田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

幻のカレーライス 2 麻屋与志夫

2023-06-06 10:45:13 | 
幻のカレーライス


2

あるときゲルピンで街にでた
いつもの店のまえに立っていた
カレーライスをたべたい
ふつかもろくなものをたべていない
店のショーウインドウを
眺めていたら
真っ赤なコートを着た
いつものウエトレスがでてきた
「わたしがごちそうするわ」
話を交わしたのはそれがはじめて
「めぐんでもらうようでわるいから」
「失礼ですがいくらあるの」
「五十円」
卓についていると
大盛のライスのわきに福神漬けをたっぷりとのせ
カレーライスがはこばれてきた
「わたし急ぐのでどうぞごゆっくり」
ひとりぼっちの食卓でカレーをたべていたら
仲間がどやどややってきた
「泣いているのかおまえ」
「ああカレーが目にしみた」
かれらは笑った
彼女にとってあれが最後の給仕だった
翌日五十円返してまたカレーをたべようと
店にいった
彼女は故郷にかえったという
雪深い新潟の故郷で
彼女を待つのは誰だろう

          つづく

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