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この世の取るに足りない者や見下されている者を、神は選ばれました

この世の取るに足りない者や見下されている者を、神は選ばれました
(Ⅰコリント1章28節)
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『五重塔』(読書メモ)

幸田露伴『五重塔』岩波文庫

大工の腕は天下一品だが、「のっそり」というあだ名をつけられ馬鹿にされている十兵衛。

しかし、ある寺で五重塔を建てるときに名乗りを上げ、建築の一切を任されることになる。

本書を読んでいる途中で感じた疑問は、「いくら個人の腕が良くても、マネジメント力がなければ建物は立たないだろう」ということ。案の定、職人たちは十兵衛を馬鹿にして、しっかり働かない。

この問題を、どのように解決したのか?

十兵衛は、工事中、兄弟子に襲われて重傷を負うのだが、その翌日に現場に出たのである。

「十兵衛よもや来はせじと思ひ合ふたる職人ども、ちらりほらりと辰の刻頃より来て見て吃驚する途端、精出してくるる嬉しいぞ、との一言を十兵衛から受けて皆冷汗をかきけるが、これより一同励み勤め昨日に変わる身のこなし、一をきいては三まで働き、二といはれしには四まで動けば、のつそり片腕の用を欠いて却って多くの腕を得つ日々工事捗取り、肩疵治る頃には大抵塔も成あがりぬ」(p.102)

仕事に命を懸けている
ことを身をもって示す。それが、最も効果的なリーダーシップ力になる、といえるだろう。














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対話の力

ひきこもりの高齢化が問題になっているようだが、どうすればひきこもり状態から脱却できるのか?

一つの解決方法が、「オープンダイアローグ」と呼ばれる手法。フィンランドで統合失調症の治療に使われてきたもので、関係者が当事者の自宅などに集まり、開かれた対話を行うというシンプルな方法だ。

筑波大学教授で精神科医の斉藤環さんは次のように説明している。

「当事者と家族の自宅に3,4人の専門家チームが行き、リビングなどで車座になって1時間ほど対話します。たとえば”本人にとって一番きついこと”について全員で分かち合うんです。リフレクティングといって、本人の前で専門家同士が今後の方針を話し合って、それも本人に聞いてもらいますが、説得はせず、どうしたいかを選ぶのは本人。”ちゃんと話を聞いてもらえた”という体験がプラスに働き、早い段階で決着がつく場合がほとんどです」(p.15)

「ちゃんと聞いてもらえた感」が大事になるようだ。逆にいうと、それまで「ちゃんと聞いてもらえなかった」人が多いのだろう。

さらに斉藤さんは言う。

「だから私は就労よりもまず”誰かと関係を作ること”を支援の目標にしています。そのためにも、とにかく対話をしてほしいんです。ひきこもりの人同志でも家族とでもいい。対話さえしていれば何とかなるケースはいくらでもあるので、対話の力を軽く見ないでほしい」(p.15)

関係を作り、対話する。とてもシンプルであるが、パワフルな手法であることがわかった。

出所:ビッグイシュー日本版Vol.305, p.14-15.
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