06/11/30 ある別れに際して.....

今月いっぱいで私の職場が入っているビルのお掃除の会社が変更になった。お掃除のおばさんたちやお兄さんと今日でお別れだ。顔を合わせたら必ず声をかけるようにしてきたし、そうするといろいろな話もするような関係になっていた。
総務部からは先月にそういう話は聞いていたが、実際のスタッフさんにはしゃべらないでと口止めされてきた。契約打ち切りだというと早くから手抜きになるからだという。

2週間くらい前におばさんのひとりから「今月いっぱいで私たち終わりだから」と
聞いた。いろいろ聞くと何年か前にお掃除の会社が倒産してしまい、職員だけは慣れているからとビルの管理会社の関連会社に直接雇われる形になったのだそうだ。ところがビルの管理事務所の責任者がその会社とそりがあわなかったのだという。そして今回、お掃除の仕事を別の会社に変えてしまうとのこと。
「また仕事探さなくっちゃ」

解雇ということだ。けっこうなお年だと思う。年金とかだってきちんと払っていない人は無年金になっていたり、わずかしかもらえなかったりする一生懸命働いているのにあまりにも身分保障がされない人がたくさんいる日本。好景気だというが、労働分配率が低すぎる。非正規労働者ばかり増えて正規労働者がどんどん減らされる。労働法制も改悪されようとしているし、日本の労働組合陣営が弱すぎる。

私だって病気で休職して復帰させてもらってなんとか働いているが、定年まで勤められたとしても1年間は全く年金が出ない。年金支給年齢を引き上げる制度変更にひっかかるのだ。それまでに住宅ローンを払い終わるようにボーナスで繰り上げ返済をちゃんとやりたいのに冬1回するのがやっとだ。

将来を考えると何も展望が見えてこない私。社会全般をみても個人的にも.....。だからこそ観劇の日程を入れるのだ。
いつかくるであろう(来てほしい)春の日を待つために今の冬の時期をしのいでいくためにも。
今日お別れした皆さんのご健康と希望ある日々を迎えられることをお祈りしたい。

写真は職場のある5階のエレベーターホールの床にいたショウリョウバッタ。会議室も併設されているのでそちらに来た方の服などについてきてしまったのだろう。さすがにもう動かない。もう冬だ。
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06/11/29 『ひばり』チケGETと12月の観劇予定

蜷川さんの『タンゴ・冬の終わりに』千穐楽を観た。感想はまた後日書くが完成度の高い舞台であった。

開演ギリギリにコクーンに向かっていて、そういえば『ひばり』の前売は今週末かなぁなどと思い出す。チケットセンターの前にさしかかって先週末だったと知ってギョッとする。あせって飛び込んだが売り切れてない。なんとか2/22の夜のコクーンシートを確保してホッとしたが、松たか子の顔写真入りのチラシがどうにも気に入らない。アップにしすぎだ。

以下、12月の観劇予定。えっ、あらためて驚く。また後半に8回も集中させてしまった~。がんばれ、自分。
6日(水)13:00~国立近代美術館フィルムセンター:古い映画「元禄忠臣蔵」前後編2本
10日(日)歌舞伎座昼の部
15日(金)夜:文楽「社会人のための鑑賞教室」
16日(土)夜:文楽「義経千本桜」
22日(金)夜:日生劇場「紫式部物語」
23日(土)夜:帝劇「マリー・アントワネット」
25日(月)歌舞伎座夜の部
27日(水)夜;コクーン「NODAMAPロープ」
30日(土)夜の部:演舞場「朧の森に棲む鬼」
お茶などご一緒できそうな皆様、お気軽にお声をかけてくださいませm(_ _)m

写真は、たまに行くランチが丼専門になるお店で最近食べた「釜揚シラス丼 」。真ん中の甘エビは美味しくなかったけれどシラスが美味。シラスの質感まで写っているかしら。シラスも漂白剤とか使っているかもしれないけれどまぁ気にしないで外で食べる。セルフサービスお替わり自由のデミタスコーヒーがついて850円。まぁ東京価格ということで。
追記
こちらで緊急のお知らせをさせていただいた12/23「ロープ」のチケット救済の件ご希望の連絡をいただいたので友人に知らせた。相談中のようだが有難いことだ。こちらであらためて感謝申し上げますm(_ _)m
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06/11/25 顔見世大歌舞伎千穐楽昼の部②「先代萩」後半・勝元編

顔見世大歌舞伎昼の部の「先代萩」の後半の感想。対決・刃傷の場は初めてなので期待が膨らむ。
1-2.『通し狂言 伽羅先代萩』後半
後半の対決・刃傷の場のあらすじは以下の通り。
【対決】
鶴千代を守護する老臣の渡辺外記左衛門は弾正一味を訴え、幕府の問注所での審議が始まる。細川勝元は上使の任で不在。山名宗全だけによる審議となり、外記の出す証拠の密書と弾正の自筆の手紙を比べるように申し述べるが、弾正側の後ろだてとなっている宗全は証拠を反古同然だと言って採用しないどころか火鉢にくべてしまう。弾正側の勝訴ということになったところに細川勝元が使いの任を終わってかけつけてくる。勝元は宗全の裁定を踏まえながらも弾正側に主君の放埓を知らなかったというのは職務怠慢だと叱責。その上で弾正に鶴千代への家督相続願いをその場で書かせる。その筆を自らが強訴で受け取ってきた半分にちぎれた密書と照合。前半分は外記の息子民部が手に入れてきていたのでそれともつなぎ合わせて弾正一味の悪事が立証される。勝元は後ろだてになっていた宗全にも「虎の威をかる狐」に騙された虎のたとえで釘をさす。弾正は肩衣をはねられてひったてられていく。
【刃傷】
弾正は多分切腹を申し付けられたのだと思うが九寸五部で隙をみて外記を襲い、刃傷沙汰になっているところからこの場が始まる。「狼藉もの~」と叫びながら逃げてくる外記が花道から登場。舞台の上の畳の部屋の衝立の後ろに隠れる。すごい形相の弾正が追って登場し、傷の痛みに唸る声で外記を見つけて二人の立回り。弾正は馬乗りになって外記にとどめを刺そうとする。その寸前に民部たちに取り押さえられ弾正は成敗される。
大広間の襖がさっと開いて千畳敷が見えて勝元が現れる。家督相続の許しの上意書を持っての登場だ。それを外記に与える。瀕死の外記に薬湯を与え、さらに立って歩けないだろうからと自らの駕籠も与える。恐縮して辞退する外記に、勝元は足利家が無事に存続となったことを祝ってひとさし舞えといい、自ら謡う。その謡いについて痛みをこらえて外記は舞うが、すぐに駕籠の中に倒れこんでしまう。そこに「外記、めでたいなぁ」と声をかけ、大団円の幕。
この場の配役は以下の通り。登場順。
山名宗全=芦燕 仁木弾正=團十郎
渡辺外記左衛門=段四郎 山中鹿之助=権十郎
笹野才蔵=門之助 渡辺民部=友右衛門 
細川勝元=仁左衛門

渡辺外記左衛門は政岡の父だということで孫の千松が殺されているという忠義の一族だ。段四郎の外記は忠義ひとすじという役柄にぴったり。
勝元の仁左衛門の颯爽とした登場にこれまた目を奪われる。八汐の時から一転しての拵えと高い声でまずは外記たちの無礼を叱責しながら登場するのだ。その後どんどん弾正側を追い詰める速い台詞回しをその高い美しい毅然とした声でされると聞き惚れてしまう。頭の中で反芻しながら陶然と聞いている私。
それに対して團十郎の弾正はあくまでも知らぬ存ぜぬとのらりくらりとするのだが、團十郎の茫洋とした台詞回しがこれまたぴったり。裁きが下って退場のところの呆然自失の表情もすごかった。
対決の場面の勝元の最後の台詞、宗全に向かって「てもおそろしいたくみでござる」と言った時、八汐との二役を同じ役者がやることを前提とした芝居になっているんだなぁと感心した。

刃傷の場面、段四郎の痩せた風貌に目の周りを塗って死相の拵えでの登場にぞくっとしたし、弾正との死闘も凄絶だった。特に両方の手を片方ずつ膝で押さえつけられた絶対絶命の場面は息を飲み、息子たちがかけつけて.....というのは本当に巧くできているなぁと感心。
討たれた弾正の最後も凄絶。後ろ向きに海老反り風に倒れて止めをさされる時の痙攣もすごい。遺骸の片付けは仰向けになって6人にかつがれ、最後まで客席に顔をさらしての退場。やはり大物の悪の最後にふさわしい。

最後に勝元が瀕死の外記になぜ祝って舞えというのかということについて考えたこと。江戸時代には腹を刺されたら人は絶対助からなかった。そういう忠義の士の最後を讃えて問注所で見守る多くの武士たちの前で立派な最後を迎えさせようとしたのではないか。大藩の重臣であれば祝って能の一曲や二曲舞えるくらいは当たり前の身の備えであり勝元の謡いに即応して外記は自らも見事に謡い舞った。薬湯で最後をしゃんとさせて舞うだけの力を振り絞らせ、最後は自らの乗り物を与えて最高の死出のはなむけとしたのだろう。「めでたいなぁ」の表情には一人の立派なもののふを見送る愁いに満ち満ちていた。ここの男二人のドラマにまた泣けたのである。

この大顔合わせの通し上演で「先代萩」も封印したくなった。玉三郎の政岡くらいでないとこの封印を破りたくない気分だ。
仁左衛門の裁きの場面と團十郎の刃傷の場面の写真も買ってしまった。菊五郎は一枚も持っていないというのはアップ写真はちょっと欲しくないから。ごめんなさい(^^ゞ
追記
仁左衛門の声が11/12の時と比べて千穐楽では少しかすれ気味で、一度は台詞の合間に咳払いをされていた。その2日前の23日に観た良弁のお声には聞き惚れてしまったほどなので驚いた。今月は八汐の低い声から夜の部の良弁の高い音遣いまで多様な声を出されていて負担がかかったのではないだろうか。良弁の高い音遣いは菅丞相と同様に何音か高い声でずっと台詞をしゃべるので大変なのだと幕間のイヤホンガイドのインタビューで丈がお話していた。勝元の声は高めでそれも張るような声なので大変なんだろうなぁと思ってしまった。丈の七色のお声の魅力にとりつかれている私である。

写真は今月の『耳で観る歌舞伎』の表紙の仁左衛門の細川勝元を携帯で撮影。
関連の感想記事はこちらですm(_ _)m
11/25昼の部①「先代萩」前半・八汐編
11/23夜の部①「良弁杉由来」
11/23夜の部②團十郎の「河内山」
11/23顔見世大歌舞伎の舞踊4本の感想
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06/11/25 顔見世大歌舞伎千穐楽昼の部①「先代萩」前半・八汐編

「先代萩」は今回で3回目。2005年3月に菊五郎の政岡で初めて観たが正直あまり面白いとは思わなかった。今年1月の藤十郎の政岡で2回目。歌舞伎座では10年振りの通し上演なのだという。今まで見ていない「対決・刃傷の場」があるのと、仁左衛門の八汐と細川勝元の二役が今回の楽しみだった。
11/12に観てあまりの良さに感動。もう一度観ようとウェブ松竹のチェックを続け、千穐楽に2度目の観劇。2回分の感想を話が長いので前半後半の2回に分けて書く。

1.『通し狂言 伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』前半の感想
花水橋から床下までの前半のあらすじは以下の通り。
【花水橋】足利家の当主頼兼は、執権仁木弾正らの悪臣の唆され廓に通いつめる日々を送る。今日も大磯の廓からの帰り途、暗殺者たちに襲われる様子をだんまりで、夜が白んできて助けに来た相撲取り谷川と悪漢たちとの立ち回りを見せる。(その後、頼兼は悪臣たちによって隠居に追い込まれる。この部分は割愛。)
【竹の間】幼い若君鶴千代を暗殺する動きがある中で乳母の政岡は守りを固める。鶴千代が病気ということにしてあるので、仁木弾正の妹の八汐は局の沖の井・松島と見舞いに訪れる。そしてあの手この手で政岡を陥れようとするが、局の沖の井ら果ては鶴千代にまでやりこめられてしまう。
【御殿】【床下】は1月の歌舞伎座藤十郎襲名披露公演の記事を参照のこと(今回は“まま炊き”はカット)。
1/26歌舞伎座藤十郎襲名披露公演「先代萩」の感想はこちら
配役は以下の通り。登場順。
足利頼兼=福助 絹川谷蔵=歌昇
乳人政岡=菊五郎 八汐=仁左衛門
沖の井=三津五郎 松島=秀調 小槙=右之助
鳶の嘉藤太=弥十郎 栄御前=田之助
仁木弾正=團十郎 荒獅子男之助=富十郎

花水橋の福助はお大名の鷹揚な感じがよく出ていて歌昇の谷川とのやりとりもよかった。しかしなんといっても菊十郎たち菊五郎劇団の悪漢の立回りがいい。だんまりの見方というのもわかってきたので初めての時よりも楽しめた。
初回の11/12に東1列目で竹の間での仁左衛門の八汐の花道の登場に目を奪われる(段四郎と梅玉の八汐と比べようもないが)。長身の立役の丈の片はずし姿が予想以上に美しい。勘平で見た水もしたたる美しい二枚目のかんばせは美しくそして意地悪げな拵えがまた良い。しぐさも決まりの姿も美しい。そして表情は睨んだり嫌味な顔をしたり若君にとりいるへらへら笑いと本当に百面相!竹の間と御殿で八汐の写真を2枚も買ってしまったほどだ。
御殿を語る竹本の葵太夫さんのHPの「今月のお役」のところで仁左衛門のお菓子の取り次ぎが最速で竹本もゆっくりするのを嫌うということを読んでいたので、2回目はそこもしっかりとチェック。本当に手際がすごくよく、テンポを大事にされていることがよくわかった。
低い声で嫌味たっぷりな台詞回しも関西風。「アホらしい」という言い方は上方風なのかもとか思いながら聞いていた。「上から見えぬは人心。てもおそろしいたくみやなぁ」はもう最高。若君にやりこめられるあたりの芝居も面白くて仕方がない。竹の間でやりこめられた時の悔しがり方も凄い形相をみせる。御殿での千松の無礼討ちの場面、意趣返しも込めて千松を何度もえぐっては政岡に見せつけながら嬲り殺すところの説得力が出る。またその憎憎しさも無類。八汐という役の面白さもよくわかった。

今回の子役は鶴千代が下田澪夏ちゃんで口をしっかりとあけていい発声。本当にいい声だった。八汐に「獄屋にそんなにやりたいなら、そちが行け」とか「余の言うことを聞かないなら斬ってしまうぞ」とかも気迫十分。千松の原田智照くんも可愛くてよかったが、千穐楽では咳き込んでちょっと可哀相だった。

三津五郎の沖の井は11/12の時はまだまだ女の声があまりいいと思えなかったが、千穐楽では安心して聞くことができるようになっていた。八汐の偽願文状でやりこめていくあたりの局としての貫禄はさすがだった。秀調の松島も地味だが落ち着いたいい局で、2年前の菊之助とは比べようもない。このふたりの仁左衛門の八汐とのやりとりもバランスよくて気持ちがいい。

さてさて菊五郎の政岡。2年前はうまいなぁとは思いながらも物足りなかったのだが、今回は違った。仁左衛門の芝居がいいので今回は菊五郎も本気モードなのかぐっと気持ちが入っている感じがして段違いにいい。八汐とのにらみあいは火花が散っている!
緊迫感が非常に高いのだ。
千松が八汐に刺された後の芝居もすごかった。最初はやはり驚くのだがそれを忠義心がどんどん抑え込んでぐっとこらえるあたりの変化が見ごたえ十分。そして最高潮の千松の死を嘆く政岡のくどきの表現もたっぷりで唸るしかなかった。常々言い聞かせたことを忘れずに侍の子として忠義のため「よう死んでくれた、でかしゃった、でかしゃった」と言いながらも母としての顔になって慟哭するのだ。千穐楽のこの場面では泣かされてしまった。

栄御前の田之助の重厚感もまた格別。さすがに人間国宝が並ぶ芝居だ。仁左衛門・田之助・三津五郎とくれば、いつもはあっさり感の強い菊五郎もぐっと重厚な芝居をしてくれるというものだ。
ベテランの本気芝居の持つ求心力にひきつけられてしまった。

床下。富十郎の荒獅子男之助は相変わらず堂々としたいいお声。しかし妖術をといて鼠から人間に戻った仁木弾正の放つ小柄を受け止めたところの「合点だ」と何歩か下がるところはちょっと間がおかしかったと思う。
團十郎の弾正は今回が初見。不敵に笑うところがなんともいい。團十郎ならではの表情だ。千穐楽は3階正面席だったので花道での引っ込みはすぐに見えなくなったが、定式幕に蝋燭の面灯りの裃姿の影がずっと視界に残るのが素晴らしい。最後の最後は影がかなり大きくなっていく。1月の藤十郎の「先代萩」で初めてわかったが、今回もこの影の変化を堪能した。

後半に続く!
写真は顔見世歌舞伎の櫓の上がった歌舞伎座正面の千穐楽の様子。
追記
そうそう、八汐が政岡に刺されて幕が閉まる間際をしっかり見ていたら、先月の勘平の断末魔の時のように立ったまま仁左衛門がヒクッヒクッとしていた。さすがだぁと感心したことを付け加えておく。
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11/25昼の部②「先代萩」後半・勝元編
11/23夜の部①「良弁杉由来」
11/23夜の部②團十郎の「河内山」
11/23顔見世大歌舞伎の舞踊4本の感想
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06/11/24 演舞場花形歌舞伎夜の部①「馬盥」で松緑を見直す

歌舞伎座の顔見世歌舞伎を昼夜観てしまってから演舞場の歌舞伎を観るとどうも分が悪い。しかしながら若手を見守りながら、しっかりと私も勉強しようと思う。

1.『時今也桔梗旗揚(ときはいまききょうのはたあげ)』
明智光秀が毛利攻めに赴く途中の織田信長を本能寺で討った史実を踏まえた四世鶴屋南北作による演目。明智光秀→武智光秀、織田信長→小田春永、羽柴秀吉→真柴久吉と言い換えられている。
【本能寺馬盥の場】
春永は諫言を繰り返す光秀にいらだち、先日も蟄居を言い渡していた。本能寺に宿所を構えた春永に陣中見舞いが続々と届いているが、光秀妹桔梗が兄への勘気を解いてもらおうと花を届けるが花の意味を悪く読まれてしまう。それを春永の愛妾園生の局や森蘭丸などの取り成しにより、春永は光秀の目通りを許す。
真柴久吉が届けた馬盥に轡で錦木を生けたものを褒めた春永は、目通りした光秀にその馬盥を杯にして酒を飲めと強要。それでも動じない光秀。毛利攻めに加わるならば久吉の配下になれとも言う。いろいろな嫌がらせをして光秀を成敗する機会をうかがっているのだ。最後に春永は光秀にあるものを掛け軸と言って与える。北陸の地で浪々していた時期に光秀の妻が客をもてなすために髪を切って売ったものを入手しておいたもの。その箱を開けさせて満座の中で辱める。ひとりになった光秀はある決意をかため、宿所のある愛宕山に戻っていく。
【愛宕山連歌の場】
光秀の帰りを待つ妻皐月は連歌師丈巴や安田作兵衛らと連歌の会を催していた。春永の光秀への仕打ちのひどさに家臣たちは主君討つべしとはやるが、皐月は夫の辛抱を理解していた。ところが戻った光秀は切り髪の恥辱を受けたことまでを話し、ついに謀反の決意を語る。
そこに上使があらわれ、領地替えを下知。光秀は死に装束となり、主君の勘気に触れたことを覚悟しての切腹と見せかける。辞世の句として「時は今雨がしたしる皐月かな」の短冊をかざしたところに鬨の声が上がり、上使2人を切り捨てる。四王天但馬守が鎧姿で現れ、すでに光秀の軍勢の先触れが本能寺を囲み落とす勢いであることを報告。光秀はこれまでの忍耐と春永を討つ覚悟を高らかに宣言して幕。
今回の配役は下記の通り。
武智光秀=松緑 小田春永=海老蔵
光秀妹桔梗=松也 園生の局=春猿
光秀妻皐月=芝雀 連歌師丈巴=寿猿
安田作兵衛=薪車 四王天但馬守=亀蔵

松緑の光秀は初役。冒頭の花道に登場する場面の台詞が間延びしすぎて聞き取りにくかった。舞台に上がって春永とのやりとりになるとよくなった。しぐさもきれいで馬盥で酒を飲む場面もなかなか立派なもの。彼の風貌は写楽の絵のような雰囲気があってこういう役は存在感が出ていいなぁと思った。昼の部の播磨よりもこちらが気に入った。元三之助の中でも一番の年長者。この頃かなり大人の雰囲気が強くなってきたのでじっくりと台詞にも磨きをかけて芝居達者になってほしい。

海老蔵の春永はどうにもエキセントリック一辺倒で気持ちが悪かった。この話では春永を極端にひどい主君として描いているのだが、それにしてももう少し天下人の度量の大きさ的なところを出せるといいなぁと思ったが、まだまだこれからなんだろう。
松也の桔梗はきりっと美しくけなげだし◎。春猿の園生の局は権力者の愛妾としての色気十分だけど、これだけしか出番がないの~という寂しさあり。
芝雀の皐月は浪々時代からの苦労を支えたという控えめな妻の感じがよかった。落ち着いた感じが松緑とのコンビでは姉さん女房的雰囲気があっていていいと思う。これからもいろいろな役で組んでいっていただくと楽しみだ。

写真はポスターから松緑の光秀部分のアップ画像。古代紫の衣装に白い桔梗の紋。眉間の傷は前回の春永の勘気を蒙った時に受けたものということだった。いじめられマークだったのね。
関連の感想記事はこちらm(_ _)m
11/4昼の部①ヒートアップの「勧進帳」
11/4昼の部②菊之助の「弁天小僧」
11/4昼の部③奴隷と主人の恋「番町皿屋敷」
11/24夜の部②菊之助の「船弁慶」
11/24夜の部③海老蔵の澤潟屋型「四の切」!
演舞場の感想の全部を書き上げてはいないが、歌舞伎座の顔見世の方を書きたいので次はそちらを書くことにしたい。
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06/11/23 歌舞伎座夜の部観劇と千穐楽の先代萩戻りチケ入手

寝たのも遅いが昼近くまで寝てしまった。7時間くらい寝たら少し元気が戻る。歌舞伎座の昼の部の「先代萩」の感想を書いてから出かけようと思っていたのだが時間切れ。夜の部に出かける。
昨晩ウェブ松竹で千穐楽昼の部に3階B席の戻りが出ていて娘を誘惑。一緒に行くことになった。開演に間に合うようにいけるかどうかが???だが、まあ花水橋ならいいかって。甘すぎるかも。それも発券機でチケット引取り完了。

雀右衛門の女帝と三津五郎と福助の舞踊「鶴亀」もよかった。次の仁左衛門の良弁大僧正と芝翫の母の再会の「二月堂」でまた泣きそうになるし、もう涙腺ゆるすぎだ。幕間におにぎりを食べながら、イヤホンガイドで仁左衛門丈の台詞でない話し声を初めて!聞いた。渋いおじさんの声ですなぁ。いいこと言ってたし。

團十郎の「河内山」も黙阿弥の戯曲を直前に読了して観たのでけっこうちゃんと聞き取れた。原作から女方を二人も削ってけっこうダイジェスト版での上演になっているんだとわかったし。團十郎丈の河内山けっこうイイ味出してたし。
以上、思いっきり簡単な感想。文章もかっちり書きませんとこんな感じ。

木枯らし吹く季節になった。2週間ほど遅れた紅葉もすすみ、街には山茶花が綺麗に咲いている。秋の花粉症による喘息はおさまったがとにかくダルイのだ。
本格感想アップはもう少し気力体力の戻りを待って書くことにしよう。

明日は職場をフレックスして演舞場「花形歌舞伎」の夜の部。明後日は歌舞伎座千穐楽昼の部。がんばれ、自分!
写真は職場の近くの外濠公園の山茶花。
追記
なんでこんなに調子が悪いのか。11/17に成人病健診を受けた時もだるくて採血中に伸吟してしまったくらい。考えてみて思い当たった。今年のインフルエンザワクチン接種を11/14にしてきた。きっとそのせいじゃないか!昔昔、学校でやってたときから昨年再開。喘息の先生のところで受けなさいって言われたためだ。自宅の近くのその先生のところだと高いし2回受けろってうざい。職場帰りにできるところで安いところを見つけて受けている。接種跡の腫れも引いてきたし、そろそろ本調子になりますように!!

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06/11/22 電気ストーブを買ってきた!


多分風邪っぽいのだと思うが、とにかく食欲もあまりなく、眠くて仕方なくだるい。それでぼーっとしているのだと思うが年末調整の証明書やら何やら用意して提出してやれやれと、いやしかしもう一度「職員用電子掲示板」を確認したら、ああ住宅ローンの特別控除も手続きが必要だったことに昨日気づいて大慌て。渋谷の本部の事務サービス部に締め切りを過ぎているので届けますと連絡。

そして渋谷に立ち寄りで届けてきた。やれやれ、やれやれ...。
しかしせっかく渋谷まで行ったのでもう一箇所行くことを思いつく。

昨年11月、有楽町の国際フォーラムで職場のある行事があった時、駅前のビックカメラで職場の資料室の職員用に電気ストーブを2台買った。広い部屋に人間もパソコンも2組なので底冷えがするのだ。今はISOの環境シリーズもオフィスで取得しているので、補助暖房器具の必要性を現場にいない部長を説得するのが大変だった。ちょうどビルの環境測定で床と天井とで気温の差が5℃あったことに驚いた直後だったのでその数字が物を言った。
そのストーブはかなりの優れものだったので、自宅用にも欲しくなった。そこで観劇のついでに有楽町店に買いにいったら売り切れてしまっていた。大宮店まで行ったがダメだった。そこで実家に同じメーカーの型番違いがあるのを発見し、自分の家にあった単純な電気ストーブと交換とか言って1台は確保。昨年は私の椅子の脇で大活躍していたのだ。娘がうらやましがるのなんのって(^^ゞ

そしてビックカメラに寄って戻ることを思いついた。ところが文化村通りの方にはない。がっかりしたが、東口店があることを思い出す。そちらに回ると、アッタあった~。最初から家電売り場の大きいこっちにすればよかったのだが頭が回らなかったのだ。持ち手をつけてもらって職場に戻った。同僚に説明したらナルホド!の表情。
これは何がいいってスチーム機能がついているのだ。写真で上側に蓋を持ち上げて写っているのが水の注ぎ口。そこから湯気が出てくる。倒せば水が出てしまうのが難だがそれは気をつけるということで納得済み。もちろんドライ方式を選んでも使える。それと電熱の黒い棒のところがガラスじゃないので割れる心配がない。最低の350Wにしていてもけっこう暖かいし、色もシャンパンゴールドなのでベージュの床にもよく映える。

さっそく自宅で開梱し、従来のストーブは娘の部屋へ。そりゃあ私が新しいのを使うべきだろう。写真は電熱部が青く見えるけれどうっすら赤くなる。反射してこう写るみたいだ。ストーブであったまっていたら少し機嫌が治ってきたぞ(週1の学校に今週も行かない娘。風邪だってバイトも休んでるけど医者も行かないし...)。
あれ?娘の部屋にコンセントに入れる余裕がない。コンセントを分岐するのを買ってこなくては。これでエアコン使用を減らさせようというねらいは達成できるのか?!
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06/11/20 本日6万アクセスの御礼m(_ _)m


さきほど夜9時半すぎに6万アクセスを突破しました。4万アクセス到達が7/22、5万アクセス到達が9/24で、ほぼ1ヶ月で5000ほどのアクセスをいただいております。読んでいただいている皆様に御礼申し上げます。

ここのところ疲れがピークになっている。なんと昨日は11時間ほど眠っていた。われながら驚いた。本当は歌舞伎座の昼の部の感想をアップするつもりだったのだが、起きたらもう昼すぎだったので掃除やら何やらで半日しかない日曜日は終わってしまった。

今朝出勤したら「年末調整の書類が未提出」と督促メールがきている。あわてて実家に電話して簡易保険の証明書を受け取りに帰宅途中に寄ることにした。体調も悪かったが最寄駅にいくと父親が届けにきてくれた。感謝、感謝!
帰宅すると娘が体調が悪いとバイトを休んでいた。きっと二人とも風邪っ気みたい。さあ早く寝ようっと。

さて上記までとは全く関係ないが、気合を入れるために書く。
写真は最近の一番のお気に入り本。アマゾンで購入した『十五代目襲名記念写真集「片岡仁左衛門」』。価格もリーズナブルだし歌舞伎のいろいろなお役の美しいお姿から若い頃のハムレットの白いブラウス姿まで載っている。
仁左衛門丈のあとがきから以下、少々長いがそのまま引用する。
「以前からも写真集をと云うお勧めを頂いておりましたが、以前に出しました折り、自分で良いと思って選んだ写真にも拘わらず、何年か後に見た時、その役の心が汲み採れない、役になりきれていない写真が多く、恥ずかしさの余り、それ以後出版を拒み続けてまいりましたが今回は「孝夫」に何かを残してやりたい思いにかられ、また数年後にこの本を見た時、今回は今の拙さを道程の一過程として、むしろ昔を懐かしむ余裕が持てる様に芸の上でも人間としても大きく成長している事に賭けて出版する次第でございます」

なんと謙虚で志の高い方であろうかと、またまた惚れる。

早く「先代萩」八汐編と勝元編を書きたいものだ。
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06/11/18 渡辺保氏特別講演会「襲名と新しい歌舞伎」聴講

yukari57さんからお知らせいただいて演劇評論家・渡辺保氏の特別講演会に行ってきた。十文字学園女子大学の客員教授でもいらっしゃって保護者会開催に合わせた特別講座ということで参加費無料。同じ県内でもあり、武蔵野線に乗って新座まで。お茶屋娘さんと3人並んで聴講。

先生のお話のお題は「襲名と新しい歌舞伎」。
1.襲名について
●歌舞伎役者の襲名は松竹株式会社の商業政策上にある。
●襲名の思想的根拠は日本における近世以前の人間のとらえ方による。
・大きな名前は財産。遺産相続のように争いも起きる。
・個性を重視するようになった近代以降の考え方ではない。
・襲名する名は一つの人格であり継承してきた先達と一つになること。共同体の中で自分の個性をなくして積極的にその名を自分の物にすること。
・その名前は記号ではなく、集客力という力を持っている。
●襲名の効果
・役者に自信が生まれ緊張感が出て一回りも二回りも大きくなる。
・襲名には役者にもかなりの経済的負担を強いるが、それを上回る効果がある。
2.新しい歌舞伎
①コクーン歌舞伎
串田和美さんは父が戸板康二さんと懇意だったくらいで小さい時から歌舞伎を観ている。古典歌舞伎のテキストを大事に演出している。舞台美術が優れていてそのことにより新しい視点の提供があった。
②野田版の歌舞伎
野田秀樹の書き下ろし作品はシチュエーション喜劇としてシリアスな笑いを追及している。
③蜷川幸雄演出「十二夜」
シェイクスピアの箍をはめて洗練された美しい舞台に仕上げていた。幕開きのハーフミラーによって歌舞伎座の自画像を別の角度から描き出したことは秀逸。菊之助が女方も立役もできる役者である特性を生かした作品。元々シェイクスピア劇自体が男だけで演じられてきたことは共通。歌舞伎との共通点と相違点を浮き彫りにした。
④PARUCO歌舞伎
中山安兵衛の屈折がなぜなのかが書かれていない。何の目的もなく走っている人達の姿は現代人の象徴だったと思う。
⑤いのうえ歌舞伎
劇団☆新感線は確かに新幹線のようにスピード感があるが、話がつまらない。パクリが多い。本人が歌舞伎と名乗っているだけでこれは論外。
★「新しい歌舞伎」の成果と欠点
成果
・いずれも興行的成功をおさめた。
・歌舞伎界に新しい作者・演出家を入れて新しい視点を入れた。
・特に①~③は評価できる。歌舞伎を分析・批評・解体するもので歌舞伎の可能性を拓くもの。
欠点
若い世代の役者が「客に受けること」を覚えてしまった。観客に迎合して媚を売ったり客をいじるようになった。古典芸能の世界では落語も含めて禁じられてきたことを破った。観客との距離感が大事。
歌舞伎の本来の良さは「芸の格」「品格」であり、それが崩れかかっている。新作・新演出はいいが真面目にやってもらいたい。そうして「文化遺産」としてきちんと守っていってほしい。
以上、ぴかちゅう文責によるメモ。

最後の質疑応答ですぐに手を上げなかったのが失敗。どうにも先生の話にかみあわない質問が3本続き、ある方の質問には「私はそういうことは言ってません」と回答されることもあった。まあこういう質問も出るとは思うがうーん、私の質問の方がよかったな。
お聞きしたかったのは、歌舞伎役者の美しさが時代によって変わるという(そういうお話もあった)のと同様に、歌舞伎の良さという概念も時代によって変化してしまうのではないかということ。先生のおっしゃる本来の良さの理解はなかなか難しい時代になっているがどうしたらそういう観客を増やしていけると思っていらっしゃるのかということ。

もう少しで読み終わるが、先生の1989年の著作で1993年にちくま学芸文庫にもなった『歌舞伎 記号の森』の口上でこう書かれている。
「もともと私は古典というものは簡単なものでも面白いものでもまして気軽にわかる類のものではないと思っている。・・・・・(中略)・・・・・いまの観客の何人が歌舞伎を本当に理解しているかというとまことに心もとない。むろん私自身も歌舞伎を考えてやはり日暮れて道遠き想いにとらわれざるをえないのである。」
これはかなり高尚でストイックな方だと思った。それを読んだ上で今回の講演会にのぞんだが、やはり質問したかったなぁ。

私自身は先生のように経済的に余裕のある環境に育たなかったので、一枚一枚のチケットのコストパフォーマンスを考える。3階のA席にするかB席にするかをそうとう考える。そうして払った代価に対してやはりある程度エンタメ度が高いと嬉しかったりする。一方で伝統芸能としての奥深さも感じてこうしていろいろと本を読んで勉強したりもする。そこでいろいろと問題意識を醸成中なのである。

そうこうして歌舞伎会一般会員の私もしっかりと劇場に通いつめてしまい、ついに2007年ゴールド会員に到達するまでになった(写真参照)。これで来年はもう少し正面席で前の方で観ることができるだろうと嬉しい。まあ3階席中心の観客であることは同じであるが(笑)

終了後、駅前のジョナサンでオフ会。よくしゃべりました。
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06/11/05 『ペテン師と詐欺師』東京千穐楽

もう何年もたってしまったけれど鹿賀丈史と市村正親の久々の共演ということでチケットがすぐに売り切れた『You are The Top』。今のように観劇三昧でなかった私はチケットもとれずに当日券で観るつもりだったが鹿賀さんが盲腸で降板。昨年の『デモクラシー』でやっと共演してくれた。その時の感想はこちら
でもやっぱりミュージカルでの共演が観たかった。その想いがかなった今回の舞台。ホリプロが買いとって生まれ変わった「天王洲 銀河劇場」。その杮落とし公演でもあるブロードウェイミュージカル『ペテン師と詐欺師』。東京公演の千穐楽に2階の最前列で観劇してきた。
あらすじは以下の通り。
南仏のリゾート地リビエラ。バカンスを楽しむリッチな女性たちを次々と虜にするローレンス(鹿賀丈史)。ハンサムで洗練された身のこなし、巧みな話術を駆使してねらった相手から次々に大金を巻き上げていく。相棒はアンドレ(鶴見辰吾)。ある時は某小国のプリンスになりすまして大金持ちのミュリエル(愛華みれ)を騙す。
しばらく姿を消すための旅行で若いアメリカ人ペテン師フレディ(市村正親)と出会う。その幼稚な手口を笑われたフレディは、ローレンスの華麗な手腕と豪奢な生活に憧れて弟子入りを志願。ローレンスは共にアメリカの石油成金の娘ジョリーン(高田聖子)を騙して大金を巻き上げる。ローレンスはいつまでも一緒に仕事をする気がないことをフレディに告げるがそうは問屋が卸さない。次のカモをどちらが落とすかの勝負になる。標的は純情可憐な旅行者クリスティーン(奥菜 恵)。
あらゆる手練手管を駆使しての口説き合戦・邪魔合戦が始まる。最後の勝者はどちら・・・・・・。ところが勝ったのはクリスティーンだった!?

今回の席はある意味とても良い席だった。さすがに50代後半の主役のおふたりはお顔にも皺が目立つのが双眼鏡を通してはっきりわかる。双眼鏡なしで見るとまことにちょうどいい。歌舞伎の大向こうさんによると年取った役者を双眼鏡を使って観るのは野暮というものらしい。野暮でもしっかり使う私ではあるが、その辺はのぞいたりはずしたりのバランスをとるということで(^^ゞ

鹿賀丈史はナイスミドルの役柄。クサイほど気障でもったいぶった話し方なのが魅力。最小限の動きでそれを表現。対する市村正親はGパンできったない姿で貧乏くさい作戦で人を騙すヤンキー野郎。可愛いし本当によく動くし、これもクサイほどなのだがこれも魅力。市村正親のこの可愛さは若いシノリョウが惚れるのも納得してしまう感じだ。
本当に対照的なふたりを観ているだけで嬉しい。全く馬鹿のような贔屓の私。

対する女優陣のトップバッター愛華みれ。大地真央主演の『十二夜』のオリヴィアが初めてだった。とっても美人さんなのにあまりの歌の下手さに驚いたものだ。歌はその時よりは段違いによくなっていたが、まだまだ修行していただかないといけない。ミュリエルはローレンスをずっと信じて追いかけ回すというちょっと変な女だった。オリヴィアといい今回といい「美人だけどちょっと変な女」が似合っていた。
2番手の高田聖子。いつものようにパワー全開で下品な成金の娘を魅力的に演じてくれる。最高だ~。

そしてこの公演のチラシやポスター写真の中央を陣取る奥菜恵。登場シーンは可愛いのでちょっと期待。芝居はまあ許容範囲。さあ、歌は??

なんという歌詞かききとれない。特にお嬢さんぶっている時の歌は音域が合わないのか全くお話にもならない。最後に正体をあらわしてからのドスをきかせた方の場面の方がまだよかった。再演が決まったというのを聞いていたのだが、次回は別の方にしていただきたい。

予想以上によかったのは鶴見辰吾!ソフトムードのローレンスに従う硬い人柄の相棒アンドレ。その組合せがよかった~。それが最後はミュリエルと大人の恋に落ちるというそのエピソードはこの芝居の底をささえていたような気がする。だってあとの三人は結局またまた楽しく悪事を働いていきそうだし、まともな恋愛ができて幸せな二人は見ていてホッとできてしまった。

演出は『サラ』で観た宮田慶子。こういうコメディも演出するんだなと再認識。衣裳は小峰リリーだったが、ポスターやチラシやプログラムの中の写真の衣装と舞台の衣装の雰囲気がガラリと違っていることがちょっと不満。確かに舞台の衣装の方がお話にあっているんだけれど、これって撮影時には話の内容を踏まえた衣装になっていなかったっていうことなのだろうか。市村正親と高田聖子の衣装が写真では上品そうだったのに舞台では思いっきりカジュアルだったりケバかったりしていて落差が大きかった。もちろん舞台の方の衣装の方がよかったけれど。

他の出演者は以下の通り。
乾あきお ひのあらた 野沢聡 小暮清貴 萬谷法英 蝦名孝一 東山竜彦 清野秀美 原慎一郎 ももさわゆうこ 秋園美緒 柏木ナオミ 一倉千夏 浅野実奈子 秋山千夏
芝居の場面と歌やダンスの場面とがうまく組み合わさって楽しい舞台。まさにブロードウェイミュージカルっていう感じ。でも1公演1回で十分な作品だな。あまりにも物語に内容がなくって物足りない。DVD出たら買うかな?二人の共演の記念に買うかな?聞きたくない曲は飛ばせばいいからBGMにしても楽しいかな?

千穐楽のカテコらしく、最後は二人の簡単な挨拶があった。来年の再演が日程はまだわからないが決まったという。来年また行くかな?主役の女優が同じだったら行かないなぁ。DVD買ったらそれで満足してしまっていかないかもしれない。まあ、その時になったらまた考えることにしようっと。
写真は今回の公演の公式サイトよりの画像。
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