田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

胸にイチモツ下腹部にイチモツ。麻屋与志夫

2023-11-30 10:17:42 | 超短編小説
11月30日 木曜日
超短編 26
胸にイチモツ下腹部にイチモツ。

「おれも、老いぼれたものだ」
 順平はバス停のベンチに腰をおろした。
 角材を四本ほどあわせただけの素朴なベンチだ。
 背中を車道のほうにむけた。
 こうして座っていればバスに乗る客ではないとわかるはずだ。
 疲れ切ってもう歩けない。
 温泉がでるいがいはなんのとりえもない田舎町だ。
 年寄りには無愛想な街だ。
 歩道にやすむことのできるベンチひとつない。
 それでバス停のベンチをいつも利用させてもらっている。
「オジイチャン。終バスだよ‼」
 突然。
 声をかけられた。
 いつのまにかベンチで眠りこんでいた。
 あわただしく声をかけられた。
 おもわずバスにのりこんでしまった。
「オジサン、温泉にでもはいっていくといいよ」
 親切な運転手の声を背中できいた。
 この温泉は源泉かけ流し、湯気がもうもうとしている。
 声がして、どやどやとはいってきた。
「オジイチャン、ほらよ、石鹸だ。身体よく洗ったら」
 胸になにかイチモツありそうな気配。
 ヤヤヤ。
 下のほうのイチモツはとみれば、馬並み。
 ここは馬が支配する温泉郷にちがいない。
 だから、こんなに立派な温泉がでているのに旅館ひとつない。
 みんな、身の危険までおかしてこの秘湯にくるはずがない。
 背後から馬蹄をひびかせて追いかけてくる。
『注文の多い料理店』を思い起し、順平は必死で逃げた。
 だいたい体をきれいにしろなんて、おかしなことだったのだ。
 屠殺場に、いやこれは差別用語らしいのだ。
 食肉処理場につれこまれそうで、それこそ命がけの逃走をこころみた。
 ジョークやアイロニーをかんがえている場合ではないのだ。
 隘路に逃げ込んでヤツラをやりすごすのだ。
 GGになっての脾肉の嘆きなんていまさらいうな。
 ほれ、そこをまがれ順平。
 走れ、走れ順平。
 おれを、馬はトサツして食べてしまう気だ。
 だから、正々堂々とドウドウと下腹部をさらし、盗撮されてもかまはない。
 そんなことされても、即、食べてしまうのだから……。

 順平の逃走はつづく。
 杖を下足場に置き忘れてきた。
 それでもって、走れるのが、摩訶不思議だ。
 アドレナリンがフットウしているのだ。
 順平はその蒸気にのって空に舞い上がった。
「ザマアケッカレおん馬のケツメド、おまえらパカパカ空までは追いかけてこられない」
 天空には城があった。
 いや、これは『竹田城』だ。
 いま、まさにSNSでさわがれている日本のマチピチだ。
 天空の城だ。
 ラピュータだ。
 侍女がいる。
 ここで魔法を学び、若返りたい。
 腰元にかしずかれて魔法を習いたい。
 ところが箒もないので真っ逆さまに下界に落ちた。
 落ちたところはオッパイの上。
 ドラム缶が突き出したような大人国。
 巨女が所狭しと歩いている。
 ギャー。
 やはり来てしまった、大人国。
 踏みつぶされるまえに逃げださなければ。
 まだまだ逃走劇はつづきそうなのだ。
 小人閑居して不善をなすというではないか。
 みなさん若者が懸命に働いているのに小人であるGGは働きもせず不善。
 くだらない駄文に浮きみをやっしている。
 言葉遊びに興じている場合ではないのだ。
 ごめんなさい。

 蛇足。ガリバー旅行記の訪問先参照のこと。
 お下劣な表現。マッピラゴメンナスッテ。


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