11/06/29 「風評被害」の元凶をただし、市場を機能させて合理的な補償を......なるほど!


ネット検索していてみつけた6/28付け東洋経済の「『風評被害』の元凶は誰か」という記事を読んだ。慶応義塾大学教授 深尾光洋(ふかお・みつひろ)氏への取材記事。>以下のところはこの記事よりの引用。
>本来、被曝のリスクは時間当たりの線量ではなく、累積線量で考えるべきだ。しかし当初からマスコミは1時間当たりの線量を胃がんのX線集団検診における被曝量などと比較して安全を強調し、誤った理解を広めた。政府がそのような発表の仕方をしたからだ。現在でも、インターネットの福島県のホームページではこのような情報発信が行われている。
 そもそも胃の検診はがんのリスクが高い中高年層がせいぜい年に1回受けるもので、子供や妊婦は病気が強く疑われるケースを除いては、受けてはいけない検査だ。(中略)
一般の人には子供や妊婦のように放射線の影響を受けるリスクの高い人もいるので、世界的にも年間1ミリシーベルトという上限が設けられているのだ。
 3月14~16日の大量の放射性物質放出後の数週間は、冷却が困難になった三つの原子炉、四つの核燃料プールを同時に海水で冷やすという、七つのお手玉を回すような難しい状況に陥った。仮に一つでも冷却に失敗していたら、チェルノブイリ事故のように、風下に大量の死の灰が降る可能性があった。本来、もっと広範囲の住民に対して避難勧告をすべき事態だった。特に風下の住民に対し、警告を発するべきであった。
 政府の情報開示の姿勢と日本のマスコミの報道には、不信感を持っている。首相官邸のホームページには、国際機関によるチェルノブイリ原発事故の報告の一部が載せられているが、肝心の「長期的には9000~1万人が、がんと白血病により死亡する」との見通しを載せていない。これは驚くばかりだ。
 危険を過小に見せようという政府の姿勢に、国の原子力政策にかかわった多くの専門家たちも加担し、テレビの報道番組で「安心です」と言い続けた結果、国民の信頼を失ったのではないか。
 気象庁や日本気象学会は、風に乗って広がる汚染を予測して避難を呼びかけるべきであった。しかし気象学会は学会員に対して、汚染情報を発表しないようにとの通達まで出した。学会の自殺行為だ。
――農産物をめぐる情報開示にも混乱があった。
 政府やマスコミは消費者の買い控えを「風評被害」と呼ぶが、あたかも消費者の行動が合理的でないかのような、まったく的外れな表現だ。政府の情報開示が不十分だから、不信感を持たれるのだ。
 食品について政府は、地域別・品目別の詳細な汚染情報を開示せず、政府が定めた安全基準より放射線量が多いものを出荷停止としただけで、それ以上の情報を出さない。また、放射能汚染のレベルが高まった3月17日に水道水の摂取制限や飲料・食品の出荷停止基準を大幅に緩めたことも不信感を増大させた。
 こうした状況では、できるだけ体内被曝したくないと考える消費者が原発に近い地域の農作物をすべて敬遠するのは当然で、まったく汚染されていないものまで価格が大幅に下がってしまう結果を招いている。
――政府が本来取るべき行動は。
 汚染による被害を最小限に抑え、農地の生産をある程度維持するための提言をしたい。以下は、現代経済研究グループ有志(※)による提言だ。
 すなわち、徹底した情報開示で市場機能を回復させることだ。放射能に汚染された地域の農地や港から出荷される生鮮食品については、ロットごとに汚染の水準を表示して販売する。表示を偽った業者には厳しい罰則を課すが、安全基準内であれば、汚染水準の開示を条件に出荷を認める。消費者は自分のリスクと汚染水準を見て購入すればよい。
 開示制度が信頼を得られれば、汚染度合いが非常に低い産物には、通常の価格がつくはずだ。汚染があっても基準を下回るものには、それ相応の安い値段がつく。これは風評による安値ではなく、市場が評価した正当な値段ということになる。
 安全基準を上回って汚染されている食品は出荷を停止し、その損失は東京電力が直ちに買い取りに応じることで補償すべきである。また、汚染によって価格が下落したものも、汚染されずに正当な価格がついている商品との差額を補償すればよい。
 このようなやり方で、汚染された食品が出回るのを防ぎ、汚染されていない食品が売れずに生産者が不当な損害を被ることも阻止できる。
(※)ほかに賛同するメンバーは次のとおり。伊藤隆敏(東京大学教授)、浦田秀次郎(早稲田大学教授)、土居丈朗(慶応義塾大学教授)、八田達夫(大阪大学名誉教授)、八代尚宏(国際基督教大学教授)。
(週刊東洋経済2011年4月30日号掲載 記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

「風評被害」の元凶は、政府が情報開示方法を誤ったことだという指摘に共感。まるで消費者が根拠もなく不安だから買い控えをしていかのような「風評被害」という言い方は今回は違うだろうと思っていただけに、政府やそれを受けたマスコミの情報への不信感の表れという指摘に溜飲が下がる。
また、「徹底した情報開示で農産物の市場回復を」という提言が、現代経済研究者らしいと思った。確かにきちんと根拠を示した上で判断された価格で市場を機能させて、その損失を補償させるというのは合理的だと多くの人に支持されるだろうと思う。
資本主義の社会の中でも資本の暴走をさせないように制御させながら、市場という機能のよいところを活かしていくべきだと考えているので、こういう提言は勉強になった。



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11/06/28 「節電しないと今夏、大停電」はウソ?やっぱり!


ネット検索していて6/22付け東洋経済の「『節電しないと今夏、大停電』はウソという記事をみつけて読んだ。>以下のところはこの記事よりの引用。
>一部では「夏の停電説は、原発が必要なことをアピールするプロパガンダではないか」との見方が広がっている。
やっぱりそうだよなぁと納得。それにこういう記事がマスコミでようやくガンガン流れるようになってきたのは、常に風見鶏的に動かざるを得ないマスコミの限界とはいえ、今の「脱原発」世論の勢いがあるためだ。
そもそも、まだまだ使える火力発電所を止めて原発にシフトしていったのは、石油の確保が中東情勢に左右されたりすることやコストが高いということ、地球温暖化ガスが排出されるということをマイナス要因に挙げて推し進めていったのだ。
核兵器開発後、その抑制は不十分なまま「原子力の平和利用」という美辞麗句を隠れ蓑に、核兵器の進化のための研究をすすめてきたのが実態だ。
その安全管理技術の脆弱さや核廃棄物処理の問題、寿命がきた原子炉の廃炉までをコスト管理に含めない偽のコスト論など、原子力産業が儲け、そのうまい汁を吸わせる一部の人の利益のために本当のことを隠したり、嘘の情報で騙したりすることがあることを、もっともっと多くの人に知ってもらって、騙されない人々のパワーを大きくしていきたい。

>そもそも、3月に行った計画停電は、原発に加え火力発電所が被災したことによる供給能力の低下の影響も大きかった。「頑張れば停電しなくて済む日もあったはずだ。東電や政府は、その情報を正確に伝えずに、世論を操作したのではないか」と、名古屋大学大学院環境学研究科の高野雅夫准教授は指摘する。
(中略)
一方、政府の要請によって浜岡原発の全原子炉を停止した中部電力では、2011年度に占める原子力の電源構成はわずか12%。「原発を止めたとしても水力と火力だけで3000万キロワットの設備容量があり、今年のピーク容量見通しは賄える」(高野准教授)。
 原発停止による電力供給への影響は、各電力管内でも微妙に異なるが、「全国でかなりの原発が止まっても、火力で賄える」と、原子力資料情報室の西尾漠共同代表は言い切る。
 西尾氏によると、昨夏のピーク需要量約1.8億キロワット(原発を持たない沖縄電力を除く9社合計)のうち、原子力が担ったのは計算上、わずか1500万キロワットで、約1.6億キロワットは火力や水力が担った。今夏は需要が昨年を下回ると見られるほか、火力を増強しており、原発による発電量が相当絞られても堪えられる計算になる。冷夏だった09年は、原発をまるで使わずに最大電力が賄えたという。
 夏場のピークといっても、「実際は夏場の数日間、しかも数時間程度。その9割は事業所が使用する。工場の休み時間を1時間ずらすなど、ピークを下げるやり方はいくらでもある」(高野准教授)。一方、近年電力消費量が増えてきた家庭部門でも、「電気湯沸かし器など電力消費量の多いものを使うのをやめればバブル期の水準にまで消費量を落とせる」。

そうそう、トーク企画で亀治郎も「電力が足りないなんて大嘘ですからね」と言っていたっけ。
そろそろ、今日の限界。「風評被害」に関する記事のご紹介は明日また書きたい。
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11/06/28 震災で倒壊したキャビネットの後片付けで労災?!


3/11の東日本大震災で職場の資料室もキャビネットの一部が倒壊
その後、キャビネットを移動させて壁の補強工事、移動先でのL字金具での固定工事も経て、散乱した資料を移動先に収納する作業が予想以上に身体に負担になっていた。

仮片付け作業は、上のフロアの研究所スタッフも手伝ってくれたのだが、3月末に同僚が定年退職後の作業となった最終的な収納作業は私一人で実施。
後任の方の着任がずれこんでいて、いつまでも待つことができなかったので少しずつ一人で頑張った。

3ヵ月以上経過したが、分厚い資料や保管ボックスを掴む手指とそれを支える筋肉や腱鞘に炎症が起きてしまったらしい。継続的に通院している接骨院で痛みを訴えたら、いわゆる「野球ひじ」状態になってしまったいるという。
痛みがひどい日は写真のように。大きいサイズのモーラステープを鋏で切って貼って就寝。
これも労災だといえると思うが、面倒なので申請はしないでおく。
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11/06/25 エアコン3台のクリーニングは見ものだった!


今のマンションに引っ越してきてもうすぐ7年。その時に新しく買って取り付けたエアコンが2台、翌年に取り付けたのが1台の計3台を初めて業者さんによるクリーニングをお願いした。本当はもっと早くお願いすべきだったと今更思うが、まぁ、その気になった時からということで(^^ゞ
生協の宅配で早割サービスのチラシをチェックしておいたのだが、そのチラシが紛れてしまい、見つけ出したら早割の締め切りを過ぎてしまっていた。

実はこの業者さん、先日マンションのアフターサービスの対応が悪く、やはり生協で紹介してもらって襖の引手の交換もお願いした会社で、それで安心して3台まとめてお願いしようと思った次第。
その次のチラシを見て予約。3台以上の割引価格とはいえ、やはり早割の価格は魅力だった。次回はちゃんと早割でお願いするつもり。とはいえ、3年に1回くらいでいいと思っているが。

昨日は6月の観測史上最高気温の記録が同じ県内の熊谷で出た猛暑で、この夏のエアコン本格稼働をさせてしまったが、今日は10度くらい下がって曇天のお天気となり、こういう天候の乱高下は体にものすごく堪える。
それでも朝9時の予約時間には掃除機をかけ終えようと休日なのに早起き。

約束よりも15分も早く若い男性スタッフがやってきて、作業開始。

はずしたパーツを洗ったりするのにはお風呂場を使うと聞いていたが、ベランダにも流しがあるとお伝えしたところ、ベランダを使いたいとのこと。室外機が2台あるベランダでの作業にできてよかったみたいだ。
冒頭の写真がベランダ側にある東芝の同じシリーズのものだが、プラスチックの枠が外せないタイプとのこと。無理に外すと不具合を起こすおそれありということで、外さないで作業をする承諾を求められる。もちろんOK。こちらの2台は毎年フィルターの掃除をしていたのだが、やはりカビが多くて、洗浄液の色は真っ黒。昨晩、寝室の方は少々ニオイが気になっていたので、今日からは快適のはずでホッとする。

下の写真は玄関の隣の洋室=娘の部屋のエアコンで同じ東芝製だが少々安いシリーズだ。しかし、そちらは外枠をまるまる外すことができた!高機能のものは枠の部分にいろいろとはめこんであるので簡単に外せると不具合のもとになるらしい。

先の2台と違ってこちらはカビが少なく繊維の埃が多くて洗浄液は茶色っぽくなった。なるほど、南向きのベランダの方が夏の湿った南風の影響が強いのだろうと推測。

スタッフさんにいろいろお話できるのも有難い。最近流行のおそうじロボット機能つきのものは追加料金4000円とチラシにあったので、次回の買い替えに向けてそのあたりも聞いてみた。やはりシンプルで馬力のある機種を買って3年に一回ほどプロのクリーニングをお願いするのがよさそうだ。
やはり3時間くらいかかって作業終了。スタッフさん、お世話になりました!

それから、オープンキャンパスにも行かずに愚図愚図している娘をひきたてて、隣駅近くのシネコンへ。ゲキ×シネ「薔薇とサムライ」の上映封切り日で見てしまおうという強行軍。
最高に面白かった!劇団☆新感線の舞台を見たことのない皆様にもおすすめしたい!

それにしても疲れ切った一日だった。明日は演舞場六月歌舞伎の千穐楽昼の部に遅れないように出かけなければ・・・・・・。
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11/06/18 コクーン歌舞伎観劇前の転倒は美人に見とれたせいです


巣鴨散策の後半は雨になり、渋谷への移動も予想より時間がかかり、コクーン歌舞伎の開演ぎりぎりになってしまった。
シアターコクーン到着前に開演している時間になり、当然、Bunkamuraの建物の名物の吹き抜けをぐるりと囲むあたりを急いで早歩き。
入り口あたりのお客さんの姿はなし。と、長身の着物の女性が携帯電話で話をしている。近づいていくと、富司純子さんだった!愛息の舞台にいらしているのだとガッテン。

夏物の白地に素敵な柄の着物で、立ち姿が実に綺麗。夜の部開演前で建物の照明は節電で薄暗くていつもはお年相応に見えるお顔が、ぼんやりとしかし美しい眼鏡がよくお似合いだ~。

この暗がりで床の端っこの排水のための溝が見えなかった。左の足が溝に落ちかけて膝がカックンとなり、バランスをくずした~。
ゴロリン!
そう猫背の背にリュックをしょった姿で回転レシーブのように一回転してしまった。

本人も驚いたが、劇場スタッフの女性がびっくりしてすっ飛んできてくれた。
スタッフ「大丈夫ですか?」
私「大丈夫です。どこもぶつけてはいません」
玲小姐さん「菊ちゃんのママに見とれてちゃダメでしょ」

バレバレであった。いやぁ、しかし綺麗だったなぁ。
開幕していて冒頭の船の上で三五郎と小万がいちゃついているところだったが、どこも痛くなく、すぐに串田和美の「盟三五大切」の世界へ。

若い頃と違って、筋肉痛や打ち身が数日後に出てくる私たちの世代のこと。
やがて通勤途中にそれを痛感させられる。
駅の階段を降りる時に左足首に痛みが走った。どうやら、足をとられた時に体重がかかった左足首が軽い捻挫を起こしたようだ。腫れているわけではないが、傷めた筋に力がかかると痛いのだ。
数日後ではあったが、モーラステープのお世話になっているという次第。1週間たってもまだ痛い(^^ゞ
恥ずかしながらのご報告m(_ _)m
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11/05/25 今を生きるエール!シアターコクーン2011「たいこどんどん」


井上ひさしの「たいこどんどん」は、前進座公演で梅雀が幇間桃八の時に観たかったのだが見送っていて、舞台では初見。
シアターコクーン改装前のラス前公演として井上ひさし×蜷川幸雄×勘三郎(初)になるはずだったが、体調不良のため休養しているため、橋之助がピンチヒッターになった。冒頭は今回の公演のチラシ画像。橋之助は改装前のラスト公演「コクーン歌舞伎 盟三五大切」にも主演していて、そちらも昨日観てきたので、順を追って書くため本日頑張ってアップ(^^ゞ
【たいこどんどん】
作:井上ひさし 演出:蜷川幸雄 音楽:伊藤ヨタロウ
作品概要は、松竹の「歌舞伎美人」のニュース一覧から引用。 この作品は、井上ひさしの直木賞受賞後第一作目となる小説「江戸の夕立ち」を1975年に劇化したもので、井上ひさし"追悼ファイナルBunkamuraシリーズ"として、現在上演中の『日本人のへそ』と並ぶ大作上演に当たります。また、『天保十二年のシェイクスピア』『藪原検校』『道元の冒険』『裏表源内蛙合戦』と続いた、蜷川幸雄演出の井上作品の舞台、第5弾でもあります。

あらすじは、Bunkamura シアターコクーンのサイトから以下、引用。
時は幕末。日本橋は駿河越後屋呉服店前の七つ時。たいこもちの桃八(古田新太)が、江戸で指折りの薬種問屋鰯屋の跡取り息子、清之助(中村橋之助)と待ち合わせをしている。折からの雷雨。人々が越後屋の貸し出す番傘をさして行き交うなか、蝙蝠傘をさした清之助が現れる。二人が目指すのは、若旦那ぞっこんの女郎、袖ヶ浦(鈴木京香)がいる品川小菱屋。そこで出会ったひげ侍たちとのひょんな諍いがもとで、二人は品川の沖を漂流するはめに。これが九年にわたる珍道中のはじまりとなった。運良く千石船に拾われて、流れ着いたのは陸中の釜石。旅籠に腰を落ち着けたと思ったのもつかの間、思いがけない災難が二人に次々と降りかかる。若旦那にどんなに手ひどく裏切られても、尽くし続ける桃八。時に離ればなれになりながら珍道中を続ける二人だが、放浪の果てにたどり着いた先に待ち受けるものとは──?
その他の出演者は以下の通り。
瑳川哲朗、六平直政、宮本裕子、大石継太、大門伍朗、市川夏江、飯田邦弘、塚本幸男、立石涼子、大林素子、中村橋弥、中村橋吾、中村橋幸、ほか

たくさんの書き割り(シアターリーグの舞台・演劇用語より)を並べたお江戸の風景が現れる。そしてその陰から多くの出演者が姿を現しての開幕。そこからテンポよくドラマが展開。
あっという間に千石船でみちのくの釜石に連れていかれてしまう。江戸に使いを出してお金を持って迎えにきてくれた手代は山賊に殺され、桃八から取り上げた金も宿の女将の情夫に博打ですられ、宿の亭主殺しにも巻き込まれた清之助。自分だけ江戸に戻ろうと、桃八を情夫に売りとばす。もちろん、江戸に戻ったらお金を送って助けようとは思ってはいたのだが・・・・・・。
鉱山の人夫に売られた桃八の地獄のような3年。舞台の上で衣装を変え、頬に墨を塗って変身しながら、清之助への怨みをつのらせていく古田新太の長い独白の場面が実に見事。古田新太を見るのは久しぶりなので、登場の時からずいぶんと痩せたなぁとは思っていたが、この場面の迫力に圧倒された。

飢饉が重なれば陸奥にも百姓一揆がおきる。そのどさくさで鉱山を逃げ出した桃八は、富本節を歌える芸が身を助け、偽の太夫になりすまして町々のお金持ちたちのお座敷で稼ぎ、お江戸に帰る路銀を貯めている。その転々とする中で東日本大震災の被災地の町々の地名が出てくるのがせつなくもある。
古田新太は、2007年の「藪原検校」の時も座頭の「早物語」を大熱演していたが、ここでもまた器用に三味線をつまびいて富本節を披露し、役者魂を感じてしまった。エレキギターを弾いたことはありそうな世代だし、それを三味線に持ち替えればできないことではないだろうが、それにしても見事、見事!蜷川版「ペリクリーズ」で市村正親が琵琶を本当にかきならして語っていたことも思い出す。やはり、蜷川の舞台には役者魂をかきたたせるものがあるのではないだろうか?!

太夫が本職ではない三味線を弾きながら語るので本格の芸ではないという言い訳を続けてしのいだ桃八だが、三味線弾きを組ませるという話が持ち上がって大ピンチ。
果たしてそれは清之介で、橋之助の三味線の芸はいかにと見せてもらう間もなく手が震えてストップ。たらしこまれた女にうつされた瘡毒(梅毒)に侵されていたのだった。
殺したいと思いつめたほど恨んだ清之介を赦し、看病しながら、二人してお江戸に戻る希みをつなぎ、みちのくの地を転々としていく。東北の地への井上ひさしの思いの深さも痛感する道中だ(みちのくには「道の苦」もかけているらしい)。

清之助の思い人袖ヶ浦とその面差しに似て次々と彼を惑わす色っぽい女に鈴木京香、その妹分に宮本裕子、ちょっとでっかい美人に大林素子というのもなかなかいい。瑳川哲朗、六平直政など、蜷川の舞台を固める常連メンバーに成駒屋の若手の弟子たちも加わって、江戸時代の庶民の生きざまが浮かび上がるのもいい。中二階の左手から大門伍朗が東北の民謡を朗々と歌ってきかせてくれたのも実に嬉しい驚きだった。
井上ひさしの音楽劇は庶民感覚にあふれ、猥雑な言葉遊びてんこもりの歌がいい。卑猥な歌を爺さん達がパワー全開で歌う場面など、今後このような芝居を書いてくれる人が出るのだろうかと寂しい思いもよぎってしまった。

桃八は足も切られてしまう災難にあっても清之介を支え続ける。新潟ではとうとう乞食にまで身を落としていたが、清之介の知恵で佐渡帰りの人の草鞋についた砂金を貯める秘策を繰り出す。
やっとこすっとこ足かけ9年、二人が戻ったお江戸は、お江戸でなくなっていた!明治維新の政変も田舎の底辺にいる人間はすぐには伝わらなかったのだ。客席通路を通って黒い蝙蝠傘を刺したハイカラな姿の東京の人々の群れに圧倒されて、二人はまるで浦島太郎状態。そして頼みの実家鰯屋はなくなっていた!

両親は息子が戻らない不幸の中で他界、お店はつぶれてしまっていた。金持ちの息子の清之介はもはや自力で生きていくしかない。しかし、苦労の9年の経験がある。支えあえる桃八がいる。2人は、時代の変化の荒波をたくましく生き延びていくだろう。
開幕の書割は江戸から東京のものに変化してはいるが、人々がその陰に隠れて物語が終わる。

最近の蜷川の舞台は振り出しに戻る的な演出が多用されているが、今回は、同じ場所でも時代の変化がくっきりしていた。井上ひさしが作品にこめた、時代の変化と、その荒波の中で生き延びていく人間のたくましさ、したたかさを信じているというメッセージを、蜷川がさらにバージョンアップさせる演出で現出させてくれていた。
今の日本に生きる人々に大きなエールが送られたように思う。こういう舞台を見せてもらったことは実に有難かった。

橋之助が主演する現代劇は久しぶりに観たが、古田新太との芝居が互角で絶妙名主演コンビになっていた。勘三郎の休演が続く中で代役としての主演の舞台が続き、芯を張る役者としての経験を積む中で大きく成長したような気がした。
江戸の大店の若旦那の江戸和事の芸を基礎に、あっけらかんとずーずーしいことをしても憎めない魅力のある人物を好演。これなら桃八が憎み切れないだろうなぁと説得力があった。
古田新太に幇間役というのは当初違和感があったのだが、愛嬌があるだけでなく、生き延びる底力を秘めていた男としての桃八像が新鮮だった。
予想外の収穫だったように思う。勘三郎でももちろんよかっただろうが、橋之助は古田とは同じ年ということで、芝居に熱い男2人の遭遇が素晴らしい舞台を産んだとも思う。代役に抜擢することで、次代のスターがみつかったり育ったりするという実例を見せてもらった。
こういうことがまた、観劇を続ける楽しみのひとつでもある。

今回のロビー売店には震災のチャリティグッズコーナーもあって、てぬぐいが可愛いのでひとつ買ってしまった。普段はあまり日赤経由の義援金になるものには財布が硬いのだが、たまにはまぁいいだろうということで(^^ゞ
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11/06/18 コクーン歌舞伎前に巣鴨散策(1)地蔵通り商店街の「すがもん」に遭遇


今回の観劇前の玲小姐さんの歴史散策企画は巣鴨。コクーン歌舞伎「盟三五大切」は「四谷怪談」との関連もあり、お岩さんの菩提寺を訪ねる企画。
女子高時代の友人2人とさちぎくさん、うちの娘と5人で午後1時にJR巣鴨駅に集合し、巣鴨地蔵通り商店街を通っていく。

巣鴨地蔵通り商店街のサイトはこちら
商店街の入り口に着ぐるみの鴨がいて、イメージキャラクターらしい。なるほど~、巣鴨だから鴨で「すがもん」なのね!
みんなで携帯やらデジカメやらで撮影していたら、しっかりポーズをとってくれた。私はデジカメで撮ったので、PCに取り込むのにひと手間かかって面倒くさい。娘の携帯から転送してもらったのが冒頭の写真。やっぱり携帯の方がすぐにアップできて便利。だから散策には両方撮影に使うのだが、バランスよく配分できないのでやっぱり面倒?(笑)

立て看板に「元気出せニッポン OH!売出し!!」(6/18~7/10)とあった。大売出しの初日でその宣伝コーナーが商店街の入り口に設けられていたということのようだ。あとから食事をしていたら、イベントのちんどん屋さんのパフォーマンスも通っていった。

娘も小さい頃に一回連れてきて、とげぬき地蔵さんにもお参りしたんだけどなぁ。本人に記憶は全くなかった。小さい時すぎたかな?

そういえば、私も久しぶりの巣鴨散策だ。前回は、父が存命中で実家で墓のことで喧嘩をした後、やっぱり玲小姐さんを誘って、巣鴨のお寺に一緒に見学に行ってもらった時だ。
2008年1/3の巣鴨のお寺めぐりの記事はこちら

その時は商店街のイメージキャラクターなんてなかったと思う。全国各地でゆるキャラをつくって盛り上がっているので、その一環だと思うが、この「すがもん」、なかなか可愛い。
名物の赤パンツのお店の赤パンにも「すがもん」の刺繍が入った商品もあった。

途中から降り出した雨の中、お岩さんの菩提寺「妙行寺」には地元の方に道をたずねながらたどりついて参拝。シリーズで少しずつアップの予定(^^ゞ
お岩通り商店街を通って地蔵通り商店街に戻ってきたら午後4時を回る。すでに半分以上のお店がシャッターを閉ざしている。さすがにお年寄りの原宿だと納得。
商店街の入り口に戻ったらテントの出ていたあたりに「すがもんのおしり」という装置がでていた。黒い板から丸いおしりが突き出ていて、撫でられるようになっているのが可笑しい。しっかりなでなでしたら、白い毛が気持ちよかった(笑)
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11/06/16 耳鼻科通院途中に紫陽花を愛でる


14日(火)、どうにも右側の土踏まずが痛いので両足の長さが違っているのだろうと推測。仕事帰りに大久保のスポーツ会館接骨院に行って、身体の歪みを直したり、低周波やらマッサージやら一通りの治療をしてもらった。それでも、夜にはまた首と肩が貼ってきて、首の付け根にモーラステープを貼って寝る状態。
要は風邪っ気ということで、今日は昼休みに職場近くのO耳鼻科へ。
その通院途中に邦楽の紫山会館がある。通りをずっと入っていって奥に紫山会館があるようなので、手前の別の企業?の建物や木々の茂みに隠れて会館自体の建物はよく見えない。
これまでも通りに面して「紫山会館」という入り口の目印になるような柱が立っているのが目に入るだけだった。
ところが、今日はその入り口の柱の傍に植えてあるガクアジサイが綺麗に咲いていたので、初めて足が止まり、奥の会館まで目をこらしてみた次第。でもまぁ、そこまでだが(^^ゞ

以前、一時期だけ住んだことがある中浦和から与野本町にかけてのアジサイロードは綺麗だったっけ。
鎌倉の紫陽花寺にも行ってみたいし、王子の飛鳥山の紫陽花も綺麗だという話を聞く。しかしながら、なかなか一人では出かけられない。週に5日仕事に行って、週末を中心に観劇日程をこなすだけでも修行状態。
定年を迎えたら、足腰が弱る前にもう少しいろいろ出かけてみたいものだが、その頃はきっと金欠になっているのだろうなぁ。
まぁ、どうなるかわからないが、目の前にある花を愛でるのも私には大事な時間である。
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11/06/14 イタリア、国民投票で原発凍結!+もう一つよいこともあり!

さきほどYahoo!の検索で「イタリア 原発」と入れて出てきた上位の記事はasahi.comの記事2本。画期的なことなので両方ともコピペしてご紹介。

【イタリア、脱原発問う国民投票始まる 投票率が焦点】2011年6月12日16時30分
 イタリアで原発を再開するかどうかを問う国民投票が12日朝(日本時間同日午後)、始まった。イタリアの国民投票制度は97年以降、投票率が50%を超えずに不成立が続いているが、「フクシマ」後に各国で加速する脱原発機運で、成立するかどうかが焦点だ。
 投票は13日午後3時(日本時間同日夜10時)まで。イタリア内務省によると、有権者は18歳以上の約4735万人。
 イタリアは1986年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故後、5基あった原子炉を順次閉鎖しており、脱原発が実現している。だが、電力の1割強を輸入に頼る状況は変える必要があるとして、ベルルスコーニ政権が2009年、原発再開を視野に入れて政策を転換した。これに対し野党側が署名を集め、今回の国民投票実施に持ち込んだ。政権側や産業界などの原発推進派は沈黙を保っており、投票率の50%割れによる不成立を狙っている。

【原発凍結賛成は94% イタリア国民投票、開票終わる】2011年6月14日9時58分
 原発再開の是非を問うイタリアの国民投票は14日朝までに開票がすべて終了し、原発反対派の票が9割以上を占めて圧勝した。東京電力福島第一原発事故後に欧州で広がる反原発世論の強さが示された。
 イタリア内務省によると、在外投票分も含めて開票が全て終わり、原発凍結賛成票が94.05%を占めた。凍結反対票は5.95%。投票率は54.79%に達した。
 原発再開を模索していたベルルスコーニ首相は13日夜、「政府と議会は結果を歓迎する義務がある。高い投票率は、自分たちの未来に関する決断に参加したいというイタリア国民の意思の表れで、無視できない」とする声明を発表。「国民投票は複雑な問題を扱うには適さないと信じてはいるが、それでも国民の意思は明らかになった」とし、原発の新設や再稼働を当面断念する意向を表明した。

自民党の石原幹事長についての報道も、毎日新聞の記事からコピペでご紹介。
【<石原幹事長>「集団ヒステリー状態」と発言 原発見直しで】毎日新聞 6月14日(火)20時22分配信
 自民党の石原伸晃幹事長は14日の記者会見で、東京電力福島第1原発事故を踏まえた原子力政策の見直しについて「あれだけ大きなアクシデントがあったので、集団ヒステリー状態になるのは心情としては分かる」と述べた。代替エネルギー確保の観点から「脱原発」の難しさを指摘した発言だが、表現が不適切と批判される可能性がある。石原氏は原発再開を巡るイタリアの国民投票を念頭に「国民投票で9割が反原発(だったので)、やめようという簡単な問題ではない」とも述べた。

石原慎太郎は嫌いな政治家だが、子息の伸晃氏についてはけっこう注目していたのだが、このような発言をするようではがっかりした。為政者として客観的に表現したつもりだろうが、国民感情を肌感覚で理解できていない。まぁ、そういうお育ちなのだろう。

NHKの夜の「BIZスポ」でもイタリアの状況との違いにスポットをあてて、日本でも同じようにはすぐにならないと解説していたが、いかにも日本の政財官界を擁護するように聞こえた。
イタリアでは5基しかない原発がすでに止まっていて、それを再開するかどうかというのと、日本の状況は比べ物にならない。脱原発を決めたイタリアもドイツもスイスも地続きの原発大国フランスから電力を買っている現実もしっかり指摘していたが、それは今後は買わなくてすむようにしていくかもしれないではないか?

昨晩は、職場の労組の新人を迎えての勉強会ののち懇親会もあり、イタリアに10年以上暮らしていたわが同期のO氏から、今回の国民投票についての解説もしてもらった。イタリアの国民投票は近年なかなか50%を超す投票率で成立していなかったのだという。メディア王でもあるベルルスコーニはこの国民投票への関心を高めないようにその力を使ったのだという。その政策に反対する人々がインターネットや口コミその他で投票に行こうという機運を盛り上げての成立、投票内容をみると、有権者(18歳)以上の過半数が原発凍結の意思表示をしたわけで、国のエネルギー政策はこの方向性の上に組み立てていくということになる。
いい加減なようで、底力をもつ国民性のイタリアがますます好きになった。

さて、日本人では、ここまで依存率の高い原発を即時停止はできないと思うが、時間をかけても脱却していかなければならないし、叡智を集めてやればできるはずだと思う。
太陽光だけでなく、小規模の水力発電も有効のようだ。経済産業省の天下り先の10大電力会社に独占させる国策をやめて、地域レベルでもっと小規模の発電ができるようにすべきだ。大きな発電設備から遠くまで送電する途中に失われる電力もかなりのものらしい。電力事業も地方分権化が必要だ。中小の設備を充実させてネットワーク網をしっかりつくれば、どこかで不具合が起こってもバックアップしやすいはずだ。
これは『THE BIG ISSUE JAPAN』167号の特集「いま、自然エネルギー ― 小水力、地熱、波力、そして市民発電所」から共感したところである。昔は水の流れがあるところのいたるところに水車があった。私の父も水車の動力で製材の仕事をしていたという話を聞いたことがある。

イタリアの国民投票が成立したのは、日本の今回の大事故によってイタリアの人々の意識を高めたからだといえるだろう。そして、そのイタリア人の素晴らしい意思表明がされた結果に、日本でも元気がもらえた気がする。こうして世界の人々の連帯の力も感じることができ、人間というものも捨てたものではないと実感できるのは有難い。

それともうひとつ、よいことのご報告。先日の記事でも愚痴を書いた職場の上司が人事異動になった。これも昨日発表になったのだが、のびのびになっていた半期の目標統合面接も引き継ぎを兼ねて新旧二人の上司が一緒にしてくれるらしい。1対1だと暴言を吐くことが多いが、もう一人の目があればそういうことはできないだろう。いつも面接の前は鬱っぽくなっていたが、今度は大丈夫だ。昨日から頬がゆるみっぱなし(^^ゞ
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11/06/11 大震災から3ヵ月、やれることをやらなくちゃ・・・・・・

3/11の東日本大震災から3ヵ月の今日、全国各地で復興について考えたり原発に反対するデモやイベントが行われた。
女子高校時代の仲間から、お誘いや情報もいただいたが、残念ながら予定が入っていて参加できなかった。

まずは娘のメンタルクリニックへの通院同行。震災直後に福井に住む父方の伯母の家に放射能疎開させてもらい、1ヵ月で戻ってきて、考えるところもあって大学に行きたいと言い出した。勉強のための教材を一緒に買ってきたが、3日坊主どころか1日か2日しか開いていない。毎朝飲まなければならない薬も自分で飲むようにするという約束も忘れ果てているので、何も面倒でできない状況に陥っている。
眠くなったら寝て起きて食べてネットゲームをしてという暮らしを主治医のA先生に報告したら「猫みたいな生活ねぇ」と言われてしまった。そんなだと受かっても大学に通えないよと言われてしまう。摂食のコントロールがきかなくなっているので、朝からおなかいっぱいに食べてしまい、薬を飲む水が入らないからと後回しにしているうちに忘れてしまうようだ。朝食を食べる直前に薬を飲んでしまうという方法を試すことにした。
とにかく、きちんと薬を飲んでコントロールすることを再開だ。さらに踏み台昇降運動でもなんでも身体を動かしてダイエットすることも再開しようということになった。

マックで軽く食べて、娘は一人カラオケへ、私は新橋演舞場歌舞伎の夜の部へと分かれた。
先週は土曜日に実家に行って、母の毒気にあてられて日曜日にダウンしていたので、予定していた家事ができなかった。明日こそ少しはやりたいと思っているが、どうだろうか?

日々の暮らしの中で気力体力と相談しつつ、自分がやれることをやらなくちゃと思ってはいる。

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