田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

人狼獣化/奥様はバンパイァ 麻屋与志夫

2009-09-16 13:59:19 | Weblog
奥様はバンパイァ52

○「ツルバラのヘンスを可動式にしておいてよかった」


園長の義父が娘、美智子にほほえむ。


この人狼の襲撃を予知していたというのか? 


○バラ園への侵入をヘンスで止められた。


くやしい。


バラの花園を乱す。


壊滅的状況においこんでやる。


昔日のうらみをはらすなどといえないようにしてやる。


バイクの車輪でふみにじってやる。


吸美族の精気の元を断ってやる。


それをバラのヘンスで止められた。


くやしがって、ヘンスにとりつく。


○棘に刺されながらもはいのぼうとする人狼がいる。


腕にゾワゾワと灰色の剛毛がのびる。


背骨が歪曲する。


狭まって人狼のそれとなる。


ああ、犬飼villageの村人は奈良から流浪する道程でみずからを獣化することを可


能としいたのだ。


飼っていた犬で九尾族を那須野が原の果て、茶臼岳の麓まで追いつめたのではなか


った。


かれらが狼になった。


そしていまも……。


○「もういいではないか」おもわずGは叫んでいた。


「もうじゅうぶんニクシミ合った。もういい。もうやめるんだ」


それでも人狼の発毛は止められない。


MがGの叫びに反応した。


おどろいて父とならんでふり返る。


とても信じられない、といった顔だ。


夫がわたしの生涯かけた復讐に異を唱えている。


信じられない。


夫の芸術、文学への情熱を吸って細々と生きてきたわたしに批判的になっている。


信じられない。


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