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『五重塔』(読書メモ)

幸田露伴『五重塔』岩波文庫

大工の腕は天下一品だが、「のっそり」というあだ名をつけられ馬鹿にされている十兵衛。

しかし、ある寺で五重塔を建てるときに名乗りを上げ、建築の一切を任されることになる。

本書を読んでいる途中で感じた疑問は、「いくら個人の腕が良くても、マネジメント力がなければ建物は立たないだろう」ということ。案の定、職人たちは十兵衛を馬鹿にして、しっかり働かない。

この問題を、どのように解決したのか?

十兵衛は、工事中、兄弟子に襲われて重傷を負うのだが、その翌日に現場に出たのである。

「十兵衛よもや来はせじと思ひ合ふたる職人ども、ちらりほらりと辰の刻頃より来て見て吃驚する途端、精出してくるる嬉しいぞ、との一言を十兵衛から受けて皆冷汗をかきけるが、これより一同励み勤め昨日に変わる身のこなし、一をきいては三まで働き、二といはれしには四まで動けば、のつそり片腕の用を欠いて却って多くの腕を得つ日々工事捗取り、肩疵治る頃には大抵塔も成あがりぬ」(p.102)

仕事に命を懸けている
ことを身をもって示す。それが、最も効果的なリーダーシップ力になる、といえるだろう。














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