心意気も応援しようという気持ちでいっぱいだし、やはり愛之助の魅力がサイフのひもを緩めさせたのだった(若いイケメンさんを観にいくためではない。念のため)。

『大坂男伊達流行(おおさかおとこだてばやり)』
お話の内容はウエストサイドストーリーを踏まえたもの。今回は倹約のためプログラムを買わなかったので曖昧な記憶に頼って書いたのでご容赦m(_ _)m
対立するグループは貧乏人の雁金組とお店のボンボンたちの天神組。かたや髪結いに行く金もなく月代ボーボーでかたや青々とした頭で揃えている。ささいなことからしょっちゅう喧嘩をしている様子。喧嘩の場面はまるでダンスのようでトンボも切らないしツケ打ちもなし。あの小さい劇場じゃ無理だよね。皆さん、若いし特に貧乏人組の方は化粧もあまり歌舞伎っぽくない。宝塚の江戸物の男性版のようなイメージがした(なんかうまく表現できないけれど)。
そこに主人公の雁金組の客分の時雨の平左(愛之助)登場。客席からやんやの拍手。やはりこの人目当てのお客さん!私もそうだけど(^^ゞただひとり大歌舞伎のテイストで別格の存在感。立ち回りの動きも他のメンバーとは全く違う次元にある。
お役人やら地回りの女侠客奴のお仙などが割って入って喧嘩は何度も止められる。このお仙はなかなかあだっぽい女だが夫亡き後シマを仕切っている様子。夫の弟分が明らかに姐さんを慕いつつ付き従っている。
ウエストサイドストーリーなのだから、主人公は敵対する相手のリーダー十兵衛の妹お初と恋仲になる。しかしここで横恋慕のひねりが入る。奴のお仙が平左に惚れて情人にしようと罠をしかけるのだ。
そして歌舞伎で定番の忠臣蔵とからませる手法。実は平左は赤穂浪士の橋本平左衛門なのだが、おちこぼれて遊び人になってしまっているという設定。
さらに平左はお仙のすすめのまま絵草紙屋に居候するのだが店番の老人はいつも「読んでみやれこの世の因果、眺めてみやれこの世の不思議」とブツブツ言っている。平左は店にあった「絵草紙乙女」という本の中の女の絵に心を奪われ、その本を持ち歩くようになっている。その乙女は何やら女の情念がこもっているようでその女のイメージで何度か秀太郎丈が平左の横に立つ。
お仙は十兵衛が店の資金繰りに窮していることにつけこみ「ある時払いの催促なし」で金を貸すが証文を偽造して妹を売り飛ばすように仕向ける。平左はお初を救おうとお仙にかけ合うが、すでにお初は手下に手篭めに合わせるように仕向けたときき、刀に手をかける。この殺し場はなかなかのものだった。ついにお仙を殺してしまうのだが、何度も何度も斬りつけて最後にとどめを刺すところの愛之助の表情の変化がまた素晴らしい。狂気の目の演技も魅力的~。松竹座での「伊勢音頭」の殺し場はどんなだったのかなあ。「女殺油地獄」を愛之助で観たいなあと勝手にイメージは広がっていく。

それを見つけたお役人は実は吉良の間者だった。そこで続けての殺し。間者を成敗したことによって「ひとりっきりの敵討」を遂げたということに!?これはちょっと無理くりだという気もするが.....。とにかく落ちこぼれ赤穂浪士の面目は取り戻した!
最後は殺人の責めを負って2つの組のメンバーの前で切腹する。その苦しい息で両者に対立をといて力をあわせて大坂のまちをもり立てる男伊達になれと説得する。昔から主をいさめるのに「影腹」という方法もあることだし、切腹する男の言葉は重たいのだ。さらにウェストサイドストーリーとの違いは手篭めから救われたお初も同じ刀で胸を刺して心中してしまうこと!十兵衛が「蓮の台で添い遂げろ」と二人を抱き合わせてスポットが~。
そこに例の老人が現れて「読んでみやれこの世の因果、眺めてみやれこの世の不思議」と言いながら定式幕を引っ張っていって幕~(途中で「絵草紙乙女」にこめられた女の情念の謎もとかれてはいる)。

やはり愛之助の座長芝居という感じだが、若衆たちの見せ場も丁寧につくられている。チャリ場も上方のおかしみが楽しめる。
欲をいうと、愛之助の恋人お初がもう少し可愛いと「この女のためならば~」感が増すと思うのだが、頑張っていたことは認めたい。
今回のお席は下記のブログ(ナビゲーターは平成若衆歌舞伎公演をバックで支える仕事人のこじかあきさん)にあった先行予約でとったために一番端ではあったが最前列!お茶屋娘さんはいつものようにお着物、私も今日は真面目に赤いベストスーツで並んで観た。これなら8800円も惜しくなかったな。
でも次回開催に向けて一つ注文したい。開催の時期を6月くらいにしてほしい。5月は歌舞伎座と演舞場が来年も決定しているのでずらしていただきたいのだ。また応援にいきたいぞ~。
「もっと!平成若衆歌舞伎」ブログはこちら
写真は今回の公演のチラシ画像。
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06/05/20 「新選組!!土方歳三 最期の一日」録画観賞

今日は予定がオールキャンセルになってしまった。うーん、こういうのはけっこうまいる。全部来週で予約を取り直し、さあ何をしようかなあ。ブログで観劇の感想を書く気力も湧いてこない。(朝は晴れていたのに午後にわかに強い雨風雷が通り過ぎたので遠出しないですんでよかったともいえるのだけど.....)

そうだ、明日は片岡愛之助主演の「平成若衆歌舞伎」に行くのだが、その前に観なければいけないものがあったのだ~。NHK正月時代劇「新選組!!土方歳三 最期の一日」をお茶屋娘さんに録画してもらっていたのにまだ観てなかったのだm(_ _)m。

写真はもう発売になっているNHKのDVD。そこのみどころ欄によると以下の通り。
三谷幸喜作、2004年放映のNHK大河ドラマ『新選組!』のその後を元新選組副長・土方歳三を主人公に描くスペシャルドラマ。明治2年5月、新政府軍の総攻撃を翌朝に控えた箱舘・五稜郭を舞台に、土方や榎本武揚をはじめとする旧幕府軍の最期の一日を描く。

観た。もちろん土方役の山本耕史はカッコいい。そして歌舞伎界から片岡愛之助が榎本武揚役で出ていたのだ。それで明日に備えて観ないといけないとTVの前に座ったのだった。
え~っ、こんなにふたりで一対一で二人芝居をする場面が多かったのかと驚く。長くヨーロッパに留学していてその生活スタイルを取り入れている榎本を三谷幸喜はかなりオーバーに描いているのだろうが、その気障っちい人物を愛之助が演じるとカッコいいのだ!でも、あの髭は卵の白身で整えていたってホントか??
自分が不在の席で榎本が新政府軍の総攻撃を前に降伏を提案したことを知ると土方は談判に乗り込む。そこでの二人のやりとりがいい。榎本は土方の洋装からふたりの共通性を語り、土方は違いを強調する。そもそも榎本にかけた思いを土方が語ると榎本もその大元の「夢」を語る。榎本が蝦夷に独立国をつくるという「夢」を大真面目に抱いていたという話に土方は「お前は馬鹿か」と一喝。榎本は土方がリアリストで自分を「間抜けなロマンチスト」だと表現。しかしその「夢」の根本に人々が豊かに暮らせる社会をつくるためという共通性をみつけた土方も自分を「ろまんち」だと認める。
死に場所を求めてここまで戦ってきた土方の生きる姿勢を変えさせた榎本。最後は榎本の夢を一緒にみようと生きるための戦に赴いた土方を銃弾が貫く。
このふたりのやりとりがいい~。気障でいながら武士の魂をしっかり持った男として愛之助がしっかりとハラのある演技をしてくれた!!
なんだ~、こんなに感動的なお話だったのね~。ソファでしっかり泣いたのだった。でも、こういうのを一緒に観ると言ってくれない娘にちょっと不満。歴史物、ホント興味示さないんだから、もう~。

余裕がなくて今まで観なかったのだが、観てよかった~。
愛ちゃん、明日、一列目で観るからね~。



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