ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

07/06/30 「レ・ミゼラブル」ソワレ観劇後、SPオフ会

2007-06-30 23:59:27 | 観劇

今月の「レ・ミゼ」観劇は、15日の鹿賀ジャベ東京最後の公演、17日の新キャスト中心のマチネと、本日ソワレ。
この間の不調もあって、2週間連続で金曜日の夜に接骨院で首の牽引と電気や手技でのマッサージをしている。そのせいか今日の観劇はけっこういい体調で臨めたのがよかった。
紆余曲折はあったが、なんと前から5列目の観劇となり、20年観続けていてもこんなに前で観るのは片手でおさまるのだから、それだけでもちょっとハイテンション!
3階からだと双眼鏡が目離せない(手でないところがコワイ?)が、この席だと大体はずしていて、ここは表情チェックという時に覗けばいい。そしていつにないドアップになるのが不思議な感じがしてしまう(結局安い席でしか観る予算がないからなんだが(^^ゞ)。こんな席だとカテコでお花が飛んでくる条件があるとその時になって気づくが、やっぱりダメでしたねぇ。写真はロビーに一輪だけ花束から落ちた花があったのでいただいてきたもの。まぁ雰囲気ということで。

今井バルジャンのあったかい歌声に聞き惚れ、初見の石川禅ジャベに泣かされ、どのキャストでもひっかからず(ひっかかると冷めるんだよなぁ、これが)に、堪能できる2幕を観劇。あまりによすぎてもうしばらく封印しようと思ってしまった。もちろん8月までの3ヶ月公演なのでしばらくたったら、沸々と観たくなってきそうな感じではある。
前の2回分もまともな感想アップができてないので恐縮至極だが、7月がヒマなのでボチボチ書いていくつもり。

終演後はお声をかけていただいたかつらぎさんと、この間ずっとすれ違いが続いていた花梨さんと初めての顔合わせによるオフ会。

焼酎の品揃えが充実のお店だったので私はいきなり焼酎のお湯割りからいく。いつもは2杯までなのに3杯までチビチビやりながらの大トーク大会。そしてこのオフ会はかつらぎさんのご夫君というスペシャルゲストの参加あり。だからこの記事のタイトルもSPオフ会(笑)。観劇にハマっている女3人の会話をニコニコと聞いてくださっていた。なんとパートナー氏は初レミゼだということで、素朴な感想もお聞きできてよかった。リピートしすぎてすれている?私にはすごく新鮮だった。
昔のレミゼプリンシパルキャストの思い出から今のキャストの今回の公演での感想や期待まで盛り上がってすごいことになった。
お疲れ様でした~。またの機会も楽しみにしていま~す(^O^)/

実は明日はほぼ年1回開催される高校時代の生徒会本部役員仲間のランチ会・お茶会がある。永久幹事を玲小姐さんがやってくれているので有難い限りだ。
早く寝なくっちゃ~ね。

07/06/26 歌舞伎座千穐楽夜の部②「盲長屋梅加賀鳶」

2007-06-27 23:59:27 | 観劇

「盲長屋梅加賀鳶」は2003年7月の猿之助主演の公演を幕見で観たのが初見。河竹黙阿弥の人気作だというが、本格的に歌舞伎を観始める前だったし、イヤホンガイドも使わなかったしで、なんだかよくわからなかった。花道での勢揃いも姿は一人目くらいしか見えないし何を言っているのかさっぱりききとれなかった。後半の按摩道玄の話はわかったけどあまり面白くなかった。今回はしっかりイヤホンガイドも利用。いろいろ読んでいったらまぁ同じ話と思えないほど「なぁるほど~」状態でけっこう面白かった。
たとえば「歌舞伎美人」サイトで「大名火消し」とは
【盲長屋梅加賀鳶】
本郷木戸前勢揃いから赤門捕物まで
今回の主な配役は以下の通り。
(加賀鳶のツラネの順)春木町巳之助=歌六、昼ッ子尾之吉=愛之助、魁勇次=歌昇、虎屋竹五郎=高麗蔵、盤石石松=松江、数珠玉房吉=男女蔵、御守殿門次=亀鶴、妻恋音吉=種太郎、天狗杉松=市蔵、御神輿弥太郎=友右衛門、雷五郎次=芦燕、日蔭町松蔵=吉右衛門
竹垣道玄/天神町梅吉=幸四郎  女按摩お兼=秀太郎
女房おせつ=鐵之助  家主喜兵衛=錦吾
小間使お朝=宗之助  伊勢屋与兵衛=家橘
      
冒頭の場面、町火消しとの間に喧嘩が勃発して加賀藩お抱えの大名火消し加賀鳶たちが本郷木戸前で勢揃い。花道に並んでひとりひとりがツラネで名乗りを上げるところも今回は冒頭の数人の姿は見えて台詞もある程度聞き取れる。イヤホンガイドと聞き覚えのある声で誰だかわかるし、ぐっと身近に感じられる。さぁ乗り込もうというところへ頭分の梅吉がやってきて喧嘩を預かるという。言うことがきけないなら「俺を殺してから行け」という。以前わからなかったのは梅吉と松蔵をはじめとする他の加賀鳶との関係。相手の様子を見に行っていて仲人にたった人物からの仲裁を引き受けてきたというのがわかったのでスッキリした。喧嘩もいろいろ作法があるらしい。

そして、先月の「め組の喧嘩」は町火消しの喧嘩の前の勢揃いがあったが、今回の加賀鳶は大名火消しの格を見せ、火事装束も稲妻模様の半纏姿、加賀髷と名のついたまさかり銀杏のような髷で揃えているのが見所なわけだ。加賀鳶の話はここまで。
主役に二役以上をさせるのがこの頃の作劇の条件だったということで、松蔵をやった役者に按摩道玄もやらせてその演じわけを見せるというのが眼目なのだ。

元は医者だという竹垣道玄は目明きのくせに按摩になりすまし、本郷菊坂の盲長屋に住んで悪事三昧の暮らし。先日も御茶ノ水(背景に見える水道橋は上水をひいた水道の橋だとイヤホンガイドできいてこれもガッテン!)で行き倒れを看病のもみ療治とみせかけて懐をさぐって金を奪っての殺しとなる。暗闇の中で煙草入れを落として松蔵に拾われる。殺した相手の妹を女房にしたのもとことん絞りとるためだった。情婦の女按摩のお兼とおせつの姪お朝を売り飛ばす算段をすすめている。そのお朝が主人の伊勢屋にお金をめぐんでもらったのを手篭めにされたことにして強請を計画。質店の伊勢屋の店先で偽の書置きを証拠に凄んでみせる。小僧が機転をきかせて出入りしている鳶の松蔵を呼んでくる。そこで煙草入れをつきつけられて万事休す。
長屋に戻れば殺しの返り血のついた布子が土中から犬に掘り出され、大家がお上に届け出ると言う。お兼とふたりで高飛びしようとするがすでに捕り手に囲まれてまずはお兼が御用となる。道玄は加賀藩の御守殿門=赤門の前まで逃げてくるが暗闇の中の立ち廻り捕物の立ち廻りの末についにお縄になっての幕切れ。

とにかく吉右衛門の松蔵の存在感で2つの世界がつながって歌舞伎味が一貫する。幸四郎の道玄はすごく面白いのだが、どうにも歌舞伎にみえない演技。歌舞伎も演劇の1ジャンルという考え方で今の時代に合わせての工夫にうちこむ幸四郎の意気は買いたいが、どうにも歌舞伎座にあわない気がしてしまう。好みの問題かもしれないが。
秀太郎初役の女按摩お兼。「御浜御殿」の江島と同じ人と思えない悪い女。私には夜の部のこの2役の演じわけの方がすごいと思ってしまった。悪い女だが道玄には惚れているという可愛げがちゃんとある。やっぱり秀太郎は大好きだなぁ。

道玄の強請場でお朝が14歳だということから引き合いに出される「桂川連理柵」のお半長右衛門の芝居も観たことがないけれど予備知識に入ってきているのでハハァということになった。江戸時代のお客は皆様「ご存知!」という話だからこういう風に話が運べるのかぁとわかったというのもこの数年の修行のおかげか(^^ゞ河竹黙阿弥の人気作をようやく楽しめるようになってきたのも嬉しいと思った。

そうそう今回舞台写真を買ったのは亀鶴の御守殿門次。こんなに大きな顔のアップはめったにないと思える写真で切れ長の目に見惚れた(俳優祭の模擬店タイム以来)。その「御守殿」ということについて書くと、大名が将軍の娘を御台所に迎えるためにはお屋敷をつくらなければならず、その屋敷が「御守殿」。その門が御守殿門=赤門というわけだ。だから忠臣蔵で塩冶家の屋敷の門が赤いのは本当は間違いだが、見栄えのためにお江戸の舞台では赤にしているらしい。こうやって薀蓄が増えると嬉しいというオタク道を邁進している(笑)

写真は、公式サイトよりこの公演のチラシ画像。
以下、この公演の別の演目の感想
6/10昼の部①「侠客春雨傘」染五郎長男の初お目見得
6/10昼の部②「閻魔と政頼」
6/10昼の部③ずっと観たかった「吉野川」
6/26千穐楽夜の部①染五郎の「船弁慶」
6/26千穐楽夜の部③絶品の「御浜御殿綱豊卿」

07/06/26 歌舞伎座千穐楽夜の部①染五郎の「船弁慶」

2007-06-26 23:59:02 | 観劇

「船弁慶」は玉三郎、菊之助と観てきて、今回が3回目だ。さてさて染五郎ではどうだろうか。染五郎の静御前の舞台写真を歌舞伎座に入場してすぐにチェックしたらなかなかいい拵えだった。期待できそう!
昨年の菊之助の「船弁慶」の感想はこちら
【新歌舞伎十八番の内 船弁慶】
今回の配役は以下の通り(黙阿弥の原作通り舟人梶六まで揃ってる)。
静御前/平知盛の霊=染五郎  武蔵坊弁慶=幸四郎
源義経=芝雀  舟長三保太夫=東蔵
舟人岩作=松江  舟人浪蔵=男女蔵
舟人梶六=亀鶴
幸四郎の弁慶がすごくよかった。1月の「勧進帳」の弁慶の台詞が聞き取りにくかったのでガッカリだったのだが、語り出しからちゃんと何を言っているのか聞き取れるし、主役じゃないから抑え目に演じているので力みが入らないのがいいのではないかと思ってしまった。
今日の席は3階1列目10番台で花道の上。花道から四天王とともに出てきた芝雀の義経に思わず見惚れる。口跡もよく品もあって落剥の貴公子然としていて実にいい。立役のお声は兄の友右衛門に似ていると思ってしまった。「その時義経少しも騒がず」(だったかな?)の時の声の張り方だけがちょっと気になったくらい。そういえば昨年の演舞場の海老蔵の「勧進帳」での義経も芝雀だったと思い出す。芝雀には義経も持ち役としていってほしい。
松羽目の揚幕から染五郎の前シテ・静御前が出てくると、身体の華奢さと顔の拵えの可愛さに写真の通りだ~とワクワク。心配なのは声だ。更科姫や野分姫の時のようにガラガラ声でないことを祈りつつ耳をすます。大丈夫だった。すごく低い声の静御前。この声の高さだと安定して出すことができそうだ。顔の拵えも少女のようだし、ボーイッシュな少女のような静御前ととらえればこれもありかなぁと思えた。
作曲は三世杵屋正治郎。長唄で眠くなる私だが、少しは聞き取れるようになってきた感じもした。でもやはり夜の部最初の「御浜御殿」で相当集中して大泣きしたし、「加賀鳶」とこちらは少し睡魔と闘うハメになった。特に都名所のところは目を開けているのに気がつくと季節が変わるところって、イヤホンガイドの説明が入るところじゃないか(^^ゞ傳左衛門社中のお囃子には聞き惚れる。
舟人3人がけっこう抑え目だったのに舟長の東蔵は明るく張り切っている感じ。まぁこういうバランスもありなのかな。
花道から後シテとして壇ノ浦の戦いで波に沈んだ平知盛の亡霊が現れる。やはり立役の知盛という感じがした(菊之助は少年知盛って感じだった)。義経一行に襲いかかる様子がけっこうおとなしいので、これもこんな感じだったっけとちょっと疑問をもった(今までの記憶も薄らいでいるからか)。義経が刀で立ち向かうのを制した弁慶が数珠をもんで調伏するとたちまち力を失うのだが、そのヘナヘナ感もかなりなものがあって、「船弁慶」の知盛ってこんなにおとなしかったっけとずっと思っていた。
定式幕が引かれた後の知盛の幕外の引っ込み。これまでの2回はほとんど見えない席での観劇。今日初めて薙刀を持って回転しながらの引っ込みを見た。これが渦巻く海に消える知盛っていうやつだとここはけっこう感動した。
とにかく染五郎、幸四郎ともけっこうよかった「船弁慶」だった。
一番感動した「御浜御殿」は最後に書くつもり(美味しいものは最後までとっておくタイプの私なのでご容赦をm(_ _)m)。
写真はいつも通りの歌舞伎座千穐楽の垂れ幕。
以下、この公演の別の演目の感想
6/10昼の部①「侠客春雨傘」染五郎長男の初お目見得
6/10昼の部②「閻魔と政頼」
6/10昼の部③ずっと観たかった「吉野川」
6/26千穐楽夜の部②「盲長屋梅加賀鳶」
6/26千穐楽夜の部③絶品の「御浜御殿綱豊卿」

07/06/21 「宝塚BOYS」よかった(T-T)

2007-06-23 23:59:25 | 観劇

観劇した日の簡単な感想、DVD予約の記事はこちら
私の母に「宝塚BOYS」を観てきたとチラシを見せながら話をしたら、懐かしそうに自分が宝塚を観ていた頃に男性がいたことを話し出した。その話は以前も聞いていて、男の人が舞台に出ることに反対が多くて結局出てこなかったんだよということだった。その話を聞いていたからこそ、この作品は絶対にはずせなかったわけだ。

新聞の演劇担当の記者だった辻則彦がフリーランスになってから取材してまとめた『男たちの宝塚』が原作。脚本は「殿のちょんまげを切る女」の中島淳彦。演出は「アンナ・カレーニナ」の鈴木裕美。脚本は今回のキャストに当て書きのようになっているが、その脚本がまたキャストの魅力も十二分に引き出し、実在の人物もこんな人たちだったのだろうと想像させるものでなかなかよかったと思えた。
今回の配役は写真の8人。写真上段左から、山路和弘、吉野圭吾、葛山信吾、柳家花緑、下段左から、猪野学、佐藤重幸、三宅弘城、須賀貴匡。山路が劇団の男子部担当者で若手7人が男子部に集まったメンバー。男子部の寮のおばちゃんに初風諄。

宝塚歌劇団の創設者の小林一三に終戦後、男子の加入を訴える手紙を実際に書いた上金文雄氏への敬意も込めてか、その役は上原金蔵という名になっている。その上原を柳家花緑。上原が終戦の詔勅を聞く場面からの幕開き。場面はそのまま明るくなって宝塚の稽古場。そこに戦争のつらい時代をかいくぐってきた男たちが集まってくる。正面には「清く正しく美しく」と書かれた大きな扇形の額。宝塚の舞台に立ちたくて募集に応募した者がほとんど。吉野圭吾の役だけが劇団から招かれたプロダンサーという設定。
男子部担当の池田和也(山路)に劇団の生徒とは口をきいてはいけない、出入りが赦されるのは男子部の稽古場と寮だけと厳しく言い渡される。その2箇所だけが芝居の舞台となっている。
7人のメンバーは育った境遇も応募した動機もそれぞれに違い、ちょっとしたことでぶつかりあう。言いだしっぺだからとリーダーに祭り上げられた上原は生真面目すぎて本当はリーダーに向いていない。ただただくそ真面目な一生懸命さに皆があきれたり反発したりほだされたりしていく。その皆のぶつかりあう中で面白かったりそれぞれの人生のつらさが垣間見えてホロッとさせられる。7人のメンバーがそれぞれの戦争で受けた傷も大きい。特攻出撃がとりやめになったり、人間魚雷「回転」」に乗り込むはずだったり、家族を失ったり......。闇市の愚連隊にいたりした男もいる。その時代の暗さもしっかり描き、反対に明るいものを求めてやってきた男たち。この時代の暗さと希望をしっかり描いているドラマの中に引き込まれてしまう。

1945年に特設され54年に解散するまで一生懸命稽古し、馬の足をやり、陰コーラスをやり、小さい劇場での出演の機会ができ、という日々。くさったり喧嘩になったりしながらも大劇場の舞台に立つ日を夢見て励ましあう男たち。それをさりげなく支える君原のおばちゃん。
池田がある日持ってきた男女共演の舞台の脚本の準備稿。7人はむさぼるように読み、稽古に励む。マリーという娘の役の練習台になってくれたおばちゃんが台詞をいう場面に驚いた。「ベルばら」のアントワネットとフェルゼンの別れの場面の台詞を踏まえている!アメリカの独立戦争への義勇軍でかけつける際の別れの場面。覚えがある台詞を語る初風アントワネットがそこにいた。30年前が甦ってもう涙腺決壊。そこでもう泣いている人はあまりいなかったかもしれないが、私はもうダメだった。おばちゃんは怪我のために大劇場ができる前に退団した娘役だったのだ。

花緑は「もとの黙阿弥」で落語家なのに芝居もうまいなぁと思っていたら、前評判通りの達者なピアノの腕に感心。「モンパリ」を自在に弾き出したのには舌を巻いた。さらにダンスシーンもかなり格好がついている。さすがはバレエの小林十市の弟!一緒にやってたことがあるんだろうかと思ってしまった。
吉野圭吾は格の違うダンスを見せつけ、晩年が不遇だったダンサーの息子としての屈折感に満ち皮肉屋の男を魅力的にみせる。背格好がつりあう形でダンスシーンで配置されていた葛山信吾。モデル出身ということですごくカッコいい。「燃えよ剣」の沖田総司で初見。「アンナ・カレーニナ」でけっこう歌えるんだと注目。ダンスは苦労しているなぁと今回思ったが、素朴な人物設定でなかなか魅力的。
宝塚の楽団からの転身者の太田川を三宅弘城。関西弁でまくしたてる三枚目が最後には病気を隠しての応募で、予想を超えるハードさに病気が再発してという悲劇の人物となる。結核で戦前に片肺を摘出していたという設定に渥美清もそうだったことを思い出した。残った肺にも再び結核の影が出て、舞台を踏めなくなってしまうのだ。
池田が持ってきてくれた脚本は、7人をよく見ていたおばちゃんが個性をいかして作り出した役を池田が書き下ろしたもの。池田は元々演出希望だったのに事務方の仕事にずっと回されていたのだ。男子部創設を進言したのも池田で自らの夢をも託していたのだった。生徒や観客の男子共演の反対の声は大きく、慎重な劇団と熱い思いのメンバーとの板挟みになるおじさんの役を山路が渋く好演。
最終的に解散の知らせも池田が運んでくる。結局、大劇場の舞台に男子部が共演することはなく終る。
病院を抜け出してきた太田川は懐かしい稽古場にいた。行方不明の知らせに思い当たって6人がかけつけるとそこに太田川はいた。男子部の7人に別れ別れになる日がやってきた、その稽古場で最後に皆が歌い踊って名残を惜しむ。
幻の大劇場の大階段での燕尾服でのショーの場面となる。ここ以外の場面は戦後のそれぞれの服装だったり、稽古場でさるまたや褌姿で着替えたりしているので、尚更ここの燕尾服場面に心も躍るのだ。

冒頭、着替え時間にあたる部分で初風諄があのカンチャンが往年のソプラノを彷彿とさせる声で「すみれの花咲く頃」を歌い出す。そこに揃いの燕尾服で飛び出してきて精いっぱいのダンスと歌を見せてくれる7人。「OH!タカラヅカ」「モンパリ」の3曲だったと思う。最後にはミニ大階段から全員が羽根をしょって降りて並んでくれて、もうあまりの素敵さに喜んでしまってもうダメ状態。カッコいい人はすごくカッコいいし、それなりにカッコいい人もそれなりにカッコいいし。大熱演にもう感動。

また元の服にもどっての別れの場面。なぜか太田川が佐久間ドロップスの缶から飴をみんなに配る。「ハイ飴ちゃん」って言いながら。戦前からあるのはジブリの「蛍の墓」のアニメ映画で知ってるけど、なぜここでドロップかな。涙の粒かな。
この舞台、いっぱい笑っていっぱい泣いた。何度も何度もカーテンコール。いい舞台だった。是非是非、再演して欲しい。その間にDVDだ!ということで、冒頭の記事にあるように予約コーナーに走ったのだった。

写真はぴあのサイトでの「宝塚BOYS」の宣伝画像。
All Aboutのレビューも参考になるのでご紹介

07/06/22 喘息+歯ぎしり→肩こり→痺れだった!

2007-06-22 23:58:49 | つれづれなるままに

一昨日の記事で体調がよくないとご報告したところ、お見舞いコメントをいただきまして有難うございました。ご心配をかけましてごめんなさいm(_ _)m

今朝の交通マヒに巻き込まれて身体がボロボロになってしまいました。東北線・高崎線・京浜東北線の3つの路線沿いなので全滅の影響は大きく、駅には埼京線の駅に向かうバスに長蛇の列。私は自転車でそちらの駅に移動。埼京線の車内でこんなラッシュ久しぶり~というのにもみくちゃにされてヘロヘロ。
実はこの1ヶ月、少しずつ痺れの範囲が広がっていた。首を中心に肩、上腕、そしてついに後頭部までピリピリと嫌な感じ。喘息で酸素不足になっているのかと思っていたら、ヒノキの花粉もおさまって楽になってきているのに痺れがとれず。仕事の能率も上がらないし、まいっていた。

そこで今日、久しぶりに接骨院に行ってきた。以前から疲れがたまると腕がしびれることがあり、1回5000円くらいのカイロプラクティクや整体に通ったことがあるが治療代が高いのが嫌だった。東京の本部に転勤してきてから本部にはちゃんといる健康管理担当者に相談したところ、法人契約している(財)スポーツ会館という施設の中にある接骨院を紹介された。そこで何度かのトラブルの時にお世話になったのだが、柔道整復士の先生で信頼できる方もいるし保険もきいた。カナダにスキーに行って転んで大腿骨の付け根に痛みが残った時もそちらで治してもらったこともある。やはり腕にしびれがきた時に頚椎のあたりをほぐしてもらってよくなったことを思い出した!仕事の帰りに行ってきました!!
建物の中での場所も変わっていて、おききしたら3年前に移ったんですよとのこと。それくらいご無沙汰していたことにあらためて気づく。
以前お世話になった先生がいてくれて、顔をみてすぐに思い出してもらえたので話が早かった。電気マッサージ→首の牽引→先生の整体施術というコース。身体をみるとすぐに猫背がひどくなっていると指摘され、この間の大きな変化として喘息になったと説明するとそれだ!という。喘息の咳から肺をかばう姿勢で猫背になって負担がかかるのがここの筋肉と説明される。それと鏡を見て一緒に首と肩の位置を見て「歯をくいしばっているような力がかかっている」と指摘され、歯ぎしりがひどくて歯科でマウスピースをつくらされてつけて寝ていると説明したら、ちゃんとつけてねと言われた。改善のための身体の動かし方も伝授された。

いやぁ、痺れがかなり改善!!!脳内血管がつまりかけているのではという不安もなくなって気分も少し上向きに~。ありがたい~m(_ _)m
ここはスポーツ会館というだけに選手たちがいっぱい通院してきている。だから治療室に飛び交う会話も「○日前の練習で傷めたんだけど明後日の試合に間に合うようにして欲しい」とかいう内容が多い。夜だし、おばちゃんは私くらい。
月に1~2回通えるといいなぁ。それには無茶苦茶な観劇頻度にしないことが前提かな。
明日は娘のリクエストにこたえて総合病院の内科への通院に付き添う予定。その後、実家の街の公共施設の展覧会に父親のステンドアートの作品も並んでいるのを観に行く予定。そちらには娘にも付き合わせる。
なるべく早く寝なくちゃ。できれば明日から観劇の感想アップを再開したいと思ってます。よろしく~。

翌日の追記
付き添いはしなくていいと娘が言ってくれたので送り出してみると、総合病院は日曜祝日だけでなく土曜日もやっていなかったことが行ってみて判明。携帯で連絡がきた。結局私の喘息のかかりつけの内科に付き添っていくことになった。行ってみてピロリ菌によるものではないかと血液検査があったという。その後、父の絵を観に行って、母とお茶して買い物もしてついでに夕食も実家で食べてきた。帰りはまた京浜東北線が止まっていてダイヤ乱れに巻き込まれた。疲れた~。
写真は、父のステンドアートの作品「蔵王御釜遠景」。旅行に行った日は曇っていて直後に雨が降り出したという。そういう感じがけっこう出ていた。

07/06/21 「宝塚BOYS」でボロ泣き、DVD予約!

2007-06-21 23:52:01 | 観劇

発売直後に完売した「宝塚BOYS」のチケットをおけぴさんのサイトで譲っていただけたので、夜の部で観てきた。母から宝塚男子部があったことを聞いていたので、絶対観たかったのだ。評判もいいので楽しみにしていくと~。真ん中の通路の後ろの列でサイドの通路脇というとっても観やすい席。譲ってくださった方にあらためて感謝m(_ _)m

もう全く心ごと持っていかれた!
「アンナ・カレーニナ」はハマレなかったのでDVDの予約コーナーは一瞥しただけだったが、同じ東宝芸能の企画なので今回もDVDつくって売るだろうなぁと予想していったら、案の定。
幕間、その誘惑と闘い中。終演後、決心かたまった~。
予約コーナーに走って申し込み。予約特典はチラシと同じデザインのマウスパッド。さっそくもらってきた(→写真みてね)。
キャストみんなカッコいいです。最後の幻のステージシーン、頑張ってくれてます。全員羽根しょってミニ大階段降りてきます。やられます!!
今日左右にカメラが2台入ってましたから、今日が録画日だったようです。

東京や地方公演をこれから観る皆様、はずしませんよ。これからチケットGETできそうなら是非観てください(譲渡サイト含めて)!観ることができなかった皆様、DVD出ます。6800円です。DVD観て再演を共に祈りましょう。

ちゃんとした感想は元気になってから~。
追記
帰宅したら娘はバイトやめると言ってきたという報告。職場不適応のストレスで胃腸がやられているので病院に連れていってほしいって。ハイハイ、週末は観劇予定が入っていないので付き添ってあげるしかないね。これじゃ、私もストレスにならないわけがない・・・・・・。

皆様、ご心配コメントを有難うございますm(_ _)m
お返事コメント、ゆっくり書きますね。

07/06/20 体調すぐれず・・・・・・

2007-06-20 23:55:25 | つれづれなるままに
「レ・ミゼラブル」を鹿賀丈史ジャベール東京最後の公演と新キャスト中心の公演の2回観ているし、市村正親の「氷屋来たる」も昨日観た。書きたいのに書く気力が湧いてこない。皆さんのブログを読ませていただいてコメントさせていただくくらいの力しか出ない日もある。

今週は仕事に行くだけですごく大変。昨日の「氷屋来たる」は可能なら7月に変更したかったくらいだ。電話でチケットボックスに確認したら変更できないということで覚悟を決めて観てきた。いくらノーベル賞作家といってもユージン・オニールって暗い。暗い気持ちで帰宅したら娘が馬鹿なことをしている(自分で焼いたクッキーを一人で一気食いしていた!)ので、もう頭にきて切れてしまうし・・・・・・。娘としてはストレスのせいらしいが、あまりに情けなくて泣けた(T-T)当然、寝不足がいつもよりひどい。

今日は仕事中も気分が悪かった。最近、日中に腕がしびれるように感じるのは肩こりのせいだろうか。先月の健康診断結果が届いて、その中性脂肪が高いことに落ち込む。あぶら物は嫌いだが、結局カロリー高いから身体の中で脂肪に変わってしまってるようだし。
こんな世の中だし、あまり長生きもしたくないからいいんだけど、半身不随になるのはやはり嫌だと痛切に思う。昼ごはんの後のコーヒーにコーヒーフレッシュ入れるのやめようっと。

明日は発売直後に完売した「宝塚BOYS」のチケットを譲っていただけたので、夜の部で観てくる。ユージン・オニールと違って元気をもらえそうな気がする。もらいたい!

追記
少し食事に気をつけるべく、翌日のランチは豆腐料理屋「米長」の日替わり定食にしてみた(写真)。豆腐と豚しゃぶのサラダのランチだ。いつものように冷奴と厚揚げの煮物もついている。四ツ谷しんみち通りでこだわり豆腐をつくっているお店があり、その地下に娘さん夫婦がやっている店なのだそうだ。さすがに豆腐が美味しい。これで800円ならリーズナブル!

07/06/15 「レ・ミゼラブル」今回の台本への期待は・・・・・・

2007-06-18 23:59:05 | 観劇
今回の20周年記念公演で、少し演出が元に戻るところがあるという情報に期待して観た。ブロードウェイの俳優組合との関係で3時間を超す上演にギャラを割増しなければならないのを嫌って大幅にカットされたバージョンになってから、以前のバージョンに慣れ親しんだ私としては不満タラタラだったのだ。

さて、一番の期待の2場面のところを以前のCDの歌詞カードから抜粋してみよう。
【ジャベールの自殺】の場面
バルジャン:すぐ来ると思ったぞ またも職務の奴隷か? 今すぐ医者へ連れていく
ジャベール:誰があきらめるか ゆるすものか
バルジャン:あと一時間すめば すぐつかまえろ
ジャベール:正義ぶったことを口にするな→カット
替わりに
ジャベール:慈悲を求めるか この俺に
バルジャン:時間がない 見ろジャベール 死にかけてる
      譲れジャベール 救わねばならん
ジャベール:よしバルジャン すぐゆくのだ
      待つぞ さあ24653(注:バルジャンの囚人番号)
当初のアップに勘違いがあり、訂正したm(_ _)m
とにかくこの「正義ぶったことを口にするな」→「慈悲を求めるか この俺に」の変更が次の自殺の場面にどうつながっていくかの心理変化に大きくかかわるので大きな違いだと思う。バルジャンが「譲れ」というのにも慈悲ではうまくつながっていないと思う。

【バルジャンの告白】の場面
バルジャン:もう言うなマリウス 愛する息子よ わしも話そう 恥に満ちた物語を 君にだけは話しておこう コゼットにさえ知らせていない 悲しい思いをさせる話だ 昔だ ジャンバルジャンという男が パンをひとつ盗んで 牢獄に19年汗で罪を清めた・・・・・・→大幅カット
替わりに
ジャベール:もう言うなマリウス 話があるのだ ジャンバルジャンという男が パンをひとつ盗んで 牢獄に19年汗で罪を清めた・・・・・・

ここも「愛する息子よ わしも話そう 恥に満ちた物語を 君にだけは話しておこう」というのが一番大事なキーワードだと思える。
他にも馬車にフォーシュルバンが轢かれてしまう場面のアンサンブルの歌詞が大幅カットになっていることなど、いろいろドラマ性を薄める短縮化にがっかりしてきた。
しかし、譲歩しても上記の2場面は元に戻して欲しかったのでここにこだわってチェック!

ダメ、カットされたままだ(T-T)ショックはけっこう大きかった。期待していなければこんなにガッカリしなかったものを・・・・・・。大幅カットされたバージョンから観ている皆さんも読んでみて欲しい。青字部分の歌詞があることでどれだけドラマが深まるかを味わっていただきたい。

それとバリケードで【第二の攻撃】の場面のガブローシュが撃たれて死ぬ部分の歌が大幅に変わっていた。
ガブローシュ:見ろよもう少しだ! チビ犬でも戦えるぞ 捕まえろ 食いついてやるぞ けとばすなよ 小犬でもな 骨はある 降参するもんか 見てろよ 小犬もでかくな(る=死んで発声できず)
これが以下のようになる(追記:ガブローシュ登場場面のメロディ♪おいらの名はガブローシュ どうでぃ調子は~)
ガブローシュ:見ろよもう少しだ(台詞)! (歌→)10発ある弾で 自由を手に入れる 1発目は王様に 2発目貴族倒せ 3発目は神父と司教 4発警察署長 (途中記憶薄れm(_ _)m) 1・2・3=とここで最後に撃たれて倒れる

これは「マリー・アントワネット」上演を経て、アンジョルラスたちが戦っていた敵=「殺せ肥えた豚ども~」の相手をはっきりさせた方がよいということになったのだろうか。まぁこれはこれでありかなと私は思ったが、娘は「前の方がよかった~」と言っていた。

その後のバリケードの全員射殺後、盆が回ってアンジョルラスとガブローシュの亡骸にスポットライトが当たって拍手が二人に集中した場面も変わった(と思う)!
その前のガブローシュの斃れ方があまり顔が見えないようになったなと思ったら、上記の場面はアンジョルラスのスポットシーンの上方になんとバルジャンを探しに砦に戻ったジャベールが姿を見せ、そこにスポットが当たるのだ(ちょっと自信ないんですが、間違っていたらご指摘くださいm(_ _)m)。

まぁ他にも何箇所か変更されたと思われる場面があったが、特筆はしないでおこう。
とにかく、最初に書いた2つの場面が元に戻っていないということにけっこうガッカリしたというご報告をさせていただいた。

6/15の鹿賀ジャベ東京最後の公演カテコレポの記事はこちら

07/06/16 コクーン歌舞伎「三人吉三」を再演で観劇!

2007-06-17 21:25:11 | 観劇

コクーン歌舞伎を2年連続で観て、勘九郎箱のDVDをかずりんさんに貸していただいて「三人吉三」を観て、是非コクーンの舞台で観たいという願いが実現。かずりんさんとご一緒に観ることができたというのも本当にブログが結ぶ縁であった。
コクーン歌舞伎「三人吉三」DVD鑑賞の感想はこちら
初演の配役は上記の感想にあるが、今回の主な配役で変わっているのは以下の通り。
双生児の兄妹が入れ替わって勘太郎が十三郎、七之助がおとせへ。土左衛門伝吉が笹野高史へ。夜鷹うで蛸おいぼが故・源左衛門→芝喜松へ。獅童の役だった捕手頭長沼六郎が仲二郎へ。夜鷹虎ふぐおてふと婆アおはぜが歌舞伎役者ではない俳優へと変わっているようだ。それにしてもどろ亀おさんで小山三が元気な姿を見せてくれたのは嬉しい限り。

やはり映像と違って舞台装置の面白さを楽しめるのはナマの観劇でこそだ。江戸の町の割下水の貧しい家並みのセット。堀割の位置も盆回しで回っていくその変化が楽しい。そして歌舞伎座ではありえないような照明づかい。物語の闇を深める効果を上げている。
今回、全く意表をつかれて驚いたのは冒頭ともう一回、暗い舞台を白い犬が舞台を横切って登場すること。伝吉が殺した犬の祟りによる因縁が全編を貫いているのと、三人吉三をまともな社会からドロップアウトしてしまった野良犬のイメージで演出していることの象徴のようだ。プログラムによると初日10日前にもまだ串田和美のイメージに合う犬の手配ができていなかったらしいが、ちゃんと訓練されているワンちゃんの登場でグッと面白さが増したと思う。

勘三郎のひと役目の金貸し太郎右衛門では礼金を貰うとすぐに「申告せな」ときた。「金をもろたら申告申告」と申告漏れのダメージを自虐ネタに使ってみせる遊び心いっぱいの様子を見せる。また、NY公演に向けて英語の台詞の特訓をした成果も亀蔵とやりとりしながら披露する場面もあって、来月のNY公演もしっかり宣伝(追記:ここはけっこう長かったけど海老蔵が観に来ていたせいで張り切ったのかしら?)。行かれる皆さんは楽しみが増したことだろう。橋之助の海老名軍蔵とその取り巻きは揃って出っ歯を着用。ここまでふたりがくずしてくれるのも楽しい。
また花道のように通路を使うというのはよくあるが、平場の客が座る部分を横切ったり、中央通路から舞台へかきわけて行ったりというこの芝居小屋のような演出の楽しさ。これで上演がほとんどない前半の長さが気にならなくなってしまうというものだ。

おとせと十三郎が夜鷹と客を越えた本当の恋に落ちる場面も、勘太郎と七之助が反対の配役になることで官能性がより増した(前回の勘太郎のおとせのよさもあったが)。このふたりの台詞のやりとりは声質が似ているし、七之助の女方の声に艶が増したせいでその共鳴の官能度はアップしている。
そのために畜生道に落ちた悲劇性がより増して、細身の笹野高史の伝吉が悔悟にさいなまれる苦痛の大きさもはかりしれない。
芝のぶの安森の若党・弥作も主の敵は討てたが無念の自害をする場面、凛々しくて見直したが、これも闇を深めるひとつのエピソードになる。
闇、闇、闇が深まっていく。
前回は近親相姦と衆道の両方の要素がちりばめられていたが、今回はお嬢吉三とお坊吉三の間柄は義兄弟の関係性の方を重視しているという。ふたりの世界ができてしまうと和尚吉三の入る隙がなくなるというのは然りである。女装の倒錯性はありつつも、官能性は十三・おとせの方に任せよう。
その闇の中で寄りそっていく三人吉三の思いの切なさが迫ってくる。この三人を勘三郎・福助・橋之助が演じるということの効果も大きい。ご本人たちの気持ちの寄り添い方もそうだし、観る方のそういう思いが強くなる。やはりコクーン歌舞伎ならではの舞台だ!
お嬢吉三とお坊吉三の身替り首に弟妹の首を打って湯灌場から戻った和尚吉三の首には弟妹の血が付いているという新演出の効果が物凄い。畜生道に落ちた実の弟妹を弔い、義兄弟の命を救うために役にたたせるための究極の手段をとった和尚の勘三郎の狂気漂う涙の幕切れ。
客電も落とす闇、最後の大詰めに流れるはずの椎名林檎の音楽の予兆のエレキギターの音。こうして大詰めに向かってドラマは高まっていく・・・・・・。

20分の大詰めのために幕間を設ける。それでこそ楽しめるこの大詰め。一面の白い世界。捕手が雪衣も兼ねて火の見櫓を動かしたりするのも面白い。
せっかく弟妹を身替り首にしたことも研師与九兵衛(亀蔵)が訴人したことで無駄死にとなり、三人への手配が回る。辻辻の木戸は閉ざされ、それを開けさせるため立ち回りとなってもお嬢吉三は櫓に登り、太鼓を打つ。
ここは「櫓のお七」を踏まえているが、やはり女装の男の立ち回りの動きの面白さがある。福助は女装の男が本性を出しての表情・声・しぐさ・立ち回りは本当に活き活きとしていて魅力的。
真っ白な雪が激しく降る中、三人の衣裳の色だけが目立つ舞台。その激しい立ち回りの末のすでに正気を逸したような福助のお嬢吉三の表情にもまた陶然とさせられる。そんな中で見逃したのかもしれないが、八百屋久兵衛が現れて百両と庚申丸を託す場面は省略されてしまったのかなぁと思った。話の完結性よりもここはクライマックスまでのスピード感重視かなと(記憶違いであればご指摘ください→やはり省略されていたというコメントをいただいた。感謝!)。
「もはやこれまで」と刺し違えてお嬢吉三、その上にお坊吉三、最後に和尚吉三が折り重なって死んだところに天井からドカ雪が落ちてくる。

♪「眠れよい子や」♪と椎名林檎の子守歌がかぶさってくる~。途中に予兆を入れてくれているので違和感がない。まさにコクーンシアターならではである。最後に大音響で音楽がかぶり、客席までの降り物がというと、まるで蜷川幸雄の舞台のようでそれもコクーン歌舞伎ならいいんじゃないかぁと楽しくなってしまった。

カーテンコールの楽しかったこと。雪衣さんたちもニッコニコだし、音楽にのって踊るキャスト続出。橋之助は雪を両手に抱えて上手、センターと何度も平場のお客さんに投げている。福助は両手を振っているし~。当然スタンディングオーべーション。これは楽しい、たのし~い。

膝の調子があまりよくないので椅子席にしたが、次のコクーン歌舞伎では是非椅子席でも最前列で観たいと思ってしまった。目の前を横切っていただける楽しみを味わいたいなぁ。

写真は公式サイトより今回の公演のチラシ画像。
前後のオフ会の話、串田さんの本のサインセール、海老蔵が観に来ていた話はこちら
2006年のコクーン歌舞伎「東海道四谷怪談」の感想はこちら「北番」 「南番」
2005年のコクーン歌舞伎「桜姫」の感想はこちら

07/06/16 コクーン歌舞伎「三人吉三」前後にオフ会!

2007-06-17 03:44:11 | 観劇

今日は待ってました~!のコクーン歌舞伎「三人吉三」観劇日。ミクシィの「総見の会」での総見に初参加させていただいた。そしてブログ仲間のかずりんさんも大阪から遠征くださり、開演前にミニミニオフ会。勘九郎箱の「三人吉三」のDVDを貸してくださったのもかずりんさんとナマの舞台をご一緒できて本当に嬉しい。今回が全くの初対面であったが、コメントのやりとりも頻繁なので会話がすぐにはずんでしまう。

そして劇場へ~。かずりんさんは平場席へ、膝に自信のない私は椅子席へ。総見の会の中の抽選で私は1階最後の列だったのだが、本当はスゴイ席だったのに全く気づかずに勿体ないことをした。なんと、海老蔵が同じ列、それもほんの数人隣にいたのだという。総見のお仲間に指摘されてショックを受けた。幕間だったか終演後だったか下駄履いた変な兄ちゃんが通路を歩いているとは思ったのだが、海老蔵だったのか。眼鏡をかけていたらしい。私は足元しか記憶にない。そこまで愛が少ないのか、私は?!うーん~、もったいなかった。

幕間にはロビーで発刊されたばかりの『串田戯場 歌舞伎を演出する』(ブロンズ新書)のサインセールをやっていた。串田和美ご本人が座っていて、順番待ちの間にメモ用紙に自分の名前を書いて渡すと名前と日付も書き加えてくださるという丁寧なもの!ご自分の名前はあらかじめ書いてあるのでスムーズにすすむし、ひとことふたこと皆さん声をかけて握手してもらっている。かずりんさんと私もしっかりしていただいた。

舞台は素晴らしかった~。これについてはまた時間をとってしっかり書くことにする。

終演後は「総見の会」の懇親会。タクシー分乗で広東料理「錦光」へ。幹事の傾亭さんおすすめのお店ですごく美味しかった。21人で話に花が咲いていた。かずりんさんとご一緒に参加できたこともよかった。皆様、楽しい時間を有難うございました。