そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない





全世界で今年のナンバーワン大ヒット中の映画「バービー」。
日本では原爆がらみTweetで炎上して要らんニュースになっていたが、世界の映画史に残る女性映画監督史上ナンバーワンのヒット作・金字塔ということで、お盆休みの二子玉の映画館で観てきた。
その感想。

これは大傑作。
星3つ半。★★★1/2
素敵なムチャクチャで最高だ。
女性監督が、女性として、世の中に言いたいことを全部ぶちまけてやりたい放題した、「痛快」そのものの映画だった。

フェミニズム&ポリコレ映画だと噂には聞いていたが、そんなちっぽけな枠に決して収まらない熱量の高いコメディ。
主演のマーゴット・ロビーが自ら映画化権を獲得し、「レディ・バード」や「私の若草物語」で絶賛された女性監督グレタ・ガーウィグに演出を任せ、センスと風刺と毒と思想に溢れた2時間弱のめくるめく映像体験。
バカな男(男社会)に向けてはもちろん、それだけではなく全世界の全方位に向けてケンカを売り、一方で全方位を懐柔しようとしつつ、結局ナンセンスにまとめ上げるこの手腕。
バービー人形をテーマにして映画を作るって時に、バービーを作ったマテル社の自己否定をまっすぐやりつつ、言い訳的に歴史の話も織り込み、女性監督ならではのフェミニズム的思想を皮肉と下ネタと最終的にはおバカで包み込むという、なんて素晴らしい映画なのよ?
これをこんな脚本で作らせたマテル社の戦略も、スゲー優秀。
これでまたバービー人形がめっちゃ売れてウッハウハなんじゃねーの(笑)。
映画観ている最中ずっとニヤニヤ、時に爆笑、時に(男である僕は)身につまされ、男のバカさ加減(自分のバカさ加減)を思い知らされ、肩身が狭くなる濃い〜2時間弱。
人間世界に初めてやってきたバービーが、バス停で隣に座っていたしわだらけの老婆を見て、「綺麗……」ってつぶやいたら老婆が返す言葉は、「知ってる」だぜ。
スゴくないか、この映画!!
映画館で近くに座っていた黒人の太った女の子が終始「ヒャッホー」とウケていたのがとても素敵だった。
この映画を観てどこかの「GANTZ」とかいう漫画を書いた日本人おっさん漫画家が「自立した女性が男性なしでウンヌン……」と文句言って炎上したらしいけど、いやいや真面目に打ち返したらその時点で負けなのよ。
本物の女子が女子として今の世の中に言いたいことを全部ぶちまけてんだから、男子はそれをうんうんと受け止めるだけでしょーよ。
各所に散りばめられた様々なパロディ。
日本語字幕では伝わりきらない、皮肉と下ネタ、米国あるあるとスマッシュギャグ。
こりゃ世界でヒットするわなって感じ。
世界の中で日本と韓国だけでぜんぜんヒットしていないっていうのも、このアジアの辺境の一部の地方のフェミニズム環境の異常さを顕著に表していて、まさに地獄の差別社会よねって。
この映画がスッと入ってこないって、どんだけ凝り固まった思想なんだよお前、って指差して笑ってくる映画ですよ。
女性監督が作った最高に男前なコメディ。
最、の高!
女性は絶対映画館で観たほうがいい快作です。
男性はこれを見てどう感じるかで自分の立ち位置が分かるでしょう(笑)。

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