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対話の力

ひきこもりの高齢化が問題になっているようだが、どうすればひきこもり状態から脱却できるのか?

一つの解決方法が、「オープンダイアローグ」と呼ばれる手法。フィンランドで統合失調症の治療に使われてきたもので、関係者が当事者の自宅などに集まり、開かれた対話を行うというシンプルな方法だ。

筑波大学教授で精神科医の斉藤環さんは次のように説明している。

「当事者と家族の自宅に3,4人の専門家チームが行き、リビングなどで車座になって1時間ほど対話します。たとえば”本人にとって一番きついこと”について全員で分かち合うんです。リフレクティングといって、本人の前で専門家同士が今後の方針を話し合って、それも本人に聞いてもらいますが、説得はせず、どうしたいかを選ぶのは本人。”ちゃんと話を聞いてもらえた”という体験がプラスに働き、早い段階で決着がつく場合がほとんどです」(p.15)

「ちゃんと聞いてもらえた感」が大事になるようだ。逆にいうと、それまで「ちゃんと聞いてもらえなかった」人が多いのだろう。

さらに斉藤さんは言う。

「だから私は就労よりもまず”誰かと関係を作ること”を支援の目標にしています。そのためにも、とにかく対話をしてほしいんです。ひきこもりの人同志でも家族とでもいい。対話さえしていれば何とかなるケースはいくらでもあるので、対話の力を軽く見ないでほしい」(p.15)

関係を作り、対話する。とてもシンプルであるが、パワフルな手法であることがわかった。

出所:ビッグイシュー日本版Vol.305, p.14-15.
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