田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

吸血鬼の故郷

2008-10-19 07:57:48 | Weblog
だが、好事魔多しの例えがある。
こうした学習塾の需要に目をつけた資本家の経営する全国制覇型の塾が進出してきた。
プリンを渡し赤丸をつけるだけの塾がこの街に一斉に攻撃をかけてきた。       
そこえきて、街の東の台地、北犬飼地区の地元の塾もその大型塾の傘下に入った。なぜかわからないが、旧市内の人口は四万人にも満たない田舎町に大型塾が九社も進出して、またたくまにわたしたちの塾は採算が合わなくなってしまった。
地元の塾はなにがなんでもつぶしてしまえ、という悪意すら感じられた。
入塾すれば、エルメスのスカーフをプレゼントしますという宣伝にお母さんたちが群がった。
 
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猫のようすがおかしかった。
なにかに怯えている。
わたしが餌を置いてやっても数匹しかでてこない。
それも餌をたべる前に、あたりを警戒している。  
その理由となる猫が植え込みから出てきた。
尻尾の肉をきれいに削ぎ落とされている。
鋭利な刃物で魚を裂くように骨だけがのこされていた。
ハリガネのように尾の骨だけが白く寒空に光っている。
痛々しくて胸が痛んだ。だがそれはまだ序の口だった。  
尻尾の肉を削がれた猫が餌ににじりよってたべはじめる。
そのあとから植え込みから出てきた猫は一匹として傷を負っていないものはいなかった。
猫の数も半減している。
もうこうなると、猫の大量虐殺だ。
白い尾の骨が露出した猫につづきボーガン猫。
矢がお腹に付き刺さっている。 
ハリガネ猫。
針金で首を締められている。
きわめつけは剪定猫だった。
おそらく剪定バサミでチョンギラレタのだろう。
……片足がねもとから切断されていた。   
いずれ死ぬ定めがまっているのに、猫は生きようとして必死で餌にくらいついていた。
それでも昨日わたしのまわりに集まってきた猫の半数くらいだった。
植え込みの中には殺されてしまった猫がいるはずだ。   
猫の大量虐殺が起きた。
いまここにいる猫は殺戮者から逃げられたものだけだ。
虐殺された猫のためにわたしは流す涙がでなかった。
怒りで体がふるえていた。
どうしてなのだ。
なぜなのだ。
そしてとうぜんのことながら、だれが? という疑問。



本田老人に連絡しようとした。




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コメント
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