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『ガンジーの実像』(読書メモ)

ロベール・ドリエージュ(今枝由郎訳)『ガンジーの実像』白水社

『ガンジー自伝』(以前に紹介)と『ガンジーの実像』を買い、どちらを先に読もうか迷ったが、先にガンジー自身が自分の人生をどう評価しているのかを知りたいと思い『ガンジー自伝』を先に読んだ。

この順番で正解だった。本書を読むと、確実にガンジーのイメージが悪くなるからである。

独善的なリーダーシップスタイルや、経済感覚に乏しかったりすることが強調されていているが、幻滅してしまうのは、ガンジーがかなりの「女好き」であること。

いつも若い女性に取り囲まれていたガンジーは、彼女らに自分の体を洗ってもらい、マッサージをしてもらい、さらに、彼を暖めるために自分のベッドで寝させていたという。「聖人のイメージ」がふっとんでしまった。

さらに、ガンジーはインドだけの繁栄を願っていて、全世界の幸福は望んでいなかった。ガンジーをマハートマー(偉大なる精神)と呼んだタゴール(ノーベル文学賞を受賞したインドの詩人)は、後年、自分の国の幸せだけに関心を寄せるガンジーを批判するようになったらしい。

評伝だから覚悟はいていたものの、ここまでイメージが崩れるとは思わなかった。やはり自伝と評伝にはギャップがある。

しかし、よく考えてみると、ガンジーは自伝の冒頭で「私を神から遠く引き離しているものが、内心に宿る邪悪な欲情であることはわたしも知っている。しかし、それから逃げ出すことができないでいる。」(p.20)と告白している。

自分の罪を公に認めているガンジーは、やっぱり凄いのかもしれない。
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渇いている人はだれでも、わたしのところに来て飲みなさい

渇いている人はだれでも、わたしのところに来て飲みなさい
(ヨハネによる福音書7章37節)

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自分の点は自分でつける

2004年に現役を引退した、競泳選手・萩原智子さん。

スポーツキャスターとして取材した北京オリンピックを見ているうちに、やる気が燃え盛り、再びロンドン五輪を目指すようになる。

萩原さんは以前を振り返り、次のように語っている。

「水泳が大好きってことは変わらないんですけど、前は苦しくて苦しくて。苦しい練習を毎日どう乗り切っていけばいいのかと思いながら泳いでました。」

実は、競泳界のアイドル的な存在だった萩原さんは、いろいろ悩んでいた。

「前は、マスコミが私の選手像みたいなのを作ってしまうと、そうあるべきなのだってその姿に必死に合わせていたところがあって、自分とズレるから苦しくなってしまったのかも。自分の評価を周囲に委ねて、周りが判断していく。三位とか四位でもいい泳ぎができた時に“萩原残念”と書かれると、あ、ダメなんだって思っちゃう。今は、自分の評価は自分でする。自分の点は自分でつける。マスコミの側の経験もして、今はマスコミ嫌いじゃないです。どんな自分でも、これが自分ですってドンと出せるし。すごく楽です。」

どうしても周りの評価を気にしてしまうのが人間であるが、萩原さんのように「自分の点は自分でつける」ことができたとき、自分の仕事ができるようになるのだろう。

出所:『ひととき』2011年9月号p.40-43.
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