ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

05/05/05 勘三郎襲名披露公演連続アップ⑤5月歌舞伎座昼の部その1

2005-05-06 23:05:07 | 観劇
今月は花道が2本になっている贅沢な舞台。私には初めてのことで幕間に1階に降りた時に仮花道にも鳥屋があるかどうかを見てくればよかったと後から気づいた。ご存知の方よろしければ教えてくださいm(_ _)m

『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ) 車引(くるまびき)』
近松門左衛門の時代浄瑠璃を踏まえて二代目竹田出雲らが歌舞伎にした全五段のうちの三段目。初演当時に大阪で実際に三つ子が生まれたというニュースを取り込んで三つ子の梅王丸、松王丸、桜丸が登場し、それぞれが別々の主人に仕えているという設定になっている(次兄の松王丸は時の権力者藤原時平に、長兄の梅王丸は菅氶相に、末弟の桜丸は斎世親王に仕えている)。
本花道から梅王丸(勘太郎)が、仮花道から桜丸(七之助)が登場(ただし3階東1列目の私の席からは仮花道は見えない)。舞台は吉田神社の塀の外。梅王丸と桜丸が出会い、近況報告しあう。その前提として桜丸が斎世親王と菅氶相の娘苅屋姫の逢引の手引きをしたために藤原時平により菅氶相が失脚させられてしまっていた。桜丸はその責めを負って切腹しようと思うが、父の長寿の祝いの日までは思いとどまっているのだという。そこに時平が吉田神社の参詣にやってくるときき、兄弟はふたりの主人を陥れた時平を討とうと牛車を襲う。牛車を散々に打ち壊していると時平の舎人になっている松王丸(海老蔵)に止められる。最後に牛車から時平(左團次)が登場して兄弟をにらみすえ、その威勢もあって、この場はおさめることになって、幕。
実際の兄弟による梅王丸と桜丸で、登場してすぐの舞台上での所作も役柄にぴったり。勘太郎の荒事風の所作と見得。動きがきびきびとしていい。七之助の江戸和事風の所作と見得。七之助の声は高い声がきれいで安定していて聞いていてうっとりする。そこに海老蔵の松王丸の團十郎家の荒事は本当に気力たっぷり。4月の時代物でも海老蔵の見得は見ているが、さすがに松王丸の見得の睨みは違う。元々大きな目をひんむくように睨むのだからすごい迫力だ。口上の際は「吉例により、ひとつ睨んで見せまする」というそうだが、まさに襲名披露公演への團十郎家の引き出物のようだった。左團次の時平も藍隈がよく合って凄みがきいていてよい。
30分あまりと短かったが、海老蔵、勘太郎、七之助という若手3人がバランスよく、若い魅力いっぱいの舞台で朝一番の爽やかな一幕だった。
すぐに追記:杉王丸のことを書かなくては!『野田版鼠小僧』の三太役の子役だった清水大希くん。3月の『鰯売』で勘三郎に転がされる玉三郎付きのかむろ役がすごくよかったので注目していたのだが、今月から勘三郎の部屋子になって中村鶴松を名乗るという。かむろの転がされ方も半端ではないのでかなり勘三郎と息の合った子役だなと思っていたが、なあるほどと思った。時平の舎人の杉王丸が過去の舞台の写真などで見るよりもかなり小さい子役をあててきたなと思ったら彼だった。台詞回しもいいし、全身にみなぎる気合も十分。他の3人に負けていなかった。福助や橋之助の子どもたちも負けずに頑張らないとという感じだ。将来が楽しみ。
  
『芋掘長者(いもほりちょうじゃ)』
12月に見た『身替座禅』と同じ作者による舞踊劇。歌舞伎座では45年ぶりの上演とのこと。
松ヶ枝家では、舞いの大好きな娘緑御前(亀治郎)の婿選びのために舞い比べを行うことにして舞い上手たちが集まる。緑御前を恋い慕う藤五郎(三津五郎)は芋堀を生業としているが舞は素人。舞いをよくする友人の治六郎(橋之助)とともに一山越えてやってきて立派な身なりの男たちに混じっている。面をつけて身替りに踊ってもらい喝采を受けるが、次は面なしでの踊りを所望され、万事休す。そこで藤五郎は踊れないことを白状し、日々の仕事の動きを説明する所作をすると緑御前が気に入ってしまい、とハッピーエンド。
藤五郎が面なしで踊るはめになって治六郎の動きを見ながらテンポをずらして踊るところを舞踊上手の三津五郎が見事に踊るのがすごい。

『弥栄芝居賑(いやさかえしばいのにぎわい)猿若座芝居前』
今月は通常の「口上」はないが、そういう意味合いをもつ演目。舞台は江戸猿若座の小屋の前。座元である十八代目勘三郎の襲名を祝うためにいろいろな人がやってくるという短い芝居仕立てになっている。座元(勘三郎)や若太夫(勘太郎・七之助)などが待ち受ける中、猿若町名主女房(芝翫)、茶屋の亭主(富十郎)や女将(雀右衛門)が来て祝いを述べている。そこに男伊達衆や女伊達衆がやってくるということで猿若座の従業員一同も出迎えに並ぶ。立ち役と女形が両花道から登場し、渡り台詞のように祝いの言葉をかけあい、またそれぞれに名乗りをあげる。最後は芝翫の音頭取りで客席も巻き込んでお手を拝借で江戸締めというとても粋な舞台だった。昼夜通してこの場にしか出ない方もいて、襲名披露公演の贅沢さを満喫するような演目。私の席からは女伊達衆は真下だったので全員見えず。男伊達衆が全員見えたのでまあよしとしよう。
男伊達は菊五郎、三津五郎、橋之助、染五郎、松緑、海老蔵、獅童、弥十郎、左團次、梅玉
女伊達は玉三郎、時蔵、福助、扇雀、孝太郎、菊之助、亀治郎、魁春、秀太郎
一部記憶があやしいので順番は間違っていたらすみません。

写真は、歌舞伎座5月公演のチラシ。

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7 コメント

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うらやまし~ (あいらぶけろちゃん)
2005-05-08 13:00:27
5月はチケット争奪戦に敗れたので、都民劇場で手をうっておけばよかったと後悔しています。夜の部幕見も考えたのですが 帰宅時間を考えると(11時半)きついかな~と・・・

代わりに(?)江戸東京博物館で「小学生のための歌舞伎ワークショップ」へ。幕があいて(左右に開く普通の幕で違和感ーでもしかたありませんね)がまが登場。阿修羅城を思い出したりしましたが、がまの衣をぬぐと中からなんと吉右衛門丈が。びっくりしました。「黒子を透明人間と思えといわれても・・」と娘。もっともと思いつつ、慣れると目につかなくなるんだよと心の中でつぶやきました。舞台が狭いので お弟子さんが踊りにくそうにしていましたが、こころもとない動作に普段見過ごしている「鷺娘」 ただまっすぐ移動するのにも 玉三郎の修練のうえでのたまものなのだと再発見しました。

小学生は無料なので「シルクロード展」「常設展」も堪能してきました。四谷怪談のからくりを4回も見て 娘「これ見たい」とぼそっ。「う~ん、なかなかやってくれないからね~」と返事しながら 考玉コンビでも舞台にすきま風が吹いてた(と思った)演目だからな~と遠い目。もちろん仕掛けは文句なしに楽しめましたが・・・

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勘三郎の「四谷怪談」は小学生にもおすすめです (ぴかちゅう)
2005-05-08 13:56:46
5年前の8月、歌舞伎座で勘九郎の「四谷怪談」を娘と一緒に観ました。四谷怪談はそれから1年おきに8月にやっていると思います。だから昨年やっているはずなので来年の8月にまたやるのではと予想してます。8月の公演は3部制で時間も短くチケット代もその分安いのでお子さんを連れて行くのにいいんですよ。孝・玉コンビの四谷怪談は写真だけ観たことがあります。勘九郎のお岩よかったですよ~。猿之助一門の「四谷怪談忠臣蔵」も面白かったし。



今年の8月の情報ですが、ANAの『翼の王国』04年11月号の特集「よ、なかむらや!」にありました(お茶屋娘さんの海外旅行土産!)。勘九郎のインタビューで襲名披露公演の話の後「その後8月の3部制の時に歌舞伎で串田さんの演出のものをやりたい」って言ってます。7月8月、歌舞伎座が熱いぞ、きっとと思ってたところです。早く正式に発表がないかしら!!

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今日の朝日新聞で (お茶屋娘)
2005-05-08 19:49:56
「翼の王国」で、そんなこと言ってましたか。

今朝の朝日新聞、求人欄のインタビュー記事で、勘三郎が、「ニューヨーク公演のあと、串田さんが、これ、お江戸のひとに見せたいよね、って言ってた。」って。

ということは、「夏祭・・」が可能性大ですか。

7月は勘三郎お休み?だったら頑張れるかな。
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Unknown (お茶屋娘)
2005-05-08 19:55:29
松竹サイトを見たら、勘三郎、6月休みで7月大阪。8月やれる?
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女伊達の列挙のもれ、間違いごめんなさいm(_ _)m (ぴかちゅう)
2005-05-09 22:20:18
女伊達の列挙のもれを雀右衛門丈と間違えました。本舞台にいらっしゃったんですよね。

HineMosNotariさんのブログ目八の方で下記のコメントいただきました。

残るお一人、掲示板でAddieさんも書いてくださいましたが、

> 息子の方の京屋さんでは?

のようですね。

とのことで、ご指摘ありがとうございます。

HineMosNotariさんは芝雀さんと魁春さんの認識がごっちゃになることがあるとのことですが、私はもっと認識のレベルが低くて芝雀さんには申し訳ないのですが、全くイメージできないです。芝雀さんに申し訳ないので、私ももう一度幕見ででも観に行って確認してこようかしら。しかし昼の部の幕見って何時に行けば間に合うかしら...。

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幕見 (あいらぶけろちゃん)
2005-05-12 15:58:38
11日は10時ちょいすぎでも座って見れました。(前列センターで)一人だったせいもありますが。

レ・ミゼ前の空いた時間でという貧乏人根性で・・・勘三郎さんを見ないで席を立ったのは数名でした(笑)
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あいらぶけろちゃん様 (ぴかちゅう)
2005-05-13 03:40:51
写真入の筋書と舞台写真も買いに行きたいし、私ももう一回昼の部で幕見行こうかな。現在は私も平日の夕方までに家に戻っていないといけない状態にあるので、新三の前に帰るつもりです。夜遅くはいいんですけどね。

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