Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

凍てついたのは身体

2018-02-28 | アウトドーア・環境
シュヴァルツヴァルトの滝を見てきた。ここ数日日中も零下で、1000メートルほどの山ノ上は零下13度とか15度とかまで下がっていたからだ。ワイン街道でも昨週末の雪が残っているのを見ても期待が出来た。朝用事が入って出遅れたが、陽が昇っても融けることは無いと9時に出発した。車を走らせると直ぐに外気温計に目が行く。またもや零下7.5度が出たかと思うと1.5度なってそれが繰り返される。ドイツ車の宿命で車両がしっかりしていてもどんどんと刃が毀れるように電装系が壊れていく。センサーが壊れている訳ではなく、その入力を読み取るところの不良と思っていたが、表示と共に久方ぶりに零下の温度を表示するようになった。液晶のそれはある程度時間が経つと元に戻るのは分かっているが、温度の計測のその意味はどうしてか分からない。外気温系だけを修理させるほどでもなく、その代用はなかなかない。古い車を乗り続ける限界を感じながら車を走らせて、アルザスを超えてバーデンバーデンからアウトバーンに乗るとしっかりと零下三度ぐらいが表示されていた。それが正しいことは変化を見ていて確信した。少し気持ちが上向く。

自宅から滝のあるところまでは200㎞も無く、二時間少しで駐車スペースまで到着する。最終的には私道に入って停めさせてもらうのだが、道が分かり難い。そもそも滝の下からアプローチすると更に遠く、道も崖っぷちを走っていくことになるので天候に左右される。今回も無理をして出かけたのは寒さの峠はまだであるが、しばらくすると降雪が予想されていて、そうなると積りに積もるので難しいと思った。スキー場と違って誰も必要以上に除雪しない。山道も完全に乾いていて、最後の町の前から凍り付いていたが雪が路上にはない。予定通り11時過ぎには駐車スペースを見つけて、着替える。

何と外気温計は零下13度を指していた。まるでアルプスのようだ。それでも陽射しが燦々と照って風さえなければそれほど寒くはない。雪面に反射する陽射しはスキーで入る山間のようである。前回ミュンヘンに宿泊する節に不凍液を混ぜておおいたので数時間は大丈夫だろう。山道に入ると凍り付いていたので場所があるうちにシュタイクアイゼンを付ける。このような厳しい条件では先々に解決しておかないと間に合わない。さて凍結具合が楽しみだ。数年前のあの巨大な氷柱を登れるか。難易度では最上位から一つ下である。オーヴァーハングの手前の程度である。

滝に近づくと激しく水が落ちる音がした。これはと考えると、上部のダムの水が完全に凍っていなくて並々とあったことに気が付いた。この冬は異常に降雨量が多いのでどんなに温度が下がってもなかなか凍結していないのである。完璧な状態ではないと観念した。実際に下まで降りると、水飛沫が酷く、氷柱もまだまだの状態であった。これだけの水量は初めてで、肝心の場所をザイルで降りると酷い水飛沫で濡れた。下部を試して登るとそこら中から水が入ってきた。靴の中まで水が入ってきたのでこれは駄目だと思った。雪の中で首まで浸水したことはあるが、零下13度で水シャワーは厳しく、結果が怖いので、降りてきた。降りてくるといってもザイルが完全の凍り付ていて、全く容易ではなく、その間にも容赦なく水飛沫が降り注ぐ。

降りて下から見ると、ザイルの掛け方が悪かったのが分かった。馬の背のようになっている角は登り切れないがその側面ならばあまり水気が掛からない。ザイルを掛け直してもう一度調べてみると。馬の背の角に近づくほど浮いているので、アイスバイルを振ると抜けた音しかしない。側面もまだまだ氷を形成していて、表面が小さな氷柱の集まりになっていてバイルの効きが不確かである。要するに難しいだけど崩壊の危機が高い。そうこうしていると横で大きな崩落があった。温度はそれほど上がらなくても水の勢いでも崩落するようだ。

今回は数年前のような大氷柱を登るのは厳しかった。ザイルの掛け方も大体分かったので、次の機会に生かしたい。いつも登っている側面も雪が付いていないためか結構部ブッシュなどが出ていてそれ程綺麗な氷結になっていなかった。半分だけはノーザイルで試してみたが上で落ちる危険まで冒して無理をすることは無いと思った。一本指の縦爪のシュタイクアイゼンとモンスターの威力は抜群なのを再度確認した。もう一つ右手用にいいバイルを調達すれば可成り登れる自信が出来てきたので、お開きにした。

ヘルメットだけでなく眼鏡のグラスも何もかもが凍り付いていた。帰路を登るときに手の指先が痛み出した。つまりそれまでは凍り付いて感覚が無かったのだろう。あまり長く凍らしておくと凍傷になる。指先が普通に使えていたので気にしていなかったが、やはりあれだけ濡れて凍ると怖い。陽射しの心地よさに騙されていた。



参照:
高めるべきは経験値 2012-02-14 | アウトドーア・環境
なにはともあれ氷柱を登る 2013-01-20 | アウトドーア・環境
利き腕の氷瀑モンスター 2012-02-09 | 雑感

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