そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない



ティファニーで朝食を
トルーマン・カポーティ
新潮社


村上春樹氏の新訳による「ティファニーで朝食を」を読む。

トルーマン・カポーティの代表作。
さすが新訳とあって、古くささを感じさせない。
その昔、別の人の翻訳で読んだ時は、時代掛かった古くさい女に過ぎず、とくに魅力的とも思えなかった主人公ホリー・ゴライトリーが、村上訳では生き生きとした自由奔放さで新たな魅力を放っていた。
なかなか新鮮。

小説を読んだ勢いで、久々にDVDを引っ張り出して、オードリー・ヘプバーン演じるホリーを観た。

ティファニーで朝食を

パラマウント ジャパン


映画と小説は、構成要素はわりと一緒なんだけど、全体的には「まったく別の話」で(正反対と言ってもいい)、どっちが好きかと聞かれるととても困ってしまう。
小説には小説だから出来ること、すべきことがあり、カポーティはそれを描ききっている。
映画には映画だから出来ること、すべきことがあり、ヘプバーンはそれを演じきっている。
だからどっちも素晴らしい作品だとしか言えない。
小説にはあくまで小説としての成り立ち方があり、映画にはあくまで映画としての成り立ち方がある、という当たり前といえば当たり前のことがとてもよく理解出来るので、この「ティファニーで朝食を」は小説と映画を比較する格好のお手本だ。
小説になくて、映画にあること。
映画になくて、小説にあること。
それらを一つ一つ精査するだけで、非常に勉強になるのだ。

まあ難しいことはともかく、いい小説だし、いい映画です。

ヘンリー・マンシーニの「ムーン・リバー」は、僕の数少ない「歌える英語の歌」のレパートリーの1つなんだもん。
それだけ好きってことです。

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