田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

烏瓜のミイラ/ 麻屋与志夫

2010-10-22 19:43:42 | Weblog
10月22日 金曜日

●カラスウリが色づいた。
風流な秋の風物のなかでもひと際、人の目を引くカラスウリ。
日ごとに熟柿色になっていくのをたのしんでいる。
ところが、今年はなんとしたことか、途中からしなびてしまった。

   

     

●さあ大変。
植物の生態系に異変がおきた。
とか、原因はことしの酷暑だ。
とか、庭の隅にあったキンモクセイの大木を切り倒した。
日照時間が長くなったからではないか。
などと、ひとりで気をもんでいる。

●日ごとに皺がよる。
色褪せていく。
そしていまではミイラのようにみえる。
やがて、小鳥が来てついばみ、皺だらけの皮だけがのこる。
からみついているハコネウズキの緑の葉も落ちつくす。
皺のよった、ひからびた皮だけのカラスウリが風にゆれる。
冬枯れの季節はすぐそこまで来ている。

●この秋はわが庭――ミイマの庭とよぶべきなのだろうな。
カミサンの庭でみごとにバラが咲いている。
秋のバラはながもちするので毎日たのしませてもらっている。
カミサンの日々の丹精の賜物だ。
ともかくバラの栽培がこんなに手間のかかるものだとはしらなかった。
狭小庭園。
だがたのしそうにバラの世話をしているカミサンを眺められてしあわせだ。

  ゴールドバニー
   

  イエローシンプリティ
   

  アンジェラ
   

●本当は水やりくらい手伝わなければいけないのだ。
老いていく妻をいたわらなければいけない。
でも、文学浪人のわたしは、なにか生き急いでいるようだ。
パソコンから離れられない。
文学に関連のあること以外で、時間をつぶしたくはない。
とまあ、モノグサの言い訳なのだろうが、なにもカミサンにはしてやれない。
してやらない。
――しない。

●カラスウリはなんの手間もかからない。
かってに実をつけて、いつのまにかしなびてミイラになる。
ものぐさなわたしが観賞するには万向きの秋の風物なのだろう。

●いや、しなびていく烏瓜が自分に見えてくる。

●カミサンはまだ庭でバラの葉の消毒をしている。

●秋の夕風がふきだした。そろそろ部屋にもどっておいでよ。




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ヤッラの目的は/さすらいの塾講師 麻屋与志夫

2010-10-22 14:09:06 | Weblog
26
 
でも、倒れた人狼、いやライダーの群れは――どうみても人間とかわりはない。
「これって街頭ロケか?」
「バカかおまえ。燃えてるのはほんものの校舎だ」
「じゃ、あそこでチャンバラしているオネエチャンは……なにやってる」
「だから、火事とチャンバラは別だ」
見物の人の群れからは勝手な批判がとんでいる。
しかたないかもしれない。
戦っている翔子たちもなにか現実感に乏しい。
校舎が燃えているのは確かだ。
人狼は鉤爪や鋭い牙で襲いかかってくる。
だが、野性の吠え声がない。
いままでの人狼とセクトがちがうのかしら。
斬り倒す。
あとかたもなく溶けてしまう。
死体がのこるよりも、このほうが恐怖をかきたてる。
溶解してしまうなんて、さすが妖怪だ。
といっても、シャレにもならない。

消防車が到着した。
翔子、百子、玲加の三人はうなずき合う。
この場から去ったほうが賢明だろう。 
 
GGとミイマが部屋に入ってきた。
全員そろっているのを見てうなずき合った。
いや、純だけがまだ病院だ。
「いままで起きてきたバトルを分析して奇妙なことに気がついた。
吸血鬼や人狼が突発的に人を襲っていたのは初期段階だった。
そのていどの小競り合いは、Vの出没は、わたしの故郷でも起きていた。
でも……この東京での、
このところのヤツラの動きはソシキだってきているようだ。
それにGGたちの世代とちがう。
いまの若者はゲームや映画、
テレビの特殊メイクで慣れている。
人狼や吸血鬼をみてもおどろかない。
メイクだとおもっている。
だからヤッラが平然と人にまぎれて街を歩いている。
ナイフで人を、人におそわせる。
そして血を吸っている」

ミイマがひきついだ。
「わたしも、長く生きているから(笑)わかるの。
かれらも進化している。
霊園の前で、テツとトオルの吸血鬼に説教たれたわたしが恥ずかしい。
かれらはとうに進化していたのよ。
なにか今までとちがった目的をもって動きだしているのよ」

それがわからないから……怖いの。
ヤツラの目的は? 翔子もミイマに同調しながら怖くなった。
純もまだ戦線に復帰していない。
純にSOSの連絡をいれて、
東京に呼び寄せてからなんど吸血鬼と戦ったことだろう。
その純が隣にいないからこんなに不安なのかしら。





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