Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

憧れの移民国ドイツ

2014-05-23 | 歴史・時事
連邦共和国の世界貢献に関する意識調査結果が出ている。先ほど外務省の主導で行われたもので、1994年のそれと比較される形となっている。この二十年で何が変わっているか?

二十年前にはドイツは更なる世界貢献をすべきとする声が七割り方あったが、この二十年でそれが反対になっているという意識である。もう十分であり、国内問題を先に片付けるべきで、過去の歴史を考えれば控えるべきだというものもある。

実質的に海外派兵などこの間に大きくドイツの立場は変化してきており、その問題点が十分に国民に知らされてきていることによるに違いない。特にその軍事的な貢献は、たとえそれがNATO枠内にあるとしても消極的な意味から積極的な安全維持へと変わってきていて、また一方にはメルケル首相のドイツのスイス化への憧憬という(武装)中立的な意識があるというのだ。また一方ガウク大統領の発言の「ドイツは世界に先駆けて決断して、実質的な存在であるべき」と、決して状況に応じた外交をするのではなく主体的なそれという積極的な意識もある。

いづれにしても貿易大国である連邦共和国は、その経済的な裕福さをそこによっているのであり、自由と安全に貢献して、経済におけるのと同様に政治においてもそれなりの貢献をするべきという意識が強い。

そこで、国際的に重要なパートナーは、一に61%のシナであり、56%の合衆国を抜いて、53%のロシアを大きく上回る。それどころか33%がワシントンとの協調を控えろとするのは、左派党の支持層などを考えれば当然であるかもしれない。

しかし、国際貢献として最重要課題に挙げられるのは、世界の人権と環境保護、気候変動対策であり、エネルギーの安全やテロとの戦いなどを上回る。経済的興味のための市場の維持や国内の労働市場維持などは末梢課題として追いやられているので、国際貢献の方法としても人道的支援、外交的努力が挙げられて、軍事的な世界貢献は最後尾となる。

同日の新聞にドイツは、世界でアメリカ合衆国に続く最も人気のある移民先となったとあるが、その経済的な強さだけでなくて、こうした政治社会的なリベラルな意識がその人気の源と考えても間違いないであろう。

実際自分自身、この二十年を移民者として振り返れば、当初あった労働市場での外国人排斥の気風から、EU内の労働の自由化を超えて、寧ろ調整された移民対策の中で、実質的な経済の安定化もあり、大分変わってきたような印象が強い。移民の記事を見ても、昨今の最大の問題はルーマニアなどからの季節労働者がドイツの子供補助金を祖国に住む家族にために取っていく総額などが話題になるだけで、移民者が容易に仕事を得られる状況が報じられているぐらいである。そもそも少子化でドイツ経済を支えるだけのドイツ国民が居なくなってきている現状があるからに違いないのである。



参照:
細川候の持続的環境意識 2014-02-01 | 文化一般
時代錯誤への対抗軸 2014-01-15 | 歴史・時事
二人の阿保のミックス 2014-01-06 | マスメディア批評
コメント (4)
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