少し違う話題を。私が働いている麻布大学のいのちの博物館にオコジョの死体が届けられました。オコジョというのはテンの仲間ですが、とても小さく、ネズミでもこれくらいのものはいます。それを骨格標本にしていたのですが、10日ほどかけてほぼ完成しました。交通事故死体なので頭が大破しており、その修復がたいへんでした。オコジョの頭の骨はネズミなみにうすく、どうしたものかと思いましたが、紙粘土を内張りにしてみたら、わりあいうまくいきました。オコジョの頭の骨はとても変わっていて、アゴは前半の半分もありません。つまり後頭部が異様に長いのです。肉食だからさすがに歯はたいへん鋭いものです。
皮をはぎ、大まかな筋肉をはずしたあとは、入れ歯掃除をするポリデントにつけます。そうすると赤い筋肉が薄茶色(ようするに肉を加熱して変色する色)に変化します。それをピンセットと歯ブラシで少しずつ除去していきます。除肉ができたら、バラしていた四肢をふさわしい位置にとりつけて整形します。これがなかなかむずかしいのですが、発泡スチロールにのせて、昆虫針などを使って整えます。
時間がかかるので、現役時代にはとてもできないことでした。いい音楽を聴きながら単純作業をするのもなかなかぜいたくな時間です。