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最近の旅行記録とともに、以前訪れた場所の写真などを紹介し、見つけた面白いもの・鉄道・化石などについて記します。

つくばと宮城県に行ってきました その7

2015年07月19日 | 旅行
つくばと宮城県に行ってきました その7

 6月29日(月)の予定は、東北大学の自然史標本館訪問。月曜日は休館日であるが、標本閲覧のアポイントをとってある。仙台駅前から館の前までバスがあるから便利だが、平日のことで朝8時台は混んでいた。
 「標本館前」で下車、館は目の前である。

20 東北大学自然史標本館 2015.6.29

21 同入口、当日は閉まっていた。2015.6.29

 月曜日は休館日であるが職員は出勤しておられる。すでに約束をとっているから、横にある業務入口から入る。
見せてもらうのは、1930年に新属・新種命名されたホロタイプである。実は写真はすでに手に入っていたから、ラベルを見て標本の印象を感じるのが目的である。

22 見せていただいた標本 2015.6.29 東北大学の自然史標本館

 化石は、徳島県産の淡水性のサメ ヘテロプティコダス・スタインマンニのホロタイプ。1930年に報告されて以来、60年以上追加標本が世界中のどこからも見つかっていなかったのだが、2000年ちょっと前ごろから日本の数地点で何個か採集され始めた興味深い種類である。さらに中国や東南アジアからも報告が相次いでいる。古生物学会の個人講演でお話したのもこれに属する標本のことだったから、講演してから参考標本を見に行ったのでは順序が違う。お許しを。
 期待していたのは、ラベルに論文記載以外の情報がないかということだったが、ラベルは原ラベルかどうかわからないが、Imperial Universityとあるから、戦後のものではない。一つだけ興味深いのは、種小名にあたるところに記入されている学名が線消しで書き直してあること。

23 ラベルの書き直し 2015.6.29 東北大学の自然史標本館

 種小名の入る所にあった文字は、ラベルの折れ目と消し線のため最初の文字が読みにくいが、たぶん「memoria」だったのだろう。論文になった時の種小名「steinmanni」がその後に記入してあるが、memoria との間隔が狭いし、steinmanniの後尾が枠から出ているから、明らかにsteinmanniは後の記入である。当初メモリアで新種提唱しようと思っておられたのだろうか?ジェンダーが合わないような気もするが。種小名が訂正されているのなら原ラベルの可能性が高いことになる。


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