写真の二つの実、右側の実の方が赤く色づいているようですが、さてどちらがより熟したナシでしょうか。答えは後で。
新高は暑さの苦手なナシのようです。今年も9月に入っても30度を越す日が続き、日焼け玉が数多く見られます。果肉が熟して色づいたのでなく、果皮表面が果肉より先行して色づいてしまう症状です。毎年シーズン初めには見られるもので、品種の性質からくる生理現象といえるかもしれません。もちろん、こういう症状にならないような手立てを講じるのが先で、要するに葉を繁らせ果実を日陰にしておくということですが、なかなかいうことを聞いてくれません。
こういう性格を持つということは、新高は果皮表面の色づきで完熟度合いを判断できないといえるようです。
実はわが家では10年以上前まで完熟加減の見立てが悪く、肉質の固い新高を収穫、出荷していました。甘いナシではあるけれど、ゴリゴリした肉質の固いナシでどうしてこんなナシが喜ばれるのだろうと感じていました。生産者自身がこれですから、消費者の方はなおさらでしたでしょう。
新高というナシが一般に知られるようになったのは、東京に隣接した市川市のナシ農家の貢献が大きいと考えています。直売に早くから取り組み、直売期間を長くするために商品となる晩生のナシが必要だったと思われます。一玉1kgにもなろうという大玉を作り、「ナシの王様」と称して商品化していました。時はバブル。農産物が低価格で停滞している現在と違い、ナシ農家としても絶頂期だったかもしれません。その様子を見ていた周辺のナシ産地でも市川に続けとばかりに新高の生産面積を拡大し、広く出回るようになりました。それとともに新高の評判は落ちる一方で、本来、大玉にするのが新高の作り方なのに市場から大玉はいらないといわれる始末です。
その原因には生産量が増大し需要と供給のバランスが崩れたこともあるでしょうが、完熟度合いの見立てを習得していない生産者が多いということもあるかもしれません。販売品種としては最後の品種で、早く収穫を終わらせたいと考えるのも無理はありません。しかし、商品ですから最後まできちんと面倒をみたいものです。
では、どういう状態が完熟なのか。わが家周辺での情報交換から得た結論は、実の形状にヒントがありそうです。
写真の左側の実が熟していて、右側の実はまだ未熟と思われます。その違いはナシの実の底の凹みの大きさです。左側の実の方が底の凹んだ部分の面積が大きくなっています。「外輪山」の部分がライトに照らされ光っていますので、その直径の違いがわかると思います。その部分に親指を這わすとちょうど入ってしまう感じです。右側の未熟果は尻の穴が閉じた状態といえばなるほどと思っていただけるでしょうか。
これらの実を横から見ると、未熟果は縦長なのに熟した実は横に偏平した感じです。新高は熟期の最後に横に膨張するようです。幸水もよく観察すると同じような傾向があるようです。細胞が膨張することにより果肉の密度が下がり、固かった肉質もサクサクした歯触りになります。果皮表面の照度も明るくなります。日焼けした実はどちらかといえば赤黒いのですが、完熟した実はオレンジ色に近くなります。横に膨張すると考えれば、尻の穴が大きくなることも納得できます。
大玉で甘味があって(幸水、豊水より糖度はあります)、サクサクした歯触りの新高は上品な独特な風味も出てくるようです。ナシの王様とよばれるのにふさわしいと思えてきます。
そういう新高が理想ですが、日焼けした新高は肉質には不満が残るものの、とにかく甘い!ちょっと歯ごたえがあって甘いナシが好きという方にはこれまた好評というのも困ったものです。
新高は暑さの苦手なナシのようです。今年も9月に入っても30度を越す日が続き、日焼け玉が数多く見られます。果肉が熟して色づいたのでなく、果皮表面が果肉より先行して色づいてしまう症状です。毎年シーズン初めには見られるもので、品種の性質からくる生理現象といえるかもしれません。もちろん、こういう症状にならないような手立てを講じるのが先で、要するに葉を繁らせ果実を日陰にしておくということですが、なかなかいうことを聞いてくれません。
こういう性格を持つということは、新高は果皮表面の色づきで完熟度合いを判断できないといえるようです。
実はわが家では10年以上前まで完熟加減の見立てが悪く、肉質の固い新高を収穫、出荷していました。甘いナシではあるけれど、ゴリゴリした肉質の固いナシでどうしてこんなナシが喜ばれるのだろうと感じていました。生産者自身がこれですから、消費者の方はなおさらでしたでしょう。
新高というナシが一般に知られるようになったのは、東京に隣接した市川市のナシ農家の貢献が大きいと考えています。直売に早くから取り組み、直売期間を長くするために商品となる晩生のナシが必要だったと思われます。一玉1kgにもなろうという大玉を作り、「ナシの王様」と称して商品化していました。時はバブル。農産物が低価格で停滞している現在と違い、ナシ農家としても絶頂期だったかもしれません。その様子を見ていた周辺のナシ産地でも市川に続けとばかりに新高の生産面積を拡大し、広く出回るようになりました。それとともに新高の評判は落ちる一方で、本来、大玉にするのが新高の作り方なのに市場から大玉はいらないといわれる始末です。
その原因には生産量が増大し需要と供給のバランスが崩れたこともあるでしょうが、完熟度合いの見立てを習得していない生産者が多いということもあるかもしれません。販売品種としては最後の品種で、早く収穫を終わらせたいと考えるのも無理はありません。しかし、商品ですから最後まできちんと面倒をみたいものです。
では、どういう状態が完熟なのか。わが家周辺での情報交換から得た結論は、実の形状にヒントがありそうです。
写真の左側の実が熟していて、右側の実はまだ未熟と思われます。その違いはナシの実の底の凹みの大きさです。左側の実の方が底の凹んだ部分の面積が大きくなっています。「外輪山」の部分がライトに照らされ光っていますので、その直径の違いがわかると思います。その部分に親指を這わすとちょうど入ってしまう感じです。右側の未熟果は尻の穴が閉じた状態といえばなるほどと思っていただけるでしょうか。
これらの実を横から見ると、未熟果は縦長なのに熟した実は横に偏平した感じです。新高は熟期の最後に横に膨張するようです。幸水もよく観察すると同じような傾向があるようです。細胞が膨張することにより果肉の密度が下がり、固かった肉質もサクサクした歯触りになります。果皮表面の照度も明るくなります。日焼けした実はどちらかといえば赤黒いのですが、完熟した実はオレンジ色に近くなります。横に膨張すると考えれば、尻の穴が大きくなることも納得できます。
大玉で甘味があって(幸水、豊水より糖度はあります)、サクサクした歯触りの新高は上品な独特な風味も出てくるようです。ナシの王様とよばれるのにふさわしいと思えてきます。
そういう新高が理想ですが、日焼けした新高は肉質には不満が残るものの、とにかく甘い!ちょっと歯ごたえがあって甘いナシが好きという方にはこれまた好評というのも困ったものです。