Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

ヴァークナーも誇りに

2020-09-22 | 
就寝前に大きなニュースに驚いた。バイロイトのカタリーナ・ヴァクナーの復帰やらに合わせて週明けはと思っていたが、就寝が二時間ほど遅れた。彼女がヴェルト紙に語ったことが流されたからだ。数時間前には出ていたようだが、気が付かなかった。

なんと2021年のバイロイト音楽祭史上初の女性指揮者は、予想していたヨアンナ・マルヴィッツではなくてオクサーナ・リニヴだった。彼女が新制作演目の「さまよえるオランダ人」を振っていたことは気が付いていたが、2017年4月の事で事象が後先になってしまっていた。つまりカタリーナ・ヴァークナーが上演地バルセロナの劇場を訪れてそれを聴いていたという事だ。だから二年後に女性指揮者と言われても、至近にヴァークナーを指揮しているマルヴィッツの方が目についた。また今年ザルツブルクをデビューしたとしても来年下りればよいというだけの事と考えられた。これで来年はマルヴィッツ指揮は「コシファンテュッテ」ではなくて新制作「魔笛」となるのだろう。

本題のオクサーナ・リニヴの選定だが、彼女が2017年に就任したグラーツの音楽監督を2020年を最後に辞める事情がよく分からなかった。2020年から暫く世界中の楽団や劇場を回るものだと思っていたので、既に2017年過ぎに打診があったとは思わず、その後の活躍もよく分からなかった。内部情報が入ってこなくとも様々な周辺状況で判断できるのだが、リニヴの場合は煙幕が引かれていた。春にバイエルン放送協会でインタヴュー記事が出て、SWRがマルヴィッツにしたものに対応していた。マルヴィッツはフランクフルトで新制作があった。リニヴは秋にミュンヘンのフィルハーモニカーと放送交響楽団の両方にデビューする予定があったからだと理解した。

リニヴの場合は、ドイツ国内では今年2月のミュンヘンでの新制作「ユディット」が生放送されて大きな反響があったが、それ以前にはそれほど注目される仕事はしていなかった。キリル・ペトレンコのアシスタント時代にロビーなどで話していたり、代わりに指揮をしていたぐらいだった。それが盲点になった。だからフランクフルトに出かけようと手薬煉を引いていたのだった。

今回今迄取材をし続けていたドイツェヴェレに対して素晴らしい言葉を発している。

ヴァークナーは、彼のオペラにおいて女性そのものを本質的に脚本化していて、そもそも取り分け解き放たれた女性として描いている。彼の死140年後に女性が指揮台に立って彼の素晴らしい音楽に息吹を与えることをとても誇りに思うでしょう。

"Richard Wagner hat den Frauen in seinen Opern tragende, handlungsweisenden Rollen auf den Leib geschrieben, sie eigentlich extrem emanzipiert dargestellt. Deshalb glaube ich, dass er auch stolz wäre, dass nun fast 140 Jahre nach seinem Tod erstmals eine Frau seine wunderbare Musik am Pult zum Leben erweckt."

バイロイトの音楽祭の初日を振る最初の女性としてこれほど立派な言葉を発する人がいたとはまた驚きだ。なるほど彼女が女性の比率を上げるための採用とされるのは心外として、ここまで明白な声明そのものが彼女の芸術的な真価に相当するもので全くそこには齟齬が無い。

バイロイトデビューとなるロシアの演出家チェルニアコフ、そして同じくデビューのアスミク・グリゴーリアンのゼンタと今までにない程の万全の制作が準備されている。レニヴは、前者とはミュンヘンの「ルル」公演でお馴染で、後者と前者とは来年の新制作「スペードの女王」パリ公演で仕事をする予定になっている。


バイロイト音楽祭は、来年何としても開催したいとしている。問題になる奈落は一時間十五分までの空気循環が可能という事で、そこにPCR検査を受けて演奏させ、舞台上では合唱は予め録音したものでパクパクとするとしている。

恐らく、客席は五分の一ぐらいの収容となるのだろう。通常年でも新制作の初日の入場券を獲得するのは特別難しく、来年は今年キャンセルされて返金していない人々が優先となる。コロナ騒動が無ければ狙っていたのだが、慌てないでもよいだろう。先ずは開催が可能になるかどうか?



参照:
女声につける女性指揮者 2020-09-11 | 女
フランクフルト歌劇場再開 2020-09-07 | 文化一般
無価値なストリーミング 2020-04-21 | 音

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