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最近の旅行記録とともに、以前訪れた場所の写真などを紹介し、見つけた面白いもの・鉄道・化石などについて記します。

1991年モンタナ州の訪問 その26

2016年04月22日 | 昔の旅行
1991年モンタナ州の訪問 その26
Visit to Montana for digging, 1991. Part 26

 1991年7月9日、ロスアンジェルス郡立自然史博物館の展示を見た後、古脊椎動物学研究者のバーンズ博士(Dr. L. Barnes)に面会。初対面であるが、その後長いおつき合いが続いた。面会の約束があったわけではないから、よく会っていただいたものだ。北九州で発見された鯨化石について研究していると自己紹介した。

104 バーンズ博士と私 1991.7.9 Talk with Dr. Barnes

 それから、しばらくバーンズ氏の鯨化石についての「講義」を聞いたが、私の求めるあたりの情報と違う方向の物で、直接参考になったとは言えない。私の英語の能力に問題があったのは確か。たくさんの鯨類の化石頭骨を出していただいたので、面白かったが。私の見たい鯨は別の所にあるという。

105 歯鯨頭骨化石 1991.7.9 A fossil dolphin skull

 化石クリーニングの部屋に移動して、技術的なことを勉強した。

106 クリーニング室 1991.7.9 Room for fossil cleaning

107 サンドブラスト 1991.7.9 Sandblasting system

 サンドブラストは、エアーで砂を吹きつける機械。ひびを入れずに表面を削り取ることができるので、母岩との分離の悪い化石のクリーニングには威力がある。もとは、墓石の文字を彫り込んだり、ガラスに文字を入れたり、部分的にすりガラスにしたりするような道具として発達したが、近年は砂の硬さを選ぶことで、塗装をはぐのにも使う。ちょっと間違うと化石もすぐに傷つけるので私は使わない。
 日本の博物館との一番の違いは、こういったいろいろな作業に関わるスタッフが多いこと。各作業に正職員のほかアルバイトやボランティアが入っている。さらに分野の数も非常に多くて、「化石のレプリカを作る」「印刷物を計画する」とか「文字のデザインをする(ロゴメーカー)」というのまであって、それぞれ最低一部屋が与えられていた。ただし、このころからロスアンジェルス市は財政的な理由でこれらのスタッフの大量解雇に手をつけ、訴訟騒ぎまで引き起こした。バーンズ氏自身も雇用問題に引き込まれたという。
(つづく)