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『燃える水滴』(読書メモ)

若松英輔『燃える水滴』亜紀書房

本屋の詩のコーナーにあったので買ってみた。はじめはちょっとロジカルすぎる詩だなと思ったが、読んでいるうちにグッと入ってきた。

とくに心に残ったのが「掘る人」。一部を紹介したい(p. 17-18)。

「私」という
小さな地面に
自分の身体が
入るくらいの
穴を
掘ることかも
しれないのに

探しているものは
すでに
心のうちに
あって
今のおまえを
支えているかも
しれないのに


「緑色の光」もよかった。とくに次の箇所(p. 28)。

秀でた者でありたいと
少しばかり道を
歩いてはみたが
たどりついたのは
おのれを見失った者たちの
たまり場だった


意外だったのは「あとがき」の言葉。

「中学高校はもちろん、大人になっても詩はどちらかというと苦手だった。詩を書く人はどんな人たちなんだろうと思っていた。だが今では、真剣に書こうとさえすれば、詩は誰にでも書ける、そう確信している」(p.112)

僕も詩が苦手だったのでよくわかる。年齢を重ねると詩の世界が近づいてくるのかもしれない。







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