そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない





「スター・ウォーズ/ローグワン」を撮ったギャレス・エドワーズ監督の最新作。
渡辺謙も出演しているSF超大作なのだが、二子玉のシネコンで見てきた。
その感想。

これはね、星2つ。★★
なんだろう、鑑賞している間ずっと首をひねるような感覚の映画だった。
ところどころ良い要素はあるし、特に音楽や音響の使い方は「おっ」と思わせるのだけれど、いかんせん映画全体に漂う頭の悪さがキツイ。
具体的には後ほどネタバレで書き記すが、このギャレス・エドワーズという監督は、「ローグワン」の時も思ったんだけれど、基本的な物理法則とか科学とかの知識はもちろん、世の中の常識的な感覚が欠如しているんだろうと思う。
人や物の動き、位置関係、兵器システムの論理性など、細かな齟齬が多く、いちいち「そんなわけないだろ」って感じちゃうポカが脚本の端々に見て取れ、「ローグワン」同様、なんだか全体の印象が馬鹿っぽい映画に仕上がっちゃうのだ。
世界観は良いし、映像は綺麗で素晴らしい。
題材や素材やデザインもいいのだれど、料理の仕方がまずいので、映画全体がなんだかなぁになっちゃっている典型的なパターンだ。

では具体的にネタバレしつつ、文句を言う。











まず冒頭に「2065年」の時代設定が表示されるのだが、今からたったの40年後にこんな世界になるはずがないわけで、その辺のリアリティの欠如で、賢明な観客たちはめまいがし始める。
おそらく、日本マニアのギャレス・エドワーズはこの物語のベースを「アキラ」に設定していると思われ、なのでこんな近未来になっちゃっているんだろう。
いやいやいやいや、「アキラ」の原作が描かれた80年代は、確かに40年後の東京にああいう未来都市をみんな思い描いていたけれど、本当の2020年は現実的に違ったわけじゃん。
そんな事実をベースにした今の感覚だと、あれは40年後の2065年ではなく、せめて2165年、いや下手すれば2265年の設定でなんとかリアリティを感じる世界観だと思う。
その辺の世界観の設定の感覚の狂いがもう最初からいかにもアタマ悪くて、ギャレス・エドワーズを信じられない。
で、始まったら始まったで、出てくる敵の超兵器はほとんどデス・スターそのもの。
本当にスター・ウォーズ好きなんだなぁとしか思えない超兵器の描き方に苦笑し、でもって、満を持して登場したのは完全にアキラ少年の設定そのまんまのAI少女。
そんでもって、AI渡辺謙はメカのくせに寝て、寝てる隙に少女を奪われるという、「お前センサーついてないんか?」という頭の悪さ。
で、戦闘シーンは何の作戦もなく、敵も味方も正面からひたすらバンバン撃ち合って被弾して死ぬ、そんな頭の悪さはローグワンと同じ。
敵も味方も出てくる軍人が全員、何の作戦もなく、アタマが悪く、そりゃ死ぬよねっていう死に方をするので、ついていけない。
で、例のデス・スターは、地上をスキャンしてから真下にミサイルを落とすものとばかり思っていたら、最後の攻撃では、真下以外にもミサイルを急に撃ち出し、そもそもあのスキャンの意味は?とか、スキャン要る?など、ぜんぜん意味が分からない。
というかそれ以前に、あんなに凄い能力の「AIアキラちゃん」を作れる科学技術があるのであれば、AI側はあんなデス・スターをもっとあっさり無力化する兵器ぐらい簡単に作れるんちゃうんか?という素直な疑問でモヤモヤしっぱなし。
かと思えば、急に「走る爆弾ロボ」みたいなアナログ兵器が出てきて笑う。
なんかひとつひとつは面白いアイディアなのかも知れないが(大半が別の映画で見たものの寄せ集めだけれど)、それらを組み合わせたときに世界観に一貫性がなさすぎて、違和感しかない。
それと、戦闘はアジアのどこかでいろいろ起きるのだが、地理関係の描き方が甘く、ブレードランナー的な近未来都市と、地獄の黙示録的なジャングルアジア村など、どこかで見たような箱庭をただただつなぎ合わせただけにしか見えない。
どれだけ金をかけた立派な映像だろうが、位置関係がよく分からないアジアのいろんな風光明媚な場所で馬鹿と馬鹿が真正面から撃ち合うだけのバカ戦争をずっと見させられるだけでは、そもそも心に響かんのよ。
で、ラストなぜか都合良く意識を取り戻すAI妻とキスして、爆死しても、それじゃあこっちはちっとも泣けんのよ。
「ローグワン」のラストはキスしそうでしないまま死んだ主人公男女2人だったが、今回はキスして死ぬのよ。
ギャレス・エドワーズは本当は「ローグワン」でもキスさせてから2人を爆風死させたかったんだろうなぁ、という根深い執念を感じたね笑。

まぁ、興味のある方は見てみてください。
僕の言っていることがいちいち納得できると思います。


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