リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

レッスンのたたき売り!?

2018年07月11日 12時25分01秒 | 音楽系
一か月くらい前でしたか、日本音楽著作権協会(JASRAK)から電話がかかってきまして、3月に行った一連のコンサートで、著作権使用料を払ってない曲があるのではないかと聞かれました。

私は古楽専門の演奏家ですので、ふつうは著作権使用料が発生する曲は演奏しない、と返事しましたら、今後著作権使用料発生しない曲ばかりのコンサートをするときは、こちら(JASRAK)に連絡を入れてくださいという返事でした。

ん、あれれ?それって逆じゃないの?著作権使用料を払わなくてはいけない曲を演奏するときにこちらから申請するのではなかったのかな?久保摩耶子委嘱作品や伊福部昭のファンタジアをプログラムに入れたときはきちんと申請して、しかるべき使用料を支払いました。

JASRAK側のあきれたいいぐさにカチンときたので、しばし毒づいた後電話を切りましたが、昨日のJASRAK関連の報道にもまた来たかと思いました。

それによれば、JASRAKは3月に大手音楽教室宛て契約を促す文書を送付、楽曲の著作権料として受講料収入の最大2・5%の支払いを求め、6月末で21事業者が契約に応じたとのことです。

ここまではうーむ、そーかーといった感じでしたが、会長さんがこんなことをおっしゃいました。

「たたき売りは、がまの油やバナナが仕入れ商品で、口上を述べて売るのは技術。同じことで、教えることは技術、仕入れは音楽や歌と考えれば、仕入れ代を払うのは当たり前だ」

私らはレッスンをたたき売りしているオッサンなんかい!と突っ込みを入れたくなりますが、どうもよくわからないたとえです。たたき売りとレッスンは相当状況が異なります。

JASRAK側には有能な法律の専門家がいて、法律的には、音楽教室側は「すでに外堀が埋められた」状態らしいのです。楽曲の90%を管理しているJASRAKは独占禁止法違反と違うのかい?とシロウトは思うのですが、この問題もすでに訴訟を経てクリアしたようです。

係争中の裁判でJASRAKが勝訴すれば、堂々とすべての音楽教室に支払いの網をかけてくるでしょうが、レッスン中での楽曲演奏とコンサートでの楽曲演奏どちらも使用料を取るというのはしっくりきません。専門家によりますと、演奏権の範囲が広がれば、たとえばオーケストラのリハーサルなんかも対象になってくるかもしれないといいます。

法律的には正当でも感覚的あるいは常識的に見てなんか変、というのはこの件以外にもときどきありますが、今後どうなっていくんでしょうか。