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『天災と日本人』(読書メモ)

寺田寅彦『天災と日本人』角川ソフィア文庫

物理学者(地震学者)であり随筆家・俳人でもあった寺田寅彦の随筆集である。

本書では、自然環境が文化を規定していることが繰り返して述べられている。特に日本の場合、頻発する台風や地震の影響が大きいという。

最も印象に残ったのは「災難の進化論的意義」という考え方。

「平たく云えば、吾々人間はこうした災難に養いはぐくまれて育って来たものであって、ちょうど野菜や鳥獣魚肉を食って育って来たと同じように災難を食って生き残って来た種族であって、野菜や肉類が無くなれば死滅しなければならないように、災難が無くなったらたちまち「災難飢餓」のために死滅すべき運命におかれているのではないかという変わった心配も起こしえられるのではないか」(p.97)

生きていると、いろいろな災難が襲ってくるが、それらは私たちを鍛えてくれる教師であるともいえる。





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