のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

次世代は一村多品の豊里なれ

2007年07月10日 | わが家の時時
07年夏、大分の旅、その4。

大分へは観光に行ったわけではありませんでした。全国ナシ研究大会というナシ農家の年に一度のお祭りに参加したのでした。ナシを生産する各都府県を持ち回り会場として、先進事例を発表したり、交流を図るというものです。

県内外から1000名以上が参加。今年は大分県ですが来年は千葉県ということもあり、主催県を除いて最多数の93名が千葉県から参加しました。

大会は例年、二日間行われ、一日目は記念講演や事例報告、夜は懇親会が行われ、二日目は現地視察。今年のホスト役である大分のおもてなしには参加者の多くが感服し、来年は比較されてたいへんだと心配する声も出ていました。

会場は筑後川上流の日田市。県内で最大の産地。ここでは四半世紀前に丘陵地で農地開発が行われ、ナシ団地がいくつも形成されています。品種別の生産量では晩生種の新高が多く、台湾へも輸出しているという話でした。

単価低迷、気象災害の多発などから「日田梨ビジョン21」という産地活性化に向けた目標を掲げ、次の6項目に重点的に取り組んでいるということです。①園地の再編、②新品種の導入、③栽培技術の高度化、④安全・安心な梨生産、⑤自然災害対応の強化、⑥販売戦略の強化

         

②新品種の導入では『豊里 ほうり』という大分県で開発された新品種を育成したいとのこと。大分は「豊」の国。クリスマス出荷にも期待して「ほうり」と名づけたようです。『愛宕』と『新興』のかけあわせで、晩生で高品質、貯蔵性に優れているといいます。氷温貯蔵されていたものを試食しましたが、まあ、それなりに。わが家の最晩生種は『王秋』でいいでしょ。なにも千葉でいいとこ独り占めしなくとも。大分は大分でがんばって、という印象でした。

上の写真は梨畑で誰かが踊っているわけではありません。『豊里』へ品種更新するのに苗木を植えたのですが、鹿の食害対策で網を張ってあるのだそうです。

         

         

産地としての目玉は「⑤自然災害対応の強化」でしょうか。晩生種が主力であるのに大型台風に見舞われる危険が高まってきた対策として、棚を鉄パイプで補強し、さらに園内にも防風網(「破風網」と呼んでいました)を張って効果をあげているとのことでした。

これだけの設備費をかけてでも梨作りに取り組まなければならない地方の現状を垣間見た気がします。