Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

進化という自然環境の神秘

2010-07-03 | アウトドーア・環境
バルコンで、ザイルの勉強をしながら、一杯やっていた。エチケットが変ったドイツ高級ワイン協会VDP会長の醸造所クリストマンのリッターリースリングも悪くはなかったが、グーツリースリングもなかなか良かった。それでも少し価格が上のVDPプファルツ支部長のレープホルツ醸造所の雑食砂岩の二種類の方がやはり美味い。土壌も質も厳選されていれば、上手く混ぜ合わしたキュヴェーよりも美味いのは当然であろう。

ドイツの高級リースリングの良さは、その土壌即ちテロワールが上手に出ているかどうかで決まる。つまり収穫量を落とし味を凝縮させて、手摘みで健康な葡萄だけを丁寧に収穫して、可能な限りその地所に無関係なものを加えず醸造するだけである。それによってはじめてご当地ワインが出来上がり、その土壌の良し悪しが明確になる。

その延長線上にブュルクリン・ヴォルフ醸造所のゴールトベッヒャエルがある。既に四週間ほど前に試飲して、解禁日の前日顧客としては最初の瓶を家に持ち帰り、一本空けた。試飲のときとの変化はないが、飲みごごちや明くる日までの変化を楽しんだ。土壌云々の美味さの説明が容易に信じられないほど素晴らしい。基本的には上のレープホルツの新商品「ナトューアシュプルング」に代表される塩味の効いたリースリングであるが、それより七ユーロほど高く、その価値も殆ど倍ほどである。即ち「残糖値が低い本格的辛口であると同時に、塩味が強いと言うことは酸を強く感じない」と言う意味でもある。

その説明とは、ただ「ビオデュナミによる土地改良を進めて、根っ子が深く岩盤にまで届くようにした」と言うのであるが、これほどに比較的平地にある何の変哲もない区画がこれほどの輝きを見せるとは驚きである。我々昔からの顧客にとっては甘口から半辛口へのリースリングの土壌として馴染みがあったのだが、まさかこのような変貌を遂げるとは驚き以外の何ものでもない。

プリュミエクリュとして、目玉商品が増えた。特に2009年産は天然酵母のみの発酵醸造であり、その土壌の特徴を偽り無く見せている事になる。レープホルツ醸造所の最高の区画であるガンスホルン並みの地所が、一寸その辺りに一角あると言うだけで、如何にミッテルハールトのこの辺りの名門醸造所の地所の財産価値が他とは比較出来ないかが伺い知れる。

さてそのワインに言及すると、レープホルツのそれよりは果実風味が高いため明らかに馴染み易いが、それでもこの醸造所の商品としては「はじめての通向き商品」とも言えようか、それともフランスの白ワインのような苦味も楽しめる「渋い商品」とも言える。但し、酸の肌理もそれほど細かくなく、あとに長く靡くような余韻や深みまではないのは仕方がない。

こうしたミネラル風味がウンゲホイヤーとかの一級地所で特化されるほどこの辺りの葡萄の栽培状況が進化するとなると、農業における自然環境の神秘を感じない訳にはいかないであろう。



参照:
言わずもがな、波打つ眼窟 2010-06-28 | 試飲百景
退屈凌ぎに将来への新たな一歩 2010-05-31 | 試飲百景
コメント (2)
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