リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バロック・リュートに変化が

2017年07月31日 12時25分21秒 | 音楽系
ラース・イェンソン(Lars Jönsson)の楽器が到着して3ヶ月あまり経ちました。( Jönssonって日本語の表記が難しいですね。大体スウェーデン語知らないし・・・)なんか少し弦高が高くなってきたなと思って計測して見ました。買ったときは、1コース7フレットにおける指板と弦のトップ間は3.5mmでしたが、今回は4.5mmでした。

最近音が全くびびらなくなった代わりに高いポジションの弦が弾きにくくなった感じがしていましたが、1mm弦高が上がった訳です。これ以上高くならないのを祈りますが、5mm超えてくるとちょっときびしいです。弦のビビリとの関係がありますので、あまり低くする訳にはいきませんが、3.5mm~4.0mmくらいがちょうどいいバランスのところかなと思います。

2005年にモーリス・オッティジェーに作ってもらったバロック・リュートも、2011年のレコーディング時点では5mmを超えていて(6mm近くあったかも)とても演奏が大変だった記憶があります。

あと、高温多湿の日本の夏を過ごしているので、リブの塗装にいつも注意する必要があります。ということを今までの経験から充分わかっているのですが、ものの10分も油断して演奏していると、体温と湿気のため塗装が傷みます。あるいは5月の始めに、一日楽器を弾かなかった時がたまたま急に暑くなったときで、ケースに入れっぱなしにていたために、塗装が傷んでしまいました。

自分の体とリブの間にタオルとか布をはさんで弾いても、実は布系の素材は断熱、断湿がないのでやられてしまいます。そこで断熱+断湿のある素材を探しに東急ハンズに行ってきました。さすがハンズ、いいのがありました。2mm厚の合成ゴムシートに、接着剤付きの0.2mm厚の合成ゴムシートをくっつけます。暑い方のはスポンジ状になっていて断熱効果があります。薄い方は固い素材で湿気を全く通さず触るとひんやりした感触です。(多分耐水性があります)

すべり止め効果がとても高いので、足代を使わなくても楽器がホールドできるという二次効果もありました。音のことを考えるともう少し小さくてもいいかなという感じがしますが、実際に楽器に圧着する部分がそんなにないため、音には影響はありません。でももう少し小さくてもいいなか。(笑)

この手の素材を楽器に圧着させるのは慎重に行わなければいけませんが、シリコン系の素材のように密着するわけではないので、大丈夫のようです。今のところ長時間演奏してもOKです。もっとも圧着するところは既に塗装がやられている部分なので、変化が見つけにくいだけかもしれませんが、少なくとも新たにやられた部分はありません。

秋口になると多少は気を遣わずに済みますし、来年の夏を過ぎるとほぼ塗装も完全に硬化してくるのでそれ以降はそこそこ気をつけるという程度でOKです。ヨーロッパの製作家に新しい楽器を注文して、それがこちらに届くのが夏だと最悪です。今回の場合は、4月に届いたので到着時期に関しては問題はありませんでしたが、こっちに到着するのは10月後半というのが一番いいでしょうね。日本に到着時期の問題もありませんし、次の夏まで充分時間がありその間に塗装がある程度硬化しているでしょうから。