田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

カッターナイフの恐怖 イジメ教師は悪魔の顔/麻屋与志夫

2011-10-10 05:43:03 | Weblog
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「先生、秀子はどうしたの」

我田先生に声がとんだ。
先生の顔が赤い。
興奮している。
なにか楽しいことをしてきたみたい。

クラスの女生徒全員が不安を感じた。

保健室から先生だけがひとりでもどってきた

「気分がわるいっていうから、やすませておいたわ」
「うそよ。先生……秀子になにかしたでしょう。なぐったの」

富子が叫ぶ。
すばやく立ち上がった。
クラスの過半数の生徒が秀子の身を案じて教室をとびだした。

「血だわ。血だ。先生……」

あとから保健室に駆け込んできた先生を生徒たちがふりかえった。

そして、固まった。   
瞬間冷凍にあった魚のように口を開いたままだ。 

だれも、動けない。

なにか滴が先生の手からポトっと落ちた。

水ではない。
汗でもなかった。

滴には色がついていた。
スッと糸をひいて落ちた滴は赤かった。
血だ。
血だ。

どうして、先生の指先から血が滴っているの。                  

「あらあ、秀子ちゃん、どこにいるの」

先生もおどろいている。
秀子の死体が消えていた。

「おう、わが主(マイ ロード)、わたしの捧げた生け贄を受け取ってくださったのですね。もっともっと捧げます。もっと生け贄をお望みなのですね。ハイハイ。わかりました。わかりました」

まるで、できのわるい少女ホラー漫画のようなセリフだ。
漫画のフキダシのなかだけでしか通用しないセリフだ。

先生がポケットから大型のカッターナイフをとりだした。
まるで死神のもつ刈り取り鎌のようにみえる。

白く鋼が光った。    
刃が白くきらめいた。

何人かの生徒が絶叫した。    
腕や肩が血を噴いた。

天井まで血が噴き上がった。
そして排水口に流れ込むように。

床の一か所に集まる。

血のスダレ越しに我田先生が顔をひきつらせた。

笑っているのが異様だ。

「わが主。わが主」

恍惚の表情にかわった。
うっとりと虚空を凝視する。
表情に残忍な笑いが浮かぶ。

先生は楽しんでいる。 
あんなに、楽しそうな先生を見るなんてはじめてだ。

「わが主。わが主。もっともっと生け贄をささげます。どうぞ、その御姿をあらわしてください。拝ませてください」

ナイフが生徒たちに襲いかかる。
やっと、生徒は逃げること。
逃げなければならないことに気づいた。
先生から逃げなければ。
コロされる。
コロされてしまう。
切り刻まれた友だちが床でのたうっている。
友だちをたすけている余裕はない。
痛みを訴え泣きさけんでいるクラスメイト。 
でもじぶんたちだけで逃げなければ。  

コロされる。

コロされる!! 



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