田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

Vのニュータイプ現れる/さすらいの塾講師 麻屋与志夫

2010-12-08 10:07:39 | Weblog
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「おれハジメ、こちらは弟のジロウ。戦う前に話がしたい」
「いいわよ、わたしは翔子」
「純でーす」
「どうしてぼくらの居る場所がわかるのかな。もしかして、いまはやりの超能力?」
 そんなことは翔子はいちども考えていなかった。
 たしかに池袋駅の地下通路でVに遭遇してから毎日のように戦ってきた。
 これって異常なのかもしれない。
 平和な人の世を転覆させようとしている。
 わたしたちの生き血をすって生きている。
 わたしちたを食い物のにしている。
 だから消去する。絶対的な悪であるから、倒すことになんのためらいもない。
 テロまでおこそうとしている。抹殺してあたりまえ。当然のこと。
 そう信じて戦ってきた。
「それは昔堅気の強硬派のやっていること。ぼくらは噛みついてもほんのチョッピリしか血は吸わない」
「それでも、人の血を吸うからにはぼくらの敵だ」
「人間ほど残酷ではない。ひとはひとを平気で殺す。戦争をし大量殺人を正当化する。ぼくらは仲間同士で殺し合いなどしない。仲間の血を吸えば、ぼくらは溶解する」
「ぼくらはニュータイプなんだ」
 Vジロウが胸を張って言う。

 翔子の携帯かなった。
「百ちゃんがたいへん。青山墓地の陥没地帯でVにとりかこまれている」
 玲加からの連絡だ。
「純、青山墓地よ。あんたら付いてきいてみる」
 
「こいつら死んでなんかいなかった」
 百子が駆けつけた翔子にいう。
「おまえらこそ、バカか。ぼくらは墓に埋められても生き返るの。それを忘れている」 翔子との会話がすんでいないからと、ハジメとジロウは付いてきた。
 のんびりとしたものだ。
「ハジメとジロウ。よくきた。参戦しろ!!」
「ヤーダネ」
「なんなの、コイツ」
「Vのニュータイプだって」
 襲ってきたVを片手で斬り捨てた。翔子が百子に応えている。
 Vが陥没した大地から腕をつきだす。
 顔がでる。
 胸が現れ、地上に躍り出る。
「こいつら増えるばかりよ。ルイの仇!!」
 クミがVの群れに斬りこむ。
「どうした。ハジメ。ジロウ」
「ぼくらはニュータイプ。穏健派。ゴメンね。戦えないよ」
「なにほざく。どけ」
 ひときは巨体のVが丸たのような腕でハジメを払いのけた。
 のけられなかった。腕を逆に取られた。ハジメに投げ飛ばされた。
「いけないよ、ダメだよ。Vが人間の味方するなんて古今東西金輪際あってはならないことだ」
 投げ飛ばされたVがハジメをにらんでいる。
「言葉までふるいんだね」
 ジロウがひやかす。
 ミイマがハーレーダビットソンの鼓動も高らかに戦いの渦の中にのりこんできた。
「うわっ!!! あこがれのミイマだ」
 ハジメとジロウが歓声をあげている。
「なら……わたしたちのサイドについみる」
「いいよ。よろこんで、ミイマの味方する。ミイマはじぶんのためにたたかっていない。人間とぼくらが共存できないかと模索しながら戦っているのわかっているから」
 なにかおかしな成り行きになってきた。
 それはここだけのこと。
 まわりではVと駆けつけたクノイチ48のメンバーが。
 凄惨な戦いをくりひろげている。


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