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『楢山節考』(読書メモ)

深沢七郎『楢山節考』新潮文庫

笛吹川が面白かったので、深沢七郎の代表作『楢山節考』を読んだ。

この作品は、第1回中央公論新人賞を受賞したのであるが、その時の選考員である正宗白鳥が「人生永遠の書」として絶賛したらしい。

ストーリーは、誰もが知っている「姥捨て山」。僕が小学校のとき、クラスでこの劇を上演したので深く覚えている。

食糧が極端に少ない山間の村では、70歳を超えると「楢山まいり」に行かなくてはならない。主人公のおりんは「楢山まいり」を人生のフィナーレとして明るくとらえている。しかし、楢山に行かせたくない息子・辰平は悩む。

一方、村の中には、はやく親を厄介払いしたい息子と、楢山まいりを拒むおじいさんもいる。

よく考えてみると、現代においても姥捨ては存在する。ただし、そこに向かう家族は、この小説と同じように「明と暗」に分かれるような気がした。家族の在り方が、最後のときによく表われるのだろう。

いかに生きるか」は「いかに死ぬか」と表裏一体である。正宗白鳥が「人生永遠の書」と評したことが実感できた。

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