田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

おいらは猫並みの生存価値なの。麻屋与志夫

2023-06-09 09:42:50 | わが家のニーユス
6月9日 金曜日 夜半の雨がまだ降り続いている

ジャンバーをきて登山帽をかぶりゴミだしにでた。
ルナの飛びだしを警戒しながら玄関を開ける。

深岩石の塀が雨にぬれて薄青くなっている。
大谷石とほとんど変わらないのだが、
すこしばかり肌理がこまかく、
雨にぬれるとかくれていた淡青色がうかびあがってくるのが好ましい。

GGはバカだから雨の中プラスチックのゴミ袋をさげたままたたずんでいた。
強力な腐臭でわれにかえった。

三日ほどまえだ。
不意に寝室に小さなネズミがあらわれた。

ルナがさわいでいるので妻がきづいた。
とつぜんなりひびくケタタマシイ絶叫に、
おっとり刀でかけつけてみるとカミさんがふるえている。

地震雷火事カミさんのわがやではあるが、彼女にも弱いものがある。

それがネズミ。

まえにもブログに書いたがハンターであるルナにネズミを捕獲させてやりたいとは念じていた。
それがなんとなんと、子ネズミがあろうことか寝室に現れたのだ。
ルナはこのときならぬ獲物の出現にこおどりして追い回している。

カミさんが悲鳴を上げるのもぬべなるかな。
カミさんの命令だ。
半殺しにして前足ではねあげたり蹴ったりして――。
獲物をとらえた歓喜によっているルナから。
テッシュを重ねもった手でネズミをとりあげた。

「よくネズミつかむことができるのね。パパがいなかったら、わたし生きていけない。とてもネズミなんか手でつかまえられないもの」

生きていけないからというから。
とつぜん愛の告白かと思ったら、なんとなんとおいらは猫並みか。

ネズミを手ずかみにできるだけの生存価値。
しがないGGなのか。
とギャフンときた。
ネズミの死骸は、親指ほどの大きさだったのに。
すさまじい腐臭をはなっている。

息をつめて歩くこと数十歩。
おとなになればネズミ算的に繁殖できるのに、
あえなく、猫とおいらの魔の手で虐殺された、
子ネズミのうらみの死骸からたちのぼる腐臭だと思い、
お経をこころでとなえながら玄関口にたどりついた。



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