ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

10/01/17 新春浅草歌舞伎(2)「御浜御殿綱豊卿」

2010-01-21 23:59:49 | 観劇

「御浜御殿綱豊卿」は大好きな作品。仁左衛門の綱豊卿はまさにハマリ役で、思い出しただけでもニヤケるくらい好きだ。
2009年3月に観た時の記事はこちらで、それでしばらく「綱豊卿」は封印という気持ちだったが、愛之助が仁左衛門から教わって綱豊卿を演る今回の舞台ははずさずに観ようと、新春浅草歌舞伎は第一部を観ることにした。
【御浜御殿綱豊卿】
以下、今回の配役を公式サイトより引用。
徳川綱豊卿=愛之助 中臈お喜世=七之助
祐筆江島=亀鶴 浦尾=歌女之丞
新井勘解由=男女蔵 富森助右衛門=亀治郎

愛之助の綱豊卿は頑張って仁左衛門の台詞回しなどを丁寧になぞっているなぁと思った。しかしながら精一杯背伸びしている感じがありありとする。仁左衛門の場合は、そこに綱豊卿がいて、将軍の後継者と目される人物の鷹揚さ、聡明であり熱い心をもった器の大きな人物が苦悩する様子に引きずり込まれた。今回の愛之助の場合は、綱豊卿を熱演する愛之助がそこにいて、それを贔屓として見守るという感じだった。
亀治郎の助右衛門との緊迫したやりとりになるはずのところが、あまりよくないという評判をあちこちで見ていてどうだろうと気にして観た。初日から2週間たっていることもあり、そんなに悪くもなく、ホッとする。しかしながら、この二人は互角のやりとりという感じがしてしまう。圧倒的に綱豊卿が大きな人物として存在しなければ、助右衛門がそこにぶつかっていって生まれる緊迫感が出ない。まぁ、まだまだこんなものだろうし、これからを楽しみにすればいいと思えた。

七之助のお喜世は、綱豊卿の愛妾に見えなかった。公家の家からもらった正室が堅苦しくて苦手で、お喜世に「いつまでも町娘のようでいてくれよ」と綱豊卿が甘えるような柔らかな女に見えないのだ。凛とした桜姫のような役はいいが、こういうお役はニンではないのだろうか。

男女蔵の勘解由は、浅草の花形歌舞伎では老け役に回ることが多いのでご苦労様という感じだ。
亀鶴の江島が今回一番の大収穫。2005年の浅草の「御所五郎蔵~仲之町出逢いの場」の留め女がよくて注目し始めたのだが、今回の江島が登場から台詞回しや身体の動きがもう文句なく立派で目を見張った。もっともっといい役をつけてあげて欲しいと思っている。

「御浜御殿綱豊卿」の絵看板を携帯で撮影したものはこちら

写真は公式サイトより今回の公演のチラシ画像。
1/17新春浅草歌舞伎(1)立役二人の「正札附根元草摺」

ここのところ「乾燥注意報」が出される日が続き、鼻や喉の奥が痛いような違和感をだましだまし過ごしている。今日は仕事にひと区切りついたら目がチカチカして驚いたが、少し横になっていたら落ち着いた。
明日はもう新橋演舞場の花形歌舞伎を昼夜通しで観る日になってしまった。コメントの返事も遅れ、感想アップも間が空いてしまっていて恐縮m(_ _)m無理しないペースで続けますので、皆様よろしくお願いします。