Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

ひりひりするほどの痛み

2014-05-27 | アウトドーア・環境
一晩中痛みで苦しかった。日曜日に朝から登っていたからだ。それほど厳しいところでも難しいところでもなかったが、今年になって最も厳しかったクライミングで、初めて全身を使い果たしたからだろう。足から首までこれほどの筋肉痛と手足の傷がひりひりという記憶はない。そこに肩の痛みが厳しくて、苦しい夜を過ごした。

朝起きて一っ走りの形だけをとって、体を解すが、それでも歩くのも腰掛けるのも厳しい程、全身の疲れが甚だしい。まるで性質の悪い病気のようだが、日曜の晩は口の中がひりひりして喉が痛むと、通常の日射病や栄養不足とも異なる強い症状が出ていた。

日曜日は完全にKO状態であったのは確かである。なぜそこまでなったかは自分でも分らない。登りだしたのは、厳しそうに見える割れ目のルートからで、その悪いところだけは嘗てトップロープで登った記憶があるのだが、それほど難しいところではないので身体慣らしに選んだのだ。やはり、その出っ張りの鼻の乗り越えが面倒であった。なによりもザイルが流れるような中間支点を架けていくのは結構経験を有する技であった。それ以上にその作業に腕力を使った。それから面倒なところを登るのだから息絶え絶えになった。朝一番の北面で汗だくにならなかったことだけがよかった - 夕方登っていた若者がザイルが伸びずに最後まで登れずに降りてきていた。彼女の視線もあるので慰めがてらに「この難易度にしては厳しい」と話しておいた。

朝食も十分でなかったので若干疲れ感もあり、一リットルの飲み物を大半飲み干してしまったことから分るように、可也堪える兆候はここで出ていたのだ。そこで、懸案の南面の割れ目に向かった。並行して二本走っているので、どちらを選ぶかは決心が付かなかったのだが、評判のよい方を避けて、あまり良くない左側の凹角に向かった。理由は、評判の良い右側の上部へと左側から繋ぐことで、次に真っ直ぐ右側を下から上まで登るときに更に完璧に登れると考えたからだ。下半部が結構厳しいのではないかと考えたからである。

そして実際最初のハング気味の登りだしからして、中間支点を作り、乗り越していくのが大変だった。その前のそれのように力を掛けるところも無いが、立つのもそれほど容易ではなかった。その上の張り出しの下に手掛かりがあるのだが、それに右手で摑まりながら左手で楔を出来るだけに上の押し込んだ。これがないと乗り越しが不安であるが、捻じ込むのにも足を開いたままで結構苦労したのである。そうした連続がクライミングそのものだ。やっとのことで大庇の下の最初のボルトに辿り着く。その上は1975年に西部ドイツで最初に登られた7級のオーヴァーハングの割れ目が続いている。当時は大変有名だったが汚れていることもあって最近は殆ど登られていないようである。なるほど下部も砂っぽかった。そこからハング下を右にトラヴァースして右の割れ目の上部に出て、二つ目のボルトを中間支点とする。

そこから登り始めると、下からお声が掛かった。ザイルが伸びないのではないかと言うことだ。その感覚は無かったのでだが、なるほど問題の生じるケースである。そこで一端区切ることにして、クライミングダウンすると、またもや作業中にカメラを落とした。色々と考えて、比較的経験の無いパートナーの確保などを考えていると、我々の仲間でもっとも実力のある当日のリーダーが代わって登ることになった。昨年二つ三つ左のルートでKOして仕舞った彼である。可也息をあげて苦しそうに登ってくるのが分った。意外に難しかったことがこれで確認できた。一時は8級を登っていた彼に最近は実力的に迫っているのだが、やはり上手い彼の苦労を見れば分る。スピード性や便利性を考慮してそのまま上部を行って貰う。傾斜は落ちていたがそれほど容易ではなかった。しかし自分自身はここでふらふらになっていることに気が付いた。理由は分らないが、体力がいる厳しいルートだったのかもしれない。

その後、右の割れ目を人が登るのを見ていると、左手の大きな手掛かりや、容易に立てる穴などがあって、技術的にはなるほどバランスをとらなければいけない箇所が多かったが、そちらの方が技術でカヴァーして体力を使わないで登れたかもしれないと思った。技術難易度だけでは分らない難しさである。なるほど左右の割れ目の推移を比べると被っているところの二箇所とも左よりも容易そうなのである。最初は凹角とは異なって外に広がっているので、立って作業するのが難しいと思っていたのだが、凹角で無ければ当然かもしれない。割れ目を好き好んで登るタイプでもないのでその推測がまだ十分に出来ないのである。

その後、上のリーダーに誘われてまたもや割れ目登りに付き合わされたが、正直蜘蛛の巣の張っているようなものは食傷気味で、疲れ果てているので苦労だけさせられた。彼も割れ目に苦手意識を持っているとは思わなかった。



参照:
牡鹿搭からカメラを落とす 2014-04-20 | アウトドーア・環境
半端でない技術力を理解 2014-04-26 | 生活
泣きべそで「この豚!」 2012-07-09 | アウトドーア・環境
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