1591年に聚楽第で行われた秀吉の御前演奏ではどの様な曲が演奏された可能性がありますか、という問いをChat GPTに問いかけたことがありました。Chat GPTが登場して間もない頃でした。
返って来た答えは、能楽や雅楽という答えと共に「皇帝の歌」という答えもありました。例の皆川説が生成AIにまで広がったいるのかとがっかりしました。
今回久しぶりにルネサンス・リュートで16世紀の曲を演奏するにあたり、同じ質問を問いかけてみました。すると・・・
始めに出て来た答えは能楽や雅楽と出て来ました。また、もう、アホちゃうかと思いましたが、「フロイスの記述には西洋楽器を使って西洋音楽を演奏したとありますが」と突っ込んでみました。
するとフロイスの記述を元にした答えが返ってきました。
当時のイエズス会が日本で布教活動を行っていたことを考慮すると、以下のような宗教音楽が演奏された可能性があります:
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グレゴリオ聖歌(Gregorian Chant):中世ヨーロッパのカトリック教会で広く歌われていた単旋律の聖歌。
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ポリフォニー音楽:複数の旋律が同時に進行する音楽で、ルネサンス期に発展しました。
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ミサ曲:カトリック教会の典礼に用いられる音楽。
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モテット:宗教的なラテン語の歌詞を持つ合唱曲。
ほほー。なかなかまともじゃありませんか。(笑)
さらに「可能性としてどのような曲が考えられるでしょうか」と突っ込みますと、グレゴリオ聖歌やパレストリーナのミサ曲があげられていました。この「可能性がある曲」の中に皇帝の歌が入っていなかったことは、大進歩です。
「よく勉強されていますね」って褒めてあげましたら、「ご丁寧なお言葉、誠にありがとうございます。
そう言っていただけて大変光栄です」と返ってきました。なかなかやるなぁ。(笑)
なかなか賢明な答えが返ってきて、少しは利口になったのでしょう。
生成AIも進展する中で、今後、医療現場にも医師に代わり診断をするとか、様々な分野で可能性が追求され研究開発が進んでいますよね。
でも、まだ音楽の世界では自身で検証し、本当にそうかを調べあげることはできますが、医療、航空機のトラブル診断、リカバリーなど、経験値を積み上げて会得できるものがあるものですが、そこにAIにお任せというのはどうかなと思うのです。
さらに、大学生、院生の卒論、修士論文など、AIで高度に作れてしまうことも問題視されてます。就活生の志望動機の作文、小論文なども、すでにAIでお気軽に作成され、人事部も悩んでいるとか。
時間の節約、効率化も結構ですが、私個人としては、AIに飲まれてはいけないと思っています。
参考程度に留めるのはよいとしても、妄信して成果としてしまうのは、やはりリスクあると思いますねえ。
今回の先生のようにAIの能力を試すために質問し、検証するのはとても有益だと思うのです。
でも、自分が出来きない、わからないからAIに答えさせ、それを正解として信じ込んでしまうのが危険なのでしょうね。
若い医師が自分で判断できないからAI医師の診断を重んじるのは如何なものかと、
学生の卒論しかり、就活生の応募動機、小論文しかり、操縦トラブル関連しかり。
今後の日本は少子化加速で若者をベテランが指導、研鑽させる機会も減り、軽薄短小の軽いカルチャーが持て囃される中で、面倒事は全部おまかせという道具にAIを担わせることの懸念がありますね。
AIの出す答えが正解だと思わず、検証する態度を面倒がらずに持ち、若い人が利用するという方向として常にあってほしいものですね。
>なるほどですねえ。... への返信
生成AIは何でも自動でしてくれるほど便利ではありません。知らない人ほどそういう幻想を抱きがちですが、そもそも生成AIに作らせた論文はすぐにばれます。でも上手に使えば優秀なアシスタントとして活用できるかも知れません。先日のリサイタルのプログラムでは解説を書くための資料を的確に調べてくれましたし、表紙を飾る絵も描いてくれました。