田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

ストーカー/さすらいの塾講師 麻屋与志夫

2010-08-31 07:01:24 | Weblog
2

電子音が鳴っていた。
翔子は携帯を開いた。
表示窓には非通知着信という文字がならんでいた。
翔子はいつもだったら、でない。
友だちからの着信でないとでないことにしている。
なにか胸騒ぎがしていた。

「センパイ、たすけて!! ストーカーに狙われている」
「誰なの? 一年A組の友近菜々美です。
書道部でご一緒してます。
センパイが得体のしれない魔性のものと校門前で戦ったの、みました」
「そう、あれがみえたの」
「こわい、友だちがひとりいなくなった」
「駅前の交番に逃げこめないの」
「やってみます」
「すぐいくから」
 
菜々美は歩道に面した校門をわいわいおしゃべりをしながらでた。
いつもの時間、それぞれの電車や都バスにのるまでの楽しいひと時。
ほかのクラスの気の合った友だちと話し合える時間。
はなしに熱が入りチョッとたちどまった。
菜々美は背後に視線を感じた。

「ね、だれかにみられていない」
「やだよ。こわいこといわないで」
おなじ書道部のカレンが応えた。中国人だ。
「そうね、ゴメン」
歩きだしてすぐ員数がひとりたりないのに気づいた。
カレンの後ろにいたはずの信子がいない。
宇都宮から2時間かけて通学している子だ。
「ヤッパおかしいよ。いままでここにいたのよ」
全員が青くなった。



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