第十七章 闇の一族
1
王仁が過酷な笑みを浮かべた。
近寄ってくる。
翔太郎の気で壁にたたきつけられた。
なんのダメージもうけていない。
鉤爪をふりかぶった。
腕をまさに翔太郎に――。
そのとき。
部屋の動きとまった。
「なんてことしたの。
あれほど翔太郎には手をださないようにいっておいたのに」
そして、翔太郎の脳裡に女の意識がどっとながれこんできた。
(こいつら、過激派なのよ。
ごめんね。こんなことがおきないかと心配はしていたのよ)
――美樹の声だ。
なにか現実とフイクションの世界がいりまじってきた。
美樹の声がする。
あそこは別の次元とつながっさていた場所。
わたしは家の裏の墓地にいた。
なぜか、カラスの声は人の声だった。
いっていることがよくわかった。
さそわれている。
わたしと遊ぼう。
あそぼうよねぇ。
いいでしょう。
わたし翔太郎のことすきよ。
その場所まで――決っして遊びにいってはダメですからね。
と母にいいつけられていた墓地の奥が森に連なる辺り。
墓石や巨大な一枚岩のような墓碑銘が。
まばらとなる《境界》に足を踏みいれていた。
地面がじめじめしていた。
低い低木地帯で羊歯が生い茂っていた。
――あれから、気が遠くなるような時が過ぎた。
それなのに美樹の声は、
姿は……姿がみえているのだろうか?
声があまりにリアルなので。
姿までみているような錯覚に陥っているのではないか。
美樹は美樹のままだった。
わたしが見間違わなかったのは、
美樹がはじめてあったころの美樹だったからだ。
今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
お帰りに下のバナーを押してくださると…活力になります。
皆さんの応援でがんばっています。
にほんブログ村
1
王仁が過酷な笑みを浮かべた。
近寄ってくる。
翔太郎の気で壁にたたきつけられた。
なんのダメージもうけていない。
鉤爪をふりかぶった。
腕をまさに翔太郎に――。
そのとき。
部屋の動きとまった。
「なんてことしたの。
あれほど翔太郎には手をださないようにいっておいたのに」
そして、翔太郎の脳裡に女の意識がどっとながれこんできた。
(こいつら、過激派なのよ。
ごめんね。こんなことがおきないかと心配はしていたのよ)
――美樹の声だ。
なにか現実とフイクションの世界がいりまじってきた。
美樹の声がする。
あそこは別の次元とつながっさていた場所。
わたしは家の裏の墓地にいた。
なぜか、カラスの声は人の声だった。
いっていることがよくわかった。
さそわれている。
わたしと遊ぼう。
あそぼうよねぇ。
いいでしょう。
わたし翔太郎のことすきよ。
その場所まで――決っして遊びにいってはダメですからね。
と母にいいつけられていた墓地の奥が森に連なる辺り。
墓石や巨大な一枚岩のような墓碑銘が。
まばらとなる《境界》に足を踏みいれていた。
地面がじめじめしていた。
低い低木地帯で羊歯が生い茂っていた。
――あれから、気が遠くなるような時が過ぎた。
それなのに美樹の声は、
姿は……姿がみえているのだろうか?
声があまりにリアルなので。
姿までみているような錯覚に陥っているのではないか。
美樹は美樹のままだった。
わたしが見間違わなかったのは、
美樹がはじめてあったころの美樹だったからだ。
今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
お帰りに下のバナーを押してくださると…活力になります。
皆さんの応援でがんばっています。
にほんブログ村