Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

近所のアポロンとディオニソス

2010-07-25 | マスメディア批評
近所の人の話が二つ出ていた。一人は、カールツルーヘに住む作曲家で今年ザルツブルクでの初演を控えているオペラを作曲したヴォルフガンク・リームである。もう一人は、マンハイムの赤十字勤めで、HIVを完治させた血液学で腫瘍学者のゲロ・フッターである。

リーム氏の方は二十世紀後半を代表するドイツの作曲家として世界的に有名であるから今更紹介することはないのであるが、ハムブルクで、そしてアムステルダムで活躍していた指揮者メッツマッハーから依頼を受けてオペラの構想をしていたとは知らなかった。題材は、ディオニソス・ディテュランボスで、ニッチェの発狂前の詩がタイトルとなっている。

その内容については、初日に臨席するのでもないのであまり関心はないが、音楽ジャーナリストのスピノラ嬢が作曲家の作曲講座の後に、氏の行きつけのレストランに同行して記事を書いている。それによると、「まだ飲んだ事のないワイン」を探し、清澄なリースリングを見つけ、トスカーナ風のパンサラダに焼き鰯を楽しんだとある。なるほどアポロンとディオニソスであったのだろう。

ヴァインハイムに住むフッター氏は、その勤め先の関係か、輸血とその移植の実践がHIV制服への方法へ結びついたようである。輸血のためのその献血者の特殊な抗HIV特性が米国人のエイズ患者に奇跡を起こしたようで、死に瀕しているエイズ患者ではなく白血病の患者への治療行為の中でエイズから患者を解放したようである。

その特殊な抗HIV特性はヨーロッパ人のに2%ほどに存在していて、アフリカやアジアに比較して欧州大陸での感染率を下げる根拠になっていると言われる。同様な抗エイズ性は、アフリカの健康な売春婦の調査などにも表れていて重要な医学的な論議になっているようだが、膣内の粘液のたんぱく質に関連すると言われるように、輸血するその血液細胞表面のCCR5の蛋白質が欠けているのが特徴で、それが欠けるゆえにHIVは感染しないようである。

フッター氏の想像では、欧州の伝染病の歴史がそれらの蛋白異常の突然変異を招いたと、数百年の間にそれが引き継がれてきたとして、千年以上前にはそのような変異は起きていなかったのではないかとする。要するに、伝染病に生き残る中での変遷であると推測する。

実際には、今回のような白血病の治療として、抗HIVの細胞を培養して、患者に輸血しても、半年以内では元々の患者の特性と変らないというが、二年もすると輸血したその抗HIV性へと特性が変化していくと言うのである。つまり、瀕死のエイズ患者には効果はないが、上の成功例以外には現在2008年以降八例を扱い、唯一三歳になるロシア人の女の子に対して120件の輸血の中から適合する献血が見つかったと言う割合のようだ。ヴィーンでのエイズ世界学会で正式に発表されるようである。



参照:
Der sonnige Laller, Julia Spinola, FAZ vom 19.7.2010
Mit Mutation gegen HIV, Peter-Philipp Schmitt, FAZ vom 7.2010
追懐の怒りのブーレーズ 2006-11-08 | 音
引渡されるネットの反映 2008-12-11 | 音
夕立を待ちながら空手水 2010-07-23 | 生活
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