Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

金が金を生まないシステムとは

2010-11-21 | テクニック
ボーズ社訪問の記事が載っている。アマール・ボーズ率いる千人以上の音響会社ではただ唯一のオーナー社長の会社である。その製品を使っている人なら必ず目にしているフレミンガム市はボストンより三十マイルほど北西にあるらしい。そのこの会社の正面には、Treat your next with respectと大書きしてあって、まるで白人アングロサクソンのプロテスタンティズムの会社のようだと記者は驚く。

なるほどボーズ博士自体は、先の大戦時にはインドからの貿易の船が泊まってしまったインド人貿易商の息子で、子供のときから家業の修理屋を手伝うことになって、ラジオなどの電化製品を修理する技術を身につけたようである。その後、当時から恐らく今以上に名門であった工科大学MITで、フォンノイマンらとマーシー協議会のメンバーであったノバート・ウィナーに数学の手ほどきを受けたようで、同じく教師であった電気工学のリー教授ともその後に渡って長い付き合いとなっている。

その数学的な領域での教育もさることながら、有名な音響機器へのアイデアが芽生えたのが、数値的なスペックを調べつくして貯金して購入した音響機器装置が自らの想像に反して失望を与えたことからとあるのが面白い。ヴァイオリンも習ったことのある本人にとっては、音楽が指輪の前夜祭「ラインの黄金」の前奏曲のように規則正しい雑音の波にさらわれるのが我慢なら無かったようである。我々嘗てのHIFIファンならば、つまらない部署などをいじったりスピーカーのセッティングを変えたりと、それを趣味としてしまうものとは違い、六十年代の終わりにはボストンシンフォニーで音響テストをして一定の学術的成果が現れたようで、ドルビィ博士の件と紛らわしいが、大学での研究自体がSN比のような相対的な信号の認識を扱っていたようで、上教授らが進めていたサイバネティックスと呼ばれる分野となる。

新たな学問が全てそうであるように、ウィナー博士がその爾来の近視から、カレッジ内を真っ直ぐに教授室に辿り着くことが出来ずに、寄り道をしながらのサイドウォーク繰り返していたことから様々な分野の研究が融合される業績となって、リー博士と共同でベル社にパテントを譲渡した非直線コミュニケーションシステムが現在のサテライト通信などの基礎になっているのを思い出せばよいのだろう。もう一つのエピソードも抜かせない。カレッジのクラブハウスでのパーティーでコートを掛けていたのだが、近視でそれが確認できなかったから、最後の一人がそれを持ち帰るまで待っていて、残った一つが自分のものだと確認した話である。

そのウィナー博士が言うには、中国が永く技術大国であった背景には、軍人や商人などのよりも、職人や学者を重んじた儒教の教えがあるとなり、まさにボーズ博士が、悩みの中を中庸の精神で「音響技術のビル・ゲート」ともならず只の研究者でも無く活きている姿がそこに見えるように報告されており、まさに社訓に表れているのはコミュニケーションとしての社是でもあるのだろう。

世界の多くの愛好家には、訳の分からないその流通システムなどがまるでマルチ紛いに映るのもこうした背景が分からなければ仕方ないのである。まさにコミュニケーション学に於けるそれが実証されているのかもしれない。またそうした研究環境があっての開発と言うことで通常ならば考えられないような期限の無い研究から世界初の自動車の電動ショックアブソーバーシステムの発表へと結びついているらしい。実際にボーズ博士の授業を受けた前ホプキンス大学総長は、その形式の無い授業を回想しているらしい。

あまり業界関係者が口にしたがらない、ボーズの二つ目の成功製作品であるライフスタイルで、バッハのサロン音楽などを鳴らしながら、こうした金が金を生む経済に流されず、只の金満家向けハイファイ市場にも関与しなかったこの企業体のその社会的な文化的な意味合いを考えずにはいられない。

今晩から雪になりそうだ。予想通り二日ほど続けば、地面がそれ程冷えていないとしても積もるかもしれない。昨夜寝る前から咽喉がガラガラし出したが、軽い風症状である。昨日の早朝のトレーニングが堪えたのか、ここは己の基礎体力が問われる。十三分の走り、高度差二百メートルを上がり三十五分経過、水平道で息を整えて、一気に下り降りて、丁度一時間の経過であった。決して体調は良くなかったが、走行速度は落ちなかった。そして、今年最初の病の前触れである。七転八倒した苦しんだのは何時だったかと記録を見れば丁度一年前ほどであった。やはり、太陽の陽も拝むことが少なくなり、抗体システムが機能し難くなると思われる。今日は、野路菊茶でも大量に飲んでゆっくりと休みたい。明日はまた朝から忙しそうだ。



参照:
豚インフルエンザに違いない 2009-11-25 | 生活
豚に克つ奴だけが生き残る 2009-11-26 | 生活
くしゃみの出そうなゾクゾク感 2010-10-12 | 暦
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